Wordのコメント欄だけ英語設定が外れない時の対処法~スウェーデン語に正しく変更する方法~

Wordのコメント機能を使って作業していると、一部だけ英語設定になってしまう問題に悩まされることがあります。特に言語をスウェーデン語に切り替えたいのに、コメント欄の自動校正が英語のまま……。今回、そんな不具合にお困りの方へ、解決策を詳しくご紹介します。

Wordのコメント欄で発生する英語設定の不具合とは

Wordを使って文書を作成する際、本文のテキストは設定通りスウェーデン語で校正されるのに、なぜかコメント欄だけが英語のままになってしまうケースがあります。例えば、コメント内で小文字の「i」を入力すると、自動的に大文字の「I」に変換されてしまうなど、意図しない補正がかかることも珍しくありません。

この現象は、Wordの校正言語設定が部分的に英語になっているために起こります。実際には、Word全体の表示言語をスウェーデン語に切り替えていたとしても、コメントのスタイル設定や「Modern Comments」という新しいコメント機能の影響により、コメントだけが英語のスペルチェックに引きずられている可能性が高いのです。

そんな一筋縄ではいかない問題を解決するために、以下では具体的な対処法を見ていきます。

問題が起こる主な原因を徹底解説

この言語設定の問題を理解するには、Wordの内部でどのように言語が扱われているかを把握する必要があります。Wordは、多言語のドキュメント編集に対応するために、次のような複数の設定を使い分けています。

1. 既定の編集言語

Wordの「既定の編集言語」は、通常、本文や脚注、ヘッダー・フッターなどの文章全体を対象として校正機能を有効にするための設定です。たとえば、スウェーデン語を既定として設定すると、多くの場合は本文のスペルチェックがスウェーデン語で実行されます。しかし、この設定だけではコメント欄にも同じ言語が適用されるとは限りません。

2. Wordプログラムの表示言語

Word全体の表示言語は、リボンやメニューの文言など、ユーザーインターフェイスに影響する要素を対象としています。これをスウェーデン語に変更しても、コメントや特殊なセクションに反映されないケースがあるため、ここだけを変えても問題が解消されないことがあります。

3. コメントスタイル(Comment Text)

コメント欄で使われるフォントや行間、文字サイズなどの見た目のルールをまとめているのが「Comment Text」というスタイルです。このスタイルにも「言語」の設定が存在し、これが英語になっている場合、コメント部分だけ英語の校正が優先されてしまいます。スタイルを介して明示的にスウェーデン語を設定しない限り、コメントの言語は英語のままとなる可能性があります。

4. Modern Comments機能

Microsoft 365(サブスクリプション版)などの最新バージョンのWordには「Modern Comments」という新しいコメント機能が搭載されています。Modern Commentsは、一部の校正機能がWindows自体の言語設定に依存する仕様となっており、Wordの中だけでスウェーデン語にしても、Windows本体が英語になっている場合にはコメントだけ英語表記になるなどの弊害が起こることがあります。

対処法1:コメントテキストの言語指定を確認・変更する

まずは最も基本的な方法として、コメント欄そのものの言語指定を再確認する手順を見ていきましょう。

ステップ1:校閲タブから言語ダイアログを開く

  1. Wordのリボンから「校閲」をクリックします。
  2. 「言語」グループ内にある「言語」または「言語の設定」を選択します。
  3. ドロップダウンから「校正言語の設定」を開きます。

ステップ2:コメント欄に適用する言語を選択

表示されたダイアログボックスで、「スウェーデン語(Swedish)」を選びましょう。このとき、チェックボックスに「スペル/文法をチェックしない」などがオンになっていないかも確認する必要があります。もしチェックが入っていれば外し、正しくスペルチェックが行われるように設定します。

ステップ3:設定を確定

「OK」を押してダイアログを閉じると、コメントにもスウェーデン語の校正が適用されるようになります。これだけで問題が解決すればラッキーですが、多くの場合、これだけでは十分でないことがあります。次の対策も合わせて確認しましょう。

対処法2:コメントスタイルを再設定する

Wordの本文や見出し、脚注と同様に、コメントにもスタイルが設定されます。このコメント用のスタイルに「Comment Text」と呼ばれるスタイルがあるため、ここをスウェーデン語に変更しておかないと、コメントだけ英語が優先される可能性が残ります。

スタイルウィンドウでの設定手順

  1. キーボードショートカット「Ctrl + Shift + S」または「ホーム」タブから「スタイルウィンドウ」を開きます。
  2. スタイルの一覧から「Comment Text」または「コメントテキスト」を探します。
  3. スタイルの名前の上で右クリックして「変更(Modify)」を選択します。
  4. 「変更」ダイアログの左下あたりにある「書式(Format)」ボタンをクリックし、「言語(Language)」を選択します。
  5. 設定をスウェーデン語にし、「スペル/文法をチェックしない」のチェックが外れていることを再確認して「OK」を押します。

ポイント:スタイルの優先度

Wordではスタイルが非常に強力で、本文の一部を個別に変更しても、スタイルの設定が上書きされることがあります。コメント欄の言語設定を直接いじっても効果が出なかった場合、スタイルのほうが英語設定になっているかもしれません。上記手順を踏んでスタイル自体をスウェーデン語に設定すれば、コメント欄にも正しい言語が適用されやすくなります。

対処法3:Modern Commentsをオフにする

Microsoft 365などサブスクリプション版のWordで有効になっていることが多い「Modern Comments」。これが原因でコメントだけ英語になる場合もあります。もしModern Commentsをオフにできる環境であれば、一時的に無効化して従来のコメント機能に戻してみましょう。

Modern Commentsをオフにする手順

  1. 「ファイル」メニューから「オプション」を選択します。
  2. 「全般」タブまたは「プレビュー機能」タブに移動し、「Modern Commentsを有効にする」(または類似の文言)のチェックを外します。
  3. Wordを再起動すると、コメント表示が従来のインターフェイスに戻ります。

Modern Commentsによる問題の背景

Modern Commentsは、コメントを付箋のように扱いやすくするなどの利点がありますが、一部の校正言語設定がWindowsの表示言語に依存してしまう仕様があります。つまり、Word内部の言語設定がスウェーデン語でも、Windows自体が英語設定だとコメントのみ英語表記・英語校正のままになることがあるのです。

もしModern Commentsをオフにして問題が解消した場合は、この機能が原因だったと考えられます。しかし、Modern Commentsの機能をどうしても使いたい場合は、次の対処法も視野に入れてみてください。

対処法4:WindowsやOffice全体の言語設定を見直す

Modern Commentsをオフにできない、あるいはオフにしたくない場合には、WindowsやOffice全体の言語設定をスウェーデン語に統一する方法も検討する必要があります。

Windows全体の言語をスウェーデン語に変更する

  1. 「設定」から「時刻と言語」→「言語」を選択し、Windowsの表示言語をスウェーデン語に追加します。
  2. スウェーデン語がインストールされたら、優先順で上位に配置し、システム全体の言語をスウェーデン語に変更します。
  3. PCを再起動すると、Windowsのメニューやダイアログがスウェーデン語になります。

Office言語設定の統一

  1. WordをはじめとするOfficeアプリで「ファイル」→「オプション」→「言語」を開きます。
  2. 「Office表示言語」と「Office作業言語」の両方をスウェーデン語に設定します。
  3. 必要に応じて、Officeの再起動を行います。

このようにWindowsとOffice全体をスウェーデン語に統一することで、Modern Commentsのコメント校正が英語に引きずられる可能性を最小化できます。ただし、他のアプリケーションまでスウェーデン語になるため、日常的に英語インターフェイスを使い慣れている方にはデメリットがあるかもしれません。

問題解決に役立つヒントと補足

ここまで紹介した各対処法を組み合わせても問題が解決しない場合、さらにいくつかの追加アプローチを試してみることが有効です。以下は、より深いトラブルシューティングのためのヒントです。

1. Wordのキャッシュやテンプレートをリセットする

Wordにはグローバルテンプレート(通常はNormal.dotm)や一時ファイルが存在し、これらが破損している場合におかしな挙動を起こすことがあります。Normal.dotmをリネームして新しいテンプレートを生成させると、設定が初期化されるため、言語の問題が改善する可能性があります。ただし、独自にカスタマイズした設定もリセットされるので注意が必要です。

2. コメントの入力方式を別ツールで検証してみる

Wordのコメント自体に問題があるのか、IME(入力方式エディタ)やキーボード設定に問題があるのかを切り分けるために、別のツール(例:Notepadやブラウザなど)でスウェーデン語入力を試し、問題なく入力できるか確かめる方法もあります。もし他のツールでも英語に変換されるようであれば、IMEレベルの設定の可能性があります。

3. Word以外のOfficeアプリで挙動を比較する

同じOfficeスイートのExcelやPowerPointなどでコメント機能を使い、言語設定がどうなっているかを比較するのも有効です。Wordだけで発生する問題なのか、Office全体で同様に発生するのかを切り分けることで対処法を絞り込みやすくなります。

4. 表やコードを活用して設定を一元管理する

設定のチェックリストを下記のような表にまとめておくと、どこをどう変更したか一目で分かりやすくなります。

設定項目場所注意点
既定の編集言語Wordの「オプション」→「言語」本文や脚注などの校正言語
Wordプログラムの表示言語Wordの「オプション」→「言語」リボンやメニューの表記
Comment Textスタイル「スタイルウィンドウ」→「Comment Text」コメント欄の校正言語を左右
Modern Comments「ファイル」→「オプション」→「全般」システム言語に依存する可能性あり
Windows全体の言語「設定」→「時刻と言語」→「言語」PC全体が対象。他アプリへの影響大

このように、設定のそれぞれがどの範囲に影響を及ぼすのかを把握していないと、何を調整すればよいのか混乱しやすいです。

コメント設定変更の際に使えるマクロのサンプル

もし複数のドキュメントに対して同じ変更を適用したい場合、VBAマクロを使うことで効率的に設定を変更できます。以下に簡単なサンプルコードを示します。

Sub SetCommentLanguageToSwedish()
    Dim cmt As Comment
    Dim doc As Document

    Set doc = ActiveDocument

    For Each cmt In doc.Comments
        cmt.Scope.LanguageID = wdSwedish
    Next cmt

    MsgBox "コメントの言語をスウェーデン語に変更しました。"
End Sub

このコードを実行すると、アクティブなドキュメント内の全コメントをスウェーデン語(wdSwedish)に変更します。さらに自動的にスペルチェック機能も働きやすくなるため、コメントの英語化問題を一括で改善できる可能性があります。ただし、Modern Commentsが完全に有効になっている環境では、OS言語設定にも左右されるため、併せて各種設定を確認しておきましょう。

まとめ

Wordのコメント欄だけが英語設定から切り替わらない問題は、一見すると単なる言語設定のミスに思えますが、その実態はスタイル設定やModern Comments機能、さらにはWindows自体の言語設定など、複数の要素が複雑に絡み合っているケースが多いです。

最もシンプルな対処法は、「コメントテキストの言語指定を再設定する」「Comment Textスタイルをスウェーデン語に統一する」「Modern Commentsをオフにして従来のコメント機能を利用する」といった手順ですが、Modern Commentsをオフにできない状況や、Windowsの設定が英語ベースになっている場合は、システム全体をスウェーデン語に合わせる必要も出てきます。

問題解決の鍵は、どのレベル(Wordの既定言語、コメントスタイル、Modern Comments設定、OSの言語設定)で英語が優先されているのかを正確に把握し、必要な部分を的確に変更していくことです。ぜひ本記事を参考に、一つひとつ設定を見直して、Wordのコメント機能を快適に活用できる環境を整えてみてください。

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