Word for Macを日常的に使っていると、どうしても「最近使用したファイル」に知らず知らずのうちにたくさんのドキュメントが蓄積してしまいがちです。過去の履歴を整理して必要な情報だけに絞り込みたいと考えることはありませんか。ここでは、Word for MacのRecents一覧をすっきり管理するための方法を幅広くご紹介します。
Word for Macの最近使用したファイル機能の基本
Word for Macの「最近使用したファイル」一覧は、作業中のドキュメントをすぐに開き直せるようにする便利な仕組みです。最新バージョンのWord for Mac(例:16.81など)では、以前のWord 2011のような「Clear Recents」ボタンが見当たらず、一括削除が難しいと感じる方も少なくありません。特に作業の流れが速い方や、ドキュメントのバージョン管理を頻繁に行う方にとっては、Recents一覧が煩雑になることが多いものです。
実際、私自身も大学時代のレポート作成から仕事の資料作成まで、年々大量のファイルを扱うようになりました。その結果、Recentsが何十も並んでしまい、どれが現在必要なファイルなのか分からなくなった経験があります。一つ一つ手作業で削除するのは面倒ですし、誤って大事なファイルを一覧から消してしまうと探すのも大変です。こうした悩みを解決するための各種方法を詳しく見ていきましょう。
Recents機能が混乱を招く例
例えば、自宅用と会社用の2つのアカウントを切り替えて使っている場合、OneDriveで管理している文書まで入り交じって大量の履歴が表示されることがあります。さらに、校閲機能の「Compare Documents」を頻繁に使う方は、過去に比較したドキュメントの履歴も増え続ける傾向にあります。こうした状況を放置すると、必要なドキュメントを見つけるまでに時間がかかり、生産性が落ちるだけでなく精神的なストレスも大きくなるでしょう。
デフォルトでは一括削除が見当たらない理由
Word for Macの新しいバージョンでは、ユーザーが誤って履歴をまとめて削除してしまうリスクを軽減する目的があるのか、一括削除ボタンが配置されていません。また、開発元のMicrosoftはクラウドとの連携を推奨しており、ローカルファイルに加えてクラウド上のファイルも管理しやすい仕組みを優先していると考えられます。そのため、昔のようにまとめて削除できない仕様になっているのかもしれません。
仕事で異なるクライアントの資料を頻繁に編集していると、膨大な数の履歴があっという間にたまってしまうんですよね。過去の文書を誤って編集してしまったり、逆に本当に必要だった古い文書が埋もれてしまったり…。そのたびに「まとめて消せたらいいのに」と考えていました。
Mac全体の「最近使用した項目」をリセットする方法
WordのRecentsだけを消す機能が見当たらない以上、まずはMac全体の「最近使用した項目」をリセットする手段を使うのがシンプルな方法です。具体的には以下の流れで操作しますが、個別に設定ができない点には注意が必要です。
システム設定(システム環境設定)での操作
1. Wordが起動している場合は終了する。
2. 画面左上のAppleメニューから「システム設定(もしくはシステム環境設定)」を開く。
3. 「一般(General)」にある「最近使用した項目」の数を「なし(0)」に設定する。
4. その後、改めてWordを起動すると、WordのRecents一覧がクリアされる。
このやり方はWord以外のアプリ(Pages、Numbers、Keynoteなど)でも最近使用したファイルの履歴が同時に消える点がメリットでもありデメリットでもあります。複数のアプリで履歴を利用していない方にとっては手軽ですが、他アプリでの履歴も大事にしているなら少し注意が必要です。
「最近使用した項目」を再設定する必要性
Mac全体を0に設定した後は、必要に応じて再び通常の数字に戻しておかないと、ほかのアプリでも新しい履歴が一切表示されないままとなります。例えばPagesやKeynoteなどで素早く前回のファイルを開きたい場合には不便になるので、Wordの履歴を消し終わったら再設定をおすすめします。
設定ファイルの削除によるリセット方法
Word for Macの内部で「最近使用したファイル」を管理している設定ファイルを直接削除する方法もあります。バージョンによってはうまくいかない場合もあるため、自己責任で行う必要がある点は覚えておきましょう。
com.microsoft.Word.securebookmarks.plistの削除
1. まずはWordを終了させる。
2. Finderで「⌘ + Shift + G」を押し、「~/Library/Containers」を開く。
3. Microsoft Word → Data → Library → Preferences フォルダ内の「com.microsoft.Word.securebookmarks.plist」をゴミ箱に入れる。
4. Macを再起動、またはWordを再起動する。
これで、Wordの「最近使用したファイル」に関連するローカル情報がクリアされる可能性があります。ただし、バージョンや環境によっては期待した効果が得られないこともあります。また、クラウドとの連携をしている場合は必ずしも履歴がすべて消えるわけではないので注意が必要です。
私の知り合いは、この方法でうまくいかなかったケースがありました。おそらくクラウドとの同期設定も影響していたのだと思います。削除したはずのファイルがしばらくしてまたRecentsに出てきたと話していましたね。
クラウド同期とローカル設定の混在
Word for Macでは、Microsoft 365(旧称Office 365)のアカウントにサインインしている場合、クラウド上の履歴データとローカルの履歴データが混在することがあります。設定ファイルを削除してもクラウド側で記録されている情報までは消えないケースもあるので、「安全に消したい」という観点で言えばアカウントのサインアウトやライセンス情報のリセットと組み合わせることが効果的です。
Officeアカウントからのサインアウトと再ログイン
Microsoftアカウントを使ってWordを利用している場合は、サインアウトと再ログインをすることでOneDriveやSharePointに関連した「最近使用したファイル」リストをリセットできることがあります。これはクラウド上に記録されている履歴情報とのリンクを一度切断し、再度アカウントを紐付けし直すというイメージです。
サインアウトから再ログインまでの流れ
1. Wordのメニューから「アカウント」設定を開き、現在ログインしているMicrosoftアカウントをサインアウトする。
2. 完全にWordを終了し、一度Macを再起動する(念のため)。
3. 再度Wordを開き、同じアカウントでサインインし直す。
これによって、OneDriveやSharePointのファイル一覧が再読み込みされますが、過去の「最近使用したファイル」履歴がクリアされることが多いです。ただし、ローカルに保存されているファイルの履歴までは消えない場合があるため、完全にすべての履歴を消したいときは別のアプローチも検討しましょう。
Officeライセンス削除ツール(License Removal Tool)の活用
Officeのライセンス関連ファイルを削除して再度認証し直すという、やや強力な手段もあります。Microsoft公式が提供している「How to remove Office license files on a Mac」というドキュメントにあるツールを使うと、Wordだけでなく他のOfficeアプリの設定も含めて初期化に近い状態に戻すことができる場合があります。
ライセンス削除ツールの注意点
ライセンス削除ツールを使うと、Officeスイート全体のライセンス情報やアプリ内の設定が初期化されることがあります。そのため、WordだけでなくExcel、PowerPoint、Outlookなどでも再ログインや初期設定が必要になる可能性があります。作業前にはすべてのアプリを閉じておくとともに、アカウント情報やライセンスキーを確認しておくことをおすすめします。
私が一度これを試したときは、すべてのOfficeアプリの再設定が必要になり、かなり手間がかかった覚えがあります。ただ、結果として「Compare Documents」を含めたあらゆる履歴がきれいに消えたのはスッキリしましたね。
ライセンス削除ツールで期待できる効果
WordだけでなくOfficeスイート全般の履歴や設定がリセットされるため、根本的に全環境を初期状態に戻したい場合にはとても有効です。ただし、再インストールに近い感覚で考えたほうが良いかもしれません。必要なテンプレートデータや自動保存機能の設定なども消える可能性があるため、大事なカスタマイズがある方には向かないかもしれません。
「Compare Documents」ダイアログの履歴問題
Word for Macの「校閲」→「変更履歴」→「Compare Documents」ダイアログをよく使う方は、比較対象の履歴が最大26件まで自動的に保存されるという仕様に気づくと思います。この一覧が増えすぎると、似たようなファイル名がたくさん並び、どれを比較したらいいのか分かりにくくなります。Word 2011にはまとめて消去するオプションがあったのに、現行バージョンではそのような手段が見つからないという声もよく聞きます。
実際の仕様
Compare Documentsの履歴は、新しいファイルを比較すると古い履歴が上書きされる仕組みになっています。つまり、ほとんど使用しないファイル名も順番を圧迫し続けるわけではなく、一定数を超えたら自動的に最古のものが消えていきます。一括でゼロに戻したいという場合は、先述のMac全体リセットやライセンス削除など強硬手段を取るしかない場合が多いです。
Compare履歴を消す現実的な対策
Compare Documentsの履歴だけをピンポイントで消す公式な方法は、現在のWord for Macには提供されていません。どうしても気になる場合は、前述したMac全体の「最近使用した項目」を0にしてみる、もしくはWordの設定ファイルを削除・ライセンスリセットを行うなどを試すことになります。どれも他の履歴や設定まで消える恐れがあるので、最終手段と考えておくほうが無難かもしれません。
SQLiteでレジストリファイルを直接操作する方法
一部の情報サイトなどでは、ターミナルでsqlite3コマンドを使ってWordの内部データベースを直接編集し、履歴を削除する手法が紹介されています。これはWindowsのレジストリエディタ操作に近い感覚ですが、Macの場合はアプリごとにデータをどう管理しているかが異なることもあり、操作ミスが起きるとWordが起動しなくなるリスクもはらんでいます。
sqlite3コマンドが使えない可能性
一部のmacOS環境では標準でsqlite3コマンドが入っていなかったり、システムのバージョンやセキュリティ設定によって「command not found」と表示されてしまう場合もあります。こうした不具合への対処にはUnix系の知識やmacOSの深い理解が求められ、トラブルが起きてもMicrosoftのサポートでは対応範囲外であることが多いです。
私も好奇心でSQLiteを使った削除を試したことがありますが、一度Wordの起動時にエラーが出てしまい、結局再インストールするはめになったことがあります。かなりリスキーなので、よほど慣れていない限りおすすめしません。
公式手順でないというリスク
これまで紹介してきた方法の中でもライセンス削除ツールなどはまだ公式サイトで案内されていますが、SQLiteを直接触る方法は完全に非推奨です。Wordの挙動が不安定になり、文章作成に支障をきたす可能性があるため、本当にどうしようもない時の最後の手段として考えるか、避けるほうが無難でしょう。
表で比較する削除・リセット方法の特徴
方法 | 対象 | 手間 | 副作用 |
---|---|---|---|
Mac全体の「最近使用した項目」を0にする | Mac全アプリのRecents | 比較的簡単 | すべてのアプリの履歴が消える |
com.microsoft.Word.securebookmarks.plist削除 | Wordのローカル履歴 | 中程度 | 環境次第で効果が不安定 |
Officeアカウントサインアウト→再ログイン | クラウド上の履歴 | 中程度 | ローカル履歴は残る可能性 |
ライセンス削除ツール | Office全体の設定・ライセンス | やや大変 | 再設定が必要。全アプリに影響 |
SQLiteで直接編集 | Wordの内部DB | 高度 | 非公式でリスク大 |
まとめと定期的な履歴クリアの考え方
Word for Macの「最近使用したファイル」を一括で削除したいという要望は多いものの、公式にはまとめて消すためのボタンやコマンドが現行バージョンでは提供されていません。一時的にMac全体の「最近使用した項目」を0にしてリセットする方法は最も手軽ですが、ほかのアプリの履歴まで消えるリスクがあります。より個別かつ根本的に解決したい場合は設定ファイル削除やライセンス削除ツールの使用など、手間をかけて対処するしかないのが現状です。
Compare Documentsの履歴についても、最大26件という制限があるため、放っておいてもある程度は古い履歴が消えます。ただし、一括削除してクリーンな状態から作業を始めたい場合は、ほかの履歴と一緒にリセットされることを覚悟しなくてはなりません。クラウド連携している場合は、サインアウトと再ログインを併用することでOneDriveやSharePoint側の履歴も整理しやすくなります。
最終的には、自分の作業スタイルや重要度に応じて適切な方法を選ぶのがポイントです。万一、Mac全体の履歴が消えてしまっても問題ないなら、システム設定でリセットするのが手っ取り早いでしょう。逆に、他アプリの履歴や設定は大事にしていてWordだけ消したいという方は、plistファイルやライセンス削除ツールを検討する必要が出てきます。
WordのバージョンやOSのアップデートにより挙動が変わる可能性もあるため、今後も定期的に公式ドキュメントやアップデート情報をチェックし、より簡単な方法が見つかれば積極的に試してみるのがおすすめです。日々の作業効率を高めるうえで、Recents一覧がスッキリしているかどうかは意外と大きな影響があるものです。個人的には月に1度程度、不要な履歴を整理する習慣をつけるだけでも、Wordを開いたときのストレスがぐっと減ったと感じています。
執筆者のコメント
数年前、私はWord for Macの最新版に切り替えたとき、昔と同じように簡単に最近使用したファイルをゼロにできると思っていました。いざ使い始めると「まとめて削除」のボタンが見当たらず、最初はかなり戸惑いました。でも、いろいろ調べるうちにシステム設定を活用すればMac全体の履歴をクリアできることや、Microsoftアカウントのサインアウトやライセンス削除など、実は様々な手段があると分かりました。作業効率やデータ整理の点でまだまだ改善の余地はありそうですが、トラブルなくスムーズに履歴を整理して、すっきりした状態でWordを使いこなせるようになると気持ちいいですよ。
もし、この記事をきっかけにWordのRecents整理に挑戦してみようと思われたら、まずはシステム設定で一時的に「最近使用した項目」を0に設定してみるのも良いかもしれません。次に大きなメンテナンスが必要な場合は、ライセンス削除ツールや設定ファイルの削除など、段階的に試してみて、自分の作業環境と合った方法を探してみてください。
今後もWord for Macのアップデートによって新しい機能や設定が追加される可能性は大いにあります。クラウドとの連携やAI支援の強化など、便利な方向に進んでいる一方で、履歴管理に関してはまだ「もう一歩」と感じる部分も多いでしょう。ユーザーの声が多ければ、次のバージョンでRecentsの一括削除機能が復活するかもしれません。引き続き公式情報をチェックしながら、快適なWordライフを満喫してみてください。
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