Word for Macを使って文章を作成していると、ダブルスペースを入力しただけで勝手にピリオドが挿入されてしまう……。初めて遭遇すると戸惑いますよね。実はこれはWordの機能ではなく、macOSの標準設定によるもの。この記事では、その原因と具体的な解決策をじっくり解説します。日々の文書作成がスムーズになるよう、ぜひ参考にしてみてください。
Word for Macでダブルスペース時にピリオドが入力される原因
Word for Macでダブルスペースを入力するたびに「.」が自動的に挿入される現象は、Word独自のオートコレクト機能ではなく、macOSのキーボード設定に由来するものです。Windows版のWordを長年使ってきた方がMacに乗り換えると、この動作がとても不思議に感じられるはず。Macが標準で持っている「ダブルスペースでピリオドを追加する」という入力支援機能が関係しています。
多くのユーザーにとっては、英文入力時に単語の区切りとしてスペースを2つ連続で打った際、ピリオドとスペースを自動で入れてくれる機能は便利な場合もあります。しかし日本語の文章をメインで作成するユーザーにとっては不要どころか邪魔に感じることも多いです。Wordの設定画面をいくら探しても該当のチェックボックスが見当たらず、解決法がわからない……というケースがよくあるのは、まさにmacOS本体の設定に原因があるからです。
macOS標準の入力支援機能とは
macOSには、ユーザーがテキストをスムーズかつ効率的に入力できるよう、さまざまな支援機能が標準搭載されています。たとえば、自動的に綴りを修正するスペルチェック機能や、入力補完機能、スマート引用符(“ ”)の自動挿入など、その種類は多岐にわたります。これらは英語だけでなく、日本語入力時にも影響を及ぼすことがあります。
「ダブルスペースでピリオド」が有効になっている
問題の核心はここにあります。macOSのキーボード設定の中には「ダブルスペースでピリオドを挿入する」という項目が存在し、これがオンになっていると、Wordを含むあらゆるアプリケーションでダブルスペースを入力すると自動的にピリオドが入ります。この設定が意図しない動作を引き起こしているわけです。
一見すると、こういった自動補助は英語の文章を打つ際に役立つこともあるでしょう。英語圏の人々の間では、単語の最後にスペースを2つ続けるとピリオドや文末の記号を補う文化が一部存在するからです。しかし、日本語の文章では句読点の使い方や文末の処理が異なるため、余計なピリオドに翻弄されてしまいます。
実際の設定変更方法(macOS Ventura / Sonomaの場合)
macOS VenturaやSonomaといった比較的新しいバージョンでは、システム設定アプリの構成や画面表示が以前のmacOSとは変わっています。以下に、実際の手順を詳しくまとめます。
- まず、画面左上のアップルメニュー「」をクリックし、「システム設定」を開きます。
- 左側のメニューから「キーボード」を選択します。
- 「入力ソース」の項目にある「編集」ボタン、または類似のボタンをクリックします。バージョンによっては表記が多少異なる場合があります。
- すると、入力に関連する各種オプションが表示されるので、「ダブルスペースでピリオドを追加」あるいはそれに準じた項目をオフにします。
この手順を踏んで設定を変更すれば、ダブルスペース入力時に自動的にピリオドが挿入されることはなくなります。設定をオフにするだけなので一度行えば継続的に有効で、再起動やログインし直しは必要ない場合がほとんどです。
それ以前のmacOSの場合の設定手順
macOS MojaveやCatalinaなど、やや古いバージョンを使っている場合も操作は大きく変わりません。ただし、表記が若干違う場合があるので注意が必要です。
- アップルメニュー「」から「システム環境設定」を開きます。
- 「キーボード」を選択し、「入力ソース」または「入力」タブを確認します。
- 「ダブルスペースでピリオドを追加」などと表記された項目があるので、これをオフにします。
もし、バージョンによっては「入力ソース」の代わりに「テキスト」タブに同様の項目が含まれている場合があります。とにかく「ダブルスペース」や「ピリオド」というキーワードを含む項目を探してみてください。
ターミナルを使った設定の確認・変更方法
GUIから設定を探すのが面倒な方や、複数のMacに一斉に設定を適用したい場合は、ターミナルを使ってコマンドで制御する方法もあります。以下のコマンドを実行すると、システム全体でのピリオド挿入設定がどうなっているかを確認できます。
defaults read -g NSAutomaticPeriodSubstitutionEnabled
ここで 1
や true
と表示されれば有効、0
や false
と表示されれば無効という状態を示しています。もし有効になっている場合は、以下のコマンドを入力して無効化することも可能です。
defaults write -g NSAutomaticPeriodSubstitutionEnabled -bool false
設定を適用するために、アプリを再起動するか、場合によってはログアウト・ログインし直す必要があるかもしれません。これらのコマンドを使えば、複数台のMacを管理しているときなどにも迅速に設定変更を適用できます。
Word for Macの「オートコレクト」設定はどうなっている?
macOSの設定に加えて、Word for Mac独自の設定画面にもオートコレクト(校正機能)が用意されています。ここには、スペルチェックや文法チェックに関する項目、いわゆる自動変換機能などが含まれていますが、今回のように「ダブルスペースでピリオドが挿入される」現象はWordの機能ではないため、Word側のオートコレクト設定をいくら探しても対処項目は見つかりません。
ただし、Wordでの自動修正をより自分好みにカスタマイズしたい場合は、次の手順で確認してみてください。
- Wordのメニューから「Word」→「環境設定」を開く。
- 「校正」や「オートコレクト」のタブを選択する。
- 自動的に修正される単語や、記号の扱いなどを確認・変更する。
こうした設定を見直すことで、Wordそのものの入力に関する違和感を最小限にできます。ただし、ダブルスペースによるピリオド挿入を止める場合は、やはりmacOS側の設定が要となるので忘れないようにしましょう。
その他の自動入力機能のチェックリスト
macOSのキーボード環境設定には、ほかにもさまざまな自動補助や変換オプションが存在します。無自覚のうちに有効になっていると、Wordだけでなくブラウザやメールアプリでも思わぬ挙動をしてしまうことがあります。以下の表に、代表的な自動機能とその役割をまとめました。
機能名 | 役割・内容 |
---|---|
ダブルスペースでピリオドを追加 | ダブルスペース入力時にピリオド(.)+半角スペースを自動で挿入する(英語入力向け) |
スマート引用符とスマートダッシュ | ” ” や – を入力したときに、自動的に“ ” や — に置き換える |
スペルチェック | 入力した単語をリアルタイムでチェックし、誤字やタイプミスを指摘する |
自動大文字化 | 文の先頭や「.」の後などで、自動的に単語の最初を大文字に変換する |
短縮形(アポストロフィ)の自動補完 | 英語の文章で “it’s” や “don’t” などの省略形を入力するとき、アポストロフィの向きを整える |
キーボード切り替えの自動切り替え | 入力内容によって、日本語/英語などのキーボード入力ソースを自動で切り替える場合がある |
こうした機能は英文を中心に記述する場合や、デザイン要素を重視する文章(例:エディトリアルデザインでダッシュや引用符をきれいに表示したいなど)では便利ですが、日本語文書中心の方にとっては大きなお世話になりがちです。もし普段の作業で意図しない変換や挿入が頻発する場合は、一度システム設定のキーボード周りを見直すと、ストレスが減ることがあります。
Word for MacとWindows版Wordの違いについて
Word for Macを使い始めたばかりのユーザーの中には、「Windows版のWordではそんな現象は起きなかったのに……」と戸惑う方も少なくありません。MacとWindowsではOSそのものが違うため、同じOfficeソフトでも挙動が微妙に異なるのはある意味当然です。加えて、Officeソフトの各機能に関しても、Mac版とWindows版でUIの配置や設定できる項目が違うケースがあります。
- ショートカットキー
Mac版とWindows版ではキーボードのレイアウトが異なり、CommandキーやOptionキーなどキーの配置や呼び名が独特です。同じ操作が必要でもショートカットの組み合わせが違ったり、存在しないショートカットもあったりします。 - フォントの扱い
Windowsで使えるフォントがMacでは利用できなかったり、逆にMac固有のフォントがWindowsに存在しないケースもあります。そのため、文書のレイアウトが微妙に崩れる可能性があります。 - Officeアプリ間の連携
ExcelやPowerPointとの連携機能で、一部機能が制限されている場合があります。たとえばVisual Basic for Applications (VBA) の実行環境において、Mac版では対応していない要素が残っていることもあります。
こうした差異を理解して、Macの特性に合わせたWordの使い方を身につけると、より効率的に文書作成ができるようになるでしょう。
トラブルシューティング:設定をオフにしても直らない場合
もしmacOS側で「ダブルスペースでピリオドを追加」をオフにしても、依然としてWordでピリオドが自動入力される場合は、いくつかの可能性を考えられます。
- 他の日本語入力システムを使っている
macOS標準の日本語入力ではなく、Google日本語入力やATOKなどを利用している場合、それぞれに独自の設定があるかもしれません。各入力システムの設定画面を開き、同様の自動補完機能がオフになっているか確認してみてください。 - Wordの自動修正で別の設定が有効になっている
オートコレクト機能の中に、特定のダブルスペース入力をピリオドに置き換えるようなルールが手動で追加されている可能性は低いですが、念のためWordのオートコレクト設定を再度確認してみましょう。 - 再起動していない
macOSの一部の設定は再起動やログアウト・ログインを行わないと完全に反映されないことがあります。設定を変更してから再度アプリを起動し直してみるのも手です。 - システム環境に不具合がある
OSやWordが最新バージョンに更新されていない場合や、何らかのバグがある場合も考えられます。macOSとOfficeのアップデートを行い、それでも直らない場合はMicrosoftのサポートやAppleサポートに問い合わせてみるのも一つの手段です。
便利な活用法:状況に応じて設定を切り替える
実は、この「ダブルスペースでピリオドを追加」機能、英語のレポートやメール文面を書くときには非常に有用です。句読点やスペースが整然としてスピーディに入力できるからです。普段はオフにしておいて、英文を集中的に書く作業があるときだけオンにするといった使い分けをするのも一つのアイデアでしょう。
ビジネスシーンでは、マルチリンガルで文章を作成しなければならない場面が増えています。日本語だけでなく英語の報告書やメールを作成する方は多いはずです。そんなときは、macOSの「キーボード」にある「入力ソース」で、言語ごとに最適化した設定を用意し、すばやく切り替えることで効率を上げられます。
Wordでの表や図の挿入時に誤動作が起きたら
また、Wordで表や図の挿入を多用する場合にも、ピリオドの挿入に悩まされることがあるかもしれません。たとえば、セルに半角スペースを入れて見栄えを調整しようとしたときに、意図せずピリオドが挿入されてしまうと、作りたい表のレイアウトが崩れる原因になります。
こうした場面でも、前述のとおりmacOSの設定をオフにしておけば問題は解決します。もし定期的に英語文書と日本語文書を切り替えて作業している場合は、Wordのテンプレートを複数用意しておくのもよいでしょう。英文向けテンプレートではmacOSの設定も活かす、あるいはWord独自のスタイルを使ってレイアウトを整えるなど、運用の工夫で快適さが変わってきます。
表を使ったダブルスペースの有用性
日本語環境下ではダブルスペースはあまり一般的ではありませんが、単語間のスペース調整を微妙に行う際には意図的に使うことがあります。そんなときにピリオドが挿入されると見た目が台無しです。
逆に、英語の書式では単語間を二重スペースで分かりやすく区切る手法が取られることがあります。そこにシステムが自動でピリオドを挿入してくれると効率が上がるケースもあるため、利用環境や目的に応じた設定の切り替えが非常に大事です。
まとめ:Macのキーボード設定を見直してストレスフリーに
以上のように、Word for Macでダブルスペースを入力するたびにピリオドが挿入されてしまう理由は、主にmacOSの標準機能によるものだとわかりました。Wordの設定ではなく、macOSの「ダブルスペースでピリオドを追加」をオフにすることで、多くの場合はすぐに解決できるはずです。
日本語中心のユーザーなら、この設定はオフにしておいたほうが作業効率が高まりますし、英文を作成する機会が多い方はオンにしておいたほうがスムーズかもしれません。自分の用途に合わせて柔軟に切り替えることで、ストレスを最小限に抑えられるでしょう。
Mac版とWindows版のWordは一見同じようでいて微妙に仕様が異なります。今回のようにOS依存の挙動に惑わされないよう、macOS側にもさまざまな便利機能があることを理解しておくのがポイントです。日常的に文書を作成する方は、ぜひmacOSの「キーボード」設定やWordのオートコレクト機能を一度じっくり確認してみてください。
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