Word for Macのショートカットを再設定して上付き・下付き文字を自由自在に使いこなす方法

Mac版のWordを日々の作業で使っていると、「あれ、以前のショートカットと動作が違う…?」という戸惑いを覚えたことはありませんか。特に化学式や数式を扱うときに欠かせない上付き文字・下付き文字など、長年使い慣れた操作が急に変わると作業効率に大きく影響します。今回はそんな悩みを解決するために、Word for Macのキーボードショートカットを再設定する方法を丁寧に解説します。慣れ親しんだ操作を取り戻し、生産性を高めるヒントになれば幸いです。

Word for Macのキーボードショートカット変更の背景

Mac向けのWordは、Windows版と違いmacOSのガイドラインを反映した独自の仕様やショートカットを取り入れていることがあります。さらに、アップデートの頻度も比較的高いため、ある時期を境にショートカットの挙動が微妙に変わるという経験をしたユーザーも少なくありません。
特に上付き文字・下付き文字のショートカットは、化学記号や数式を日常的に入力する人にとって必須です。以前は「Command+プラス(+)」「Command+マイナス(-)」だったのに、今は「Shift+Command+イコール(=)」「Shift+Command+マイナス(-)」になっているなどの変更に戸惑った人も多いでしょう。

なぜショートカットが変わったのか

これは、MicrosoftがmacOSの標準的なキーバインドやガイドラインに合わせてWordのショートカットを調整しているためと考えられます。たとえば、macOSで「Command+プラス」や「Command+マイナス」がズームイン・ズームアウトに割り当てられていることが多く、Word独自のショートカットと競合する可能性があるのです。そのため、アップデートのタイミングで「Shift+Command+イコール(=)」や「Shift+Command+マイナス(-)」へ移行したのではないかと推測されます。
しかし、人によっては「これまで慣れ親しんできたショートカットを手放したくない」という声もあります。そんな方のために、Word for Macが用意している「Customize Keyboard(キーボードのユーザー設定)」を使った再設定方法を中心に、解決策を紹介していきます。

Word for Macのキーボードショートカスタマイズ機能を理解しよう

Word for Macでは、Windows版の「オプション」画面に相当するいくつかの設定画面があります。その一つが「Customize Keyboard」で、ここではWord内のさまざまな機能に対して自由にショートカットを割り当てられます。自分の使いやすいキー操作にカスタマイズできるのは非常に便利です。

Customize Keyboardへのアクセス方法

通常、Word for Macの画面上部にあるメニューバーから「Tools(ツール)」を選ぶと、一番下の方に「Customize Keyboard…」という項目が表示されます。
もし見つからない場合は、以下のような方法を試してみてください。

  • メニューバーの「Word」→「Preferences…」
    表示されたウィンドウに「Keyboard(キーボード)」または「Customize Keyboard」といったボタンが用意されていることがあります。
  • リボンの「Word」タブ(または「ホーム」タブ)の右上にある検索ボックスで「keyboard」と入力する
    Word for Macには検索ボックスがあり、そこから機能を探せる場合があります。「Keyboard」で検索すると関連項目が出てくる可能性があります。

メニューバーやリボンが見つからない場合

Wordのバージョンや表示モードによっては、リボンやメニューバーが非表示になっていることもあります。その場合は、ウィンドウ右上の「…」や「^」などのアイコンを探してリボンを展開する、あるいはmacOSの画面上部にカーソルを合わせてメニューバーを表示させるなどの工夫が必要です。

上付き文字・下付き文字のショートカットを再設定する手順

ここからは、実際にWord for Macで上付き文字・下付き文字を従来のショートカットへ戻す際の具体的な手順を解説します。

1. Customize Keyboard画面を開く

  1. Wordを起動し、対象の文書を開きます。
  2. 画面上部のメニューバーから「Tools(ツール)」→「Customize Keyboard…」を選択します。
  3. 新しいウィンドウが開き、Wordに存在する多数の機能と、それに割り当てられたショートカットキーの一覧が表示されます。

2. コマンドの一覧から「Subscript」や「Superscript」を探す

「Customize Keyboard」ダイアログには、コマンドがカテゴリー別に並んでいることが多いです。たとえば「Format」や「Font」などのカテゴリーを探してみてください。その中に「Subscript(下付き文字)」「Superscript(上付き文字)」が存在します。
これらを探し出したら、それぞれのショートカットを設定していきます。

実際の画面イメージ

下記のようなイメージで表示されることが多いです(実際のUIはバージョンによって異なる場合があります)。

カテゴリーコマンド現在のキー
FormatSuperscriptShift+Cmd+=
FormatSubscriptShift+Cmd+-

3. ショートカットを割り当て・解除する

  1. 「Subscript」や「Superscript」を選んだら、その下に「Press new shortcut key:」という入力欄があるはずです。そこに「Command+プラス(+)」や「Command+マイナス(-)」など、お好みのショートカットを実際にキーボードで押しながら入力します。
  2. もし既にそのショートカットが別のコマンドに割り当てられている場合は警告メッセージが出ることがあります。既存の割り当てを上書きするかどうか確認の上、必要に応じて設定を変更しましょう。
  3. 最後に「Assign(割り当て)」ボタンをクリックすることで、設定が確定されます。
  4. 作業が終わったら「OK」を押して「Customize Keyboard」画面を閉じてください。

ショートカット競合を回避する工夫

macOSのシステム全体で「Command+プラス」や「Command+マイナス」をズーム操作として使っている場合、Wordで独自にショートカットを上書きしてもシステムが優先される可能性があります。この競合を回避するには、次のいずれかの方法を検討してください。

  • ズーム操作を別のショートカットに切り替える
    「システム設定(ショートカット)」からズーム操作のショートカットを変更する。
  • Wordで別のキーに割り当てる
    「Command+Shift+プラス」や「Command+Option+プラス」にするなど、システムと重ならないショートカットを検討する。
  • 外部ツールでキーバインドを管理する
    「Karabiner-Elements」などのキーカスタマイズツールで、特定のアプリケーションでのみキー操作を変える設定を行う。

化学式や数式入力をより快適にする工夫

上付き文字・下付き文字は化学式や数式作成時に頻繁に使いますが、Wordにはそれ以外にも便利な機能が多数存在します。ここでは、作業をさらにスムーズにするためのポイントを紹介します。

数式エディタの活用

Wordには数式エディタが搭載されており、リボンの「挿入(Insert)」→「数式(Equation)」から起動できます。数式エディタを使用すると、上付き文字や下付き文字だけでなく、さまざまな数式記号を美しく表示できる利点があります。ショートカット一つで上下付き文字を切り替えるより、数式全体を統一感あるフォーマットで仕上げたい場合に便利です。

オートコレクト機能のカスタマイズ

Wordには入力文字列を自動的に特定の書式や記号に変換するオートコレクト機能があります。たとえば「->」を「→」に変換したり、「(c)」を「©」に変換したりするのと同様に、下付き・上付き文字も設定次第では自動変換の対象にできます。
よく使う化学式や単位などはオートコレクトを活用することで、ショートカット操作すら省けるかもしれません。

Word Online(ブラウザ版)とデスクトップ版の違い

先述の方法はあくまでMac向けのデスクトップ版Wordを前提としています。Word Online(ブラウザ版)では、残念ながらキーボードショートカットをカスタマイズする機能がほぼ存在しません。もしショートカットカスタマイズを重視する場合は、Microsoft 365(旧Office 365)のデスクトップ版Wordをインストールして使用するのが望ましいです。

もし再設定がうまくいかない場合

「Customize Keyboard」で設定しても反映されない、あるいはショートカットが機能しないといった場合は、以下の点を確認してみましょう。

1. macOSのキーボードショートカット設定を確認

  • 「システム設定(System Settings)」→「キーボード(Keyboard)」→「ショートカット(Shortcuts)」を開き、ズーム機能やその他の機能に「Command+プラス」や「Command+マイナス」が割り当てられていないか確かめる。
  • もし割り当てられていた場合、それを解除するか別のキーに変更する必要がある。

2. Wordのバージョンをチェック

  • 古いバージョンのWord for Macを使っている場合、最新バージョンとカスタマイズ画面の仕様が異なることがあります。
  • Microsoft 365サブスクリプションなら、なるべく最新のバージョンへアップデートすることで機能面が改善されるかもしれません。

3. 一度デフォルト設定に戻す

  • 「Customize Keyboard」の画面には、ショートカット設定をデフォルトに戻す機能が搭載されていることがあります。再度最初から設定し直すと、何かしらの競合が解消されるケースもあるでしょう。

応用編:その他ショートカットの活用術

上付き・下付き文字以外にも、Word for Macにはさまざまなショートカットがあります。ここでは頻繁に使用される、いくつかの例を挙げてみます。

太字・斜体・下線

標準では以下のように設定されています。

機能ショートカット
太字Command + B
斜体Command + I
下線Command + U

これらを好きなキーに変更することで、独自の入力スタイルを確立できます。頻繁に使う人ほど自分に合ったカスタマイズをすると快適です。

スタイルの適用

見出しスタイルやタイトルスタイルをショートカット化しておくと、文章を書きながら瞬時に書式を整えられます。たとえば、「Heading 1」「Heading 2」を特定のショートカットに割り当てると、マウス操作なしで編集可能になるので効率的です。

トラブルシューティングとサポート

カスタマイズ後も何かトラブルがあったり、独自のショートカットがうまく動作しない場合は、以下のサポート情報を活用すると良いでしょう。

Microsoftサポートページ

Microsoft公式のWord for Macサポートページでは、最新のアップデート情報や既知の不具合リストが掲載されています。ショートカット関連の不具合があれば、すでに解決策が公開されているかもしれません。

コミュニティフォーラムの活用

ユーザー同士で情報交換が活発に行われているMicrosoft AnswersやMac関連フォーラムなどを活用するのも手です。今回紹介した上付き・下付き文字以外にも、独自のニーズに合ったショートカットが見つかるかもしれません。

さいごに

Word for Macのキーボードショートカットは、バージョンアップやmacOSとの競合によって変わることがあります。特に上付き文字・下付き文字のように、専門的な分野で頻繁に使われる機能を効率よく入力したい場合、自分好みに再設定することで作業スピードが大幅に向上します。
「Customize Keyboard(キーボードのユーザー設定)」画面を活用すれば、ほぼすべての機能にショートカットを割り当てることが可能です。慣れ親しんだ操作を取り戻すだけでなく、新たな便利ショートカットを探してみるのもおすすめです。
ぜひ今回の手順を参考に、Word for Macをもっと快適に活用してみてください。あなたの文章作成が、よりスピーディでストレスのないものになることを願っています。

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