この記事では、データベース管理において欠かせない「トランザクション制御手法」について、SQLを中心に解説します。特にデータの整合性とセキュリティを保つための各種テクニックとその実装方法について詳しく見ていきます。
目次
トランザクションとは
トランザクションとは、データベースにおいて一連の操作をまとめたものを指します。この一連の操作は、全てが成功するか、全てが失敗するかのいずれかであり、途中で中断されることはありません。
ACID特性
データベースのトランザクションは、ACID（Atomicity、Consistency、Isolation、Durability）という4つの特性を持ちます。
| 特性 | 説明 |
|---|---|
| Atomicity（原子性） | 一連の操作は一つの単位として扱われ、全て成功するか全て失敗するかのどちらかです。 |
| Consistency（整合性） | トランザクションが完了した後もデータベースは整合した状態を保ちます。 |
| Isolation（独立性） | 複数のトランザクションが同時に行われても、それぞれのトランザクションは独立して処理されます。 |
| Durability（耐久性） | トランザクションが成功した場合、その結果は永続的に保存されます。 |
基本的なトランザクション制御コマンド
SQLにおいて、トランザクションを制御するための基本的なコマンドは以下のようになります。
SQLのトランザクションコマンド
| コマンド | 説明 |
|---|---|
| BEGIN TRANSACTION | トランザクションを開始します。 |
| COMMIT | トランザクションを確定します。 |
| ROLLBACK | トランザクションを取り消します。 |
| SAVEPOINT | トランザクションの中間地点を保存します。 |
| ROLLBACK TO | 保存した中間地点までトランザクションを戻します。 |
コマンドの使用例
BEGIN TRANSACTION;
UPDATE accounts SET balance = balance - 100 WHERE id = 1;
UPDATE accounts SET balance = balance + 100 WHERE id = 2;
COMMIT;
トランザクションの隔離レベル
トランザクションの隔離レベルは、複数のトランザクションが同時に行われる際の相互作用を制御するための設定です。
| 隔離レベル | 説明 |
|---|---|
| READ UNCOMMITTED | 未確定の変更を読み取ることができます。 |
| READ COMMITTED | 確定した変更のみを読み取ることができます。 |
| REPEATABLE READ | トランザクション開始時のデータ状態を維持します。 |
| SERIALIZABLE | トランザクションは順番に実行され、相互作用を防ぎます。 |
トランザクションとセキュリティ
データの整合性を保つためだけでなく、トランザクションはデータベースのセキュリティにも寄与します。例えば、不正な変更やデータ漏洩を防ぐために、トランザクションログを用いて監査を行うことが可能です。
セキュリティ対策の一例
BEGIN TRANSACTION;
-- 機密データの更新
UPDATE secrets SET value = 'new_value' WHERE key = 'some_key';
-- 監査ログに記録
INSERT INTO audit_logs(action, table_name, record_id) VALUES ('UPDATE', 'secrets', 1);
COMMIT;
まとめ
トランザクション制御はデータの整合性とセキュリティを保つために非常に重要です。SQLにはこのための豊富なコマンドと設
定があり、適切に使用することで多くの問題を未然に防ぐことができます。
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