この記事では、SQLのウィンドウ関数を活用して時系列データの分析を行う手法について詳しく解説します。ウィンドウ関数は集計処理やランキング付け、そして時系列データの分析に非常に有用であり、データ分析を行う上での必須スキルともいえます。
目次
ウィンドウ関数とは
ウィンドウ関数は、SQLで用いられる特殊な関数の一つで、各行に対して集計を行いながらデータを返すことができます。通常の集計関数(SUM、AVGなど)とは異なり、ウィンドウ関数を用いると集計結果を維持したままさまざまな計算が行えます。
基本的な使い方
以下はウィンドウ関数の基本的な使い方です。
SELECT
id,
value,
SUM(value) OVER (ORDER BY id) AS running_total
FROM
table_name;
主なウィンドウ関数
- ROW_NUMBER()
- RANK()
- DENSE_RANK()
- SUM()
- AVG()
- MIN()
- MAX()
時系列データとウィンドウ関数
時系列データとは、時間の経過とともに記録されたデータのことを指します。ウィンドウ関数は、このような時系列データを効率良く分析する際に特に有用です。
ローリング平均の計算
ウィンドウ関数を使用して、過去N期間の平均を計算する例を以下に示します。
SELECT
date,
value,
AVG(value) OVER (ORDER BY date ROWS BETWEEN 6 PRECEDING AND CURRENT ROW) AS rolling_avg
FROM
time_series_table;
注意点
ROWS BETWEEN節で指定する期間は、具体的なビジネスニーズやデータの性質に応じて調整する必要があります。
時系列データの累積計算
日々のデータを累積して表示する際のSQLクエリ例を以下に示します。
SELECT
date,
value,
SUM(value) OVER (ORDER BY date) AS cumulative_sum
FROM
time_series_table;
日付 | 値 | 累積和 |
---|---|---|
2021-01-01 | 100 | 100 |
2021-01-02 | 120 | 220 |
高度な応用例
リード・ラグ関数を使用した分析
ウィンドウ関数には、リード(LEAD)とラグ(LAG)といった関数もあり、これを使用することで時系列データの前後の行と比較する分析が可能です。
SELECT
date,
value,
LAG(value) OVER (ORDER BY date) AS prev_value,
LEAD(value) OVER (ORDER BY date) AS next_value
FROM
time_series_table;
パーセンタイル計算
NTILE関数を用いて、データをパーセンタイルで分割する方法です。
SELECT
date,
value,
NTILE(4) OVER (ORDER BY value) AS percentile
FROM
time_series_table;
まとめ
ウィンドウ関数は、データ分析において多くの計算を柔軟に、かつ効率よく行える非常に強力なツールです。特に時系列データの分析においては、ローリング平均や累積計算、前後のデータとの比較など、多くの場面でその力を発揮します。これらの関数を理解し活用することで、より深いデータ分析が可能となります。
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