この記事では、Excel VBAを使用して社員の出張経費報告書を自動作成する方法を詳しく解説します。VBAを用いることで、経費の計算や項目の整理を効率化し、時間の節約が期待できます。具体的なコードの例とその詳細な解説、さらには応用例を3つ提供しますので、VBA初心者から中級者までの方に役立つ内容となっています。
Excel VBAの基本
Excel VBA(Visual Basic for Applications)は、Microsoft Excelに組み込まれたプログラミング言語です。これを用いると、単純作業の自動化だけでなく、高度なデータ分析やレポート作成も可能になります。
そもそも、どこにVBAコードを書いて、どう実行すれば良いのか分からない場合は、以下の記事をご参照ください。

VBAでの経費報告書作成の基礎
Excel VBAを使用することで、手動での作業を大幅に減少させ、誤りのない報告書を作成することが可能です。まずは基本的なコードの構築から始めてみましょう。
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Sub CreateExpenseReport() Dim ws As Worksheet Dim LastRow As Long '新しいワークシートの作成 Set ws = ThisWorkbook.Sheets.Add ws.Name = "出張経費報告書" 'ヘッダーの設定 ws.Cells(1, 1).Value = "日付" ws.Cells(1, 2).Value = "内容" ws.Cells(1, 3).Value = "経費" 'データ入力のプロンプト LastRow = ws.Cells(ws.Rows.Count, "A").End(xlUp).Row + 1 ws.Cells(LastRow, 1).Value = InputBox("日付を入力してください") ws.Cells(LastRow, 2).Value = InputBox("内容を入力してください") ws.Cells(LastRow, 3).Value = InputBox("経費を入力してください") '合計の計算 ws.Cells(LastRow + 1, 2).Value = "合計" ws.Cells(LastRow + 1, 3).Formula = "=SUM(C2:C" & LastRow & ")" End Sub |
コードの詳細解説
このコードでは、新しいワークシートを作成し、基本的な経費報告の項目を設定しています。次に、InputBoxを使用してデータを入力させ、最後に経費の合計を自動計算します。
1. **ws As Worksheet**: 出張経費報告書を作成する新しいワークシートを定義しています。
2. **LastRow**: データを入力する最後の行を識別するための変数です。
3. **ThisWorkbook.Sheets.Add**: 新しいワークシートを追加します。
4. **ws.Name**: ワークシートの名前を”出張経費報告書”として設定しています。
5. **InputBox**: ユーザーに日付、内容、経費を入力させるためのプロンプトです。
応用例
1. 複数の経費データを一度に入力
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Sub InputMultipleExpenses() Dim ws As Worksheet Dim ExpenseCount As Integer, i As Integer Dim LastRow As Long Set ws = ThisWorkbook.Sheets("出張経費報告書") ExpenseCount = InputBox("何回の経費データを入力しますか?") For i = 1 To ExpenseCount LastRow = ws.Cells(ws.Rows.Count, "A").End(xlUp).Row + 1 ws.Cells(LastRow, 1).Value = InputBox("日付を入力してください (" & i & "/" & ExpenseCount & ")") ws.Cells(LastRow, 2).Value = InputBox("内容を入力してください (" & i & "/" & ExpenseCount & ")") ws.Cells(LastRow, 3).Value = InputBox("経費を入力してください (" & i & "/" & ExpenseCount & ")") Next i End Sub |
2. 特定の月の経費を集計する
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Sub SumExpensesForMonth() Dim ws As Worksheet Dim TargetMonth As Integer Dim StartRow As Long, EndRow As Long, i As Long Dim TotalExpense As Double Set ws = ThisWorkbook.Sheets("出張経費報告書") TargetMonth = InputBox("集計する月を入力してください (例: 5)") For i = 2 To ws.Cells(ws.Rows.Count, "A").End(xlUp).Row If Month(ws.Cells(i, 1).Value) = TargetMonth Then If StartRow = 0 Then StartRow = i EndRow = i End If Next i TotalExpense = Application.WorksheetFunction.Sum(ws.Range("C" & StartRow & ":C" & EndRow)) MsgBox TargetMonth & "月の経費合計は" & TotalExpense & "円です。" End Sub |
3. グラフを使用して経費の推移を表示
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Sub PlotExpenseTrend() Dim ws As Worksheet Dim LastRow As Long Dim chrt As Chart Set ws = ThisWorkbook.Sheets("出張経費報告書") LastRow = ws.Cells(ws.Rows.Count, "A").End(xlUp).Row Set chrt = ws.Shapes.AddChart2(240, xlXYScatterLines).Chart chrt.SetSourceData ws.Range("A2 :A" & LastRow & ",C2:C" & LastRow) chrt.HasTitle = True chrt.ChartTitle.Text = "経費の推移" End Sub |
まとめ
Excel VBAを活用することで、経費報告書の作成作業を効率化することができます。今回紹介した基本のコードから応用例までを試してみることで、VBAの有効性を実感することができるでしょう。自分のニーズに合わせてカスタマイズして、日々の業務をよりスムーズに進めていきましょう。
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