Dell R450サーバのBase System DeviceエラーとUSB認識不良を徹底解消

データセンターで安定稼働を求められるサーバ運用では、ちょっとしたドライバの不備も大きなトラブルに繋がります。今回はDell R450サーバにおいて、「Base System Device」が多数表示される問題や外付けUSBドライブが認識されないトラブルの具体的な対処法を詳しく解説していきます。ぜひ最後までご覧いただき、快適なサーバ環境を構築するヒントにしてみてください。

「Base System Device」エラーとUSB認識不良の概要

サーバを新しく導入してWindows Server 2019やWindows Server 2022をインストールしたあとに、デバイス マネージャーを開くと「その他のデバイス」に多数の「Base System Device」が並んで表示されることがあります。これは、サーバ内部に搭載されているチップセットや補助デバイスのドライバが適切にインストールされていない状態を示唆しています。また、この状態では外付けUSBドライブを接続しても認識されなかったり、ディスクの管理に表示されなかったりするケースが多々報告されています。

本来サーバに必要なドライバとは?

サーバにはCPUやチップセット、ストレージ コントローラ、ネットワーク アダプタ、USBコントローラなど、さまざまなハードウェア コンポーネントが含まれています。これらに対応する正しいドライバをインストールしないと、Windows Serverはハードウェアを正常に認識できません。
特にDell R450のような第3世代Intel Xeonスケーラブル(Icelake)プロセッサを搭載したサーバでは、Intel固有のチップセットドライバやボード上の管理コントローラのドライバなどが必要です。ドライバの不足によって「Base System Device」が表示され続けるだけでなく、USBポートが正しく動作せず、USBデバイスの検出に失敗してしまう可能性があります。

ドライバを適切に導入するメリット

ドライバを正しくインストールすると、OSがハードウェアを最適なパフォーマンスで利用できるようになります。具体的なメリットを挙げると、以下のような点が期待できます。

  • ハードウェアの認識率向上
    デバイス マネージャー上で不明なデバイスが減り、「Base System Device」などのエラー表示がなくなる。
  • 外付けUSBストレージへのアクセス
    正しくUSBポートを制御できるようになり、USBメモリや外付けHDD、SSDなども正常にマウントされる。
  • 安定性の向上
    適切なドライバによってOSレベルでのエラーや競合を減らし、サーバの稼働が安定する。
  • トラブルシューティングの効率化
    ベースとなるドライバ環境が整備されるため、ほかに問題が生じても原因を特定しやすくなる。

デバイス マネージャーに「Base System Device」が多数表示される原因

原因1: Intelチップセットドライバの未導入

Dell R450が搭載するIcelakeプラットフォーム用のIntelチップセットドライバが未導入の場合、PCIバス上の様々なデバイスをOS側が正しく認識できません。そのため、PCIデバイスとして扱われるコンポーネントが「Base System Device」と表示されることになります。
ハードウェアIDをチェックすると「PCI\VEN_8086(IntelのベンダーID)」などが多くみられるはずで、正しいドライバを当てることでこれらが解消されます。

原因2: サーバ特有の補助デバイスの未定義

サーバには、企業向けの遠隔管理機能(iDRAC)や各種モニタリング機能が搭載されていることが多く、これらもOS標準のドライバだけでは正しく認識されない場合があります。これらの管理機能に紐づいたデバイスも「Base System Device」と表示されがちです。

原因3: Windows Serverインストール直後の汎用ドライバ状態

インストール直後のWindows Serverは、デフォルトの汎用ドライバ(Microsoftが標準で提供しているドライバ)しか持たないため、サーバ特有のデバイスをカバーしきれません。特に最新世代のCPUやチップセットでは、Windows標準ではカバーできない機能が多々あり、問題が顕在化しやすいです。

対処法1: Dell公式ドライバのインストール

OS Driver Packの活用

Dell公式が提供している「OS Driver Pack」または「Server Update Utility」を使用すると、サーバ機種に合った各種ドライバをまとめて導入できます。Dell R450用のOS Driver Packは、サポートページから無料でダウンロード可能です。
以下は手動でOS Driver Packを展開してドライバをインストールする例です。

  1. OS Driver Packをダウンロード
    Dellのサポートサイトで、R450向けのOS Driver Packを検索・ダウンロードする。
  2. ダウンロードしたファイルを解凍
    通常はexe形式の自己解凍ファイル、またはzip形式の場合があるので解凍を行う。
  3. payloadディレクトリ内のzipをさらに解凍
    例として“mas021.zip”のようなファイルが含まれている場合、それを解凍する。
  4. 対応OSフォルダを開く
    Windows Server 2019なら「2019_64」フォルダ、Windows Server 2022なら「2022_64」フォルダを探して開く。
  5. デバイス マネージャーの「ドライバの更新」でinfファイルを指定
    該当フォルダにある.infファイルを指定してインストールを行う。
  6. 残ったデバイスに個別対応
    それでも残る「Base System Device」は「Icelake」「Lewisburg C62x」など特定フォルダ内のinfファイルを割り当てることで解消されるケースが多い。

表: ドライバ手動インストールのイメージ

手順操作内容補足
1DellサイトでOS Driver Pack入手サーバ機種とOSバージョンを選択
2ファイルを解凍.exeまたは.zip形式のファイル
3payload配下のzipを再解凍例: mas021.zipなど
4OS別フォルダを開く例: 2019_64, 2022_64
5デバイス マネージャーの更新不明デバイスの「ドライバの更新」で.infを指定
6個別フォルダで再チェック特定のPCIデバイスごとにフォルダを探す

Server Update Utility (SUU) の活用

Dellが提供しているServer Update Utility(SUU)は、ダウンロードサイズが大きい(15GB前後)ものの、サーバ上でスキャンを実行し必要なドライバを自動的にインストールしてくれるツールです。個別にドライバを探す手間が大幅に削減され、誤ったバージョンのドライバを当てるリスクも減ります。
SUUを使う場合、ツールをISO形式でダウンロードし、サーバ側でマウントして実行するのが一般的です。ファイルのダウンロード時間やマウント手順など多少手間はかかりますが、確実性を重視するなら有力な方法です。

対処法2: チップセット ドライバを直接入手する

場合によっては、Dellのサポートページで探してもチップセットドライバが「非表示」の状態で見つからないことがあります。このようなときは、以下の方法でドライバを入手することも可能です。

  1. Dellサイトの「Chipset」カテゴリを直接確認
    サポートページの「ドライバとダウンロード」セクションで、製品をR450と指定後、「カテゴリ」を「Chipset」に絞り込むと見つかる場合がある。
  2. Intel公式サイトを利用
    Intelの公式サイトから、IcelakeおよびLewisburg C62xシリーズ向けのチップセットドライバをダウンロードし、それを手動でインストールする方法。
  • 注意点として、サーバモデルによるDell独自の最適化やファームウェアとの整合性があるため、まずはDell版のドライバを優先したほうが無難。

外付けUSBドライブが認識されない問題の解決策

USB関連ドライバの導入確認

USBポートが正しく機能しない原因の多くは、チップセットドライバの不足に起因します。まずは上記の方法でチップセットドライバを完全に導入してみてください。多くの場合、それだけでUSBデバイスの認識が回復することが報告されています。

USBポートおよびドライブ側のチェック

ドライバを正しく導入しても問題が解消しない場合は、ハードウェア的な観点から以下を確認します。

  • 別のUSBポートで試す
    サーバ側のポートに不具合がある可能性があるので、フロントパネル、リアパネルなど複数ポートを試す。
  • USBケーブルを交換
    ケーブル不良やケーブル規格の差によって認識に問題が生じる場合もある。
  • 他のPCやサーバでドライブを確認
    USBドライブ自体に故障やフォーマットエラーがないかを別の機器でチェックする。
  • ディスクの管理でドライブレターを確認
    OS側でドライブレターが割り当てられていないだけの場合もあるため、ディスクの管理からドライブレターの割り当てを手動で行うと認識されることがある。

表: USB認識不良チェックリスト

チェック項目内容
チップセットドライバのインストール最新のDellチップセットドライバをインストールしたか
ポートの切り替えフロント/リアなど別ポートで挙動が変わるか
ケーブル交換別のUSBケーブルや短いケーブルで試してみる
他デバイス確認USBドライブが他のPCでも正常に認識されるか
ディスク管理でのレター割当Windows Serverでドライブレターが割り当てられているか

追加のトラブルシューティング

BIOSやiDRACのファームウェア更新

サーバ環境では、BIOSやiDRACなどのファームウェアが古い場合、意図しない不具合が発生することがあります。Dell R450の場合、サポートサイトから以下のアップデートが提供されていることが多いので、合わせて確認・適用を検討してみてください。

  • BIOS Update
  • Icelakeプロセッサ対応の安定性向上やセキュリティ修正が含まれる
  • iDRACのファームウェア
  • リモート管理周りの機能改善や、周辺デバイスの認識率向上が図られる場合もある

Windows Updateの適用

OS側の問題の可能性として、Windows Server自体に更新プログラム(KB)が足りない場合、特定のハードウェアを正しく動かせないケースも考えられます。定期的にWindows Updateを実行し、重要な更新プログラムがないかをチェックしましょう。

PowerShellでのドライバインストール自動化

複数のサーバを一括で管理したい場合は、PowerShellを活用してドライバのインストールを半自動化する方法もあります。例として、OS Driver Packのフォルダ内にあるinfファイルを一括でインストールするスクリプトを簡単に示します。以下のようなPowerShellスクリプトをサーバ上で実行することで、指定フォルダ内のドライバをまとめてインストールできます。

# OS Driver Packが展開されたフォルダへのパス
$driverFolder = "C:\Drivers\DellR450\2019_64"

# 指定ディレクトリ内のinfファイルを再帰的に取得
$infFiles = Get-ChildItem -Path $driverFolder -Filter *.inf -Recurse

foreach ($infFile in $infFiles) {
    Write-Host "Installing driver from $($infFile.FullName)..."
    # pnputil.exeを使用してドライバをインストール
    pnputil.exe /add-driver $infFile.FullName /install
}

このようにスクリプトを用意しておけば、都度手動でデバイス マネージャーを操作する必要がなく、一括でドライバを適用できます。大規模な環境やリモートサイトへの適用など、運用に合わせて検討すると良いでしょう。

トラブルシューティングのまとめと今後の運用ポイント

ドライバ関連のトラブルは、サーバ運用を始めたばかりの段階で起こりやすい問題です。特にDell R450サーバのような新しいプラットフォームでは、Windows標準のドライバだけではカバーしきれない機能が多いため、初期設定でのチップセットドライバ導入は必須と言えます。
以下のポイントを押さえておくと、今後の運用でも役立ちます。

  1. サーバ初期セットアップ時にはOS Driver Packの適用を習慣化
    OSインストール後、まずチップセットドライバを含む公式ドライバパッケージを当てることで、多くの問題を未然に防げる。
  2. ドライバやファームウェアのアップデート計画を立てる
    サーバは長期運用が前提のため、定期的にDell公式のサポートページをチェックし、重要なアップデートが出ていないか確認する。
  3. デバイス マネージャーとサーバ監視ツールの活用
    運用中も不明なデバイスや警告が発生していないか、定期的にチェックを行う。必要に応じてiDRACなど遠隔管理機能のログも確認する。
  4. USBストレージの使用ポリシー
    USBドライブの利用が多い場合は、USBポートの提供数や速度(USB 3.0/3.1/3.2など)、およびケーブルの品質にも注意を払う。複数台のディスクを同時接続する場合、必要な電力や帯域を把握して運用することが重要。

まとめ

今回取り上げたDell R450サーバでの「Base System Device」エラーやUSBドライブの認識不良は、ほとんどの場合、適切なチップセットドライバや関連デバイスドライバを導入することで解決可能です。OS Driver PackやServer Update Utilityなど、Dellが提供する公式ツールを活用すれば、ドライバの探し漏れや誤インストールを防げるだけでなく、スムーズに問題を解消できるでしょう。
もし、それでもトラブルが継続するようであれば、ハードウェア側の故障やケーブル・ポートの不具合、または特殊なファームウェアバージョンの問題などを疑う必要があります。最終的にはDellサポートに問い合わせることも視野に入れてください。サーバ運用は長期戦になることが多いですが、基本となるドライバ環境をしっかり整備することで、安定した運用とトラブル予防を実現しやすくなります。

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