Windows Server 2019 Essentialsのアクティベーションエラー対処法

Windows Server 2019 Essentialsを使い始めた際や再インストール後にアクティベーションできず困っている方は少なくありません。特にOEM版を利用している場合、ハードウェア情報とプロダクトキーの紐づけがうまくいかないとエラーが発生しやすくなります。ここでは具体的なエラー内容や原因、そして問題を解決するためのさまざまなアプローチを紹介します。

Windows Server 2019 Essentialsで発生するアクティベーション問題とは

Windows Server 2019 Essentialsを導入し、いざ運用を始めようとした際にアクティベーションエラーが起こるケースは珍しくありません。エラーコード「0x87e10bc6」が表示され、インターネット経由のライセンス認証が完了しない、あるいは電話によるアクティベーション手続き(通常は「slui 4」コマンド)がうまく動かないなど、多くのユーザーが苦戦するポイントです。

この問題は、主にOEMキー(ハードウェアベンダーが提供するプレインストール版ライセンスキー)とWindowsのライセンス認証システムの食い違いに起因することがあります。また、ネットワーク設定や日付・時刻などの小さな不備も見過ごされがちな原因として考えられます。そこで、まずはエラーの概要をしっかり把握したうえで、一つひとつ対処策を試してみることが重要です。

エラーコード「0x87e10bc6」の概要

アクティベーション画面に「0x87e10bc6」というエラーコードが表示される場合、主に以下のような可能性が考えられます。

  • インターネット経由でライセンス認証サーバーに接続できていない
  • プロダクトキーの種類(OEM、リテール、ボリュームライセンスなど)が異なる
  • システム内部に不整合があり、オンライン/オフライン両方のアクティベーションが弾かれる

実際にDellやHP、Lenovoなどの大手メーカー製サーバーでOEM版のWindows Serverを再インストールした際に、上記エラーに遭遇する例が多く報告されています。まずは「自分の環境がどのライセンスチャネルなのか」を確認することが第一歩です。

問題発生の背景を整理する

同じサーバーに何度もWindows Server 2019 Essentialsをインストールすると、ライセンス情報の認証プロセスで不整合が起こる場合があります。とくにDell製サーバーのOEMキーは、マザーボード上のBIOS/UEFIにキー情報が埋め込まれていることが多いのが特徴です。

また、Dell 540サーバーのように特定モデル向けのOEMキーが割り当てられている場合、想定外の手順やカスタマイズを行うとキー認証に失敗することがあります。シールに「Windows Server Essentials (1-2 CPU) DELL EMC」などの表記がある場合には、そのシールのキーとBIOS/UEFIのキーが同一のものであるかどうかも重要なチェックポイントとなります。

同一ハードウェアでの再インストールでも起こりうる理由

「同一ハードウェア・同じプロダクトキーを使っているのに、どうして認証できないのか」と疑問を抱くかもしれません。しかしながら、以下のような理由でアクティベーションが失敗することがあります。

  1. マザーボードやBIOSの設定が初期化され、OEMキーが正しく読み込まれていない
  2. Windows OSの再インストール時に、別のエディション(標準版や評価版など)をインストールしてしまい、ライセンスチャネルが合わなくなった
  3. インターネット接続や時刻設定に問題があり、オンライン認証がブロックされている
  4. ライセンス認証サーバー側に一時的な障害が発生している

特にOEMライセンスでは、キーが常に一致しているか、システム内部でのプロダクトIDとハードウェア情報の関連づけが正常かどうかがアクティベーションの成否を左右します。

アクティベーションの前に確認しておくポイント

以下の各項目を順番にチェックすることで、不要なトラブルを回避しやすくなります。

1. OEMキーの取得と確認

Dellのサーバーであれば、BIOS/UEFIに「OA3」と呼ばれるOEMキーが格納されていることが多いです。管理者権限のコマンドプロンプトで次のコマンドを実行し、現在認識されているキーを確認できます。

wmic path SoftwareLicensingService get OA3xOriginalProductKey

このコマンドで表示されたキーが、物理シールに記載されたキーと同じかどうかを必ずチェックしてください。もし異なるキーが表示された場合は、OEMキーが正常に読み込まれていない可能性があります。

キー情報の再適用方法

万が一、Windows上で検出されるOEMキーが正しくない場合は、以下の手順で正しいプロダクトキーを手動で設定し直すことを試みてください。

  1. 管理者権限のコマンドプロンプトを開く
  2. 以下のコマンドで現在のキーをクリアする
   slmgr.vbs /upk
  1. 続いて、取得したOEMキーを再度入力する
   slmgr.vbs /ipk XXXXX-XXXXX-XXXXX-XXXXX-XXXXX
  1. 最後にオンラインアクティベーションを試す
   slmgr.vbs /ato

これで問題なくライセンス認証が進めば、OEMキーの再適用が成功したことになります。

2. ライセンスチャネルの再確認

Windows Serverのライセンスには大きく分けて以下のチャネルがあります。

ライセンス種別入手経路特徴
OEM版サーバーメーカーから付属マザーボードに紐づく
リテール版(パッケージ)一般販売店やMicrosoft公式ストアなど利用PC(サーバー)を変更可能な場合が多い
ボリュームライセンス企業向け大量導入(KMS/MAKキー)など複数台を一括管理

Dellサーバーに初めから付属しているWindows Server 2019 EssentialsのほとんどはOEM版であり、ハードウェアとキーが密接に連動しています。リテール版やボリュームライセンス版のキーを入力しても弾かれてしまうため、自分が使用しているキーのチャネルを正しく把握することが不可欠です。

3. システム日時と時刻の確認

意外な盲点として、サーバーの日付や時刻がずれていると認証が失敗することがあります。とくにBIOSで日付が初期化されている場合、数年先や過去の日付になっていても気づきにくいことがあります。OS上でNTPサーバーを設定し、時刻同期が正しく行われているかどうかを再確認しましょう。

4. ネットワーク接続の状態

アクティベーション処理は、Microsoftのライセンス認証サーバーと通信を行います。インターネット接続が不安定だったり、企業ネットワークのファイアウォールやプロキシ設定によって外部との通信が遮断されていると、正しく認証処理が進まない可能性があります。

  • DNSサーバーの設定が正しいか
  • プロキシ経由での通信が許可されているか
  • アクティベーションをブロックするようなセキュリティポリシーがないか

上記の点も一度チェックしてみましょう。

5. ファイアウォールやセキュリティソフトの影響

サーバー側に導入しているセキュリティソフトやWindows Firewallの設定が原因で、ライセンス認証サーバーへの通信がブロックされることがあります。特に企業向けの高度なセキュリティソフトでは、特定のポートやURLへの通信が制限されているケースがあるため、アクティベーションに必要な通信が許可されているかを確認する必要があります。

6. Windows Updateと更新プログラムの適用

Windows Server 2019では、累積アップデートやサービススタックアップデート(SSU)が重要な役割を果たします。アクティベーション周りの不具合は、更新プログラムを適用することで解決するケースがあるため、再インストール後はすぐにWindows Updateを実行し、最新の状態にしておくことが推奨されます。

7. 電話によるアクティベーションを試す

通常、電話認証を行う際は「slui 4」コマンドを実行するとウィザードが起動します。しかし、環境によってはウィンドウが正しく開かないこともあります。その場合、Microsoftのサポート窓口に直接連絡を取り、電話認証の手続きを行う方法があります。ただしOEMライセンスの場合、ハードウェアメーカー側でのサポートが必要になることもある点に留意してください。

実践的な手順の例

ここでは、一連の確認事項を踏まえた具体的なトラブルシューティングの流れをまとめます。

ステップ1: 基本的なアクティベーションコマンドの確認

Windows Serverにおけるライセンス管理は、「slmgr.vbs」スクリプトによって行うのが一般的です。具体的には、以下のようなコマンドがあります。

コマンド内容
slmgr.vbs /ipkプロダクトキーを入力
slmgr.vbs /atoオンラインアクティベーションを開始
slmgr.vbs /upk既存のプロダクトキーをアンインストール
slmgr.vbs /dlv詳細なライセンス情報の表示
slmgr.vbs /dti電話認証に必要なインストールIDを表示
slmgr.vbs /atp電話認証で入手した確認IDを入力

OEMキーの再入力や既存キーの削除を行うには、上記のコマンドを駆使します。特に複数回インストールを行った後は、現在どのキーが入っているかをslmgr.vbs /dlvで細かく確認しておくと安心です。

ステップ2: Dell 540サーバーでのBIOS設定を見直す

Dellサーバーの多くは、BIOS設定画面にOEMライセンスに関する項目が存在します。設定が「Enabled」になっているか、あるいはBIOSのバージョンが最新かどうかもチェックしてみてください。更新が必要な場合、Dell公式サイトで提供されているBIOSアップデートを適用することで改善が見られるケースもあります。

  • Dellのサポートページからモデル検索
  • 最新のBIOSリリースノートを確認
  • 必要に応じてBIOSをアップデートし、再起動後に再度アクティベーションを試す

ハードウェアレベルでOEMキーを正しく保持していないと、いくらOS側でキー設定を行ってもエラーが解消されないことがあります。

ステップ3: シールキーとの突合せと再度のアクティベーション

  • 物理シールに記載されているプロダクトキーを正確に入力
  • slmgr.vbs /ipkコマンドを使い、その後にslmgr.vbs /atoを実行
  • エラーメッセージが変わるか、または成功するかを確認

シールのキーとシステムで認識されているキーが同じであるにもかかわらずアクティベーションに失敗する場合は、ライセンス認証サーバー側の問題やネットワーク/時刻の設定に問題がある可能性を疑いましょう。

ステップ4: ネットワーク環境のテスト

トラブルシューティングの一環として、別のネットワークに接続してみるという方法もあります。例えば一時的にインターネットへ直結した状態でアクティベーションを試すことで、企業ファイアウォールやプロキシの影響を切り分けられます。

  • 一時的に外部直結の回線を利用する
  • DNSが正しく機能しているかnslookupなどでチェック
  • 必要であればHTTPプロキシの設定を外す

それでもエラーが続く場合には、ネットワーク以外の要因が大きいと判断できます。

ステップ5: Windows Updateと再起動

手動でWindows Updateを実行し、全ての重要な更新プログラムがインストールされているかを確認します。特にWindows Serverをクリーンインストールした直後だと、数多くの累積アップデートが未適用の状態になっていることが一般的です。

  • サーバーマネージャーや「設定」からWindows Updateを開く
  • 更新プログラムの確認を行い、インストールが必要なものをすべて適用
  • 完了後はサーバーを再起動し、再度アクティベーションを試す

更新によってライセンス認証関連のコンポーネントが修正されることがあるため、必ず試す価値があります。

ステップ6: 電話認証(オフライン認証)の活用

オンライン認証がどうしても通らない場合は、従来の電話認証も有力な選択肢です。通常はslui 4でウィザードが起動するはずですが、画面が出ない場合は以下の手順でコマンドラインからインストールIDを取得し、電話で確認IDを受け取る方法があります。

  1. slmgr.vbs /dtiを実行し、表示されるインストールIDをメモ
  2. Microsoftの電話サポートに連絡し、オペレーターの指示に従ってインストールIDを伝える
  3. 発行された確認IDを、コマンドプロンプト上でslmgr.vbs /atp <確認ID>コマンドを使って入力
  4. 成功メッセージが表示されればアクティベーション完了

OEMライセンスの場合、Dellに問い合わせるように案内されることもあります。その際は、サーバーのサービスタグや購入情報などを用意しておくとスムーズです。

ステップ7: それでもダメならDellサポートへ連絡

どうしても再アクティベーションがうまくいかない場合は、Dellサポートに連絡してハードウェアベースでのチェックを依頼しましょう。マザーボードのリプレースやBIOS情報の再書き込みが必要なケースも、非常にまれではあるものの存在します。

  • サーバーのサービスタグを確認
  • 具体的なエラーコードと現在の状況を伝える
  • 必要に応じてハードウェア診断ツール(ディアグノスティクス)を実行

サポートに連絡する前に、上述したすべての手順を試したことを説明すれば、よりスムーズにやりとりを進められます。

再インストール時の注意点とライセンスの考え方

OEM版のライセンスは基本的にマザーボードと紐づけられますが、BIOSやライセンスファイルとの整合性が取れないとアクティベーションエラーが生じます。再インストールの際は、必ず同一エディション(Windows Server 2019 Essentials)を選択し、キーの入力はOEM版キーで行う点を徹底しましょう。

また、ハードウェアの構成が大幅に変わると、新しいライセンスの購入が必要になるケースもあります。特にCPUやマザーボード交換時は注意が必要です。OEM版の場合は「同一マザーボードで使う」ことが前提であり、この点がリテール版やボリュームライセンス版との大きな違いです。

まとめと今後の対処方針

Windows Server 2019 Essentialsのアクティベーションエラーは、一見複雑なようですが、ライセンスチャネル(OEM版かどうか)とハードウェア環境、ネットワーク設定、時刻同期などを一つずつ潰していけば、ほとんどの場合で解決へ導くことができます。以下のポイントを再度振り返りましょう。

  • OEMキーを確認: wmic path SoftwareLicensingService get OA3xOriginalProductKeyなどでキーを取得し、シールのキーと一致するかチェック
  • ライセンスチャネルを合わせる: OEM版ならOEMキー、リテール版ならリテールキーを使う
  • 時刻やネットワーク設定: サーバーの時計が正しいか、ネットワーク接続やDNSが正常か
  • 更新プログラムの適用: Windows Updateを最新まで適用し、不具合を修正する
  • 電話認証やサポート窓口: オンライン認証が難しい場合は電話認証を試し、必要に応じてDellサポートやMicrosoftサポートに連絡

こうした基本的な手順を踏むことで、多くのアクティベーション失敗の原因を取り除くことができます。もし依然として問題が解消されない場合は、OEM版特有のライセンス制約やハードウェア故障など、より深刻な要因が隠れている可能性があります。その際はメーカーサポートとの連携が重要となります。

最終的に安定稼働を確保するには、再インストール後すぐの段階でライセンス認証とWindows Updateを完全に行い、システムバックアップ(イメージベース)を取得しておくのがおすすめです。万一アクティベーションに失敗した場合でも、バックアップからの復元によって比較的スムーズに元の稼働状態に戻せるためです。

大切なのは、サーバーのライフサイクル全体を見据えてライセンスやメンテナンス計画を立てることです。問題が起きる前に必要な情報や手順を把握しておけば、いざというとき慌てずに済みます。Windows Server 2019 Essentialsを使いこなすうえで、ライセンス認証の問題を解決できる知識は必須といえます。

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