社内システムを整備するうえで欠かせないのが、Active Directoryを活用したドメイン管理です。Windows環境の管理やユーザー情報の集約など、一度は導入を検討された方も多いかと思います。そこで、Windows VPS導入時に人気が高いXServer VPS for Windows ServerとConoHa for Windows Serverを比較し、それぞれの強みや注意点を交えながら解説していきます。私自身も小規模オフィスでActive Directoryを導入した経験があるのですが、環境構築の際はWindows VPSの選定で悩んだことがありました。同じように悩む方のご参考になればうれしいです。
Active Directoryを社内システムで運用する魅力
Active Directoryは、複数のWindowsマシンを持つ企業や組織で活躍するドメイン管理サービスの要となる存在です。ユーザーやデバイス、グループポリシー、ネットワークリソースを集中的に管理することで、セキュリティと運用効率を高められます。社内システムの操作権限を細かくコントロールしたり、ユーザーがどの端末からアクセスしても同じ環境で業務を進められるようにしたりと、企業のIT基盤を整える大きなメリットがあるのです。
なぜWindows VPSが選ばれるのか
Active DirectoryはWindows Server上で動作します。そのためオンプレミス(自社内サーバー)でWindows Serverを用意するのはもちろん、近年ではクラウド型のWindows VPSを活用するケースが急増しています。ハードウェアの保守コストや場所的制約が不要で、運用管理も容易だからです。VPSであれば必要なスペックに応じてプランを選べるので、中小企業から大企業まで幅広い導入事例があります。
コストと運用負荷のバランス
オンプレミスだとサーバー機器やUPSなどの設備投資が必要ですが、VPSなら初期費用を低く抑えられます。規模に応じてスペックを変えられるので、例えば従業員20名程度の事業所からでも導入しやすいです。社内システム導入は初期コストが大きくなりがちですが、Windows VPSであれば比較的導入ハードルが低い点が魅力です。
私も以前、社内に独自のファイルサーバーとユーザー管理を作ろうとWindows VPSを導入したところ、運用負荷が大幅に下がって驚きました。突然ハードウェアが故障するリスクに備えなくてよくなり、社員からも好評でした。
XServer VPS for Windows Serverの特徴とActive Directory運用
XServer VPS for Windows Serverは、250万以上のサイトを運営する国内大手レンタルサーバーブランド「エックスサーバー」が提供するWindows専用VPSです。高性能かつリーズナブルという評判があり、初期費用が無料で始めやすいのがポイントです。
XServer VPSの基本スペック
XServer VPS for Windows Serverは、高速インターフェースであるNVMe(エヌブイエムイー)を採用しているほか、国内最大級のバックボーン回線に直結しています。下記はプラン例です。
プラン | メモリ | vCPU | NVMe SSD | 月額料金 |
---|---|---|---|---|
2GBプラン | 2GB | 3コア | 100GB | 1,980円 |
4GBプラン | 4GB | 4コア | 100GB | 3,960円 |
8GBプラン | 8GB | 6コア | 100GB | 7,920円 |
16GBプラン | 16GB | 8コア | 100GB | 15,840円 |
Active Directory運用のメリット
XServer VPS for Windows Serverを選ぶ場合、国内データセンターの安定稼働と高速通信が強みです。ドメイン管理やユーザー認証でタイムラグが少ないのは社内システムのストレス軽減につながります。ネットワーク負荷や通信トラブルによる業務効率の低下を防ぐ点でも注目されています。
注意点
VPSでActive Directoryを構築する場合は、Azureのようなフルマネージド型ではないため、OSのアップデートやドメインコントローラー(DC)障害時のリカバリ手順などを自分たちで計画する必要があります。また、社内のクライアントPC台数が増えるほど、メモリとCPUリソースも検討が必要です。
ConoHa for Windows Serverの魅力と活用事例
ConoHa for Windows ServerはGMOインターネット株式会社が提供する、テレワークにも適した高性能Windows VPSです。24時間安定稼働の超高速・高品質な環境が用意されており、最新OfficeやChrome、Skypeなど、リモートワークに便利なソフトがプリインストールされたプランもあります。
ConoHaでActive Directoryを導入するメリット
ConoHa for Windows Serverでは、Active Directoryだけでなくテレワーク業務全体を支援する環境が整っています。特にOfficeが標準で入っているプランを選べば、Windows Server上でExcelやPPTファイルの編集もすぐに始められます。
ConoHaのプラン例
ConoHa for Windows Serverではまとめトクプランという長期利用割引サービスを提供しており、利用期間が長いほど月額料金がお得になります。プランの例を下表でまとめています。
プラン | メモリ | CPU | SSD | 月額料金(36ヶ月契約時) |
---|---|---|---|---|
1GB | 1GB | 2コア | 100GB | 1,253円 |
2GB | 2GB | 3コア | 100GB | 2,548円 |
4GB | 4GB | 4コア | 100GB | 4,969円 |
8GB | 8GB | 6コア | 100GB | 9,811円 |
16GB | 16GB | 8コア | 100GB | 18,494円 |
32GB | 32GB | 12コア | 100GB | 37,501円 |
64GB | 64GB | 24コア | 100GB | 76,255円 |
社内規模に応じたリソース選びが大切です。特にドメインコントローラーの動作に加え、SQL Serverなどのデータベースを同時に運用するなら余裕あるスペックにしておきたいところです。
オプションとサポート
ConoHa for Windows Serverでは、1時間ごとの従量課金プランも用意されており、短期的なテスト環境などで試すこともできます。加えてMicrosoft Officeやリモートデスクトップライセンスなどがユーザー単位で利用できる仕組みもあるため、手軽に導入できるのがメリットです。専門スタッフのサポートや24時間監視体制もあり、万が一のトラブル時も安心感が高いです。
私がサポートに問い合わせをした際も、事前に知りたいライセンス関連の質問にすぐ回答をもらえたので、スムーズに導入できました。
Active Directoryを運用するうえでのポイント
Windows VPSを選んでActive Directoryを構築する際に、抑えておきたいポイントがあります。社内システムでスムーズに稼働させるためにも、これらはしっかり考慮するとよいでしょう。
ドメインコントローラーの冗長化
社内のユーザー数や重要度によっては、ドメインコントローラーを2台以上にすることで冗長化を図ることをおすすめします。冗長化によって片方のVPSに障害が起きても、もう一方で認証やグループポリシーの適用を続行できます。XServer VPSやConoHa VPSの複数アカウントを運用して冗長化する、あるいはプライマリとセカンダリを同一サービス内で分けるなど、さまざまな構成が可能です。
ライセンス管理
Windows Serverのライセンスはもちろん、Microsoft Officeやリモートデスクトップのライセンス管理も大切です。XServer VPS for Windows ServerとConoHa for Windows Server、どちらもMicrosoft OfficeやRDS SALのオプションが用意されています。利用するユーザー数やデスクトップの同時接続数に合わせて追加する必要があるため、導入時の見積もりや社内規定と照らし合わせましょう。
グループポリシー適用範囲の検討
グループポリシーで社内の端末へ一括設定を配布する場合、従業員の作業に大きく影響を与える可能性があります。例えば毎朝のログイン時に大きなファイルを読み込むようなポリシーを設定すると、時間がかかって作業に支障が出るケースもあります。ポリシーごとに適用対象のOU(組織単位)を分け、必要最小限で管理する工夫が重要です。
ConoHaとXServer、それぞれのおすすめシーン
Windows VPS導入を検討するとき、目的や社内の状況によって選び方は変わってきます。以下ではConoHaとXServer、それぞれが向いているシーンを考えてみましょう。
ConoHa for Windows Serverがおすすめのケース
・テレワークが中心の業務で、従業員が各地からリモートデスクトップ接続したい
・Officeソフトを使ってスピーディに資料を作りたい
・Macなど、手元にWindows以外の端末しかない環境でもスムーズに作業したい
・まとめトクプランを利用して長期でお得に使いたい
XServer VPS for Windows Serverがおすすめのケース
・国内大手レンタルサーバー会社ならではの高性能インフラを重視したい
・NVMe×高性能CPUによるハイスピード環境でActive Directoryを運用したい
・月額1,980円(2GBプラン)からの低コストで始めたい
・十分なバックボーン回線と安定稼働を求めている
導入前のチェックリスト
Active Directoryを円滑に運用するには、あらかじめ以下のポイントをチェックしておくとスムーズです。
1. ユーザー数とライセンス数の把握
ユーザー数だけでなく、リモートデスクトップ接続の同時利用数を想定してライセンスを準備します。クライアント数が増えるほど、メモリやCPUリソースも多めに確保しておいた方がよいです。
2. データのバックアップ計画
万が一ドメインコントローラーに障害が起きたときのために、バックアップは不可欠です。システム全体のイメージバックアップを定期的に取得するか、複数VPSで冗長化するか検討してください。
3. ネットワークのセキュリティ
リモートワークが増えている昨今、VPNやIP制限、ファイアウォールの設定など、外部からの不正アクセスを防ぐ仕組みが重要です。Active Directoryでセキュリティポリシーを強化すると同時に、VPS側の設定も慎重に行いましょう。
まとめ: 自社の要件に合わせて最適なVPSを選ぼう
Windows VPSは社内システムとActive Directory運用をシームレスに管理し、ドメイン管理やユーザー認証がスムーズになるという大きな利点をもたらします。XServer VPS for Windows Serverは低コストで始められて高速なネットワークが魅力的ですし、ConoHa for Windows Serverはテレワークに力を入れる企業や、Macを使っているスタッフが多い会社にとって使いやすい選択肢となるでしょう。
サービススペックや料金プランはもちろん重要ですが、それ以上に大切なのは社内の利用シーンと要件をしっかり把握することです。例えばユーザー数が数百名を超えるのであれば、それに耐えうるプランを選ぶ必要がありますし、短期で試したいだけなら時間課金プランを使うなど、柔軟な選択肢を検討することもできます。
私自身、初めてActive DirectoryをVPS上で導入した際は、バックアップと冗長化の重要性を実感しました。最初はコストを最小限に抑えようと1台構成にしていましたが、後からもう1台のVPSにドメインコントローラーを追加して、安定度がグッと増しました。
最終的に、自社の業務形態やユーザー数、セキュリティポリシーなどを基に、XServer VPS for Windows ServerかConoHa for Windows Serverかを検討してみてください。どちらを選んでもWindows VPS導入で得られるメリットは非常に大きいはずです。
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