Windows Server 2022へのデバイスCAL移行とライセンス互換性を徹底解説

日頃からWindows Serverのライセンス管理に頭を悩ませている方は多いのではないでしょうか。特にバージョンアップによって必要なCAL(クライアント アクセス ライセンス)の互換性やアップグレードの可否は、運用コストや契約面で大きな影響を及ぼします。この記事では「Windows Server 2022で、従来のWindows Server 2019用デバイスCAL(Part number: 6vc-03747)は利用できるのか」という疑問に焦点を当てながら、関連するライセンスの考え方や注意点を解説していきます。ぜひ今後のシステム運用やライセンス戦略の参考にしてください。

Windows ServerデバイスCALの基本理解

Windows Serverを運用するうえで必要となるCAL(クライアント アクセス ライセンス)には大きく分けて「デバイスCAL」と「ユーザーCAL」の2種類が存在します。まずはデバイスCALの基本をおさらいし、今回のテーマである「6vc-03747」のライセンス互換性にどう影響するかを理解していきましょう。

デバイスCALとは何か

デバイスCAL(Device CAL)は、接続する“端末(デバイス)”に対してライセンスを付与する方式です。たとえば、オフィス内に固定のクライアントPCが複数台あり、それぞれからWindows Serverへアクセスするケースでは「各端末ごとにCALを1つ割り当てる」形となります。
一方、ユーザーCAL(User CAL)はユーザー単位でのライセンス管理を行い、同じユーザーであれば複数デバイスからアクセスしても1ライセンスで済むといったメリットがあります。組織の利用形態によって、どちらが最適かを検討するのが一般的です。

デバイスCALが有利となるケース

  • 共有PCが多い環境(シフト制の店舗やコールセンターなど)
  • 端末数が限定的で、ユーザーの数が端末数を大きく上回っている状況
  • KIOSK端末など、同一デバイスを複数ユーザーが使う場合

ユーザーCALが向いているケースもありますが、デバイスCALは固定端末をメインで運用している企業にとってはコストを抑えられる可能性が高いのが特徴です。

6vc-03747の概要とWindows Server 2022のライセンス互換性

今回の主題となる「6vc-03747」については、一般的に「Windows Server 2019用のデバイスCAL」として認知されるケースが多い番号です。しかし、実際には各販売代理店やMicrosoftの公式なアナウンスによって取り扱いが変わる可能性もあります。ここでは、ライセンス互換性やバージョンアップに関する一般論と、実運用面での注意点を紹介します。

互換性に関する一般論

  • ライセンスのバージョン下位互換性
    多くの場合、購入したCALは「購入したサーバーバージョン、またはそれ以前のバージョン」に適用できるとされています。たとえば、Windows Server 2019のCALであれば、2019や2016、あるいは2012などにもアクセスが可能と考えられます。
  • 新バージョンへのアップグレード可否
    一般に、古いバージョンのCALでは新しいバージョンのサーバーにアクセスすることは認められていません。Windows Server 2022へのアクセスが必要な場合には、Windows Server 2022用のCALが必要となるケースが大半です。

Part number 6vc-03747はどのバージョンのCALか

「6vc-03747」は、流通情報や一部の販売店カタログなどでは「Windows Server 2019」のデバイスCALとして掲載されていることが多く見受けられます。そのため、当該ライセンスをWindows Server 2022環境で利用する場合、ライセンス規約上では問題となる可能性があります。
ただし、Microsoftはライセンスに関して頻繁にアップデートやSKU(在庫管理単位)の整理を行うことがあるため、最終的な判断を下す際には「購入時の契約書類」や「Microsoftパートナーによる正式な回答」を確認するのが最善です。

ライセンス認証の仕組み

多くのシーンで「CALのバージョン制限は事実上認証画面にあらわれない」と感じる方もいますが、ライセンスコンプライアンスの観点では「利用可能かどうか」と「正式に認められているかどうか」は別問題です。実際にWindows Server 2022のサーバー上でCAL認証チェックが厳密に行われないケースもあるかもしれません。しかしライセンス監査や法的リスクを考慮すると、公式ルールに基づいた運用が必須となります。

バージョンアップ時に必要な手続きとライセンス管理

Windows Serverを2019から2022へアップグレードする際、デバイスCALも新バージョンへアップグレードする必要があるかどうかを検討する必要があります。無償アップグレードが提供されるわけではないため、ライセンスの追加コストが発生する可能性があります。

ソフトウェア アシュアランス(Software Assurance)の有無

Microsoftのライセンスプログラムで「ソフトウェア アシュアランス(SA)」を契約している場合は、一定の期間内にリリースされる新バージョンのソフトウェアを追加コストなしで利用できる権利が含まれます。

  • SAがある場合
    SAの対象となるCALであれば、Windows Serverの新バージョンがリリースされた際に、CALライセンスも最新版を継続して利用できる可能性があります。
  • SAがない場合
    新バージョンのCALを別途購入する必要があるため、バージョンアップに伴う追加予算が生じることを考慮しましょう。

CAL管理の注意点

ライセンス違反によるリスクを回避し、適切なコスト配分を行うためにも以下のような管理を行うことが重要です。

  1. CALの購入履歴とバージョンの紐づけを明確にする
  2. SAの適用範囲と更新期限を常に把握しておく
  3. サーバー環境のインベントリ管理ツールを活用する
  4. Microsoftパートナーとの連携を密にし、最新情報を取得する

CALの種類の比較表

下記にデバイスCALとユーザーCALの特性をまとめた簡易表を用意しました。組織の運用形態にあったCALを選定・運用することが重要です。

項目デバイスCAL(Device CAL)ユーザーCAL(User CAL)
ライセンス対象接続する端末(PC/スマホ等)接続するユーザーアカウント
利用に向いているケース共有PCやKIOSK端末が多い場合個人専用端末が多い場合、リモートワーク等で複数デバイスからアクセスが想定される場合
メリット端末数を把握しやすく、端末数がユーザー数より少ない場合はコストダウンに有効1ユーザーが複数デバイスを使ってもCAL追加不要
デメリットユーザー数に対して端末数が多いと割高ユーザー数が端末数よりも多いと割高
具体的な例コールセンター、店舗のレジ端末、受付端末、図書館の検索端末出張や在宅勤務でPC・タブレット・スマホを切り替えてアクセス

Azure Virtual Desktopなどのクラウドサービス利用時の注意

Windows Server環境とあわせて「Azure Virtual Desktop(AVD)」などのクラウドサービスを活用する企業も増えています。この場合、通常のデバイスCALやユーザーCALの考え方とは異なるライセンス体系が絡むため、注意が必要です。

Azure Virtual Desktopで求められるライセンス

Azure Virtual Desktopでは、Windows 10/11のマルチセッション環境を提供する場合があるため、Windows Server CALとは別軸でライセンス要件が定められています。代表的なものとして以下があります。

  • Microsoft 365ライセンス(対象プランでAVDのアクセス権が含まれることがある)
  • RDS CAL(リモートデスクトップサービス CAL)
  • VDAライセンス(仮想デスクトップにアクセスする権利を付与)

また、オンプレミスのWindows ServerでRDSを構築し、デバイスからリモート接続を行う場合には、RDS CALも別途必要です。一般的なデバイスCALではRDSの接続権限は含まれませんので注意してください。

ライセンスコンプライアンスの重要性

一時的には旧バージョンのCALを利用しても運用上は動作するかもしれませんが、ライセンス監査や調達時の契約条件の整合性は常に意識しなければなりません。特にクラウド環境とオンプレミス環境をハイブリッドで運用する際は「どのライセンスがどこまでカバーするのか」を誤解しやすいポイントが多数存在します。
最終的に疑問が生じた場合、Microsoftの公式ドキュメントや認定パートナー、販売代理店へ相談し、明確な回答を得るのが最も安全かつ確実です。

よくある質問と具体的な運用例

ライセンス問題は企業の運用形態や規模によって千差万別です。ここでは、よくある質問と具体的な運用例を示すことで、理解を深めていただきたいと思います。

Q1: Windows Server 2019用デバイスCALをそのまま2022で使うのは絶対NG?

A: ライセンス規約上は、基本的にWindows Server 2019用CALをWindows Server 2022で使うことは認められていないとされています。監査対応やコンプライアンスリスクを避けるためにも、正式にはWindows Server 2022用CALにアップグレード、または新規購入する必要があります。

Q2: バージョンアップ後、混在環境での一部のみCALアップグレードは可能か?

A: 一部サーバーを2022にアップグレードし、他を2019のまま残す“混在環境”が発生するケースもあります。その場合、2022サーバーにアクセスするデバイス(もしくはユーザー)には、2022対応のCALが必要です。一方、2019サーバーのみ接続する端末は2019用CALのままでも問題ありません。運用ポリシーの策定やライセンス数の把握が複雑になるため、綿密な管理体制が重要です。

Q3: リモートデスクトップ(RDS)も利用予定だが、デバイスCALとは別途必要?

A: はい、通常のWindows Server CALとRDS CALは別ライセンスです。RDS機能を利用する場合には、ユーザーCALであれデバイスCALであれ、さらにRDS CALを追加購入する必要があります。RDS CALにおいてもユーザーCALとデバイスCALの2種類がありますので、自社の運用に合った選択が求められます。

運用例:小規模オフィスでのCAL戦略

  • 例:従業員10名、デバイスPC15台
  • 端末のほとんどは固定であり、1端末を複数名が交互に使う状況
  • サーバーアクセスは主にファイル共有とプリントサーバー
  • リモートアクセスはあまり発生しない
  • デバイスCALのメリット
    端末数15台ぶんのデバイスCALを購入しておけば、10名がどの端末を利用してもライセンス上問題ない。
  • 注意点
    Windows Server 2019から2022への移行を検討する際、SA契約がない場合はデバイスCALも改めて2022用に買い直しが必要となる。

パートナー・ベンダーへの相談が安心

ライセンス関連は常に規約や条文が更新されていること、加えて製品ごとの接続要件やクラウドサービスとの組み合わせによって要件が変化することが特徴です。最終的には、Microsoftのライセンスパートナーや正規販売代理店に相談し、具体的な製品構成とユーザー数・デバイス数を提示したうえで提案を受けるのが最も確実です。

ベンダーへの相談時にチェックしたい項目

  • 自社のシステム構成図(オンプレミスとクラウド両方のサーバー、ネットワーク、クライアント配置など)
  • 予定しているバージョンアップのスケジュールと段階的な導入計画
  • 必要となるサービス(ファイルサーバー、RDS、VDI、Azure Virtual Desktopなど)
  • ソフトウェア アシュアランスの有無と更新タイミング
  • ライセンスに関する予算上限や運用ポリシー

PowerShellを用いたサーバーバージョン情報の確認例

下記はPowerShell上でWindows Serverのバージョン情報を取得する一例です。バージョンアップやCAL適用の管理に役立てるため、スクリプト化しておくと便利です。

# Windows Serverのバージョン情報を取得するサンプルスクリプト
$osInfo = Get-CimInstance Win32_OperatingSystem
Write-Host "Product Name: " $osInfo.Caption
Write-Host "Version: " $osInfo.Version
Write-Host "Build Number: " $osInfo.BuildNumber
Write-Host "Install Date: " $([Management.ManagementDateTimeConverter]::ToDateTime($osInfo.InstallDate))

このようにバージョン情報を定期的にチェックし、CALの管理リストと付き合わせることで、必要なライセンスの種類や数を把握しやすくなります。

まとめ:Windows Server 2022でのデバイスCAL(6vc-03747)利用の要点

  • 6vc-03747のデバイスCALは、一般的にはWindows Server 2019用
    そのため、Windows Server 2022で正式に利用するには追加購入もしくはバージョンアップのライセンスが必要となる可能性が高いです。
  • 新バージョンのサーバーにアクセスする際は、対象バージョンのCALが基本ルール
    下位互換はあっても、上位互換は原則認められていないのがMicrosoftのライセンスポリシーです。
  • Azure Virtual DesktopやRDSなどの機能を使う場合
    通常のデバイスCALではカバーされないライセンス要件が発生するケースがあるので注意してください。
  • 専門家への相談が最も確実
    微妙なケースや大型環境での移行など、複雑なライセンス管理が必要な場合は、Microsoftパートナーや販売代理店と連携し、正確な情報をもとに判断しましょう。

Windows Serverのライセンスは時期やプログラムによってルールが変更される可能性があるため、常に最新情報をチェックしながら運用していくことが重要です。短期的なコスト削減だけでなく、長期的なライセンスプランの策定と予算管理、そして監査に備えたドキュメンテーションの整備を忘れずに行いましょう。

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