Windows Server 2012 R2を利用していると、Windows Updateの適用や各種システム操作の場面で「エラーコード80070490」が表示され、更新プログラムが正常にインストールできなかったり、機能の一部が動作しないなどの不具合に遭遇することがあります。もしサポート終了後も運用を継続している場合は特に注意が必要ですが、今すぐ最新OSに移行できない場合には、いくつかの対処法を試すことが解決の糸口となるでしょう。
Windows Server 2012 R2のサポート終了とエラーの概要
Windows Server 2012およびWindows Server 2012 R2は、2023年10月10日でMicrosoftの延長サポートが終了しました。これは、最新のセキュリティ更新プログラムやバグ修正などが公開されないことを意味します。したがって、サーバーとして継続的に運用する場合には、脆弱性のリスクが高まると同時に、今回のようなシステムエラーに対しても公式の修正やテクニカルサポートを得ることが困難になってしまいます。
一方で、ビジネス上の理由などで即座にサーバーOSを移行できない環境は少なくありません。そのような場合には、Windows Updateにおけるエラーコード80070490をはじめとした問題の対処を独自に行いつつ、長期的には新しいWindows Serverへのアップグレードを計画する必要があります。
エラー80070490の原因と症状
エラーコード80070490は、主に「Windows Updateのインストールに失敗した」「システムファイルが破損している」「ストアコンポーネントに問題がある」などといった状況下で報告されやすいものです。具体的には、以下のような症状が見られることがあります。
- Windows Updateが途中で失敗し、更新プログラムが適用されない
- イベントビューアーに関連エラーメッセージが蓄積され、ログに「0x80070490」が記録される
- サーバーを再起動してもエラーが繰り返され、サービスの起動やシステムコンポーネントに支障が出る
- 一部機能が利用できなくなる、または動作が不安定になる
Windows Update関連
Windows Update機能に何らかの不具合が発生している場合、更新プログラムのダウンロードやインストールが止まってしまいます。特に、古い更新プログラムが中途半端に適用されている状態や、更新プログラムの依存関係が破損しているケースでは、エラー80070490につながりやすい傾向があります。
システムファイルの破損
Windows Server 2012 R2本体のファイルが破損している場合、DISMやSFCによる修復なしには正しく動作しないことがあります。特に、サーバーの長期間運用によるファイル破損や、不意の電源断・OSクラッシュなどでシステムファイルが断片化・破損しているケースでは、エラー80070490が発生しやすくなります。
その他の要因
ウイルス対策ソフトやセキュリティツールの干渉によってWindows Updateが正常に機能しない場合や、過去のアップデートが不完全な状態で残っている場合も考えられます。また、マルウェア感染などによってOSの構成自体が損なわれている場合にも、同様のエラーが引き起こされることがあります。
エラー解決の一般的な手順
Windows Server 2012 R2がすでにサポート終了を迎えている現状でも、下記の一般的な手順を行うことで問題が解決する可能性があります。基本的にはWindows 8.1系のトラブルシューティングと同様の方法で対処できますが、サポート終了後に配布される修正プログラムは存在しないため、根本的な解決を目指すなら新しいOSへの移行を検討すべきです。
DISMコマンドによるシステムイメージの修復
DISMコマンド（Deployment Image Servicing and Management）を利用すると、破損したWindowsコンポーネントストアを修復できます。管理者権限のコマンドプロンプト、またはPowerShellから以下のコマンドを実行します。
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
このコマンドを実行することで、Windows Updateのコンポーネントが破損している場合やストアファイルに不整合がある場合に修復が試みられます。修復に成功すると、再度Windows Updateを試行したときにエラー80070490が解消されることがあります。ただし、修復に必要なソースがサーバー内もしくはインターネット上で適切に取得できる状態であることが前提となります。
SFCスキャンによるシステムファイルのチェック
DISMコマンドによるストア修復が完了したら、次にSFC（System File Checker）ツールを用いてシステムファイルの整合性をチェックします。手順としては以下のコマンドを同様に管理者権限で実行します。
sfc /scannow
このコマンドにより、破損したWindowsシステムファイルを検出し、自動的に修復を試みます。サーバー環境下では、長期間にわたる運用や頻繁なアップデート作業の積み重ねにより、想定外のシステムファイルの欠損や破損が生じていることがあるため、定期的にSFCスキャンを実行すると良いでしょう。
Windows Updateコンポーネントのリセット
エラー80070490が起きる理由としては、Windows Updateコンポーネント周りのキャッシュやフォルダに何らかの問題が発生している可能性も高いです。以下の手順でWindows Updateサービスを停止し、SoftwareDistributionフォルダをリネーム、再度サービスを開始することで、キャッシュをリセットできます。
net stop wuauserv net stop bits rename C:\Windows\SoftwareDistribution SoftwareDistribution.old net start wuauserv net start bits
この方法を実行すると、キャッシュがリセットされるため、再度Windows Updateが正常に動作することが期待できます。リネームしたSoftwareDistribution.oldフォルダは、一連の作業が正常に完了したことを確認した後で削除しても問題ありません。
アップデートの再適用やクリーンインストール
特定の更新プログラムでエラーが出る場合、該当するアップデートをいったんアンインストールして再度適用してみる方法も有効です。また、OSそのものが深刻に破損している場合には、クリーンインストールを行うことが近道になることがあります。ただし、重要データのバックアップや事前のテストを十分行った上で実行する必要があります。
もし継続的に運用するサーバーであれば、再インストールよりも新しいWindows Serverへのアップグレードを並行して検討するほうが、長期的には効率的な選択となるケースが多いです。
サーバーの移行とアップグレードの重要性
Windows Server 2012 R2を使い続けている間は、どうしてもセキュリティリスクや不具合の頻発が避けられません。サポート終了後に発見された脆弱性は、基本的に修正パッチが提供されません。さらに、ドライバやアプリケーションの対応状況も少しずつ現行OSに移行していくため、古いOS上で最新ソフトウェアを使いにくくなる懸念があります。
最新バージョンのWindows Serverでは、パフォーマンスやセキュリティ面が大幅に向上しているほか、新機能や管理ツールも充実しています。移行作業は確かに大きな手間がかかりますが、サーバーに必要な役割（IIS、ファイルサーバー、Hyper-Vなど）をより安全かつ安定して運用できるメリットは大きいといえるでしょう。
サポート終了のリスク
サポートが終了したOSを本番環境で利用し続けることは、企業のセキュリティポリシー上問題になる可能性があります。コンプライアンスの観点でも、万が一情報漏洩や不正アクセスが発生した場合、更新プログラムが提供されていない古いOSを使用していたことが指摘されるケースも考えられます。これは企業イメージや信頼問題にも直結するため、早めに最新OSへの移行を検討すべきです。
移行のポイント
移行を計画する際には、現行サーバーのアプリケーションやデータ構成、バックアップ体制を整理するとともに、新環境でのテスト計画をしっかり立案することが大切です。特に、以下のポイントを踏まえて計画するとスムーズな移行が期待できます。
- ハードウェア要件の確認（CPU、メモリ、ディスク容量など）
- ライセンス体系の確認（エディションやCALなど）
- 移行に伴うサーバー停止時間やダウンタイムの最小化
- 業務アプリケーションの互換性検証と事前テスト
- 移行手順書やチェックリストの作成
特に、Windows Server 2019や2022への移行を検討する場合、Hyper-V環境のバージョンアップやドメインコントローラーの移行手順など、個別の検討事項が多数存在します。組織全体のITインフラを見直す絶好の機会として、しっかりとしたプランニングを行うと良いでしょう。
実運用での注意点
Windows Server 2012 R2でエラー80070490が発生した場合、すぐに原因が特定できない場合もあります。トラブルシューティングを円滑に進めるうえでは、日常からの運用管理と監視体制が重要となります。
バックアップ戦略
何よりも大切なのは、万一OSに深刻な不具合が発生しても、すぐにリストアできるようにバックアップ体制を整備しておくことです。システム状態のバックアップに加え、重要データのバックアップはオンサイト・オフサイトの両面で取得し、復元テストを定期的に行うようにします。ディスクイメージのバックアップからインスタントリカバリする方法など、多様なバックアップ手段を用意しておくと安心です。
テスト環境の構築
本番サーバーでいきなり大規模なアップデートやクリーンインストールを実施すると、予期せぬトラブルによって業務に重大な支障が出る可能性があります。そのため、可能であれば同等のテスト環境を構築し、そこにOSアップデートや修復手順を適用して、問題が生じないかを事前に検証することが望ましいです。テスト環境は仮想マシンなどを活用することで、比較的容易にセットアップできることもあります。
まとめ
Windows Server 2012 R2で発生するエラーコード80070490は、主にWindows Updateやシステムファイル破損などが原因となり発生します。既にサポートが終了しているOSゆえに、公式の修正パッチやサポートを受けることは期待できませんが、DISMコマンドやSFCスキャン、Windows Updateコンポーネントのリセットなど、基本的なトラブルシューティング手順を実行することで改善するケースは少なくありません。
ただし、サポート終了後はセキュリティリスクが高まり、継続的な更新プログラムも提供されないため、長期的な運用を考えるなら、やはり最新のWindows Serverへの移行を検討することが最善の選択肢です。移行に際しては、業務アプリケーションの互換性やライセンス形態、ハードウェア要件など考慮すべき点が多いため、しっかりとした計画を立て、テスト環境を活用して慎重に進めると良いでしょう。最終的には安全性と安定性を優先し、将来的に発生しうるトラブルを未然に回避するためにも、サポートの受けられる最新OSへの段階的な移行をおすすめします。
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