Dell XPS 17で実現するWindows Server 2022クリーンインストールのポイント

最新のハイエンドノートパソコンを活用してサーバー環境を構築したいと考える方は少なくありません。特にDell XPS 17のようにハイスペックなマシンであれば、Windows Server 2022をインストールしてテスト環境や開発環境を充実させることが可能です。ただし最新モデルならではのドライバー未対応などの問題があり、スムーズに進めるためにはいくつかのポイントを押さえておく必要があります。

Windows Server 2022をDell XPS 17にクリーンインストールするための準備

Windows Server 2022をDell XPS 17にインストールする際には、Windows 11 Proがプリインストールされている状態からサーバーOS用に環境を構築し直すことになります。まずはBIOSやドライバーに関する事前準備をしっかり行うことが重要です。

インストールメディアの作成

Windows Server 2022のISOイメージをMicrosoft公式サイトなどから入手したら、以下の手段でインストール用USBメモリを作成します。推奨される容量は8GB以上です。

  • Rufusを使用: Rufusはフリーソフトで、USBメモリをブート可能なインストールメディアにするためのツールです。ISOイメージを選択し、Partition schemeなどの設定を確認して作成します。
  • Microsoftの公式ツール: Windows Server専用のメディア作成ツールはありませんが、Windows 10/11のメディア作成ツールを使い、その後にISOファイルを書き込む方法もあります。
項目内容
USBメモリ容量最低8GB以上推奨
フォーマット形式FAT32またはNTFS(Rufus使用時に設定)
ブートモードUEFIブート推奨(BIOS設定と一致させる)

BIOS/UEFIの設定確認

最近のDell XPS 17はUEFIが標準ですが、Windows Server 2022のセットアップではセキュアブート設定やストレージモード(RAID / AHCI)などが影響する場合があります。必要に応じて、下記をチェックしてください。

  1. Secure Bootの設定: 有効/無効の切り替えでインストールの成否が変わる場合があります。もしインストールが進まないときは一時的にSecure Bootを無効化してみる価値があります。
  2. SATA Operation(ストレージモード): 「RAID On」や「AHCI」が選択できます。DellのノートPCではRAID Onが既定になっている場合が多く、インストール途中でストレージが認識されない場合は、Intel RSTドライバーを手動で読み込む必要があります。
  3. Boot List Option: LegacyモードではなくUEFIモードを選択すると、最新のインストールに対応しやすくなります。

Intel Rapid Storage Technology (RST)ドライバーの重要性

Windows 11 Proが初めから入っているDell XPS 17に対して、Windows Server 2022をクリーンインストールする際に最も多いトラブルが「ストレージが認識されない」という問題です。これはWindows Server 2022の標準ドライバーが一部の新しいハードウェアに対応していないために発生します。

ドライバーがないとどうなる?

インストール画面で「詳細(カスタム)インストール」を選んだとき、ストレージに関する項目がまったく表示されず、「ストレージドライバーが必要です」というメッセージが出ることがあります。そのままではOSをインストールするドライブを指定できません。
ここで必要になるのがメーカー提供のIntel Rapid Storage Technologyドライバーです。

具体的なダウンロード手順

  1. Dell公式サポートサイトへアクセス: サポートページに移動し、XPS 17(2023年製)に対応したドライバーを探す。
  2. サービスタグやモデル名で検索: Dellパソコンには固有のサービスタグが付与されています。これを入力すると正確な機種のページにたどり着くことができます。
  3. ドライバーページからIntel RSTをダウンロード: OS選択欄でWindows 11、あるいはWindows 10が表示される場合がありますが、それでもIntel RSTドライバーの最新版が収録されていることが多いので、それをダウンロードします。
  4. USBメモリへ保存: 後でWindows Server 2022のセットアップ時に認識させるため、フォルダごとUSBメモリなどにわかりやすく保存しておきましょう。

Windows Server 2022クリーンインストールの手順

ここからは実際にUSBメモリからブートし、Windows Server 2022をクリーンインストールする際の流れを解説します。

1. BIOSブートオプションの選択

  1. パソコンの電源を入れ、Dellロゴが表示されたらF12キー(またはF2キー)を押してブートメニュー・BIOS設定に入ります。
  2. 作成したWindows Server 2022インストール用USBメモリを接続し、UEFIブート対象として認識されているか確認します。
  3. 「Boot from UEFI: <USBドライブ名>」を選択しEnterキーを押します。

2. Windows Server 2022インストールウィザード

  1. 言語とキーボードのレイアウトを選択したら「今すぐインストール」をクリックします。
  2. プロダクトキー入力画面が表示された場合は、手持ちのライセンスキーを入力するか、後でアクティベーションする場合は「キーがありません」を選択して進めます。
  3. インストールするエディションを選択します。GUI付きのStandardまたはDatacenterを選ぶことが多いですが、必要に応じてCore版も検討してください。

3. ストレージドライバーの読み込み

ここで「ストレージドライブを選択する」画面に進んだ際、空欄になっていてドライブが見えないケースがあります。画面の下部に「ドライバーを読み込む」または「ドライバーが必要です」というリンクやボタンがあるのでそれをクリックし、先ほどUSBメモリに保存したIntel RSTドライバーを指定します。

例: ドライバー読み込み手順
-------------------------
1. 「ドライバーが必要です」をクリック
2. 「参照」ボタンを押してUSBドライブを選択
3. "f6flpy-x64" などのフォルダを指定
4. 適合するINFファイルを選択
5. OKボタンを押すとドライバーが読み込まれます

読み込みに成功すると、これまで表示されなかったストレージデバイスが一覧に出現し、通常どおりパーティションの選択や作成ができるようになります。

4. Windows Server 2022のセットアップ

ドライバーが正常に読み込まれたら、インストールしたいSSDを選んでパーティションを分割するか、そのまま割り当てるかの選択をします。なお、事前にWindows 11が入っていた領域を完全に消す場合は、「ドライブオプション(詳細)」で既存のパーティションを削除してから「新規」をクリックし、OS用のパーティションを作成します。

DiskPartを使ってクリーンな状態にする方法

もしGUIで操作する前に完全にストレージを初期化したい場合は、以下のようにShift + F10でコマンドプロンプトを開き、DiskPartコマンドを使用する方法もあります。

diskpart
list disk
select disk 0
clean
convert gpt
exit
  • select disk 0: インストール先のディスクを選択
  • clean: すべてのパーティション情報を削除
  • convert gpt: GPTディスクとして初期化
    その後、インストーラー画面に戻ればパーティションが空になった状態から作成できます。

5. インストール完了と初期設定

OSのファイルコピーが終わったら数回再起動を経て、初回の設定画面が表示されます。Windows Server 2022の場合、初回ログインではパスワードの作成、コンピュータ名やネットワーク設定などの初期構成が必要です。

トラブルシューティングと注意点

Windows Serverを最新のラップトップに入れる場合、以下の点を留意しておくとスムーズです。

ドライバー更新と互換性

  • チップセットドライバー: Windows Server向けに配布されていない場合もありますが、Windows 11用のドライバーが流用できるケースが多いです。
  • Wi-Fi / Bluetooth: サーバーOS用のデフォルトドライバーが対応していないことがあります。メーカーの公式サイトやIntel公式サイトからドライバーを個別に入手し、インストール後にネットワーク機能を有効にしましょう。
  • グラフィックドライバー: サーバーOSだとGPUのドライバーが標準では十分に最適化されていない場合があります。ディスプレイ表示に問題が出る場合は、NVIDIAやIntelのサイトからWindows Server 2022対応のドライバーをダウンロードします。

BIOSアップデートの重要性

製品発売後に公開されるBIOSアップデートで、Windows Server 2022との互換性が向上する場合があります。公式サポートページで最新バージョンをチェックし、適用すると予期せぬ不具合が減る可能性が高いです。

ライセンス上の注意

Dell XPS 17は主にクライアントOSでの利用を想定している製品ですが、個人または企業内の検証・開発目的でWindows Serverを導入する際は、正規のWindows Serverライセンスを準備する必要があります。サブスクリプションやボリュームライセンスなど、用途にあわせたライセンスプランを検討しましょう。

Intel RSTドライバーを使ったインストールのメリット

どうしてもサーバーOSへのドライバー対応が不足しがちなノートPCですが、Intel RSTを使うと以下のようなメリットが得られます。

  1. 高性能かつ安定したストレージアクセス: RAIDモードがサポートされていれば、複数ドライブを利用した冗長化や高速化の恩恵を得ることができます(XPS 17の構成によります)。
  2. 起動速度の最適化: RSTによるキャッシュ機能などが活用されれば、システムの起動やファイルアクセス速度向上が期待できます。
  3. メーカー公認のサポート: Dell公式サイトから入手できるドライバーであれば、Dellのサポートチームも最低限のサポートを提供してくれる可能性があります。

まとめと活用アイデア

Windows Server 2022をDell XPS 17にインストールする手順は、一見ハードルが高そうに見えますが、必要な手順を整理して進めれば難なくクリアできます。特に最新モデルではIntel RSTドライバーの読み込みがカギとなります。サーバーOSをノートPCに導入することで、オフィスや自宅でも本格的なテスト環境やデモ環境を素早く構築できるメリットがあります。

  • Webやメールのテストサーバー運用: 持ち運び可能なラップトップでサーバー環境をいつでも準備できる。
  • Hyper-Vによる仮想化: 高性能なGPUとCPUパワーを活かし、複数の仮想マシンを同時に動かすことが可能。
  • 開発環境の統合: Visual StudioやSQL Serverなどの開発者向けツールを一括管理し、いつでもテストデプロイできる。

このように、Dell XPS 17を使ってWindows Server 2022を運用するのは、意外にも多様なメリットがあります。ドライバー対応やBIOS設定をしっかり把握し、ノウハウを積み上げることで、より効率的なシステム運用や開発作業が実現できるでしょう。

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