アップグレード直後のトラブルに直面すると、楽しみにしていた新機能や便利さが一気にかすんでしまうことがあります。実際、私自身もWindows 10からWindows 11へ移行した際、Windows Defender Firewallが突然停止して動かなくなり、思わぬ時間を取られました。今回の記事では、同じような状況でお困りの方に向けて、設定の確認方法から具体的な修復手順までをわかりやすくご紹介していきます。アップグレード後のWindowsをスムーズに使えるようになるよう、お手伝いできれば幸いです。
Windows Defender Firewallが停止中のままになってしまう原因
Windows Defender Firewallが停止中のままになり、再起動もままならない状態は非常にストレスフルです。私自身も初めて経験した時には、セキュリティリスクが高まっているのではないかと不安に駆られました。一般的に考えられる原因としては以下のようなものが挙げられます。
アップグレード時のファイル破損や設定の不整合
Windows 10からWindows 11へのアップグレード作業は、実はかなり複雑なプロセスです。途中でファイルの整合性が崩れてしまったり、システム設定の引き継ぎがうまくいかないことがあるようです。特に、防御系のシステムコンポーネントは依存関係が多いので、わずかな不具合でもFirewallが動かなくなってしまうケースがあります。
依存サービスの停止
Windows Defender Firewallは単独で動いているように見えますが、実際にはBase Filtering Engine(BFE)やWindows Defender Firewall(MpsSvc)など、複数のサービスと連携しています。これらのうちどれかが無効化または停止してしまうと、Firewallそのものが正常に立ち上がらないことがあります。
レジストリ破損
アップグレード中にシステム内部のレジストリが誤って書き換えられたり、古い設定が残ったままになって新しい設定と競合してしまうと、Firewallやストアなどの機能にも悪影響を及ぼす可能性があります。私の場合もレジストリ関連を疑ってバックアップを取った後、修復ツールを試したところ改善につながりました。
Microsoftストアのエラーとの関連
Windows Defender Firewallが動作していないと、Microsoftストアでのダウンロードがエラー(0x800706d9など)を引き起こすケースが多いです。私もストアアプリの更新や新規ダウンロードができず、最初は原因がわからずに右往左往していました。結果的にFirewallが停止していたことが発端だったというわけです。
対処法を段階的に試す重要性
トラブルが起きた時は、いきなり大規模な手段(例:OSの再インストール)に飛びつきたくなる気持ちになるかもしれません。でも大幅なリセットは、場合によっては不要な労力となることもあるため、段階的に対処してみるのがおすすめです。
ステップ1:依存サービスの確認と再起動
依存サービスを確認してみましょう。アップグレード後のWindowsは、時にサービス設定が意図せず変更されることがあります。具体的には以下のサービスがカギとなります。
Base Filtering Engine(BFE)
このサービスが停止していると、Firewallの動作に重大な影響を及ぼします。サービス管理ツールでBFEが「実行中」になっているかをチェックし、停止中であればスタートアップの種類を自動に設定して再起動を試してみてください。
Windows Defender Firewall(MpsSvc)
こちらがいわばFirewallの本体といっても過言ではありません。BFEと同様にサービス状況を確認し、もし停止中であれば起動を試しましょう。グレーアウトしていて変更できない場合は、レジストリエディタのバックアップを取りつつ確認・修正してみるのも一つの方法です。

私が実践した時は、BFEがなぜか手動起動になっていて、Firewallも連鎖的に動かなくなっていました。自動に戻してPCを再起動したところ、Firewallが動くようになったので本当にほっとしました。
ステップ2:システムファイルの修復
既にDISMを試しても直らなかった場合でも、改めて以下の手順を実行することで効果が出る可能性があります。私も一度は失敗したと思っていたのですが、再度試したらうまくいったことがありました。
システムファイルチェッカーの実行
1. 管理者権限でコマンドプロンプトまたはPowerShellを開く
2. sfc /scannow を入力し、Enterキーで実行
3. 終了後、必要に応じて再起動して状況を確認
この手順は、一見地味ですがシステムファイルの破損を修復してくれる有用な方法です。時間がかかる場合もあるので、焦らずに待ってみましょう。
DISMコマンドの再確認
DISM /online /cleanup-image /restorehealth を使うと、Windowsのイメージを正常な状態に戻すことができます。すでにお試しの方も多いかと思いますが、インターネット接続環境が安定しているときに改めて実行してみるのが良いでしょう。
ステップ3:Firewallのリセット
Firewallの既定設定が崩れている場合は、リセットを試すことで改善することがあります。管理者権限のコマンドプロンプトまたはPowerShellで以下を入力してみてください。
netsh advfirewall reset
この操作を行うと、これまでのカスタムルールが消えてしまうので注意が必要ですが、Firewallが機能しないよりははるかに安全です。
Microsoftストアに関連するエラーへの対処
Firewallが動作しないと、Microsoftストアからのアプリインストールや更新プログラムのダウンロードに失敗することがあります。私の場合も、0x800706d9のエラーが出続けて、最初はストア側のトラブルだと勘違いしていました。
トラブルシューティングツールの活用
Windowsにはトラブルシューティングツールが用意されています。設定からシステム、トラブルシューティング、その他のトラブルシューティングへ進むことで「Windowsストアアプリ」の診断を実行できます。これで問題が特定できれば早いですし、簡単に解決できる可能性もあります。
ストアアプリの再登録
エラーが続く場合は、PowerShell上でストアアプリを再登録する手段があります。これはストアアプリそのものを初期状態に戻すイメージです。
PowerShell -ExecutionPolicy Unrestricted -Command “Get-AppXPackage | Foreach {Add-AppxPackage -DisableDevelopmentMode -Register ($_.InstallLocation + ‘\AppXManifest.xml’)}”
上記を実行すると、一通り再登録が行われるので、その後ストアを開き直してみてください。私の経験では、この手順のおかげでストアからのダウンロードがスムーズに進むようになりました。
レジストリの破損を疑う場合
万が一、レジストリが破損していると複雑な状況になりがちです。Microsoft公式コミュニティでも0x800706d9エラーに関する多彩な情報が紹介されています。公式のトラブルシューティングガイドに従うのは安心感がありますので、英語でも構わない方はぜひ確認してみてください。
具体的手順をまとめた表
以下に、よくある対策を簡単に確認できるようにまとめました。状況に応じて試してみてください。
手順 | 内容 | 期待される結果 |
---|---|---|
1. 依存サービスの確認 | Base Filtering Engine, Windows Defender Firewallなどが正常に動作中かチェック | サービスが自動起動に設定され、Firewallが動き出す |
2. システムファイル修復 | sfc /scannow や DISMコマンドでOSの整合性をチェック | 破損ファイルが修復され、Firewallなどの機能が復旧 |
3. Firewallリセット | netsh advfirewall reset でFirewall設定を既定に戻す | カスタムルールは消えるが、Firewallが正常動作に戻る |
4. ストアアプリの再登録 | PowerShellでストア関連アプリを再インストール | ストアエラーが解消し、アプリの更新・インストールが可能に |
5. レジストリ修復 | バックアップを取った上で、破損箇所を修正または復元 | サービス設定やストア動作が安定し、Firewallも起動できる |
6. 最終手段:修復インストール | システム復元ポイントへロールバック、またはインプレースアップグレード | OSをクリーンに再構築し、すべてのシステム機能が基本に戻る |



表を見ながら、上から順番に試していくのがおすすめです。私も上から順に確認したら、思ったより早い段階で解決策を見つけられました。
追加のヒントや注意点
Windows Defender FirewallはOSのセキュリティを担う重要な存在です。ストアアプリの問題だけでなく、オンラインサービス全般にも関わってきますので、早めに解決しておきたいところです。いくつかのヒントをご紹介します。
アップデートの頻度と内容を確認する
Windows Updateの履歴をチェックしてみると、Firewallに関連する更新が失敗している場合があります。更新プログラムが原因で一時的にFirewallが動作しないケースもあるので、オプション更新なども含めて確認してみましょう。
ネットワーク環境の影響
会社や学校などの管理されたネットワーク環境では、独自のポリシーやセキュリティ設定が導入されていることがあります。その場合、個人のPC側でいくら設定を変えてもFirewallが思うように動かない可能性があります。自宅で試してうまくいくのに、職場でうまくいかない場合はネットワーク管理者に相談するのが一番です。
サードパーティ製セキュリティソフト
別のセキュリティソフトをインストールしている環境では、そのソフト側のFirewall機能が干渉しているかもしれません。特にWindows標準のFirewallが停止している、もしくは起動できない状況だと、外部ソフトが優先されている可能性もあります。意図しない競合を避けるために一度アンインストールや無効化を検討するのも手です。



私の友人は、ウイルス対策ソフトを別途入れていたためにWindows標準のFirewallが起動しない設定になっていました。結局、そのソフトのFirewall機能をオフにしたところ、Windows Defender Firewallが復活しました。
修復インストールやシステム復元ポイントの利用
最終手段として、Windows 11のインプレースアップグレード(修復インストール)を行う選択肢があります。大掛かりな作業にはなりますが、OS環境を丸ごと初期状態に近いところまで戻せるため、深刻なシステム破損が原因の場合には有効です。必要に応じてデータのバックアップを忘れずに。
体験談:私が試行錯誤して解決した流れ
私自身、Windows 10からWindows 11へのアップグレード後にFirewallが停止してMicrosoftストアが使えない事態を経験しました。その時は以下の流れで問題を解決しました。
1. サービスの確認
サービス管理画面を開いてみると、Base Filtering Engineが手動になっていて停止中。これを自動に変更して起動したら、一瞬だけFirewallが動きかけました。
2. システムファイル修復と再起動
sfc /scannowとDISMを試して再起動。Firewallはまだグレーアウトしている状態だったので焦りました。
3. netsh advfirewall resetで初期化
これによってようやくFirewallの状態が停止中ではなく起動可能になりました。カスタム設定は消えましたが、セキュリティが確保される安心感には代えられません。
4. Microsoftストアのトラブルシューティング
ストアトラブルシューティングを実行してエラーが見つからず少し落胆。しかしPowerShellでストアアプリを再登録したら、無事にエラー0x800706d9が消え、アプリのインストールに成功。
まとめ:早めの対処が鍵
Windows Defender Firewallが止まってしまうと、セキュリティリスクが高まるだけでなく、Microsoftストアなどのオンラインサービスにも大きな影響が出てきます。アップグレード後の環境では、サービスの状態やレジストリなどが予期せず変化している場合も珍しくありません。段階的な対処によって問題を一つずつクリアしていくことが大切です。
追加のアドバイス
サードパーティのセキュリティソフトや、グループポリシーの適用状況も念のため確認してみましょう。特に企業内ネットワークや教育機関のPCを使っている方は、管理者が設定を変更しているケースもあります。まずは環境に合わせた基本的な確認と修復手順を試してみて、それでも改善しない場合は専門家や公式コミュニティに相談するとスムーズです。



Windowsアップグレード後は、思わぬところに不具合が潜んでいることがあります。しかし、必要以上に焦らず一つひとつ試していくと、意外と簡単に解決できるケースも多いですよ。
よくあるQ&A
Q1: Firewallをリセットしたらルールが消えてしまうのが心配です。
A1: カスタムルールを数多く設定している方には面倒かもしれませんが、一度デフォルトに戻すことで問題が解消されやすいのも事実です。どうしても必要なルールは、事前にメモしておいたりバックアップツールを活用すると安心です。
Q2: DISMやsfcを実行しても何も修復されない表示ですが、本当に問題ないのでしょうか。
A2: コマンド結果で修復が行われなかったとしても、複数回試すうちに修復が行われるケースもあります。一度実行して問題が見つからなかった場合も、環境が安定しているタイミングで再度実行すると良いことがあります。
Q3: 他のWindowsセキュリティ関連サービスも止まっているようですが、一括で直す方法はありますか。
A3: システムの復元ポイントを使うことで、まとめて以前の状態に戻す方法があります。復元ポイントが利用できるなら、アップグレード直前に戻して再度手順を踏むのも一つの解決策です。必要に応じてデータのバックアップを取っておきましょう。
Q4: レジストリエディタで修復するのが怖いです。どうしたらいいでしょうか。
A4: レジストリの修正は確かにリスクがあります。事前にレジストリのエクスポート機能でバックアップを取り、変更内容をメモしておくと、万が一失敗しても元に戻せる可能性が高いです。自信がない場合は公式コミュニティや詳しい専門家にアドバイスを求めることをおすすめします。
今後の予防策
トラブルの再発を防ぐためにも、アップデート前にできる限りの下準備をしておくことが有効です。私の周りでも「アップデートする前に、不要なファイルやアプリを整理しておけばよかった」と後悔している人が少なくありません。Windowsのアップデートは定期的にあるものなので、実行前に以下のような予防策をとると安心です。
システム復元ポイントの作成
アップグレード前に手動でシステム復元ポイントを作成しておけば、万が一の時に戻す先が明確になります。Windows 10時代は自動で作成されている人も多いですが、Windows 11に移行すると設定が変わることもあるので要注意です。
不要なアプリやプログラムのアンインストール
OSをアップデートする際には、現在不要なアプリやドライバを事前に削除しておくとトラブルを回避しやすくなります。特に古いデバイスドライバが引き金となってFirewallに影響を与える可能性もあるので、こまめなメンテナンスが重要です。
重要データのバックアップ
万が一、修復インストールなど大きな対策が必要になっても、バックアップさえ確保されていれば精神的な負担はかなり軽減されます。クラウドや外付けHDDなど、複数の手段で安全に保存しておくと良いでしょう。
安定したインターネット環境を用意する
アップデートやトラブルシューティングツールを活用するには、ネット接続が安定していることが重要です。途中で切断されると、せっかくの修復作業が中断されたり、DISMコマンドでオンラインコンポーネントの取得に失敗してしまうことがあります。



私もWi-Fi接続が不安定な時にDISMを走らせていて、修復に失敗した経験があります。LANケーブルで有線接続にしたところ、スムーズに動いてくれました。
最後に
Windows Defender Firewallの停止やストアエラーなど、アップグレード後に起こるトラブルは「なんだか難しそう」と思われがちですが、実際に順を追って対処していけば意外とシンプルな要因であることも多いです。大事なのは、一つひとつのステップを落ち着いて試すこと。問題が解決したら、今後のアップデート時にはあらかじめ予防策を取ることで、同じような事態を防ぐことができます。時間と手間をかけてでも、安定したセキュリティ環境を構築しておく価値は十分にあると思います。



私もこれを機に、自分のPC環境を見直すきっかけになりました。結果的に、不要なプログラムや古いドライバを整理することができ、快適度も上がったのでよかったです。
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