WindowsエクスプローラーでPDFプレビューが表示されない時の解決方法~PowerToysでトラブルを一掃~

WindowsエクスプローラーでPDFファイルのプレビューが表示されずに困っている方は多いかもしれません。特に「This file can’t be previewed because of an error in the PDF Preview Handler.」とエラーが表示される場合は、既定のPDFリーダーやエクスプローラー側の設定が影響している可能性があります。本記事では、Microsoft純正ツールのPowerToysや既定アプリの設定を見直すことで、この不具合を解消する方法を分かりやすく解説します。

WindowsエクスプローラーでPDFプレビューが表示されない原因

Windows 10のエクスプローラーでPDFプレビューがうまく表示されない背景には、いくつかの要因が考えられます。多くの場合、PDFプレビューを提供するハンドラーの不備や、複数のPDFリーダーをインストールしていることによる競合、あるいはWindowsエクスプローラー側の設定が正しく認識されていないことなどが理由として挙げられます。

PDFプレビューハンドラーとは

PDFプレビューハンドラーは、Windowsエクスプローラー上でPDFファイルを簡易表示するための仕組みです。これが正常に機能しない場合、プレビュー画面にエラーが表示されてしまいます。通常はAdobe AcrobatやMicrosoft Edgeなどが搭載するハンドラーが使われますが、Sumatra PDFのような軽量ビューワーを既定に設定している場合、何らかの理由でハンドラー登録がうまくいかず不具合を起こすことがあります。

Windows標準機能と既定アプリの競合

Windows 10では、Edgeが標準でPDFの閲覧機能を持っています。そのため、他のPDFリーダーを導入した場合でも、エクスプローラー上のプレビューペインでどのハンドラーが優先されるかが曖昧になり、エラーとなるケースがあります。特にAdobe Acrobat Readerを導入している場合は、AcroPDF.dllというプレビュー用ファイルが登録されますが、これがうまく呼び出されないとプレビューはエラーを起こします。

Sumatra PDF特有の問題

Sumatra PDFは軽量・高速で人気のPDFリーダーですが、Windowsのプレビュー機能やサムネイル作成機能に関しては、他のPDFリーダーほど正式に統合されていない場合があります。したがって、Sumatra PDFを既定アプリとして設定していても、エクスプローラーのプレビューペインではAdobe Acrobatなどのプレビューハンドラーが呼び出されることがあり、この呼び出しの連携がうまくいかないとエラーが発生します。

PowerToysを利用した解決策

上記のような原因がある中で、多くのユーザーが利用しているのがMicrosoft製の「PowerToys」です。このツールにはファイルプレビューの拡張機能が含まれており、PDFプレビューをはじめとしてSVG、Markdown、ソースコードファイルなど、さまざまな形式をエクスプローラー上でプレビュー可能にしてくれます。

PowerToysのダウンロードとインストール

PowerToysは以下の公式サイトからダウンロードできます。
PowerToys公式ダウンロードページ

  1. MicrosoftのGitHubページにアクセスして最新のインストーラーをダウンロードします。
  2. ダウンロードしたexeファイルを実行し、画面に従ってインストールを進めます。
  3. インストールが完了するとPowerToysの設定画面が起動します。

PDFプレビューを有効にする手順

PowerToysのインストール後、次の手順でPDFプレビュー機能を有効化します。

  1. PowerToysを起動し、左サイドバーにある「File Explorer アドオン」をクリック
  2. 右ペインに表示されるオプション一覧の中から「PDF プレビュー」もしくは「PDF Thumbnails(サムネイル表示)」を探す
  3. 該当する項目にあるトグルスイッチをオンにする
  4. Windowsエクスプローラーを再起動して、プレビューペインを表示し直す

これでPowerToysのプレビュー機能が動作し、PDFプレビューエラーが解消される場合があります。

設定時のポイント

  • 既にSumatra PDFやAdobe Acrobat Reader、Microsoft Edgeなどが入っていても、PowerToys側でPDFプレビューがオフになっているとプレビューは正常に動作しない可能性があります。
  • PowerToysが正しくインストールされていない、もしくはバージョンが古い場合、不具合が起こることもあるため、常に最新バージョンを利用することをおすすめします。
  • セキュリティソフトやグループポリシーによってPowerToysの機能がブロックされている場合があります。その場合は、対象のソフトやポリシー設定でPowerToysを許可する必要があります。

PDFリーダーの既定アプリ設定を見直す

PowerToysのプレビュー機能を有効にしても問題が解決しない場合、Windows 10側の既定アプリ設定を見直すことが有効です。PDFファイルを開く際の既定アプリは、プレビューの挙動にも影響を及ぼします。

Adobe Acrobat Readerへの切り替え手順

  1. Windowsのスタートメニューから「設定」を開き、「アプリ」を選択
  2. 左メニューの「既定のアプリ」をクリック
  3. ファイルの種類ごとに既定のアプリを設定する画面に移動し、「.pdf」の項目を探す
  4. ここで「Adobe Acrobat Reader」を選択し、設定を保存する

この操作を行った後、Windowsエクスプローラーを再起動してプレビューペインを開き直すことで、Adobe Acrobat Readerのプレビューハンドラーが働き、PDFが表示される可能性があります。

Microsoft Edgeへの切り替え手順

最近のWindows 10では、Microsoft Edgeが標準でPDFを開く機能を備えています。PDFビューワーとして軽量かつ素早く動作するため、プレビューペインにもEdgeのハンドラーが使用される場合があります。上記の手順で「.pdf」の既定アプリをEdgeに設定してから、エクスプローラーのプレビューを試してみると問題が改善されることがあります。

もし解決しない場合の追加対処策

PowerToysの導入や既定アプリの再設定だけでは解決しない場合、システム側のトラブルシューティングやレジストリの見直しが必要な場合があります。以下の方法も検討してみてください。

Officeの「保護ビュー」関連の設定

PDFをプレビューしようとした際に、「保護ビュー」の設定が影響を及ぼしているケースもあります。主にWordやExcelなどで使用される機能ですが、システム全体のセキュリティレベルによってはPDFのプレビューにも何らかの制限がかかることがあります。Officeアプリのオプションから「セキュリティセンター」を開き、「保護ビュー」の項目を確認し、必要に応じて該当機能をオフにしてテストを行ってみてください。

システムファイルチェックの実行

Windowsにはシステムファイルをチェック・修復するための「SFC(System File Checker)」コマンドが用意されています。

  1. 「スタートボタン」を右クリックし、「Windows PowerShell(管理者)」もしくは「コマンドプロンプト(管理者)」を開く
  2. 以下のコマンドを入力してEnterキーを押す
sfc /scannow
  1. 検査が完了すると、破損ファイルが修復されたかどうかが表示される

もしシステムファイルの破損が原因でプレビューハンドラーが正常に呼び出せない場合は、この操作で問題が解消される可能性があります。

よくある質問

問題が発生するタイミングや環境によって、さまざまな疑問が浮かぶかもしれません。ここでは、代表的な質問をピックアップして回答します。

疑問解決策の概要詳細
PowerToysをインストールしても表示されないプレビュー機能の設定を再確認「File Explorer アドオン」の設定画面でPDFプレビューがオンになっているか確認してください。
Sumatra PDFを使いたいがプレビューが動かないPowerToysやAdobeのプレビューハンドラーを使うSumatra PDFはプレビューハンドラーを独自に持たない場合があるので、既定アプリとプレビューハンドラーを別々に設定する必要があります。
Adobe Acrobat Readerでもプレビューが開かないプレビュー用コンポーネントを再インストールAdobe Acrobatを再インストールするか、修復機能を使い、AcroPDF.dllなどが正常に登録されるか確認します。
ビジネス環境での利用が制限されている管理者権限・グループポリシーを確認IT管理者の設定によってはPowerToysの利用が制限されていることがあります。

Windowsエクスプローラーのプレビュー機能を活用するメリット

PDFに限らず、エクスプローラーで各種ファイルをプレビューできるようにしておくと、ファイルを開く前に内容をざっと確認できるため、作業効率が上がります。特にチラシやマニュアル、電子書籍などPDFファイルの内容を頻繁にチェックする場合、プレビューは非常に便利です。

複数ファイルのサムネイル表示

PowerToysの機能を活用すれば、PDFだけでなくSVGやMarkdown、さらにはソースコードのプレビューにも対応できます。例えば、Markdownファイルをプレビューできると、ブログ記事の下書きやドキュメント作成において、いちいちエディタを開かずにレイアウトを確認できるため、とても効率的です。

安全性の確保

プレビュー機能を使うことで、ファイルを実行形式で開くことなく大まかな内容を把握できます。万が一不正なスクリプトが埋め込まれたPDFであっても、直接実行しない分リスクを下げられる可能性があります。ただし、完全に安全というわけではなく、閲覧環境によってはマクロやスクリプトを実行してしまう例もあるため注意が必要です。

トラブルを未然に防ぐポイント

PDFプレビューに限らず、Windowsでのトラブルを減らすためには、日頃から以下のような点に注意しておくと役立ちます。

定期的なOSとアプリの更新

Windowsアップデートや各種アプリケーションのバージョンアップは、セキュリティと互換性の向上に直結します。PDFプレビュー機能が突然使えなくなるのは、更新ファイルやアプリのバージョンによる不整合が原因になることもあります。

不要なPDFリーダーのアンインストール

複数のPDFリーダーを同時にインストールしておくと、どのアプリがプレビューハンドラーを担当するか混乱が生じやすくなります。実際に使用していないPDFリーダーはアンインストールするか、プレビューハンドラーを明確に設定しておくことが望ましいです。

レジストリ編集は慎重に

インターネット上には、PDFプレビューハンドラーを直接レジストリで編集する方法も紹介されています。ただし、レジストリ操作はWindows全体の安定性に関わるため、知識がない場合は安易に手を出さない方が良いでしょう。どうしても修正が必要な場合は、バックアップを取ってから実行し、慎重に検証することをおすすめします。

まとめ

WindowsエクスプローラーでPDFプレビューが表示されない問題は、PowerToysを導入して「File Explorer アドオン」のPDFプレビュー機能を有効にする、あるいはPDFリーダーの既定アプリ設定を見直すことで、多くの場合は解決へと導けます。特にSumatra PDFを既定で使っている場合でも、プレビューハンドラーとしてはAdobeやEdgeが呼ばれるケースがあるため、PowerToysの設定がカギになることが多いです。

もしそれでも不具合が続く場合は、システムファイルの整合性をチェックしたり、セキュリティソフトやグループポリシーによる制限を見直したりするなど、Windowsの環境全体を見直す必要があります。いずれにしても、Windowsをこまめにアップデートし、PDFリーダーの最新版を導入しておけば、プレビュー関連の不具合は最小限に抑えられます。作業効率を上げるためにも、ぜひ本記事で紹介した手順を試してみてください。

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