Surface Laptop 5のドライバ不具合を解消!内蔵ディスプレイ・キーボード・トラックパッドが動作しないときの対処法

Surface Laptop 5(第12世代)にWindows 10 Enterprise 22H2の汎用イメージを展開した後、内蔵ディスプレイやキーボード、トラックパッドが動作しない事態に陥ると不安になりますよね。本記事では、実際に起きたトラブルとその原因を考察しながら、具体的な対処方法や再発防止策を丁寧に解説していきます。

Surface Laptop 5でディスプレイや入力デバイスが動かない原因とは

Surface Laptop 5(第12世代)の内蔵ディスプレイやキーボード、トラックパッドがまったく動作しなくなる原因は、多くの場合ハードウェアそのものの故障ではなく、ソフトウェア面――特にドライバーの不整合やOS構成に起因するケースが考えられます。今回取り上げる事例でも、Lenovo用に構成されていたイメージをWDS(Windows Deployment Services)で展開した結果、Surface特有のドライバが正しく組み込まれなかった可能性が高いと推測されています。

汎用イメージと固有ドライバの不整合

企業や組織では、様々なモデルのPCに共通で使える“汎用イメージ”を作成して一括展開することがよく行われます。しかしながら、メーカーや機種によって必要なドライバやファームウェアが大きく異なるため、特定メーカー(今回であればLenovo)向けに最適化されたイメージをそのままSurfaceシリーズに適用すると、OS上で主要ハードウェアが認識されなかったり、ドライバが競合を起こすなどの不具合に繋がります。

デバイス マネージャーでエラーが表示されない理由

興味深いのは、今回のケースでデバイス マネージャー上にエラーが表示されなかったことです。これは、Windowsが誤認識したドライバを「一応は読み込んでいる」ものの、実際にはSurface専用の機能が正常に扱えず、結果としてディスプレイやキーボード、トラックパッドが動作しない状態に陥っている可能性があります。エラーを直接表示しない場合、ユーザーは「故障かも?」と勘違いしやすいため注意が必要です。

よくある対策とその効果

今回の事例でも、以下の対策を試してすぐには改善が見られませんでしたが、一般的にはドライバ不整合を解消するうえで非常に有用な手段となります。それぞれの特徴を押さえ、複合的にアプローチすることが大切です。

1. Surface 用ドライバ パッケージの手動インストール

Microsoft公式サイトからダウンロードできる「Surface用ドライバ パッケージ」を手動でインストールする方法です。特に最新のSurface Laptop 5は第12世代CPUを搭載しており、それに対応するドライバやファームウェアが必要となります。インストール手順は以下の通りです。

  1. Microsoft公式サイトからSurface Laptop 5のドライバとファームウェアパッケージを入手
  2. ダウンロードしたMSIファイルを実行し、すべてのドライバをインストール
  3. 再起動して動作を確認

ただし、すでに別メーカー向けのドライバが残っている場合、上書きがうまくいかずに不具合が解消されないこともあるため注意が必要です。

2. Microsoft Surface 診断ツールの実行

「Microsoft Surface 診断ツール」は、Windows Updateやドライバの状態をまとめてチェックし、必要な更新や修復を行ってくれます。軽微な不具合であれば、これだけで問題が解決する場合もありますが、ハードウェアドライバの大規模な不整合が発生している場合には対処しきれないことがあります。とはいえ、簡単に試せる手法としては有効です。

3. 他社メーカーのシステム更新ソフトのアンインストール

Lenovoのシステム更新ツールやサポート用アプリケーションがインストールされたままだと、起動時にドライバレベルで余計な処理が走り、Surface用のドライバを邪魔する可能性があります。アンインストールだけで状況が改善するかはケースバイケースですが、「動作確認には余計なソフトを省く」という意味で有効なアプローチです。

アンインストール時の注意点

  • レジストリキーや残存ファイルが残らないようにクリーンアップを行う
  • システム再起動を忘れずに行い、実際に不要なサービスが停止していることを確認する

具体的なトラブルシューティングの手順

Surface固有の不具合はもちろん、Windows環境での一般的なデバイス関連トラブルシューティングにも応用できる手順を整理しておきましょう。

1. 電源ボタン長押しによるリセット

Surfaceシリーズでは、電源ボタンを約30秒長押しすることでUEFIレベルからデバイスを再起動するリセット方法が推奨されています。ハードウェアが完全にリセットされ、ファームウェアも再読み込みされるため、一時的な不具合であればこれで解決する可能性があります。

2. セーフ モードでの起動

Shiftキーを押しながら再起動することで、Windowsを最小限のドライバとサービスで起動できます。セーフモードでデバイスが認識されるようであれば、通常モードで余計なドライバや常駐サービスが競合している可能性が高いです。具体的なセーフモード起動手順は以下の通りです。

  1. Windowsのスタートメニューから「電源」をクリック
  2. Shiftキーを押しながら「再起動」をクリック
  3. 表示されたオプションで「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「スタートアップ設定」→「再起動」を選択
  4. 再起動後のメニューで「セーフモードを有効にする」を選択

3. Surface リカバリー イメージを利用した初期化

最も確実にドライバの問題を解決する方法として、Surface専用のリカバリーイメージを用いた初期化があります。

  • 公式ダウンロードサイト (aka.ms/sri) からイメージを入手
  • 16GB~32GB のUSBメモリをFAT32形式でフォーマット
  • ダウンロードしたイメージをUSBメモリにコピーし、SurfaceをUSBから起動
  • 表示される画面に従いOSをクリーンインストール

この方法ではWindows自体がクリーンに再構成されるため、Lenovo向けドライバなどが混在するリスクを根本的に排除できます。ただし、独自アプリやカスタマイズが多い環境だと再構成に時間がかかる点がデメリットです。

リカバリー後のドライバ最適化

リカバリーイメージで初期化した直後は、必ずWindows Updateと併せてSurface用の最新ドライバパッケージを適用しましょう。これにより、ファームウェアやチップセットドライバなどが最新の状態になり、不具合発生のリスクを下げられます。

ドライバ適用やOSのアップデートが遅延する可能性

今回の問題では、「翌日になって再起動したら正常に戻った」という現象が報告されています。これは、Windows 10 Enterprise 22H2の環境下で何らかのアップデートやドライバ適用がバックグラウンドで進行しており、ユーザーが気づかないうちに再起動のタイミングを待っていた可能性があります。

Windows Updateのバックグラウンド動作

Windows Updateはユーザーが認識しないうちにバックグラウンドで更新をダウンロードし、インストールの準備を整えることがあります。特に、Enterprise環境では更新プログラムの配信ポリシーやWSUS(Windows Server Update Services)の設定に左右されるため、すぐに再起動が行われず、時間差でドライバが有効になるケースがあります。

ドライバ適用の反映に時間がかかるケース

Surfaceや他のPCを問わず、ドライバによっては再起動後に初めて正常動作するタイプのものも存在します。一度インストールが完了していても、OS側が再起動のタイミングでドライバを有効化するように設定している場合、初回再起動ではなく“複数回目の再起動”後にようやく反映されることもあるのです。

表で見るドライバ競合の可能性

以下の表は、Lenovo向けイメージをSurfaceに展開した際に想定されるドライバ競合の例を示しています。あくまで一例ですが、どのドライバが表面上は「正常」とみなされていても、実際に機能不全に陥るかがよくわかります。

デバイス名表示ドライバ実際の必要ドライバ状態
ディスプレイ アダプタGeneric PnP MonitorSurface Laptop 5用ディスプレイドライバ認識のみ(動作不良)
キーボードHID Keyboard DeviceSurface Keyboard Driverシステム上は正常
タッチパッドLenovo Precision TouchpadSurface Precision Touchpad誤認識の可能性大
システム管理インターフェースLenovo System InterfaceSurface System Aggregator競合エラー表示なし

実際の名称は環境によって異なる場合がありますが、上記のように“誤認識または不正確な状態”であってもデバイス マネージャーにエラーが出ないため、見た目では把握しづらい点が問題を複雑化させます。

WDS環境でのベストプラクティス

Windows Deployment Servicesを使うメリットは、複数端末へのOS展開を一括で効率よく行える点にあります。しかし、Surfaceのようにメーカー独自のドライバやファームウェア更新が必須のデバイスでは、イメージ作成時に特段の注意が必要です。

1. 事前に各メーカー向けのドライバを統合しておく

WDS用のカスタムイメージを作成する際に、Surfaceを含む各メーカーのドライバパッケージをあらかじめ含めておくことで、展開後にドライバ不整合が起こる確率を下げられます。具体的には、DISMコマンドを用いてドライバを統合します。

Dism /Mount-Image /ImageFile:"C:\Images\install.wim" /Index:1 /MountDir:"C:\Mount"
Dism /Image:"C:\Mount" /Add-Driver /Driver:"C:\Drivers\Surface" /Recurse
Dism /Unmount-Image /MountDir:"C:\Mount" /Commit

上記のように、Surface向けドライバをまとめて「C:\Drivers\Surface」などに配置しておき、/Add-Driver オプションでイメージに組み込みます。こうすることで、OSインストール直後からSurface専用ドライバが適用されやすくなります。

2. マルチプルブートイメージやタスクシーケンスの利用

Microsoft Deployment Toolkit(MDT)やSystem Center Configuration Manager(SCCM)などを組み合わせると、PCモデル別にドライバを自動判定し、正しいドライバを適用する仕組みを作れます。大規模な環境ほどこのアプローチが有用です。

3. 展開後の自動アップデートスクリプト

展開直後にWindows UpdateやSurface固有のアップデートを自動でチェックするスクリプトを実行させることで、ドライバの最終整合性を確保します。例えばPowerShellを利用して以下のような流れを実装します。

# Windows Updateによる更新チェック
Install-PackageProvider -Name NuGet -Force
Install-Module PSWindowsUpdate -Force
Import-Module PSWindowsUpdate

Get-WindowsUpdate -AcceptAll -Install -AutoReboot

# Surface用ドライバの再インストール(必要に応じて実行)
Start-Process "SurfaceDriverPackage.msi" -Wait

このように、WDSでOSを展開した後の自動処理を組み込むことで、ドライバやアップデートの遅延を最小限に抑え、今回のようなトラブルを回避しやすくなります。

最終的な解決と原因の推測

質問者のケースでは、翌日になって再起動したところ正常に戻ったとのことです。これは、何らかのアップデートやドライバ処理が時間差で反映され、再起動のタイミングで正しいドライバが読み込まれた可能性があります。また、Surface固有のファームウェアが裏で更新されていたり、Lenovo系ツールのアンインストールが完全に反映されたりした結果、突如として症状が改善することはあり得る話です。

OSアップデートのタイミングに要注意

Windows 10 Enterprise 22H2の環境下であれば、組織の管理ポリシー次第で再起動がスケジュールされたり、夜間にアップデートが適用されたりすることがあります。ユーザーが意図していなくても、ネットワークに接続したまま時間が経過すると自動的に更新が進み、次回起動時には問題が解消されることも珍しくありません。

日をまたいでの再起動でのトラブル解消をどう捉えるか

実務上、トラブル解消に「なぜ直ったのかわからないけど直った」という結果は少なくありません。ユーザーからするとモヤモヤが残りますが、同時にOSやドライバ関連のトラブルは時間経過とともに解決することもある、という一種の事例として捉えることもできます。もちろん、再現性が読めない以上は次回も起きる可能性があり、抜本的な対策を講じる方が望ましいでしょう。

まとめ:段階的な切り分けとSurface専用の手順がカギ

今回の問題を振り返ると、最初にハードウェア故障を疑いがちですが、実際にはドライバやイメージの不整合が原因だったと考えられます。そのため、下記のアプローチで段階的に対処することが重要です。

  1. 電源ボタン長押しのリセットで一時的な不具合を確認
  2. セーフモードでの動作チェック
  3. メーカー専用ドライバ(Surface リカバリー イメージ)の利用
  4. WDSやMDTでドライバ統合した正規イメージの準備
  5. 自動アップデートスクリプトで展開後の整合性を確保

特に企業や組織での導入では、OSとドライバを一括管理しているケースが多いため、機種ごとのドライバ差分をいかに適切に扱うかが運用の肝となります。Surfaceシリーズは独特のファームウェアアップデートやUEFI管理が必要になるため、公式のドライバやリカバリーイメージを活用しながら、継続的にメンテナンスを行うことがベストプラクティスと言えるでしょう。

最終的に「翌日に再起動したら改善した」という事象は、OSレベルのアップデートやドライバの反映に時間がかかった点や、アンインストールしたLenovo系ツールの再起動反映など複合的な要因が絡んでいたと考えられます。原因がはっきりしない場合でも、上記のような段階的なトラブルシュート手順を実施することで、問題の切り分けと恒久的な対策が見えてくるはずです。

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