Windows 10上でMicrosoft Teamsのステータスを変更しようとした際に、「How do you want to open this file?(ファイルをどのアプリで開きますか?)」というポップアップが表示される問題は、多くのユーザーにとって厄介なトラブルです。ここでは実際に起きる症状の詳細や原因、そして具体的な解決策を解説します。
Teamsのステータス変更ポップアップとは?
ステータスを切り替えようとするだけなのに、「ファイルを開く方法を選んでください」といった不思議なダイアログが毎回表示されてしまい、作業効率を著しく下げてしまうケースがあります。タスクバーのTeamsアイコンを右クリックして「ステータスを設定」や「Quit Teams(Teamsを終了)」などを選択するだけで、通常は起こらないはずのアプリ選択ウィンドウが頻繁に立ち上がります。
現象の概要
- タスクバー上のTeamsアイコンを右クリックしてステータスを変更しようとした際、あるいはQuit(終了)を選択しようとした際、Windowsがファイルの関連付けダイアログを表示してしまう
- 「How do you want to open this file?」の文言が出るのに加え、選択肢としてブラウザやストアアプリ、Officeアプリなどが並ぶ場合もある
- 同様の現象がSticky NotesやTo Doなど、Windows Store(Microsoft Store)で配布される一部アプリケーションにも発生するとの報告がある
ポップアップが表示されるタイミング
単にTeamsを終了する操作や、ステータスを「取り込み中」に切り替える操作など、タスクバーのジャンプリストから行う操作をしようとするとほぼ確実にポップアップが立ち上がるケースがあります。特に会議中など、急いで操作をしたい場面で余計なウィンドウが出ると非常に煩わしいものです。
こうしたポップアップは単発で閉じるだけであれば大きな問題にはならないかもしれませんが、作業中頻繁に出る場合はストレスにつながり、ユーザー体験を損ねてしまいます。
原因:Windows 10の更新プログラム不具合
結論からいうと、この問題はTeamsやSticky Notes側の設定やキャッシュが原因というよりも、Windows 10自体の不具合とされており、特定の更新プログラムを適用して以降に起き始めたという報告が相次いでいます。したがって、いくらTeamsを再インストールしても根本的に解消しないケースが多いのです。
不具合が起こるバージョンと状況
- 主にWindows 10 22H2 (OS ビルド 19045.4412) 以降の環境で発生
- 特定の品質更新プログラムを適用したことで、タスクバーのジャンプリストが正常に動作しなくなる
- アプリの起動パスやWindowsAppsフォルダ内のアプリ権限が正しく参照されず、「ファイルの関連付けを聞かれる」という誤動作が起きる
実際には、TeamsだけでなくSticky Notes、To Do、フォトアプリなど、Windows Store(Microsoft Store)からインストールされるUWPアプリによく見られる症状です。共通点としては「WindowsAppsフォルダに格納されるアプリ」であり、これらをジャンプリストから呼び出そうとした瞬間に誤って「ファイル」として認識されてしまうことが原因と推測されています。
JumpListとWindowsAppsフォルダの不整合
Windows 10のタスクバーで右クリックした際に表示される「ジャンプリスト(JumpList)」は、アプリがどこにインストールされているかや、どの実行ファイルを呼び出すかなどの情報を内部的に管理しています。しかしWindowsのアップデートによって、このジャンプリストがUWPアプリの格納場所であるWindowsAppsフォルダを正しく参照できなくなり、「関連付け不明のファイル」とみなされるケースが起きています。
一部ユーザーの調査報告によれば、WindowsAppsフォルダのアクセス権設定やアプリのショートカット情報に不整合が発生しているとのことです。こうした不整合を取り除けば症状が消える場合があるものの、手作業でフォルダを移動するなどの操作は非推奨です。
解決策・対処方法
現状では、Microsoftが該当の不具合を認識しており、修正プログラムが既にリリースされています。具体的には以下の手順を踏むことで、多くの場合は問題が解決します。
1. Windows Updateの適用
2024年6月25日に公開されたプレビュー更新プログラム「KB5039299 (OS Build 19045.4598)」にて、この不具合を修正するアップデートが含まれているとされています。
このKBをインストールし、システムを再起動することでジャンプリストが正しい動作に戻り、TeamsなどUWPアプリをタスクバーから操作してもポップアップが表示されなくなる報告が多数上がっています。
- 「2024-06 Cumulative Update Preview for Windows 10 Version 22H2 (KB5039299)」の適用後に再起動
- Windows Updateで自動的に配信されていることもあるが、環境によっては手動でインストールが必要
- このKBを適用することで、ジャンプリストの不整合や権限周りの問題が修正される
2. Teams再インストールやキャッシュクリア
Teamsに限っていえば、再インストールやキャッシュ削除、クリーンインストールなどを試すといった一般的なトラブルシューティング手法があります。しかしながら、この問題の根本原因はWindows 10側にあるため、アプリの再セットアップでは効果が限定的です。一時的に症状が収まることはあっても、根本解決には至らないと考えられています。
3. WindowsAppsフォルダの移動
一部では、WindowsAppsフォルダからTeamsやSticky NotesをProgram Filesなど別フォルダに移動するとポップアップが出なくなるという報告もあります。確かに不具合の原因がWindowsAppsフォルダへの参照ミスにあるため、移動することで表面的に解消することは理にかなっています。
しかし、この方法は非常にリスクが高く、Windowsやストアアプリの動作に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。誤って他のアプリを壊してしまったり、ストアアプリのアップデートが正常に受けられなくなる恐れがあるため、正規の手段とは言えません。あくまでも自己責任で行う実験的な対処策にとどまります。
実際に試してみる手順
ここからは、実際にKB5039299を適用する具体的な手順を紹介します。企業のIT部門が配布を管理している場合もありますが、個人ユーザーでも以下を参考にすることで対策が取りやすくなるでしょう。
KB5039299の適用方法
- 現在のWindowsバージョンを確認
- [Win]キー + [R]キーを押して「winver」と入力し、[OK]をクリック
- 表示されたダイアログにて「Windows 10 バージョン 22H2」や「OS ビルド 19045.xxxx」を確認
- Windows Updateを開く
- [スタート] → [設定] → [更新とセキュリティ] → [Windows Update]
- 更新プログラムのチェック
- 「更新プログラムのチェック」ボタンをクリックして、新しい更新プログラムがあるかを確認
- KB5039299が表示されたら、ダウンロードとインストールを実行
- 再起動して反映
- インストールが完了したら、指示に従って再起動を行う
- 再起動後、Teamsのタスクバー操作を試してみて、ポップアップが表示されなくなるかを確認
Windows Updateから手動でインストールする場合
Windows Updateの自動検索でKB5039299が見当たらない場合は、Microsoft Update カタログから手動でダウンロード・インストールできます。以下のような手順で行います。
- Microsoft Update カタログにアクセス
- ブラウザで「Microsoft Update カタログ」と検索し、公式サイトにアクセス
- KB番号で検索
- 検索ボックスに「KB5039299」と入力
- 該当するWindows 10 Version 22H2向けのパッケージをダウンロード
- .msuファイルを実行してインストール
- ダウンロードしたファイルをダブルクリックしてインストールウィザードを進める
- 再起動
- インストール完了後、再起動を行い、問題が解決しているかを確認
WSUSやWaaSで配信する場合
企業環境などでWSUS(Windows Server Update Services)やWaaS(Windows as a Service)を利用している場合は、管理者が配布スケジュールを設定していることが多いです。該当のKBが承認されていない、もしくは配信待ちの状態になっていないかを確認し、手動で承認・配信設定を行ってください。
トラブルシューティングのヒント
もしKB5039299の適用を行ったにもかかわらず、同様の症状が続く場合や、更新プログラムのインストール自体に問題がある場合は、以下の点を改めて確認してみましょう。
関連するログの確認
Windows Updateの失敗履歴やイベントビューアーのログを確認すると、更新プログラムの導入が正常に行われていない場合にエラーコードが表示されていることがあります。例えば、0x80070002や0x800f0988といったコードが出た場合は、一部の更新ファイルが破損しているなどの可能性があります。
イベントビューアーでのチェック
- [スタート]ボタンを右クリックし、「イベント ビューアー」を選択
- 「Windows ログ」や「アプリケーション」タブでエラーイベントが出ていないか確認
- 更新プログラムに関連するエラーがないかチェックし、改善策を調べる
また、システムファイルチェック(SFCコマンド)やDISMコマンドによるイメージ修復を試すことで、Windowsの更新プログラムを適用するための環境が整う場合もあります。
DISM.exe /Online /Cleanup-image /Restorehealth
sfc /scannow
上記のコマンドを管理者権限のコマンドプロンプトもしくはPowerShellで実行してみると、システムファイルの破損が修復され、KBのインストールがスムーズに進む可能性があります。
まとめ
Teamsのステータス変更時や「Quit Teams」を選択した際に「How do you want to open this file?」と表示されてしまう問題は、Windows 10側の不具合によるもので、従来の再インストールやキャッシュクリアでは根治が難しいという特徴があります。Microsoftはすでに修正プログラムをリリースしており、2024年6月25日公開のKB5039299(OS Build 19045.4598)を適用することで改善が見込まれます。
手動インストールやイベントビューアーでのエラー確認、SFCやDISMコマンドによるシステム修復などを行いながら適切にKBを導入すれば、タスクバーを右クリックした時のポップアップは収まるはずです。万が一、更新プログラム適用後も症状が続く場合は、Windows Updateの障害や他のソフトウェアとの競合などが考えられます。引き続きログをチェックしつつ、最新版の更新プログラムやドライバを適用してみてください。
Windows 10で発生するTeamsのステータス変更時のポップアップ問題は、当初は原因が特定されにくい現象でしたが、実際にはWindows 10側のジャンプリストの不整合が大きな要因でした。KB5039299をインストールすることでほぼ解消できるため、まずはWindows Updateをしっかり実施するのが最善策といえます。
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