Windows 10でブラウザを使って印刷しようとした際、突然「Print Preview Failed」というエラーが表示されてしまうトラブルに悩まされていませんか? 本記事では、実際の不具合事例をもとに、原因と対処方法を余すところなく解説します。印刷ができず業務に支障が出るのは大変不便ですが、正しい手順で対処すればスムーズに解決を目指せますので、ぜひ最後まで読み進めてください。
Windows 10のブラウザ印刷で「Print Preview Failed」エラーが発生する背景
Windows 10環境下では、主にChromeやEdgeなどChromium系ブラウザで印刷プレビューが正常に表示されず、「Print Preview Failed」というエラーが発生する事例が報告されています。特に2023年4月以降のWindowsアップデートとの関連が指摘されており、アップデート後に突然印刷プレビューがグレーアウトして使えなくなるという声が多く上がっている状況です。
このエラーの特徴としては、以下のようなものがあります。
- 「Print Preview Failed」のエラーが画面に表示され、印刷プレビュー画面がグレーアウトする
- ブラウザ以外のアプリ(OutlookやOfficeソフトなど)からは問題なく印刷できる
- FirefoxなどChromium以外のブラウザでは印刷プレビューが正常に動作する
- Snipping ToolなどWindows付属ツールからの印刷も失敗する場合がある
こうした現象は、ブラウザだけの問題であるというよりも、OSやドライバ、セキュリティソフトなど複数の要因が絡んでいる可能性が考えられます。次のセクションでは、実際に報告されている主な原因や対処方法を詳しく見ていきましょう。
ウイルス対策ソフトやファイアウォールとの関連
一部のセキュリティソフトやファイアウォールによってブラウザの印刷機能がブロックされ、エラーが発生するケースがあります。しかし、今回の事例ではPanda AntivirusやWindows Defenderを停止しても症状が変わらなかったという報告があります。セキュリティソフトが原因であれば、一時的に無効化するかアンインストールすることで状況が改善することもありますが、本件では効果がなかったようです。
ブラウザやプリンタードライバの不具合
ブラウザやプリンタードライバの不具合が原因で印刷プレビューが正常に動作しない可能性もあります。Chromium系のブラウザを再インストールしたり、プリンターのドライバを最新バージョンに更新したりすることで解決するケースもあります。しかし、本事例ではChromeやEdgeを再インストールしても、またプリンターのドライバを入れ直しても症状は変わらなかったといいます。
Windowsのアップデートとの関係
4月以降のWindows 10アップデートを適用してから現象が出始めたという声もあり、これが根本の原因ではないかと推測するユーザーも多いです。特定のKB番号(累積アップデート)によって印刷関連のDLLファイルやサービスが上書きされ、予期せぬ不具合が発生した可能性があります。
OSやブラウザの内部仕様「PrintCompositorLPAC」が関与?
Chromium系のブラウザには「PrintCompositorLPAC」という機能が存在し、一部の環境でこれが原因となり印刷プレビューに支障をきたす場合があります。こちらを無効化すると「Print Preview Failed」が解決できたという報告があり、本記事でご紹介する対処法の一つとなっています。
実際に行われた対処とその結果
ここでは、実際の不具合報告に基づき試された具体的な対策を紹介し、その結果を解説します。
1. ウイルス対策ソフトやファイアウォールの無効化
まず、多くのユーザーが最初に試すのがセキュリティソフトの無効化やファイアウォール設定の変更です。Panda AntivirusやWindows Defenderを停止しても症状が改善しなかったことから、少なくとも今回の事例ではセキュリティソフトのブロックが直接の原因ではなさそうです。
2. ブラウザの再インストールやEdge Betaの使用
- Chromeアンインストール → 再インストール
- 公式からダウンロードしたEdge Betaのインストール
- ブラウザ設定の初期化(拡張機能の無効化を含む)
これらを行っても印刷プレビューに失敗する現象が続いたとのことです。従来ならばブラウザの不具合が疑われる場合、この工程で解消されることが多いため、本事例では別の要因が絡んでいる可能性が一段と高まります。
3. プリンターの再インストール
- 「デバイスとプリンター」から既存のプリンターを削除
- 最新ドライバを公式サイトからダウンロード
- 再度プリンターを追加インストール
一般的に印刷トラブルでドライバの破損が疑われる場合には有効な方法ですが、Chromium系ブラウザの「Print Preview Failed」には効果がなかったようです。Outlookやほかのアプリでは正常に印刷できることを考えると、OSやブラウザ特有の問題が大きいと推測できます。
4. Windows 10の修復インストール (インプレースアップグレード)
Windowsのシステムファイルに問題がある場合、修復インストール(インプレースアップグレード)が有効です。具体的には「メディア作成ツール」やオフラインISOを使ってWindows 10を上書きインストールし、不具合のあるファイルを修正する手法です。しかし本事例では、ダウンロードやインストールの進行が0%や79%で止まり、再インストールに失敗してしまったといいます。この時点で、OSレベルの修復も難航している状況です。
なぜ修復インストールが失敗するのか
修復インストールが失敗する理由は多岐にわたります。以下に代表的な原因を示します。
- ハードディスクやSSDに物理的・論理的なエラーがある
- 一時ファイルが破損しており、セットアッププロセスに支障をきたしている
- アンチウイルスソフトがインストール手順をブロックしている
- Windowsアップデートコンポーネントの不具合や、依存ファイルの整合性エラー
もし修復インストールが止まる場合は、次の対策が推奨されます。
修復インストールを成功させるための手順 | 具体的な内容例 |
---|---|
一時ファイルの削除 | ディスククリーンアップや「%temp%」フォルダ内のファイルを削除し、空き容量と整合性を確保する |
SFC /scannow やDISMの実行 | システムファイルの破損をスキャン・修復し、修復インストールの成功率を上げる |
ウイルス対策ソフトの無効化または削除 | セキュリティ機能がセットアップを阻害しないように、一時的にセキュリティソフトを停止またはアンインストール |
最新のWindowsアップデートを適用 | 修復インストールを行う前に、Windows Updateが途中で止まっていないか確認し、すべて適用する |
セットアップログの確認 | C:\Windows\Panther\setupact.logなどをチェックし、どこで止まっているかを特定する |
本事例では、修復インストールを何度か試しても進行が止まってしまったため、結果的にはOSを入れ替える最終手段を回避し、ブラウザ側の設定変更による解決策を検討する流れになりました。
「PrintCompositorLPAC」を無効化してトラブルを解決
最終的に、Chromium系ブラウザにおける印刷機能の内部仕様が原因となっている可能性が高いと判断されたため、「PrintCompositorLPAC」を無効化する対処が取られました。ここでは、その具体的な手順をご紹介します。
Chromeの起動オプションに「–disable-features=PrintCompositorLPAC」を追加
Chromeでは、起動時のショートカットにオプションを付け加えることで特定の機能を無効化できます。Windowsのショートカットプロパティを編集して、以下のように設定してみてください。
- Chromeのショートカットを右クリックし、「プロパティ」を選択
- 「ショートカット」タブを開き、「リンク先」または「ターゲット」と書かれた欄の末尾に下記のオプションを追記
--disable-features=PrintCompositorLPAC
例)
"C:\Program Files\Google\Chrome\Application\chrome.exe" --disable-features=PrintCompositorLPAC
- 「適用」→「OK」をクリックして設定を保存
- ショートカットからChromeを起動すると、「Print Preview Failed」エラーが発生せず印刷プレビューが表示されるか確認
これだけで印刷プレビューが復活したという報告が複数あります。何らかの理由でChromeが持つ「PrintCompositorLPAC」機能が環境依存で不具合を起こしていたと考えられます。
Microsoft Edgeでの対処:レジストリキーの追加
EdgeではChromeのようにショートカットオプションで同等のパラメータを付与する方法が公式に用意されていない場合があります。そのため、Edgeにおける「PrintCompositorLPAC」を無効化するには、レジストリ編集が必要になる場合があります。以下は一例です。
- 「レジストリ エディター」を起動(
regedit
コマンド) - 下記のようなパスにキーを作成・または編集
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Edge
- 新規「DWORD (32 ビット) 値」を作成し、名前を仮に
PrintingCompositorLPACEnabled
などとする - 値を
0
に設定 - Edgeを再起動して、印刷プレビューが動作するかテスト
ただし、レジストリの場所やキー名は将来的に変更される可能性があります。Edgeの公式ドキュメントやグループポリシーのガイドラインを確認しながら、正しい設定を行うことが大切です。レジストリの編集はWindowsの動作に深刻な影響を与える場合があるため、作業前には必ずバックアップを取ってください。
Firefoxを使った一時回避策
もしChromeやEdgeでどうしても印刷プレビューがうまく動作しない場合、Firefoxなどのブラウザを代替で使用するのも一時的な対処方法として有効です。今回の事例でもFirefoxでは問題なく印刷が行えたとの報告があります。業務などで一刻も早く印刷が必要な場合、環境を切り替えることでトラブルを回避できます。根本的な解決のためには前述の「PrintCompositorLPAC」を無効化する対策が望ましいですが、状況に応じてブラウザの変更を検討してみてください。
トラブルシューティングと対策のまとめ
今回の「Print Preview Failed」に関するトラブルシューティングをまとめると、次のようになります。
対策 | 成功率 | ポイント |
---|---|---|
ウイルス対策ソフトやファイアウォールの無効化 | △ | 無効化しても改善しないケースも多い。セキュリティが原因の可能性がある場合のみ試す |
ブラウザの再インストール、拡張機能の無効化 | △ | 軽微な不具合であれば効果があるが、印刷プレビュー問題は根深く、本事例では解決しなかった |
プリンタードライバの再インストール | △ | 他のアプリから印刷可能である場合、原因はドライバにはない可能性が高い |
Windowsの修復インストール (インプレース) | ○? | 原因不明の不具合を包括的に修復できるが、途中でインストールが止まるなど難航するケースもありハードルが高い |
「PrintCompositorLPAC」を無効化 | ◎ | Chromium系での印刷不具合を直接的に解決できる可能性が高い。一時的な回避策として特に有効 |
Firefoxなど別ブラウザを使用 | ◎ | 一時的に印刷を行う際の回避策として優秀。根本解決にはならないが、業務上の印刷が急ぎで必要なときに有用 |
このように、原因としてOSやWindowsアップデートの影響が疑われる場合でも、最終的にはChromeやEdgeの内部機能「PrintCompositorLPAC」をオフにするだけで解決する場合があります。Windowsの再インストールやシステム修復は大掛かりな作業となり、トラブルシューティングの優先順位としては後回しにしたいのが実情です。まずはブラウザやレジストリ側で簡単に実施できる設定変更を試してみることをおすすめします。
再インストールを回避するためのポイントと今後の展望
「Windows 10を修復インストールしようとしたがダウンロードが進まない」「79%で止まる」などの報告が散見されますが、修復インストールがうまくいかない場合は以下の点もチェックしてみてください。
- 空き容量の確保:Cドライブの空き容量が少ないと、Windowsアップグレードファイルが途中で展開できずに止まることがある
- アップデート履歴のクリア:
SoftwareDistribution
フォルダのリセットやWindows Updateトラブルシューティングツールの使用 - BIOSやデバイスドライバの更新:古いBIOSやドライバがアップグレードをブロックするケース
- インストールメディアの作成方法:USBメモリの不具合、ISOファイルの破損などでインストールが進まない場合がある
今後はMicrosoft側のアップデートやChromiumプロジェクトのバージョンアップによって、印刷周りの仕様が改善される可能性があります。特に「PrintCompositorLPAC」を無効化する設定が必要なくなるのが理想ですが、現時点ではまだ問題が解消されていない環境も多いようです。
まとめ:Chromium系ブラウザの「Print Preview Failed」にはまず機能無効化を試そう
Windows 10環境におけるChromeやEdgeなどの印刷プレビューエラー「Print Preview Failed」は、多くのユーザーが直面している厄介なトラブルです。ウイルス対策ソフトやブラウザの再インストール、プリンタードライバの更新など、一般的な対処法でも解決しない場合は、「PrintCompositorLPAC」を無効化してみるのが有力な選択肢となります。
具体的には、Chromeではショートカットの起動オプションに--disable-features=PrintCompositorLPAC
を追記し、Edgeではレジストリ編集によって機能をオフにすることで、印刷プレビューが正常に動作することが確認されています。また、緊急の対応策としてFirefoxなどChromium系以外のブラウザを使うことで印刷を乗り切ることも可能です。
もし修復インストールを試す必要がある場合は、Windowsアップデートコンポーネントやハードウェア要件、一時ファイルの削除など、事前準備を徹底し慎重に進めるようにしましょう。特に「途中で止まる」「インストールが完了しない」というトラブルも少なくないため、セットアップログの確認や別のPCでISOを作成してみるなど、多角的なアプローチが求められます。
以上のようなポイントを押さえておけば、印刷プレビューエラーに直面しても最終的に解決までたどり着く可能性が高まります。複雑な問題ほど原因が見えにくくなりますが、今回紹介した手順を一つずつ検証していくことで、不具合の原因がどこにあるのかを明らかにしやすくなり、スムーズにプリンターを使える環境を取り戻すことができるでしょう。
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