突然「MSペイントを使おう」と思ってアイコンをクリックしたのに、なぜか起動しなかったり、動作がとても遅くなったりすることはありませんか。Windowsの標準アプリであるMSペイントは、ちょっとした画像編集や落書きなどにとても便利なソフトですが、何らかの理由で正常に動かなくなるケースが時々見受けられます。今回は、そんなMSペイントが起動しない・動作しない問題に困ったときの対処法を、筆者の体験談や事例を交えながら分かりやすくご紹介していきます。
MSペイントが起動しない原因とその背景
MSペイントが起動しない状況は、実にさまざまな要因が考えられます。普段は何気なく使っているアプリケーションでも、Windowsのアップデートの影響を受けたり、ユーザープロファイルに問題が起きたり、競合するソフトウェアの干渉など、複数の要因が複雑に絡み合う場合があります。筆者の知人では、ウイルス対策ソフトが誤検知を起こしてMSペイントの動作を妨げていたケースもありました。まずは、どういった原因が潜んでいる可能性があるのかを知ることで、その後の対処がスムーズになります。
Windowsのアップデートの影響
Windowsは定期的にアップデートが配信され、そのアップデートに合わせてMSペイントを含む標準アプリに何らかの変更が加えられることがあります。こういったアップデートの途中でエラーが発生したり、古いバージョンのファイルが一部残ってしまった場合、MSペイントが起動しなくなることがあります。特にアップデートの失敗が続くと、システム自体の整合性が崩れ、MSペイントのみならず他の標準アプリにも支障が出ることがあるため注意が必要です。
ユーザープロファイルの問題
Windowsにはユーザープロファイルという、各ユーザーがログインした際の設定やデータの保管場所があります。何かのきっかけでユーザープロファイルが破損してしまうと、MSペイントだけでなく、他のアプリケーションも起動できない・設定が消えてしまうなどのトラブルが起こる場合があります。筆者が以前遭遇した事例では、新しいユーザーアカウントを作成して試したところMSペイントが普通に使えたので、最終的に古いユーザープロファイルに問題があるとわかりました。
競合ソフトウェアやセキュリティ設定の干渉
ウイルス対策ソフトやシステムの安全を維持するためのユーティリティソフトが、MSペイントを誤って悪意のあるプログラムと判断してブロックしてしまうケースもあります。特にセキュリティレベルが高めに設定されている環境では、MSペイントがその影響を受け、起動できなくなる、または動作が不安定になることがあります。このような場合には、対策ソフト側で設定を変更するか、一時的に無効化してMSペイントが正常に起動するか確認してみるとよいでしょう。
ハードウェアリソース不足の可能性
まれに、パソコンのメモリ不足やハードディスクドライブ(HDD)の空き領域が極端に少ないと、MSペイントが開くためのリソースが足りないという事態も起こり得ます。特に、古いPC環境や大量のソフトウェアを同時に起動している環境では、ユーザーが気づかないうちにリソースが圧迫されているケースがあります。こういった場合には、不要なソフトを終了させるなどしてメモリやディスク領域の空きを確保してみると、意外とあっさり解決することもあります。

筆者が過去に遭遇したケースでは、友人が使っていたPCが長年の使用でストレージの空き容量がほとんどなくなり、MSペイントはおろかブラウザさえまともに動かなくなっていました。外付けHDDにファイルを移動し、ディスクのクリーンアップを行ったところ、再起動後にMSペイントが問題なく使えるようになったそうです。
MSペイントが起動しないときの主な解決策
ここからは、MSペイントが起動しない場合に試してみたい代表的な解決策をステップごとにご紹介していきます。実際に試してみた方々の事例をもとにまとめましたので、順番に確認してみましょう。
MSペイントのリセット
Windows 10以降の環境で特に有効です。MSペイントをシステムからいったん初期状態に戻すことで、多くの場合トラブルが解決する傾向にあります。
リセットの手順
1. Windowsの設定を開く(スタートメニューから歯車のアイコンをクリック)
2. 「アプリ」を選択し、「アプリと機能」を開く
3. 一覧からMSペイントを探して「詳細オプション」をクリック
4. 「リセット」を実行する
5. コンピューターを再起動する
MSペイントが起動しない、あるいは起動しても画面がフリーズしてしまうときにこのリセット機能はシンプルかつ効果的な方法です。個人的にも、このステップでトラブルが解決した経験を何度か持っています。
Windowsを最新バージョンにアップデートする
Windows Updateの更新が溜まっていると、MSペイントに限らず他のアプリも影響を受ける可能性があります。動作不良やセキュリティリスクを放置することにもなるため、基本的には常に最新バージョンに保つのが望ましいです。
アップデート確認の手順
1. Windowsの設定を開く
2. 「更新とセキュリティ」を選択
3. Windows Updateを確認し、最新の更新プログラムをインストールする
特に大型アップデートの後にMSペイントが使えなくなった場合は、追加の更新プログラムの適用や再起動を複数回行うことで、問題が解消されることが少なくありません。
システムファイルの修復 (SFC /scannow)
Windowsの重要なファイルが何らかの理由で破損しているとMSペイントを含むシステム標準アプリがうまく動かない可能性があります。そんなときには、SFC(システムファイルチェッカー)を使ってファイルを修復するのが効果的です。
SFCの実行手順
1. スタートボタンを右クリックして「Windowsターミナル(管理者)」や「コマンドプロンプト(管理者)」を開く
2. sfc /scannow を入力・実行する
3. 修復後、再起動してMSペイントの動作を確認する
SFCを実行すると、システムファイルに異常がある場合に自動的に修復を行ってくれます。ただし、一部の問題ではDISMコマンドなど追加の処理が必要になることもあります。
さらに踏み込んだトラブルシューティング
上記の一般的な解決策を試してもMSペイントが起動しない場合は、もう少し踏み込んだ手段を検討してみましょう。ここからは、筆者や周囲のユーザーが行って効果があった方法を中心に、もう少し詳しく解説していきます。
一時的なウイルス対策ソフトの無効化
セキュリティソフトが強固に設定されていると、MSペイントの正常な動作を妨げる例があります。特に企業などの大規模ネットワーク環境では、管理者が定めたポリシーにより、特定の実行ファイルの起動を制限している場合があります。個人の環境でも、別のソフトと競合してMSペイントが起動できなくなるケースがありました。
ウイルス対策ソフトの設定確認
1. ウイルス対策ソフトのメイン画面を開く
2. 保護対象からMSペイントを除外する設定がないかを確認する
3. 一時的に無効化してMSペイントが起動するか確認する
4. 問題が解決すれば、MSペイントを例外リストへ登録するなど恒久的な設定を行う
上記を実行する際には、セキュリティのリスクとトラブルの切り分けを十分に考慮するようにしましょう。
ユーザープロファイルの作り直し
ユーザープロファイルが破損している場合、新しいユーザーアカウントを作ってログインし、MSペイントが動作するかを試すのが手っ取り早い方法です。もし新しいアカウントでは問題なく起動するなら、元々のアカウントに何らかの不具合が生じている可能性が高くなります。筆者も過去にこれで解決策を見つけ出したことがあります。
新規ユーザーの作成手順
1. Windowsの設定を開く
2. 「アカウント」を選択
3. 「家族とその他のユーザー」から新しいアカウントを追加する
4. 新規アカウントでサインインしてMSペイントを試す
正常に動作する場合は、元のアカウントのデータをバックアップして、必要最小限の設定で移行するのも一つの手段です。ただし、移行作業には手間と時間がかかるため、慎重に検討しましょう。
Windowsのトラブルシューティングツールを活用
Windowsには、標準でいくつかのトラブルシューティングツールが搭載されています。MSペイント専用の項目はないかもしれませんが、Windowsストアアプリやプログラムの互換性トラブルシューティングなどを試すことで、関連する問題が解消される場合もあります。
トラブルシューティングの手順
1. Windowsの設定を開く
2. 「更新とセキュリティ」を選択
3. 「トラブルシューティング」メニューを開く
4. 「追加のトラブルシューティングツール」をクリックし、適切な項目を選んで実行
このツールは自動で問題を検出してくれるので、思わぬ解決策が提示されることもあります。
MSペイント以外の画像編集ソフトを検討する
MSペイント自体が手軽で使いやすい一方で、機能の限界もあります。また、何をどうしてもMSペイントが正常に動作しない場合に備えて、ほかの画像編集ソフトを選択肢に入れるのも方法の一つです。
代替ソフトの特徴
Windows向けの無料ソフトや軽量ツールは多く存在します。例えば、ペイント3DやGIMP、Paint.NETなどは無料で使えるものの代表格です。機能が豊富であったり、拡張プラグインが充実していたりと、それぞれ得意分野が異なります。MSペイントで簡単に済ませられないようなグラフィック作業にも対応できるので、これを機に乗り換えを検討してみるのも悪くありません。
MSペイントが起動しないときにまず確認したいチェックリスト
以下の表は、MSペイントが起動しない問題に直面した際に最初に確認しておきたい項目をまとめたチェックリストです。できるだけ抜け漏れがないよう、一度さらってみることをおすすめします。
チェック項目 | 確認方法 | 対処のヒント |
---|---|---|
Windowsのバージョンアップデート状況 | 「設定」→「更新とセキュリティ」→「Windows Update」 | 未更新があれば適用し、再起動を行う |
MSペイントのリセット | 「アプリと機能」→「ペイント」→「詳細オプション」 | リセット後にPCを再起動 |
リソース不足 | タスクマネージャでメモリやCPU使用率を確認 | 不要なソフトを終了、空き容量の確保 |
ウイルス対策ソフトによるブロック | 対策ソフトの例外設定を確認 | 一時停止で起動するか確認 |
ユーザープロファイルの問題 | 新規ユーザーを作成しMSペイントを試す | 改善すれば旧アカウントの破損を疑う |
システムファイルの破損 | SFC /scannowでチェック | 破損ファイルを修復後に再起動 |
トラブル解決の際に気をつけたいポイント
MSペイントを修復する過程では、Windowsの設定やシステムファイルに関わる変更を行うことも多々あります。作業を進めるうえで、注意しておきたい点をあらためて整理してみましょう。
バックアップの重要性
システムファイルやユーザープロファイルに大きく手を加える前には、可能な限り大切なデータをバックアップしておきましょう。トラブルシューティングの過程で、思わぬ形でファイルが消失してしまうリスクもゼロではありません。特に、趣味や仕事で作成した大事な画像やドキュメントファイルが消えてしまうと取り返しのつかない事態になります。
復元ポイントの活用
Windowsには「復元ポイント」という、システムの状態を過去のタイミングに戻せる機能があります。エラーの原因がわからないままシステムの変更を加えてしまうと、より深刻なトラブルを引き起こす可能性があるため、問題解決に取り組む前に復元ポイントを作成しておくと安心です。



復元ポイントは思わぬときに助けとなることが多いので、私は大きなアップデートやドライバ更新を行う前によく手動でポイントを作るようにしています。
怪しいソフトウェアや拡張機能のチェック
MSペイント自体にはプラグインや拡張機能といった概念があまりありませんが、Windows全体に影響するユーティリティがトラブルの原因となる場合があります。過去にインストールした覚えのないソフトや、定期的に更新していないドライバなどは、MSペイントだけでなくシステム全体の安定性を損なう可能性があります。一度インストール済みのソフトウェア一覧を見直して、使っていないソフトをアンインストールするのも一つの方法です。
MSペイントが動かないときに知っておくと便利な裏技・応急処置
トラブル対応をしながらも、どうしても一時的に画像を編集したい場合などに使えるちょっとした裏技をいくつかご紹介します。
スニッピングツールや切り取り&スケッチの活用
Windowsには標準で「スニッピングツール」や「切り取り&スケッチ」というスクリーンショットを撮影できるアプリが用意されています。簡易的ながら線を引いたり注釈を付けたりできるため、軽い画像編集であればMSペイントの代わりになる場面もあります。画面キャプチャから注釈を入れるだけでいいときには十分に活用できるツールです。
Officeソフトでの画像編集
Microsoft WordやPowerPointなどのOfficeソフトに画像を挿入し、トリミングや図形の追加、文字の入力を行うことで代替的な画像編集をすることも可能です。厳密にピクセル単位で編集するのには向きませんが、写真に文字を加えたいときや簡単なイラストを挿入して説明資料を作るときなどには便利です。
ブラウザ上で動くオンラインエディタの利用
インターネット接続が可能な環境であれば、ブラウザ上で動作する無料のオンライン画像編集ツールを使う手もあります。MSペイントが使えない状況下でも、ちょっとした画像のリサイズやトリミング、文字入れ程度なら難なく行えるものがたくさんあります。ただし、画像をアップロードする必要があるため、機密情報を扱う場合などは注意が必要です。
まとめ:トラブル発生時には段階的に検証しよう
MSペイントが起動しなくなったときは、まずはリセットやWindowsアップデート、SFC /scannowなどの基本的なトラブルシューティングを実行してみるとよいでしょう。もしそれでも解決しない場合は、ユーザープロファイルの再作成やウイルス対策ソフトの設定見直しを行い、場合によっては他の画像編集ソフトへ切り替えることも選択肢に入れてみてください。
どの方法も一度は簡単に試せる内容ばかりなので、焦らずに一つひとつ原因を切り分けていくことが大切です。私自身もMSペイントの起動不良を経験した際に、最初はアップデートの問題だと思っていましたが、結局はユーザープロファイル破損が原因だったということもありました。こうしたことを踏まえ、最初から多角的に疑ってかかることで、よりスピーディにトラブルを解決できると思います。



この記事をご覧になった方が、少しでも早く快適にMSペイントを再利用できるようになると嬉しいです。シンプルな画像編集に戻れると、ちょっとしたお絵かきやスクショへの注釈も楽しくなりますよね。
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