手軽にRAW画像を扱いたいとき、Windows標準の「フォト」アプリが気になる方も多いのではないでしょうか。私も初めてRAWファイルをパソコンで眺めたとき、「このまま現像できたら便利かも!」と期待したのを覚えています。今回はそんなWindowsフォトアプリの機能と活用法から、手軽に行えるRAW編集の範囲まで、じっくり紹介していきます。
WindowsフォトアプリでRAWを開くしくみ
デジタル一眼レフやミラーレスで撮影したRAWファイルを、Windowsフォトアプリでサクッとプレビューできるのは嬉しいですよね。とくにWindows 10以降、標準で多数のRAW形式に対応しているため、新たに専用ソフトをインストールしなくてもカメラの写真を確認できるようになりました。ただし実際には、カメラ内部で生成された埋め込みJPEGプレビューをメイン表示しているケースが多く、“本格的なRAW現像”というイメージとはやや異なります。
RAWとは何か
RAWファイルは、撮像素子が捉えた光の情報をそのまま近い形で保存したものです。JPEGやPNGと違って、ホワイトバランスや露出補正などを後から大幅に調整可能なのが特徴です。そのため、写真家やハイアマチュアの方々は、作品を仕上げるうえでRAWの編集を重視します。
RAWのメリット
たとえば夕景や逆光の写真でも、RAWならばハイライトとシャドウを細かく補正できます。白飛びや黒つぶれを抑えやすいので、普段は暗すぎて見えにくい部分まで滑らかに再現しやすいのです。さらに色温度や色域の調整幅が広いため、クリエイティブなレタッチもしやすくなります。
RAWのデメリット
ファイルサイズが大きいことや、開くために専用のコーデックが必要な場合があることが挙げられます。また本格的な編集では、PhotoshopやLightroom、Capture Oneなど、専門ソフトが求められるケースもあります。
Windowsフォトアプリでの表示はあくまでプレビュー
WindowsフォトアプリでRAWファイルを開くと、「ちゃんとRAW現像してくれてるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。実際にはWindowsフォトアプリ側で元のRAWデータを解析して高度な処理を行うわけではなく、多くの場合はカメラ側で埋め込まれているJPEGプレビューを表示していると考えてよいです。
RAWデータの深い階調は活かせない?
純粋なRAW情報をもとに、例えばホワイトバランスやノイズ除去を細かくいじるような操作はできません。明るさ・コントラスト・カラーフィルター・トリミングなど、簡易的な調整は可能ですが、それらは基本的にJPEGレベルでの操作に近いといわれています。
埋め込みJPEGプレビューとは
RAWファイルの多くは、プレビュー用の小さなJPEG画像や、やや高解像度のJPEGプレビューを内部に一緒に保存しています。ファイルブラウザなどでサムネイルが表示できるのは、こうした埋め込みJPEGのおかげです。Windowsフォトアプリもそれを利用して画像を表示し、あたかもRAWをそのまま開いたように見せているのです。

私自身、最初は「え、普通にRAWを表示できるじゃん」と思っていたのですが、よく調べると埋め込みJPEGプレビューを使っているだけということがわかりました。実際に露出を大きく変更しても、すぐ白飛びしちゃうので、やはり本格現像のソフトが必要だなと痛感しましたね。
Windowsフォトアプリの編集機能と書き出し
Windowsフォトアプリでは、写真を軽くレタッチするのに役立つ基本的な機能があります。ここでは、具体的な編集機能と書き出しについて整理してみましょう。
Windowsフォトアプリの代表的な編集機能
いくつかの簡単な調整機能が備わっています。
機能 | 内容 | 詳細度 |
---|---|---|
明るさ・コントラスト調整 | スライダーで微調整が可能 | 基本調整のみ |
カラー編集 | 彩度・色温度などをざっくり変更 | 複雑な色調整は不可 |
トリミング | 範囲選択による切り出し | 回転・アスペクト比選択可 |
エフェクト | フィルター効果を適用 | 簡易エフェクトのみ |



私も出先でノートPCしかないときは、Windowsフォトアプリでざっくり明るさ調整やトリミングだけしてSNSに投稿する、という使い方をすることがあります。そこそこ手軽なので意外と重宝していますよ。
編集後の書き出し
Windowsフォトアプリで簡易編集を施した画像は、JPEGなどの一般的な形式で書き出しが可能です。たとえば光の当たり具合を少しだけ補正したい場合や、余計な背景をカットしてSNSに投稿したい場合などには十分対応できるでしょう。
高度なRAW現像が必要なら専門ソフトがおすすめ
一方でRAWファイル特有の広い階調や色域を最大限に生かしたいなら、やはり専用のRAW現像ソフトを使うのがおすすめです。ここでは代表的なソフトと特徴を一部紹介します。
Adobe Lightroom
写真家やプロカメラマンの多くが使用する定番ソフトです。露出・シャドウ・ハイライト・ノイズ・色かぶり補正など、細かいパラメータを駆使して思い通りの仕上がりを追求できます。クラウドとの連携機能も充実しているため、モバイルやWeb版Lightroomで作業を続けられるのも魅力です。
Capture One
Phase One社が開発しているRAW現像ソフトで、カメラメーカー純正ソフトに引けを取らないクオリティと速度が評価されています。色再現の忠実さやトーンカーブの扱いやすさに定評があり、大規模なスタジオ撮影でも使われることが多いです。
各種カメラメーカー純正ソフト
例えばキヤノンのDigital Photo Professional、ニコンのNX Studio、ソニーのImaging Edgeなど、カメラメーカーが純正で用意しているソフトもあります。自社製カメラのRAW形式を最も正確に再現できるよう最適化されているので、カメラ特有の色づくりやノイズ処理などで強みを発揮します。
カメラ内設定との整合性
メーカー純正ソフトはカメラ内で設定したピクチャースタイルやアクティブDライティングなども比較的忠実に反映できます。撮影時の意図を壊さずに編集するなら純正ソフトを検討するのもよいでしょう。



私はニコンユーザーですが、NX Studioを使うとホワイトバランスやピクチャーコントロールの調整がしやすく、他のソフトとは少し違う仕上がりが得られるのが面白いです。
Windowsフォトアプリと本格現像ソフトの使い分け
WindowsフォトアプリでRAWファイルを開いてプレビューしつつ、必要があればごく簡単な編集を加えてJPEGで書き出す。そうしたライトな使い方をする人も少なくありません。一方で、作品作りや品質を追求したい場合は専門ソフトへ切り替えれば、よりきめ細かい調整ができます。ここでは、シーンごとに使い分けの例を挙げてみます。
シーン1:撮って出しチェックのとき
旅行先や撮影現場で、持参したノートPCにとりあえず写真を読み込んで確認したいときは、Windowsフォトアプリのプレビュー機能が手軽です。余計なソフトをインストールせずにすぐ動作しますし、大きな画面でピントや構図をざっと見るには十分です。
注意点
色味や露出を細かく見る場合、フォトアプリの表示は埋め込みJPEGに依存しているため、厳密な正確さを求めるのは難しいこともあります。光の色合いやノイズの粒状感などは後の本格編集を前提にするとよいでしょう。
シーン2:SNS用に簡単仕上げ
友だちとの旅行写真をSNSにアップしたいとき、わざわざLightroomを立ち上げるほどでもない…というケースがありますよね。そういう場面で、Windowsフォトアプリによる簡単な明るさ調整やトリミングは大いに役立ちます。
気をつけたい点
一般的なSNS投稿ならJPEG画質で十分ですが、長期保存や作品として残したい場面には向いていません。階調や画質を追い求めたいなら、後からLightroomなどへ持ち込み、RAWをフル活用するのがおすすめです。
シーン3:本格的な作品編集
写真展に出品するような作品や、商業撮影で納品する写真を仕上げるときは、LightroomやCapture Oneのような専門ソフトが必要になります。現像パラメータの幅広さ、部分補正の対応、ノイズ軽減の高度な調整、レンズ補正など、Windowsフォトアプリではカバーできない領域を存分に使って自分好みの作品を追求できます。
Windowsフォトアプリだけで完結させたいなら
もし「RAWをがっつり編集する気はないけれど、Windowsフォトアプリでそこそこきれいに補正して保存したい」という方なら、次のような使い方が考えられます。
1. Windowsフォトアプリのプレビューで確認
撮影結果をざっと見渡し、明るさや色合いをざっくり確認します。埋め込みJPEGが表示されていますが、被写体の雰囲気や構図、タイミングなどは充分チェックできます。
2. 簡単編集を行う
フォトアプリの「編集」モードを使って、明るさやコントラスト、彩度などを好みに合わせて微調整します。また、人が写り込んでしまった不要な部分を切り取るなどのトリミングを実施することで、見栄えを整えることが可能です。



私の知り合いで、そもそもJPEG撮って出し派の人は「RAWのままWindowsフォトアプリで軽く見たあと、気が向けばトリミングや明るさだけ直す」という使い方をしています。それでも大抵のSNS用途には十分なのだとか。
3. 適宜書き出し
最後に、Windowsフォトアプリで編集した結果をJPEGなどの形式で保存します。InstagramやTwitterにアップする場合、サイズや画質もそこまでシビアではないので、手軽な操作で発信できるのがメリットです。
実際にRAWを活かしたいならどうする?
RAWファイルの醍醐味は、JPEGに比べて膨大な色や情報をもっている点です。とくにハイライトやシャドウ領域の救済、ホワイトバランスの自由度などは、写真表現の可能性を大いに広げてくれます。もし「もう少し深く写真をいじってみたい」という好奇心がわいてきたら、専門ソフトにステップアップしてみるのも一つの手です。
本格ソフトのハードルは意外と低い
一昔前に比べて、Adobe Lightroomの月額プランやCapture Oneのサブスクリプションなど、導入コストも下がりつつあります。最初は操作が難しく感じるかもしれませんが、ネット上に多くのチュートリアルがありますし、慣れてくると「こんなに表現の幅があるのか!」と驚くはずです。
まとめ:Windowsフォトアプリの立ち位置
Windowsフォトアプリは、RAWファイルを手軽に確認し、ちょっとした明るさ調整やトリミングを行うのに便利なツールです。ですが、RAW特有の膨大な情報を余すところなく編集するというよりは、埋め込みJPEGプレビューを使った簡易的な編集がメインとなります。
もし写真をしっかり仕上げたいなら、LightroomやCapture One、またはメーカー純正ソフトなどに頼るのが得策です。一方で、SNS用にぱぱっと修正したり、出先での確認に使ったりするには十分な機能を備えています。「まずはWindowsフォトアプリで確認→じっくり仕上げたいカットだけ専門ソフトへ」のように使い分けると、効率よく写真ライフを送れるでしょう。
今後の展望
Microsoftも徐々にRAW対応を強化してきています。Windows Updateで新たなRAWコーデックが追加されることもあるため、今後はより多くのカメラ機種やファイル形式にネイティブ対応していく可能性があります。ただし、高度なRAW現像に対応するのかという点は依然不明瞭で、当面は「プレビュー+簡易編集」路線が中心となりそうです。



私自身は趣味と仕事でカメラを使い分けていますが、ちょっとした商品撮影や日常写真はWindowsフォトアプリでかるく見て済ませちゃいます。だけど、お気に入りの風景写真などはLightroomに読み込んで、じっくり色づくりを楽しんでいます。これがまた至福の時間なんですよね。
最後に:あなたに合った方法でRAWを楽しもう
RAWデータをどう活用するかは、結局のところ「目的次第」です。家族や友達と気軽に写真をシェアしたいだけなら、Windowsフォトアプリのスピードと手軽さは大きな武器になります。本格的な作品づくりなら、専門ソフトでRAWの持つ情報をフルに引き出しましょう。いずれにせよ、まずは自分のスタイルや求めるクオリティに合わせてツールを選ぶことが大切です。ぜひ今回の内容を参考に、あなたのRAW編集ライフをもっと自由に楽しんでみてください。
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