パソコンを長年使っていると、過去にインストールしたドライバーやツールがいつの間にか残ってしまい、OSのアップグレードに支障をきたすことがあります。特に音声関連のソフトを一度でも試した方なら「Voicemeeterドライバーがアンインストールしきれない」という事例に悩んだ経験をお持ちかもしれません。今回は、私自身が以前Windowsのアップグレードでつまずいた経験をふまえて、Voicemeeterドライバーを根こそぎ削除し、Windows 11へスムーズに移行するための手順とポイントを徹底解説します。
Voicemeeterドライバーとは
Voicemeeterは、仮想オーディオミキサーとして有名なソフトウェアです。オンライン会議や配信など、複数のオーディオデバイスやソースの音声を一括管理できるため、かつてはテレワーク環境やストリーミング配信を楽しむ人々の間で広く利用されていました。しかし、利用後にアンインストールしても、仮想オーディオデバイスや関連ドライバーがWindowsの奥深くに残ってしまう場合があります。
Voicemeeterドライバーの役割
Voicemeeterドライバーの主な役割は、アプリケーション間の音声の受け渡しを仮想的に仲介することです。具体的には下記のような作業を行います。
– 複数の入力デバイス(マイク、ソフト音源など)の出力先をミキサーとして集約
– 仮想的なデバイスとして、OBSやTeams、Zoomなどのアプリで一元管理
– 音量調整や音質補正などの音声処理機能を手軽に実装
よくある問題点
過去にVoicemeeterを使っていて、現在は不要になった場合でも、Windows上に残留するドライバーが原因で以下のようなトラブルが発生することがあります。
– Windows 11アップグレード時にドライバー互換エラーとして検知される
– サウンド設定画面に見慣れないデバイスが残り、混乱を招く
– ほかのオーディオ関連ソフトウェアと競合を引き起こす
Windows 11アップグレード時のエラー
Windows 10からWindows 11へアップグレードする際に「Voicemeeterドライバーが互換性を損ねている」と指摘され、先へ進めないといった報告が少なくありません。私自身も最初、このドライバーの存在を忘れており、アップグレード途中でエラーが発生して驚きました。
エラーが発生する原因
大きな原因としては、Voicemeeterが作成する仮想オーディオデバイスがWindowsのドライバーストアやレジストリにしぶとく残っていることが挙げられます。アンインストールしたつもりでも、システム内のどこかにエントリが生きているため、Windows 11側で「このドライバーは対応外」と判断され、アップグレード作業がストップします。
そのままにしておくリスク
Voicemeeter関連のドライバーを残したままにしておくと、Windows 11へのアップグレードができないだけでなく、以下のような問題も起こり得ます。
– 他の音声デバイスと競合し、音が出ない・録音できないなどのトラブルが続く
– Windows起動時に余計な読み込みが走り、パフォーマンスが低下する可能性がある
– レジストリのゴミが増えて、OS動作が不安定になる場合がある
Voicemeeterドライバーを削除する方法
一度アンインストールしたにもかかわらず、まだシステムにしがみついているVoicemeeterドライバーを完全に消去するには、専用ツールを用いた方法が有効です。代表的なツールとしては「Autoruns」と「DriverStoreExplorer」が挙げられます。
1. Autorunsを活用した方法
Autorunsは、Microsoftが提供するSysinternalsツール群のひとつで、スタートアップ項目やドライバーなど、Windowsの起動に影響を与えるあらゆるエントリを詳細に管理できます。
手順1:Autorunsのダウンロードと起動
1. 下記URLからAutorunsをダウンロードします。
https://live.sysinternals.com/autoruns.exe
2. ダウンロードしたexeファイルを実行して起動します。
3. 実行時、管理者権限が必要となる場合がありますので、指示に従って許可してください。
手順2:ドライバータブでVoicemeeterを探す
1. Autorunsが立ち上がったら「Drivers」タブを選択します。
2. 一覧を確認しながら「Voicemeeter」「VB-Audio」などの名称を探します。
3. 見つかったら、そのエントリにチェックがついている場合はチェックを外して無効化し、エントリ自体を削除できる場合は削除します。
4. さらに「Everything」タブでキーワード検索を行い、「Voicemeeter」や「VB-Audio」に関わる残存ファイルやレジストリエントリがないか確認します。

私の知人はAutorunsで一括検索した際、意外と多くのレジストリエントリがヒットして驚いたそうです。慌てずに一覧を一つずつ確認していくのがコツです。
2. DriverStoreExplorerを使った方法
DriverStoreExplorerは、Windowsのドライバーストアを直接操作できるフリーソフトです。こちらを使うと、システムに登録されたドライバーをよりスムーズに整理できます。
手順1:DriverStoreExplorerのダウンロードと起動
1. 下記のGitHubリポジトリへアクセスして、最新バージョンをダウンロードします。
https://github.com/lostindark/DriverStoreExplorer
2. ZIPファイルを解凍し、DriverStoreExplorer.exeを管理者権限で実行します。
3. 画面上の「Enumerate」ボタンを押すと、登録されているドライバーの一覧が表示されます。
手順2:Voicemeeterドライバーの検索と削除
1. 一覧の中から「Voicemeeter」や「VB-Audio」の名前を探します。
2. 該当ドライバーをチェックボックスで選択し、「Delete Package」または「Uninstall」ボタンをクリックします。
3. 削除後、再起動を求められる場合は、手順に従ってWindowsを再起動します。



私が実際にDriverStoreExplorerを使った際は、以前使っていた他社のオーディオドライバーまで一緒に洗い出せて、システム全体をすっきり整理できました。
削除後の確認
ドライバーを削除できたと思っても、まだどこかにエントリが残っている可能性があります。以下のステップを踏んで、最終確認を行いましょう。
デバイスマネージャーの確認
1. Windowsのスタートボタンを右クリックし、「デバイスマネージャー」を選択します。
2. 「サウンド、ビデオ、およびゲームコントローラー」や「オーディオ入力および出力」などの項目を展開し、VoicemeeterやVB-Audioに関わるデバイスが残っていないか確認してください。
3. 残っている場合は右クリックでアンインストールを行い、「このデバイスのドライバーを削除する」にチェックを入れて完全に取り除きます。
Windowsの再起動
ドライバー削除後は、念のためWindowsを再起動することをおすすめします。再起動することでレジストリやドライバーストアの変更が確実に反映され、不要なエントリが再読み込みされるリスクを最小化できます。
トラブルシューティング
上記の方法を試しても、まれに「それでも削除できない」「残骸が残る」といったケースがあります。その場合の対処法をいくつかご紹介します。
うまく削除できない場合の対処
セーフモードでの削除
通常の状態だとOSがドライバーを使用中としてロックしてしまい、削除ができない場合があります。セーフモードで起動すると、Windowsが必要最小限のドライバーしか読み込まないため、削除が成功する可能性が高まります。
– Windowsの設定からセーフモードで起動し、同様の手順でAutorunsまたはDriverStoreExplorerを使用して削除を実行してみましょう。
再インストール→アンインストール
既にファイルが一部壊れている場合や、レジストリエントリが中途半端に消えている場合には、改めてVoicemeeterをインストールし直した後にアンインストールすると、うまく行くことがあります。
– 公式サイトから最新のVoicemeeterをダウンロード・インストール
– 再度アンインストールウィザードを実行
– 必要に応じて前述のAutorunsやDriverStoreExplorerを使い、残骸を完全に削除
どうしても解決しない場合
万が一、あらゆる手段を試してもVoicemeeterドライバーが削除できずWindows 11へのアップグレードが行えない場合は、システムの初期化(クリーンインストール)も視野に入れる必要があります。ただし、クリーンインストールを行うと個人ファイルやアプリケーションを再度セットアップし直す手間がかかるため、最終手段と考えてください。
アップグレード後のメリットと注意点
Windows 11へのアップグレードを果たした後には、より新しい機能やセキュリティを享受できますが、一方でいくつかの注意点も存在します。ここではメリットと注意点を整理しておきましょう。
アップグレードのメリット
アップグレード時の注意点
まとめ
Voicemeeterドライバーの残骸が原因でWindows 11へのアップグレードに苦戦するという話は決して珍しくありません。しかし、AutorunsやDriverStoreExplorerなどの専用ツールを活用すれば、しつこいドライバーを根こそぎ駆除できます。作業が済んだ後は、デバイスマネージャーで不審なエントリが残っていないか確認し、忘れずにWindowsを再起動しておきましょう。



私も以前、この手順を踏まなかったばかりに貴重な週末を潰してしまったことがあります。同じ失敗を繰り返さないよう、余裕のあるうちにドライバーの整理をしておくと安心ですよ。
対策方法 | 特徴 | 注意点 |
---|---|---|
Autoruns | スタートアップやドライバーの詳細情報を一括表示。削除・無効化も可能。 | 大量の項目が並ぶので、誤削除しないよう要注意。 |
DriverStoreExplorer | ドライバーストアに特化して管理。無駄なドライバーを一掃できる。 | 起動には管理者権限が必要。削除操作の取り消しが難しいので注意。 |



上記のツールを使いこなせば、なかなか取れなかった“しつこいドライバー”も一網打尽にできます。ぜひチャレンジしてみてください。
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