Surface Pro 9でWindows 11をクリーンインストールしようとUSBメディアを使ったら、マウスやタッチパネルがまったく反応せず、先に進めなくてお困りではないでしょうか。こうしたトラブルの原因や解決策を理解しておくと、再インストールが必要な場面でも落ち着いて対処できます。本記事では、Surface Pro 9に特化したリカバリ手順や、USBメディアのフォーマット方法など、スムーズに進めるための具体的な手順を詳しくご紹介します。
Surface Pro 9でUSBからWindows 11をインストールしようとするとマウスやタッチが反応しない原因
SurfaceシリーズはMicrosoft独自のファームウェアやドライバが導入されていることが多く、汎用的なWindows 11のインストールメディアだけでは必要なドライバが含まれず、マウスやタッチスクリーン、キーボードなどの入力デバイスが認識されないケースがあります。特に最新のSurface Pro 9の場合、チップセットやファームウェアのバージョンにより追加ドライバが必須となることが多く、標準のインストールメディアだけでは起動時の入力操作ができない状態になることが珍しくありません。
また、USBフラッシュドライブそのもののフォーマット形式(FAT32やNTFS、exFATなど)によっては、Surface側で正しく起動できないという問題も発生する可能性があります。そのため、正しい手順で専用のリカバリイメージを使いつつ、指定された形式でフォーマットしたUSBメディアを用意するのが重要です。
Surface専用リカバリイメージを利用するメリット
Surface Pro 9に限らずSurfaceシリーズでは、Microsoft公式サイトにてそれぞれのモデル向けに最適化された「Surface Recovery Image(リカバリイメージ)」が提供されています。これを利用する最大のメリットは、必要なドライバやファームウェアがあらかじめ含まれているため、Windows 11のインストール開始時からマウスやタッチスクリーンが使えるようになり、スムーズにセットアップを進められる点です。
さらに、リカバリイメージには純正のファクトリー状態(購入時の状態)に戻すための構成ファイルも含まれており、標準のWindows 11をインストールした場合よりも不具合が起きにくく、安定した動作を期待できます。特にデバイスが起動しなくなったり、OSがうまく機能しなくなったりした場合には、Surface専用リカバリイメージを使った復元がもっとも確実な方法といえます。
どこからリカバリイメージを入手するか
Microsoft公式サイトのSurface Recovery Imageページにアクセスし、該当するSurfaceモデル(ここではSurface Pro 9)を選択してダウンロードします。ダウンロードにはMicrosoftアカウントが必要になる場合があります。リカバリイメージの容量は数GB単位になるため、時間に余裕があるときに実施するのがおすすめです。
USBフラッシュドライブの準備
Surface Pro 9で利用するリカバリ用USBフラッシュドライブは、以下の要件を満たしている必要があります。
- 容量:16GB以上32GB以下
- フォーマット形式:FAT32
なぜFAT32が必須なのか
SurfaceのUEFI(旧BIOS)によっては、NTFSやexFATなどのパーティションからはブートをサポートしない仕様になっているケースがあります。特にリカバリモードで起動する際には、FAT32が最も安定して認識される形式です。32GBを超えるUSBフラッシュドライブだと、通常のWindowsのフォーマット画面からFAT32を選べなくなる可能性があり、NTFSやexFATしか選択肢がない場合もあります。その場合は下記のようにDiskPartコマンドなどを用いて強制的にFAT32でフォーマットする手順を行う必要があります。
DiskPartを使ったFAT32フォーマット手順
Windows環境でFAT32を選べない場合には、以下のようにコマンドプロンプトから実行できます。
1. Windowsキーを押して「cmd」と入力し、表示された「コマンド プロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択
2. 以下のコマンドを順に入力
diskpart
list disk
※ 接続されているディスク一覧が表示されるので、
目的のUSBドライブのディスク番号(例: Disk 1)を確認
select disk 1
clean
create partition primary
select partition 1
format fs=fat32 quick
assign
exit
exit
上記のようにDiskPartを用いると、FAT32でクイックフォーマットできます。フォーマット後にエクスプローラーでUSBフラッシュドライブを開き、必要なファイルをコピーできる状態になっていれば成功です。
Surface Recovery ImageをUSBへコピーする方法
ダウンロードしたリカバリイメージはZIPファイル形式になっていることが多いため、まずはWindows PCで解凍(展開)します。解凍後にできあがったフォルダ内のファイルを、そのままUSBドライブの「直下」にコピーしてください。
- ポイント:解凍したフォルダをまるごとドラッグ&ドロップするのではなく、フォルダの中にあるすべてのファイルとフォルダを選んで、USBドライブ直下にコピーします。フォルダ階層がずれると、起動したときに正しく認識できない場合があります。
コピーが完了したら、念のためUSBフラッシュドライブの中身を確認し、「sources」などの複数のフォルダやファイルが直下に並んでいることを確認してください。
USBフラッシュドライブを安全に取り外す
コピー作業が終わったら、エクスプローラーからUSBアイコンを右クリックして「取り出し」を選ぶか、システムトレイの「ハードウェアを安全に取り外してメディアを取り出す」アイコンをクリックして安全に取り外します。突然USBを抜くとファイル破損のリスクがあるため注意しましょう。
Surface Pro 9でのリカバリ実行手順
それでは、実際にSurface Pro 9でのリカバリを実行する手順について解説します。
- USBフラッシュドライブをSurface Pro 9に接続
あらかじめ準備したリカバリ用USBドライブを、Surface Pro 9のUSBポートに挿し込みます。Type-Cポートのみの場合は、対応のUSB Type-Cアダプタなどで接続してください。 - Surface Pro 9の電源を入れるか再起動する
電源が入っていない場合は長押しして起動させ、すでに起動している場合は再起動を選びます。 - UEFIメニューへのアクセス(必要に応じて)
通常は接続したUSBリカバリドライブから自動的に起動することが多いですが、うまくいかない場合は「音量を下げるボタン」を押したままPowerボタンを押して起動し、Surfaceのロゴが表示されたらボタンを離します。
- これでUSBデバイスからのブートが優先される設定となり、リカバリメニューが表示されるはずです。
- リカバリメニューが立ち上がったら指示に従う
画面に「キーボードレイアウトを選択」などの案内が表示される場合があります。タッチやマウス操作が可能な状態であれば、そのまま選択を進めてください。 - トラブルシューティング → このPCを初期状態に戻す
リカバリメニュー内で「トラブルシューティング」あるいは「このPCを初期状態に戻す」といった項目を選び、表示される画面の指示どおりに操作します。 - 復元オプションの選択
完全初期化か、ファイルを保持したままの回復か、いくつかオプションが提示されることがあります。環境を完全にクリーンな状態に戻したい場合は「すべて削除する」を選ぶとよいでしょう。ただし、重要なデータがある場合はあらかじめバックアップを取っておく必要があります。
リカバリ後のセットアップ
リカバリ操作が完了すると、Surface Pro 9が再起動して初期設定画面が始まります。地域と言語設定、Wi-Fi接続、Microsoftアカウントのログインなどを順番に行い、セットアップを完了しましょう。ここでもデバイスに必要なドライバ類はSurface専用リカバリイメージに含まれているため、タッチやマウスが動作しないといった問題は基本的に起きないはずです。
通常のWindows 11用USBメディアとの違い
Media Creation Toolを使って作成した汎用のWindows 11インストールメディアには、Surface Pro 9向けの固有ドライバが含まれていません。結果として、インストール初期段階で周辺機能が使えなかったり、セットアップ後もネットワークドライバが不足してインターネットに接続できなかったりする可能性があります。どうしてもMedia Creation Tool版のUSBメディアを使いたい場合は、以下の方法で一部対処が可能です。
- 他のデバイスからドライバを入手してインジェクトする
起動用USBイメージを作成した後、Surface公式ドライバをダウンロードして、USBの「drivers」フォルダなどに追加で組み込む(インジェクト)手段があります。ただしやや高度な作業となり、Windows ADKなどのツールを使ってISOイメージをカスタマイズする必要があるため、一般ユーザーにはハードルが高いかもしれません。 - インストール後にドライバを当てる
なんとか初期セットアップを進め、タッチやキーボードを認識させた後に公式サイトからドライバをダウンロードしインストールする方法もあります。しかし、最初からタッチもマウスも効かない状態ではセットアップ画面を超えられないため、事実上はリカバリイメージの利用がベストと言えます。
バックアップの重要性
リカバリイメージによる初期化や再インストールは、基本的に内蔵SSDのデータを消去した上でWindows 11を再セットアップすることになります。大切なドキュメントや写真、アプリの設定などがある場合は、事前にバックアップを取っておきましょう。
- OneDriveなどのクラウドストレージ
- 外付けHDDやNASへのコピー
- 別のPCへのファイル移行
こうした方法で、万一データが消えても復元できる体制を作ってからリカバリに臨むと安心です。
トラブルシューティング:リカバリUSBが認識されない場合
万が一、Surface Pro 9がリカバリ用USBフラッシュドライブをまったく認識しない、あるいはブートしない場合は、以下の点を再度確認してください。
- USBのフォーマット形式
正しくFAT32になっているかどうかを再チェックします。NTFSやexFATでは認識しない可能性が高いです。 - USBの差し込み口やアダプタ
Type-Cハブや変換アダプタを使用している場合、それが不良だったりSurfaceとの相性問題を起こしている可能性があります。可能なら別のアダプタや、別のUSBフラッシュドライブを試してみてください。 - UEFI設定
カスタム設定でUSBブートが無効になっている場合があります。SurfaceのUEFI画面で「Secure Bootの設定」や「USBの起動優先度」を確認し、USBブートが許可されているか、またSecure Bootによって制限されていないかを見直します。 - USBフラッシュドライブ自体の故障
他のPCでデータの読み書きが正常に行えるかテストし、故障していないか確認してください。
Surface Pro 9を最適な状態で使うために
一度クリーンインストールが完了したら、Windows Update経由で最新のアップデートを適用し、さらに必要に応じてMicrosoft Storeの更新プログラムやファームウェアアップデートをインストールします。Surfaceデバイスはファームウェアの更新がパフォーマンスや安定性に大きく影響することがあるため、常に最新状態を保つとよいでしょう。
また、ビジネス用途などでSurfaceを活用する場合は、以下のような追加設定やツールも検討してみてください。
- BitLockerによるドライブ暗号化
データ保護の面でも、Surface Pro 9にはBitLockerを有効にしておくのが安心です。 - Microsoftアカウント連携とOneDriveバックアップ
Windows 11にMicrosoftアカウントでサインインすることで、OneDrive自動同期や各種設定のクラウドバックアップが利用できます。万一再インストールする際も、最低限の設定はクラウドから自動復元可能です。 - Surface Appでのデバイス管理
Microsoft Storeで提供されている「Surface App」を利用すると、SurfaceペンやSurfaceキーボードのペアリング状態を一括管理しやすくなり、アップデート情報も取得しやすくなります。
まとめ
Surface Pro 9でUSBからWindows 11を再インストールする際にマウスやタッチスクリーンが反応しない問題は、Surface固有のドライバやファームウェアを含んでいないことが原因である場合が大半です。そのため、Microsoft公式が提供しているSurface専用のリカバリイメージを用いれば、ほぼ確実に問題を回避できます。
USBフラッシュドライブの準備では、FAT32でのフォーマットが必要となる点に注意が必要です。もし通常のエクスプローラー上でFAT32を選択できないときは、DiskPartなどのコマンドラインツールを使って強制的にFAT32で初期化しましょう。
リカバリ後は最新のアップデートを適用し、必要に応じて設定やアプリを再インストールすれば、Surface Pro 9本来の快適な操作環境が整います。万が一再度トラブルが起きても、今回ご紹介した手順を押さえておけば落ち着いて対処できるはずです。ぜひ快適なWindows 11ライフをお楽しみください。
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