Surface Pro 11のWindows 11 ARMでHPプリンターが使えない時の対処法

最新のSurface Pro 11を手に入れたのに、いざHPプリンターを繋ごうとしたらドライバーがインストールできない…そんなトラブルに困ってしまうと、作業も捗らずストレスを感じてしまうものです。特にWindows 11 ARMの新しい環境では既存のドライバーがうまく動作しないこともあるため、問題の原因と解決策をしっかりと押さえておきましょう。

HPプリンターがインストールできない原因

HP公式サイトから提供されるARM向けのドライバーを使用しても、IPv4ポートがうまく検出されずにセットアップが完了しない場合があります。中にはWindows Updateの影響でPlugPlayサービスが削除または変更され、結果として従来のHPプリンタードライバーが正しく動作しなくなったという報告もあります。以下の主な原因を理解することで、問題解決に近づくことができます。

Windows 11 ARMにおけるドライバー互換性の問題

Windows 11 ARMは、従来のx64アプリケーションやドライバーをエミュレーションにより動作させる仕組みを持っています。しかし、特にデバイスドライバーのような低レベルのソフトウェアはARMネイティブ対応が必須となる場合があり、エミュレーションでは十分に動作しないケースがあります。HP純正ドライバー側のソースコードがWindows 11 ARM固有の仕様に追従できていないこともあり、インストールが完了しても印刷ジョブが処理されない、もしくはプリンター自身のポートが認識されないといった症状が出るのです。

PlugPlayサービス削除の可能性

一部のWindows 11更新プログラムによって、従来のPlugPlayサービスに関連する設定が変更されたり、実質的に別のサービスで置き換えられたりする事例が報告されています。プリンターのドライバーがこのPlugPlayサービスに依存している場合、サービスが正しく機能しない、あるいはサービス自体が削除されてしまうことで、プリンターの検出やインストールが失敗する恐れがあります。

ネットワーク設定やIPv4ポートの問題

最近のプリンターはWi-Fiや有線LANなど、ネットワーク経由でのセットアップが主流になりつつあります。Windows 11 ARMでIPv4アドレスが正しく振り分けられていない、あるいはIPv4ポートの検出処理にエラーが出てしまうと、印刷ジョブが送信されてもプリンターまで届かない場合があります。Surface Pro 11が接続しているネットワーク環境でDNSやルーター設定などに問題がないかも、合わせて確認が必要です。

HPプリンターインストールの主な対策

原因を確認したら、次はいくつかの対策を試してみましょう。今回ご紹介する方法は完全な解決策というよりも、トラブルを緩和したり代替的に印刷を行ったりする手段です。特にHP側のドライバーアップデートがない場合の暫定策として、以下を参考にしてください。

1. Microsoft汎用プリンタードライバーの使用

HP純正ドライバーがうまく動作しない場合、Windows 11標準で提供されている汎用ドライバーを利用することが第一の対策になります。次の手順でインストールを試してみましょう。

  1. [設定] → [Bluetoothとデバイス] → [プリンターとスキャナー]を開く
  2. [デバイスの追加]を選択
  3. ネットワークまたはローカルポートでプリンターを検索
  4. 一覧に表示される「Microsoft IPP Class Driver」「Microsoft汎用プリンタードライバー」などの名前でプリンターを選択
  5. 指示に従ってインストールを完了

ただし、この汎用ドライバーでも機種によっては正しく印刷できないことがあります。機能が限定される可能性もあるため、最低限の印刷機能しか利用できないことも考慮してください。

2. HPサポートへの問い合わせ

HPの公式サポートへ連絡して、Windows 11 ARM専用ドライバーの対応状況を確認することも大切です。特に以下の点を明確に伝えるとスムーズです。

  • 使用している機種名(Surface Pro 11)
  • 搭載OSがWindows 11のARM版であること
  • 具体的な症状(IPv4ポートが検出されない、印刷ジョブが送れない等)
  • プリンターの正確な型番

サポート担当者からは新しいドライバーのリリース予定や既知の不具合情報を提供してもらえる場合があります。公式に対応が進んでいるなら、改訂版のドライバー公開を待つという選択肢も考えられます。

3. ネットワーク接続とIPv4設定の見直し

プリンターをネットワークで利用している場合、そもそも同じネットワーク上に正しく接続されているかを確認しましょう。Surface Pro 11とプリンターが同一サブネットに存在しないと、印刷ジョブが届かない原因になります。以下のような点をチェックしてください。

  • ルーターのDHCP割り当てが正常に動作しているか
  • IPv4だけでなくIPv6やVPNが影響していないか
  • Surface Pro 11とプリンターのファイアウォール設定が通信をブロックしていないか

特にWi-Fi環境ではSSIDが複数存在する場合やゲスト用ネットワークがある場合に、知らないうちに別のネットワークへ接続していることがあります。ルーターやアクセスポイントの設定画面でIPアドレスの割り当て状況を確認し、プリンターとSurfaceが同じネットワークにいるかを再確認しましょう。

4. PlugPlayサービスの状態を調べる

Windows 11 ARM環境でPlugPlayサービスが削除または変更された場合、従来のHPドライバーが正しく動作しない可能性があります。サービスの状態を確認するには、以下の手順を行ってください。

  1. スタートボタンを右クリックし、[ファイル名を指定して実行]を選択
  2. 「services.msc」と入力してエンター
  3. サービス一覧が表示されるので、「Plug and Play」または類似のサービスが起動しているかを確認

もしくは、PowerShellやコマンドプロンプトで次のコマンドを実行して確認する方法もあります。

sc query plugplay

上記コマンドで RUNNING 状態になっていれば一応は起動している状態です。ただし、Windows 11 ARMのビルドによってはサービス名や挙動が変更されている可能性があるため、あくまで目安と考えてください。

PlugPlayサービスが見つからない場合

一部のレジストリ修正やシステム更新によってPlugPlayに依存するサービスが統合されたり名前が変わっている可能性があります。現在は公式には復旧手段が明示されていないため、根本解決にはHPドライバーの改訂やマイクロソフト側の修正が必要になるケースが多いです。下手にレジストリを編集すると、システムに深刻な不具合が生じる恐れがあるので注意しましょう。

HP純正ドライバーとMicrosoft汎用ドライバーの比較

以下の表は、HP純正ドライバーとMicrosoft汎用ドライバーを使った場合の主な違いをまとめたものです。環境やプリンター機種によって異なる部分はありますが、導入前の目安としてご覧ください。

項目HP純正ドライバーMicrosoft汎用ドライバー
Windows 11 ARM対応一部機種のみ正式対応/未対応機種が多いOS標準機能のため基本的に対応
機能の豊富さスキャン機能やインク残量確認、メンテナンスツールなどが利用可能印刷機能のみ、複合機能は制限される場合がある
安定性対応OSなら安定動作が期待できるが、ARM環境では不具合の報告多数汎用ドライバーのため動作自体は軽量だが、細かい不具合や制限あり
アップデート頻度HP公式のサポート・アップデート待ちWindows Update経由で自動提供される
推奨シチュエーションWindows 11 ARMに正式対応表記のある機種で利用暫定的に印刷したい場合やHP純正が動作しない場合の代替

このように、HP純正ドライバーは本来プリンターの機能を最大限に活かすために必須の存在ですが、Windows 11 ARMに十分最適化されていない現状があります。一方、Microsoft汎用ドライバーは一応印刷できる場合が多いものの、細やかな設定やスキャン機能などが制限される可能性が高いです。

HP公式ドライバーのアップデートを待つべきか

HPプリンターをすべての機能込みで快適に使いたい方にとっては、やはりHP純正ドライバーの正規対応が期待されるところです。HPは新OSや新環境に対して、比較的速やかにアップデートを行うメーカーの一つですが、Windows 11 ARMについてはまだ対応機種が限定的な状況にあります。今後のアップデートやサポート情報は以下のようにチェックすると良いでしょう。

  1. HP公式サイトのサポートページ
  2. HPカスタマーサポートへの直接問い合わせ
  3. HP公式コミュニティフォーラム
  4. マイクロソフトの公式ドキュメント(Windows 11 ARM対応デバイス一覧など)

最新情報を追いかけることで、より確実なドライバーの入手が可能になるかもしれません。加えて、Surface Pro 11自体のWindows Updateも常に最新状態にしておくことで、ARM環境周りの改善が行われる可能性があります。

それでも解決しない場合の最終手段

もし上記の対策を試してもうまくいかない場合、別の方法で印刷を行うか、状況によってはWindows 11 ARMの再インストールやダウングレードを検討することもあります。ただし、再インストールやダウングレードは大掛かりな作業となるため、重要なデータのバックアップやSurfaceのリカバリ媒体の作成など、事前準備を十分に行いましょう。

また、極端な例として、クラウド上で動作するWindows仮想マシン(Windows 365など)から印刷する、もしくは別のPCを使って印刷を管理するという方法も存在します。日常的には手間がかかるためあまり推奨できる手段ではありませんが、どうしてもARM環境でHPプリンターが使えないという場合には検討の余地があります。

まとめ

Surface Pro 11のWindows 11 ARM環境でHPプリンターがインストールできない原因としては、ドライバーの互換性やPlugPlayサービスの変更、ネットワーク設定などが大きく影響している可能性があります。対策としては、Microsoft汎用プリンタードライバーを試したり、HP公式サイトでの最新情報をチェックしたり、ネットワーク環境を見直すことが有効です。

現時点では、HP純正ドライバーが完全にARMに対応していないケースが多いため、印刷機能を最優先に考えるなら一時的に汎用ドライバーでしのぐのも一案です。本格的な解決を望むのであれば、HP側のドライバーアップデートを待つか、サポート窓口に問い合わせて正式な対応方針を確認するのがおすすめです。最終的には、個々の環境やプリンターの機種に合わせた最適解を模索することが重要になります。

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