Windows 11へのアップデート後に、急にカメラが使えなくなったり、画面の表示スケールが極端に小さくなってしまうと、作業効率が大きく低下してしまうため、早急に対処したいところです。ここではSurface Pro 7で起きやすい不具合の原因と具体的な解決策をわかりやすく解説します。
Windows 11アップデートで起こる不具合の原因
Windows 11に限らず、OSの大幅なアップデートを適用すると、ドライバ周りにトラブルが起こることは珍しくありません。特にSurface Pro 7のように専用のドライバやファームウェアを持つデバイスでは、アップデートのタイミングや互換性の問題でカメラドライバが削除されたり、ディスプレイ表示に影響が出たりすることがあります。
Windows 11とSurface固有ドライバの関係
SurfaceシリーズはMicrosoftのハードウェアであるものの、搭載されているドライバはWindowsアップデートに含まれる場合と、Surface専用のドライバパッケージを別途インストールしなければいけない場合があります。アップデート時にOSの既定設定でドライバを自動取得できないことがあり、結果としてカメラドライバが誤って削除され、再インストールされないまま放置されるケースが発生します。
表示スケールが100%でも小さくなる理由
Surface Pro 7のように高解像度ディスプレイを搭載したデバイスは、Windows側で通常はスケーリングを自動調整して見やすさを維持しています。しかし何らかの理由でドライバやレジストリ情報が破損したり、互換性の問題によりWindowsが正しいスケール設定を認識できなくなると、システム上は「100%」表記でも極端に小さく表示されることがあります。
スケーリングの仕組み
- Windowsはディスプレイ解像度と物理サイズ、DPI設定をもとにスケールを調整
- 高解像度の場合、125~200%など大きめのスケールが標準的
- ドライバやレジストリが正常に動作しないと「100%」で固定され、文字やアイコンが極端に小さく表示される
不具合解消のための具体的な手順
ここからは、カメラドライバと表示スケールの問題を解決するための手順を詳しくご紹介します。下記のステップを順に進めることで、トラブルの解消を目指しましょう。
1. Surface Pro 7のドライバとファームウェアを再インストールする
Surface専用のドライバはMicrosoft公式サイトの「Surface Pro 7 Drivers and Firmware」ページから入手可能です。アップデート後に何らかの不具合が起きた場合、まずはこちらから最新のドライバとファームウェアをダウンロードし、改めてインストールすることをおすすめします。
具体的なインストール手順
以下に、Surface Pro 7のドライバとファームウェアを再インストールする際の一般的なステップをまとめます。
- Microsoft公式サイトへアクセス
Surface Pro 7 Drivers and Firmware などのリンクを開き、対応するモデルを選択します。 - 最新のドライバとファームウェアをダウンロード
「Download」ボタンや「最新リリース」等の項目があるので、Surface Pro 7専用パッケージ(.msi形式)などを入手しましょう。 - ドライバパッケージを実行
ダウンロードしたファイルをダブルクリックして実行すると、必要なドライバとファームウェアが一括でインストールされます。インストール中は、画面の指示に従ってください。 - 再起動の実施
インストール後はPCを再起動します。再起動が完了したら、デバイス マネージャーでカメラドライバが正常に認識されているかを確認します。
ドライバが正常にインストールされたか確認する方法
- デバイス マネージャーを開く: タスクバーの検索欄や「スタートボタン右クリック→デバイス マネージャー」から起動
- カメラまたはイメージングデバイスを展開: 「カメラ」や「イメージング デバイス」が表示されているかチェック
- ドライバのプロパティ確認: デバイスを右クリックして「プロパティ」を選択し、「ドライバ」タブでバージョンを確認
正常に導入されていれば、該当デバイスには「このデバイスは正常に動作しています」という表示が確認できるはずです。
2. 問題のある更新プログラムを非表示にする
もしドライバの再インストール後、再度Windows Updateによって不具合の原因となった更新プログラムが適用されると、同じトラブルに繰り返し見舞われる可能性があります。そのため、一時的に該当の更新プログラムを「非表示」にし、再インストールされないようブロックする方法が有効です。
wushowhide.diagcabツールの使い方
Microsoftが提供している「Show or hide updates(wushowhide.diagcab)」は、Windows Updateで配信される特定の更新プログラムをブロック(非表示)するためのツールです。以下の手順で利用できます。
- wushowhide.diagcabをダウンロード
Microsoft公式サイトから「Show or hide updates」ツールをダウンロードします。 - ツールを実行
ダウンロードしたファイルをダブルクリックして起動し、「次へ」をクリックします。 - 「Hide updates」を選択
一覧に表示される更新プログラムの中から、問題の原因と思われる更新プログラムにチェックを入れ、非表示にします。 - 設定を完了
ツールを終了し、Windows Updateを再度確認します。該当の更新プログラムがリストに表示されなければ非表示化に成功しています。
これにより、Windows Updateが同じ不具合を引き起こす更新プログラムを再度インストールしようとしなくなるため、ドライバが再び削除されるリスクを軽減できます。
ディスプレイスケール設定の調整
ドライバや更新プログラムを修正したうえで、表示スケールを再設定することも大切です。以下の方法でディスプレイのスケールを最適化しましょう。
Windowsの設定からスケールを変更する
- 「設定」→「システム」→「ディスプレイ」を開きます。
- 「スケールとレイアウト」の項目で、テキスト、アプリ、その他の項目のサイズを変更するスケールを選択します。
- 125%、150%、175%、200%など、見やすい設定を選択してみてください。
高DPI設定のカスタマイズ
特定のアプリケーションの表示が不自然に小さかったり、逆に拡大されすぎる場合は、次のような個別設定を試すことも可能です。
- アプリのプロパティを開く: 対象のアプリ(.exeファイルなど)を右クリックし、「プロパティ」を選びます。
- 「互換性」タブを選択: そこで「高DPI設定の変更」ボタンをクリックします。
- 「高DPIスケールの動作を上書きする」にチェックを入れ、スケーリング実行先を「アプリ」か「システム(拡張)」に切り替えてみます。
- 適用してアプリを再起動: 設定を保存してアプリを再度立ち上げ、表示が改善されているか確認します。
表示スケール設定の比較一覧表
以下の表は、Surface Pro 7のような高解像度ディスプレイで一般的に用いられるスケール倍率と、テキストやアイコンの体感サイズの変化をまとめた例です。実際の表示は解像度や好みによって異なるため、あくまで目安として参照してください。
スケール設定 | 文字やアイコンの見え方 | おすすめの利用シーン |
---|---|---|
100% | 非常に小さい | 外部モニターを接続して広い作業領域が欲しい場合 |
125% | やや小さい | 主にデスクトップ利用で視力に自信がある場合 |
150% | 標準~やや大きい | バランスがよく、一般的に推奨 |
175% | 大きめ | タブレットモードを多用する場合に見やすい |
200% | 非常に大きい | タブレットスタイルでタッチ操作を重視したい場合 |
それでも直らないときの追加アプローチ
上述の手順を行っても問題が解決しない場合、別のアプローチを検討してみましょう。
システムの復元ポイントを利用する
Windowsアップデート適用前にシステムの復元ポイントが自動作成されている場合は、アップデート以前の状態に戻すことで問題が解消する場合があります。
- 「設定」→「システム」→「バージョン情報」→「システムの保護」を開きます。
- 「システムの復元」を実行し、該当の復元ポイントを選択。
- 元の状態に戻した後、ドライバやアップデートを慎重に再適用し、問題が再発しないか確認します。
デバイス マネージャーからドライバを手動更新する
Surface Pro 7用のドライバを公式サイトからダウンロードできない場合や、万が一ドライバの自動インストールがうまくいかない場合は、デバイス マネージャーで手動インストールを試すこともできます。
- デバイス マネージャーを起動
- カメラを右クリックして「ドライバーの更新」を選択
- 「ドライバー ソフトウェアの参照先を指定」を選び、ダウンロード済みのドライバフォルダを指定
- Windowsがドライバを検出したらインストールを進める
Windows Updateのトラブルシューティングツールを利用する
Windows 11には標準でトラブルシューティングツールが備わっています。
- 「設定」→「システム」→「トラブルシューティング」を開く
- 「その他のトラブルシューティング」の中から「Windows Update」を選択して実行
- 問題が検出された場合は、自動修正もしくは修正ガイドに従う
トラブルを防止するための予防策
これまでの作業で問題が解決しても、再度更新プログラムが原因でトラブルが生じる可能性はゼロではありません。以下の予防策を実践することで、今後のトラブルを回避できる可能性を高めます。
定期的にドライバ更新とバックアップを実施する
SurfaceシリーズはMicrosoft公式のドライバ提供が定期的に行われています。OSの大型アップデート前だけでなく、普段から最新のドライバを確認し、合わせてシステムイメージのバックアップを行っておくと安心です。
大きなアップデートはタイミングを見計らう
Windows 11の大型アップデート(例: 22H2など)がリリースされた直後は、互換性問題が出やすいタイミングです。事前にネット上のユーザーレビューや不具合情報を確認したうえでアップデートを適用すると、トラブルを回避できる場合があります。
BIOSやUEFIの更新状況も確認する
Surface Pro 7を含む多くのPCでは、BIOSやUEFIのファームウェアアップデートが配信されることがあります。古いファームウェアのままだと、Windows 11との互換性が不十分でトラブルが発生する可能性があるので、定期的に確認しましょう。
まとめ
Windows 11へのアップデートを実施した際、Surface Pro 7のカメラドライバが削除されたり表示スケールが極端に小さくなったりするトラブルは、ドライバの再インストールや問題のある更新プログラムを非表示にすることで解決を図れます。また、ディスプレイ設定でスケールを再調整し、高DPIの動作を個別に設定することで、より快適な表示環境を構築できます。万が一、これらの方法で改善しない場合は、システムの復元ポイントの利用や手動ドライバ更新など別のアプローチを試してみるのも有効です。定期的なドライバ更新やOSアップデートの管理を徹底し、Surface Pro 7をはじめとした高DPI対応デバイスを快適に使いこなしましょう。
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