Windowsを日常的に使っていると、ある日突然システムファイルの破損や不具合に悩まされることがあるかもしれません。そんなとき、まず思い浮かぶのが「DISMコマンドでの修復」や「修復インストール(インプレースアップグレード)」という対策です。ここでは、これらの方法の違いや実際の使い方を、経験談を交えながら丁寧に解説していきます。
DISMによる修復と修復インストールの概要
システムファイルの修復方法としてよく挙がるのが、DISMコマンドと修復インストール(インプレースアップグレード)です。どちらもWindowsに関するトラブルシューティングで多くの方が試す手順ですが、それぞれの動作やメリット、注意点には大きな違いがあります。ここでは、両者の全体像をつかみながら、どのような状況でどちらを使うのがベストなのかについて考えてみましょう。
DISMコマンドとは
DISM(Deployment Image Servicing and Management)は、Windowsのイメージやコンポーネントストアを管理・修復するためのコマンドラインツールです。Windows 8以降のOSに標準搭載されており、主に以下のような機能を持っています。
コンポーネントストアの修復
コンポーネントストアはWindowsのシステムファイルを保持する重要な領域です。ここに破損があると、Windows Updateが失敗したり、システムの動作が不安定になったりすることがあります。DISMはコンポーネントストアの破損をスキャンし、必要に応じて修復します。
USBやネットワーク上のソースを利用した修復
DISMコマンドは、USBやISOイメージから取り出したWindowsのインストールファイル(たとえばinstall.wimやinstall.esdなど)を参照先として指定することで、破損しているシステムファイルを正しいファイルで置き換えられます。万が一、ローカルのコンポーネントストアが修復に必要なファイルを正しく持っていない場合でも、外部メディアを使って修復を実行できるのが強みです。

私自身、過去にWindowsアップデートが失敗し続けて困ったとき、DISMを利用してコンポーネントストアを修復した経験があります。思いのほかスムーズに修復できて驚いたものです。
修復インストール(インプレースアップグレード)とは
修復インストールは、Windows 10やWindows 11を再インストールする過程で、アプリケーションやファイル、設定などを保持したままOSのシステムファイルを新しく書き換える方法です。多くの場合「インプレースアップグレード」とも呼ばれ、以下の特徴があります。
上書きインストールで包括的にファイルを置き換える
DISMが破損した部分を限定的に置き換えるのに対し、修復インストールはシステム全体のファイルを再インストールするイメージです。システムに存在する全ファイルを、新規のファイルに入れ替えるため、細かい不具合が多岐にわたる場合でも広範囲に再構築できます。
データを保持したまま行える
通常のクリーンインストールではデータを消去してしまいますが、インプレースアップグレードはユーザープロファイルやインストール済みアプリを残せるため、再設定や再インストールの手間が大幅に軽減されます。もちろん、事前にバックアップは推奨されますが、トラブルシュートとして取り組む価値は高いです。
注意が必要な点
インプレースアップグレードを実施するには、ある程度の空き容量と安定した動作環境が必要になります。また、USBメディアからブートして直接インプレースアップグレードを行う方法もありますが、バージョンやエディション、インストール時の制約によってはオプションがうまく選択できない場合もあります。そのため、通常はWindowsを起動している状態でセットアップファイルを実行する形をとります。
DISMと修復インストールの違いをさらに深堀り
ここでは、どちらの方法をいつ選択すべきかという観点で、違いをさらに詳しく比較してみましょう。
修復の範囲の違い
DISMはコンポーネントストアやシステムファイルの破損状況を調べ、破損している箇所をピンポイントで直すのが大きな特色です。一方で、修復インストールは広範囲にわたってファイルを置き換え、Windowsを「新品に近い状態」に戻す印象が強いです。
小さな不具合や特定ファイルだけの問題ならDISMが有効で、一気にリフレッシュしたい場合やどこが壊れているのか分からないほど症状が複雑な場合は、修復インストールの方が安心です。



あるとき、OSの一部機能だけが動かなくなった程度の軽微な不具合に遭遇したことがありました。そのときはDISMであっさり直せました。逆に、広範囲にレジストリが壊れていたときは修復インストールの方が手っ取り早かったです。
実行環境の違い
DISMはWindowsが正常に起動していれば、通常モードでもセーフモードでも、さらには回復環境(Windows RE)でも使用できます。また、USBなど外部メディアのソースを指定してコマンドを実行することも可能です。
修復インストールに関しては、基本的にはWindowsを起動している状態でセットアップファイルを実行し、ウィザードを進めるのが一般的です。USBからブートして修復インストールを選択できる場合もありますが、バージョンやメディアの作り方によってはインストール画面からアップグレードが選べないケースがあるため要注意です。
処理時間と成功率
DISMはターゲットとなる破損箇所だけ修復するため、処理時間は軽いケースが多いです。ただし、破損具合によっては複数回の実行が必要になることもあります。修復インストールは全ファイルを置き換えるため、どうしても時間がかかりますが、包括的に問題を取り除くため高い成功率が期待できます。
私の経験上、DISMで解決できなかった問題が修復インストールで解決した例も少なくありません。しかし、インプレースアップグレードは一歩間違えるとシステムをさらに不安定にするリスクもあるので、電源管理や十分な空き容量を確保した上で行うようにしましょう。



予想外にかかる時間も考慮して、私は作業前にバックアップと十分なバッテリー残量(または安定したAC電源)を確保するようにしています。万が一途中で電源が落ちると大惨事ですからね。
USBからのDISM実行は修復インストールと同じなのか
しばしば混同されがちな疑問として「USBに含まれるISOイメージをソースにしてDISMコマンドでシステムファイルを修復する方法は、USBで起動して修復インストールをするのと同じか」という点があります。
結論としては「違うアプローチ」です。DISMはあくまでシステムファイルの破損をチェックし、ピンポイントで置き換えるためのコマンドラインツールです。修復インストールはWindowsセットアップを起動して、新しいWindowsファイルをまとめて書き換えていく作業になります。
USBからのDISMコマンド実行
USBに作成したWindowsインストールメディアに含まれるinstall.wimやinstall.esdなどを、ソースとして指定することでDISMを使うことができます。具体的には下記のようにコマンドを入力するイメージです。
dism /online /cleanup-image /restorehealth /source:X:\sources\install.wim /limitaccess
このとき、X:はUSBドライブに割り当てられたドライブレターを指します。これによって、DISMは破損しているシステムファイルをUSBから取得して修復できるのです。
USBブートによる修復インストール
USBからブートしてセットアップを起動すると、通常は新規インストールかアップグレードかを選ぶ画面が出てきます。ただし、USBブートの環境ではアップグレード(今のファイルを保持)を選べない設定になっていることもあり、バージョンやエディションが合わないとインプレースアップグレード自体が実行できない場合もあります。もしUSBでのアップグレードを許可する構成であれば、ウィザードを進めるとファイルを保持したまま再インストールする工程に進むことができます。
セーフモードでのDISM実行は可能か
基本的に、セーフモードでもコマンドプロンプトが使えるのであればDISMを実行できます。ただし、ネットワークが利用できないセーフモード設定の場合、外部ソースにアクセスできないことがあります。そのため、USBドライブにソースをしっかりと置いた上で、ドライブレターを間違えずに指定する必要があります。
私自身、以前トラブルシューティングでセーフモードに入り、USBを挿してDISMを試みたときに「ソースが見つかりません」というエラーに出会ったことがあります。ネットワークが無効になっていたために認識できない状態だったので、セーフモードの種類とUSBドライブの状態をきちんと確認するのが大事です。
DISMと修復インストールを使い分ける具体的なケース
ここでは、私のこれまでの経験や聞き取り調査で把握した典型的なケースを整理しつつ、どちらの方法が適しているかをまとめてみます。
軽微な不具合や単発的な破損が疑われる場合
例えば、Windows Updateエラーで特定のエラーコードがよく出る、システムファイルが1つか2つ壊れている可能性が高い、といった場合にはDISMで解決できるケースが多いです。SFC(System File Checker)との併用で、ほとんどの軽微なエラーは解消できる印象があります。



私もよくDISMとSFCを組み合わせます。まずSFC /scannowを実行して、それで直らなければDISMを使い、再度SFCを走らせるという手順が定番です。
システム全体が不安定で原因が特定できない場合
エクスプローラーが頻繁にクラッシュする、Windows Updateが根こそぎ失敗する、レジストリが大きく破損しているなど、大掛かりな不具合が発生しているなら、修復インストールが早道です。もう一気にファイルを入れ替えてしまうことで、複数の問題を同時に解決できます。
バックアップの有無や時間に余裕があるかどうか
修復インストールは時間がかかるうえ、万が一途中で失敗すると大変な手間がかかります。バックアップを取っているかどうか、トラブルシュートに時間を割けるかどうかも大事です。DISMなら比較的短時間で済むので、とりあえず応急処置的に試すケースも多いです。
具体的な操作手順・コマンド例
ここからは実際に操作する際の流れを簡単に示しておきます。特にDISMコマンドについては、入力を間違えるとエラーになったり、思うように修復できなかったりするので丁寧に進めることが大切です。
DISMの基本的な流れ
1. 管理者権限のコマンドプロンプト(またはPowerShell)を起動
Windows 11やWindows 10であれば、スタートボタンを右クリックして「Windows ターミナル(管理者)」などを選択して開きます。
2. 健全性チェック
下記コマンドでシステムの状態を確認します。
dism /online /cleanup-image /scanhealth
スキャンだけ行う場合はscanhealthを使い、破損箇所の有無を確認します。
3. 修復実行
システムファイルに破損があると分かったら、下記のようなコマンドを実行して修復を試みます。
dism /online /cleanup-image /restorehealth
もし外部ソースを使いたい場合は、/sourceオプションを使ってUSBドライブのパスを指定します。
修復インストールの基本的な流れ
1. 最新のISOまたはUSBメディアを用意
マイクロソフト公式サイトからWindows 11またはWindows 10のメディア作成ツールを使って、最新バージョンのインストールメディアを作成します。
2. Windowsを起動したまま、セットアップを実行
USBやISOをマウントし、setup.exeを実行します。画面に従って進み、「ファイルとアプリを引き継ぐ」オプションが選べるかどうかを確認しながら操作します。
3. インストール完了を待つ
インストールが進み、再起動が何度かかかっても焦らず待ちましょう。完了すると、デスクトップや設定、アプリなどを極力保持した状態で新しいWindows環境にリフレッシュされます。
表で見るDISMと修復インストールの比較
項目 | DISM | 修復インストール |
---|---|---|
主な特徴 | 破損ファイルをピンポイント修復 | システム全体を再構築 |
実行環境 | 通常起動、セーフモード、回復環境 | 通常起動(USBブートでは要確認) |
処理時間 | 比較的短い | 長時間かかる傾向 |
成功率 | 破損が軽度なら高い | 広範囲の修復が可能で全般的に高い |
リスク | 局所的、低め | 大掛かり、途中失敗でリスクあり |
選択のポイント
最終的には、修復の目的や時間、バックアップ状況などを総合的に考慮しながらどちらを行うかを決めるといいでしょう。
まずはDISMで軽度のトラブルを狙う
Windows Updateや特定機能の不具合など、小規模な破損を疑うならDISMを試すのが王道です。もしそれで解決しなかったり、不具合の範囲が広かったりするなら修復インストールを検討するとよいでしょう。
大きな不具合や再構築が必要なら修復インストール
OS全体が不安定で原因が絞り込めない場合や、過去のアップデート失敗が積み重なっているような状況では、修復インストールで一掃してしまうのが得策です。ただし、作業前には重要データのバックアップを必ず取りましょう。



私自身も何度か修復インストールを経験していますが、事前にドキュメントや写真などをしっかりコピーしておけば、ほぼ損失なくスムーズに進行できます。時間だけはたっぷりかかるので、その点だけ注意が必要ですね。
まとめ
DISMはコンパクトに破損を直せる優れたツールであり、セーフモードでも使える柔軟性があります。一方で、修復インストールは時間と手間がかかる分、システム全体をリフレッシュしてしまう強力な手段です。もしDISMで直らない、あるいは不具合が複数にまたがっている場合には、修復インストールを検討してみる価値があります。
どちらの方法を選ぶにしても、作業前には十分なバックアップを取り、時間に余裕がある状況で取り組むのが安全策です。Windowsをより快適に使い続けるためにも、適切な修復方法をマスターしておけば、万が一のトラブルにも落ち着いて対処できるでしょう。
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