近ごろ自宅のパソコンでWindows 11のセキュリティ機能を使いこなしたいと思い、メモリ整合性を有効にしようとしたところ、謎のSamsungドライバーによるエラーに苦労しました。もしかすると過去にスマホを接続したときの名残かもしれませんが、意外に手こずる人も多いようです。そこで同じような状況で悩む方へ、スッキリ解決できる手順や対策をまとめました。
ssudbus.sys・ssudmdm.sysドライバーによるメモリ整合性の無効化トラブルとは
現象の概要
Windows 11の設定画面からメモリ整合性を有効にしようとすると、「互換性のないドライバーが存在する」とエラーメッセージが表示され、有効化のボタンがグレーアウトしてしまうことがあります。原因としてよく報告されるのがSamsung製のドライバーであるssudbus.sysやssudmdm.sysです。
なぜSamsungドライバーが問題を起こすのか
以前にSamsungのスマートフォンやタブレットをPCに接続した際、USB接続用のドライバーがインストールされているケースがあります。これらのドライバーはWindows 11環境でメモリ整合性をチェックすると「互換性がない」と判断されてしまい、結果的にメモリ整合性のオンを阻害するようです。特に中古パソコンや何度かOSをアップグレードしているパソコンでは、昔のドライバーが残っている可能性があります。
意外なトラブル事例
私の場合、メインで使っていたスマートフォンは他社製のものだったので「Samsungドライバーなんて入れた覚えがないのにな」と首をひねりました。しかし、よく思い返すと友人のSamsung端末を一度だけPCに接続したことがあり、そのときにドライバーが入っていたらしく、まさかそれがここまで影響しているとは予想外でした。
ドライバー削除のための基本アプローチ
管理者権限でコマンドを実行
まず大前提として、Windows 11で重要な操作を行う際は管理者権限が必要になります。特にドライバーの削除コマンドを実行するときは、通常モードのコマンドプロンプトやPowerShellでは権限不足のエラーが出ることがあります。かならず「管理者として実行」したウィンドウで操作を行いましょう。
管理者権限での起動手順
1. スタートボタンを右クリック
2. Windowsターミナル(管理者)またはPowerShell(管理者)を選択
3. ユーザーアカウント制御(UAC)の画面が出たら「はい」を選択
4. 管理者権限でのターミナルが開いたら、ここでコマンドを入力
PnPUtilコマンドでのドライバー削除手順
代表的なコマンドの例
削除に用いる代表的なコマンドは以下のようになります。例としてoem37.infやoem49.infというINFファイル名を挙げますが、実際の環境によってファイル名は異なるためご注意ください。
コマンド例
1. pnputil /delete-driver oem37.inf /uninstall /force
2. pnputil /delete-driver oem49.inf /uninstall /force
削除に成功したら、そのままの状態で再起動するとシステムに変更が反映されやすいです。特にドライバー関連の問題は「シャットダウン→起動」よりも「再起動」で処理が継続される場合があるため、再起動をおすすめします。
INFファイル名がわからない場合
ENVIRONMENT変数などをいじる必要はありませんが、INFファイルを特定するためにpnputil /enum-driversコマンドを実行して、ドライバー一覧を確認するとよいでしょう。そこにSamsung関連の記述があれば、それをターゲットにpnputil /delete-driver [INF名] /uninstall /forceを試します。
削除コマンドに失敗した場合
削除コマンドを実行すると「すでに削除済みです」「INFファイルが見つかりません」「OEM INFではありません」などのメッセージが返されることがあります。その場合、すでにドライバーが存在しないか、Windowsが該当ドライバーを正式なOEMドライバーとして認識していないことが考えられます。何度も無理に削除コマンドを連打するのではなく、ドライバー一覧をよく確認して、現状を正確に把握してください。
Samsungドライバーが残ってしまう原因
過去の接続履歴
実は普段使いしていない端末を一度でも接続すれば、PCにドライバーがインストールされることがあります。手動で削除していない限り、多くの場合はシステムに長く居座る可能性があります。
使用端末履歴を振り返ろう
先日も、私の友人が「Galaxyを数年前に持っていたかもしれない…」という程度の記憶でドライバーが残っていたケースがありました。過去に使っていたスマホやタブレットを思い出すと、意外な接続履歴がヒントになることがあります。

私自身、昔に友人のGalaxyをテスト的に接続しただけだったのに、こんな形で後になって悪さをするのは想像外でした。Windowsのドライバーは一度入るとなかなか消えないものですね。
中古PCやアップグレードしたOS
すでに中古PCで最初からSamsungドライバーが入った状態だったり、Windows 10から11へアップグレードした際に古いドライバーが引き継がれたりする場合があります。ドライバーの存在を意識しないまま使っていると、いつかメモリ整合性の有効化時に「互換性のないドライバーあり」と引っかかってしまうわけです。
メモリ整合性とは?安全に有効化するメリット
メモリ整合性の機能概要
メモリ整合性(日本語の設定画面では「コア分離のメモリ整合性」などと表記される場合もあります)とは、Windowsがハードウェアレベルでドライバーなどのコードがメモリを不正に書き換えないよう監視し、安全性を確保する機能です。これをオンにしておけば、悪意あるプログラムや不正ドライバーによるセキュリティリスクを軽減できます。
オフのままだとどうなるか
メモリ整合性がオフの状態でもWindows自体の基本的なセキュリティは機能していますが、重要な保護レイヤーが欠けているとも言えます。特に最近のウイルスやランサムウェアはドライバーやカーネルへの介入を狙うものが増えているので、可能であればメモリ整合性はオンにしておいたほうが安心です。
より詳細なトラブルシュートの流れ
ステップ1: ドライバー一覧の確認
pnputil /enum-driversを使う
pnputil /enum-driversコマンドを実行すると、現在インストールされているドライバーの一覧が表示されます。ssudbus.sysやssudmdm.sysの記載があるか、またはSamsung関連の文字列がINF名やドライバーパッケージ名に含まれているかをまずチェックしてみましょう。



私の環境では「Provider: Samsung Electronics Co.,Ltd.」などと記載があり、INF名がoem38.infだったことがありました。名前が想定外だったので、必ず一覧をしっかり目視確認するのがコツです。
ステップ2: ドライバーの削除
既に説明した通り、該当のINFファイルを特定できたら、pnputil /delete-driver [INF名] /uninstall /forceを実行します。ここでエラーが起きる場合は大きく分けて以下のパターンが考えられます:
ドライバーがすでにアンインストール済み
ドライバー自体が既に削除されていて、残骸だけエラーとして認識されているケース。実際には取り除かれている可能性が高いです。
ファイル名やパスが間違っている
INF名が違う場合や、スペルミスがあると「ドライバーが見つかりません」となってしまいます。もう一度一覧を慎重にチェックしましょう。
管理者権限が不十分
特にPowerShellを通常モードで起動している場合に起こりがちです。必ず「管理者として実行」したウィンドウで試してください。
ステップ3: PCを再起動
ドライバーをアンインストールしても、再起動をしないとWindowsのドライバーキャッシュなどに設定が残っている場合があります。削除が成功したと表示されても油断せず、必ず再起動を行い、再びメモリ整合性の有効化を試すことをおすすめします。
実際の削除手順を表で整理
以下の表は、実際にドライバーの削除を行う際の手順を簡単にまとめたものです。トラブルが発生したら、この順番で進めるとスムーズです。
手順 | 操作 | 補足説明 |
---|---|---|
1 | コマンドプロンプト(PowerShell)を管理者権限で起動 | スタートボタンを右クリックして「管理者として実行」を選択 |
2 | pnputil /enum-drivers | インストール済みドライバーの一覧をチェックし、Samsung関連を探す |
3 | pnputil /delete-driver [INF名] /uninstall /force | 実行後に結果メッセージを確認し、「成功」と表示されるかをチェック |
4 | 再起動 | シャットダウンよりも再起動を使うと、設定が確実に適用されやすい |
5 | メモリ整合性の有効化を再度試す | Windowsセキュリティの設定画面から再度オンにしてみる |
削除後にメモリ整合性をオンにできない場合の考えられる原因
別のドライバーが競合している
Samsungドライバー以外にも、古いBluetoothや仮想化ソフトウェアのドライバーなどが競合を引き起こす場合があります。Samsung関連を削除したのにまだエラーが出る場合は、再度pnputil /enum-driversで一覧を見直してみましょう。
BIOSやハードウェア設定に問題がある
セキュアブートやVT-d(仮想化支援機能)などが有効でないと、メモリ整合性をオンにできない場合があります。特に自作PCや自分でBIOSをいじった経験のある人は、改めてBIOS設定を見直してみるのも手です。
Windows Updateが滞っている
最新のWindows Updateを適用していない場合、ドライバー競合やメモリ整合性に関する不具合が放置されている可能性があります。アップデートを確認し、すべて最新になっているかをチェックしてください。



私の知人はアップデートせずにトラブルシュートを続けていたところ、実際にはWindows Updateで修正されるはずの不具合が原因だったようです。メモリ整合性周りは最新のバージョンでの挙動が安定していると感じます。
総合的なメリットとデメリット
メモリ整合性を有効化するメリット
ドライバー削除や有効化におけるデメリット
実例: 筆者の操作手順まとめ
はじめにドライバー確認
私の環境では、まずコマンドプロンプト(管理者権限)にてpnputil /enum-driversを実行。Samsungという文字列で検索してみたら、まさにoem38.infなどがヒットしました。
oem38.infが該当した場合
1. pnputil /delete-driver oem38.inf /uninstall /force
2. 正常に削除されたと表示された
3. PCを再起動
4. メモリ整合性の画面に行ってオンに設定→無事にエラーが消えた



最初は再起動を忘れて「まだダメだ…!」となりましたが、再起動したらすんなりオンにできました。手間はかかりましたが、ようやくWindows 11のフルセキュリティを活用できて一安心です。
その他の対策や注意点
Samsungデバイスを今後接続する場合
将来的にSamsungスマートフォンやタブレットを再びPCに接続する場合は、新しいドライバーバージョンをSamsung公式サイトなどから入手してインストールしましょう。最新のドライバーであれば、メモリ整合性との互換性が改善されている可能性があります。
Samsungスマホのツールを使っているとき
もしSamsung Smart Switchなどの公式ツールを活用してバックアップやファームウェアアップグレードを行っている場合、完全にドライバーを削除してしまうとツールが動作しなくなる可能性があります。ツールを使う必要があるときは、メモリ整合性よりも一時的にドライバーを優先するなど、使用用途に応じて判断してください。
BIOS更新などと並行作業すると安定しやすい
ドライバー関連の問題を一気に解決したい場合、BIOSやチップセットドライバーなどのシステムレベルの更新をまとめて実施すると、システムの整合性が保ちやすいです。ただし、BIOSの更新はリスクもあるので、必ずメーカーの公式手順に従いましょう。
クリーンインストールという最終手段
どうしてもトラブルが直らない場合は、Windows 11のクリーンインストールを考えるのも手です。余計なドライバーや設定を整理できるため、メモリ整合性のオンオフで詰まることがほぼなくなるというメリットがあります。ただし、再セットアップの手間は大きいので、最後の手段として捉えるといいかもしれません。



以前に知り合いがどうしてもドライバー問題が解決せずクリーンインストールに踏み切ったのですが、「新品状態になってPCが軽快になった」と別の意味で大満足だったそうです。リスクはありますが、状況次第では選択肢に入れてもよさそうです。
トラブル解決のチェックリスト
最後に、Samsungドライバー関連でメモリ整合性がオンにできないとき、確認すべきポイントをチェックリスト形式で整理しておきます。
項目 | 確認内容 | 対処のヒント |
---|---|---|
1. 管理者権限 | コマンドプロンプトを管理者として開いているか | 普通に立ち上げただけではドライバー削除が失敗する |
2. INFファイル名 | pnputil /enum-driversで正しい名前を取得したか | oemXX.infのXXの部分はPC環境ごとに異なる |
3. 再起動 | ドライバー削除後に再起動を行ったか | シャットダウンでなく再起動がポイント |
4. 他のドライバー | Samsung以外の互換性問題ドライバーはないか | 古いBluetoothや仮想化ソフトのドライバーも要チェック |
5. BIOS/UEFI設定 | セキュアブートやVT-dなどの機能はオンか | 設定が不十分だとメモリ整合性の有効化が妨げられる |
6. Windows Update | 最新のパッチが適用されているか | バグ修正や最新ドライバーはWindows Updateで配信される |
7. 必要性の再確認 | Samsungデバイスをまた利用する予定がないか | 今後使うなら再インストールが必要になる可能性もある |
まとめ
Samsungデバイスのドライバー(特にssudbus.sysやssudmdm.sys)が原因で、メモリ整合性をオンにできないケースはWindows 11で割と散見されます。多くの場合はPnPUtilを用いたINFファイルの削除で解決に至ることがほとんどですが、場合によっては「そもそもドライバーがない」などのメッセージが出ることもあり、その場合は別のドライバーが原因になっている場合もあります。
ドライバーの存在を特定して削除し、再起動後にもう一度設定を試すという流れが基本のアプローチです。もしSamsungドライバーに限らず他社の古いドライバーが原因であれば、同じ手順で削除を試してみましょう。最終的にはメモリ整合性をオンにして、より安全にWindows 11を使いこなせると、私自身も安心感を持って作業やネット利用ができるようになりました。



メモリ整合性がオンになり、セキュリティが向上したことで心なしかPC全体のパフォーマンスも安定しているように感じています。ドライバー問題は厄介ですが、腰を据えて対処すれば意外とあっさり解決できるかもしれません。
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