パソコンを使っていると、ふとしたときに訪れるWindowsの大型アップデート。便利な新機能やセキュリティの向上は魅力的ですが、ときにはエラーが発生してうまく進まないことがあります。本記事では、Windows 11 バージョン 23H2のアップデートエラー0x80073701の対処法を解説します。
Windows 11 バージョン 23H2 アップデートが失敗する背景
Windows 11 バージョン 23H2は、Microsoftが最新の機能やセキュリティ対策を提供するためにリリースした重要なアップデートです。しかし、アップデートを実行した際に、エラーコード0x80073701が表示されてしまい、更新が完了しない事例が各所で報告されています。アップデートを楽しみにしていたユーザーが思わぬトラブルに見舞われると、時間も手間もかかってしまうため非常にストレスを感じることでしょう。
このエラーコードが出る原因は複数あり、例えばシステムファイルの破損やWindows Updateコンポーネントの不具合などが考えられます。ときには周辺機器やセキュリティソフトとの相性が問題となることもあり、単純に一つの解決策だけでは対処できないケースがあるのが厄介なところです。本記事では、実際のトラブルシューティングを踏まえ、複数の方法を組み合わせながら解決を目指すアプローチをご紹介していきます。
エラーコード0x80073701とは
エラーコード0x80073701は、Windows Updateのインストール時に必要なコンポーネントやシステムファイルが破損、もしくは欠落している可能性を示唆するものです。このコードが出た場合、インストーラーが正常に動作するためのファイル群を正しく読み込めなかったり、整合性に問題が生じているケースがよく見られます。
なぜアップデートに失敗するのか
アップデートに失敗する理由としては、インストールに必要なファイルが破損していることのほか、Windows Updateのバックグラウンドサービスが停止・不調状態である、もしくはサードパーティ製のセキュリティソフトが干渉しているなど、複数が絡み合うことが多いです。また、ハードディスクの空き容量が不足しているといった単純な要因で失敗することもあるため、様々な面から原因を探ることが重要となります。
アップデート失敗時にまず確認すべきこと
アップデートが失敗したら、まず最初に下記のような点をチェックするとスムーズです。
1. ディスク容量が十分にあるか
2. 周辺機器が多く接続されていないか
3. サードパーティ製セキュリティソフトや常駐プログラムが更新を阻害していないか
これらの問題がないと確認できたのにエラーが続く場合は、より踏み込んだ対処が必要です。

友人のPCでも同じエラーが出た際、Cドライブの空き容量がほとんどなくなっていたことが原因でした。単純なところを見落としていたので、最初は原因が全く分からず苦労しました。
主な原因と対処方法を一覧で把握する
アップデート失敗の要因は多岐にわたります。ここでは、よくある原因と考えられる対処策を分かりやすくまとめます。
主な原因 | 対処方法 |
---|---|
システムファイルの破損や欠落 | SFC/ DISM コマンドによる修復 |
Windows Update サービスの不調 | サービスの再起動、Windows Update コンポーネントのリセット |
サードパーティ製ソフトの干渉 | ソフトを一時的に無効化、アンインストールしてから再度試す |
物理的なストレージ不足 | 不要ファイルの削除、バックアップの実施、容量確保 |
インストールファイルの破損 | 再ダウンロード、あるいはインプレース アップグレードの実行 |
このように、原因によって対処法はさまざまです。一つの方法でだめなら別の方法を試すといった根気強いアプローチが重要になります。
Windows Update トラブルシューティング ツールの活用
最初に試してみると良いのが、Windows標準のトラブルシューティング ツールを使う方法です。これはシステム側が自動的にエラーを検出し、修復を試みてくれるため、知識がそれほどなくても利用できます。
トラブルシューティング ツールの起動方法
1. 設定アプリを開き、更新とセキュリティを選択
2. トラブルシューティングの項目へ移動
3. 追加のトラブルシューティングツールからWindows Updateを選択し、実行
ツールが自動で問題を検出・修正しようとしてくれます。成功すれば、更新プログラムのダウンロードからインストールまでスムーズに進むケースもあります。逆にこれで解決しない場合は、より深いレベルでの対策が必要と考えられます。
Windows Updateサービスの再起動と状態確認
トラブルシューティング ツールで解決しない場合は、Windows Updateの背景で動いているサービス群が正常に動いているかをチェックしましょう。これらのサービスに問題があると、アップデート自体がうまく機能しなくなることが多いです。
サービスの一覧
Windows Update関連サービスには以下のようなものがあります。
Windows Updateサービス
Windowsにおけるアップデート機能の中心的役割を果たすサービスで、これが停止していると更新プログラムを探しに行けません。
Background Intelligent Transfer Service (BITS)
更新プログラムのダウンロードを効率化するためのサービスです。ネットワーク帯域を最適化しながらデータを取得してくれます。これが停止していると、ダウンロードそのものに失敗する可能性があります。



私がサポートした知人の場合、BITSサービスが手動起動に設定されていたため、アップデートのたびに停止状態になっていたことが原因でした。
サービスの起動や再起動の手順
1. Windowsキー+Rを押して「services.msc」と入力し、サービス画面を開く
2. Windows UpdateおよびBackground Intelligent Transfer Service (BITS)を探す
3. ステータスが「停止」になっている場合は「開始」を、すでに「実行中」の場合は「再起動」を選択する
ここでサービスが正常に動作し始めたら、一度PCを再起動してから再度アップデートを試してみましょう。
SFCとDISMでシステムファイルを修復
システムファイルの破損や整合性のエラーが原因となっている場合、SFC (System File Checker) とDISM (Deployment Image Servicing and Management) を使って修復を行う方法があります。これらのコマンドはWindowsに標準搭載されており、管理者権限のコマンドプロンプトやPowerShellから簡単に実行可能です。
SFC /scannowの実行
SFCはシステムファイルの破損や欠落をスキャンし、自動で修復を試みてくれます。手順は以下の通りです。
1. Windowsキーを押し、「cmd」と入力してコマンドプロンプトを検索
2. 管理者としてコマンドプロンプトを開く
3. sfc /scannow と入力してエンターキーを押す
4. スキャンが完了するまで待つ
スキャンで修復が行われる場合は、終了後にシステムを再起動してからアップデートをやり直してみましょう。
DISM /Online /Cleanup-image /Restorehealthの実行
SFCで問題が解決しない場合や、更なる修復が必要と判断された場合は、DISMコマンドを使います。こちらはWindowsのイメージを修復し、正常な状態に戻すことができます。
1. 管理者権限のコマンドプロンプトまたはPowerShellを開く
2. DISM /Online /Cleanup-image /Restorehealth と入力し、エンターキーを押す
3. プロセスが完了するまで時間がかかる場合がある
DISMコマンドの実行後も、念のため再度SFC /scannowを実行し、修復が必要なファイルが残っていないかを確認すると安心です。



筆者は以前、不要なソフトウェアをアンインストールした際に重要ファイルまで巻き添えになったらしく、SFCを実行してようやく改善した経験があります。ちょっとした操作ミスでもファイル破損が起こり得るので、定期的なチェックが大切ですね。
Windows Update コンポーネントのリセット
SFCやDISMでも直らない場合は、Windows Updateのコンポーネント自体に問題がある可能性を疑ってみてください。Windows Updateのコンポーネントはキャッシュや設定ファイルなどが複雑に絡み合っており、一度壊れてしまうと通常の手順では元に戻りにくいことがあります。そこで効果的なのが、手動または専用スクリプトを用いてWindows Updateコンポーネントを完全にリセットする方法です。
コンポーネントリセットのメリット
コンポーネントをリセットすることにより、Windows Updateが初期化され、新しくファイルを取得し直すことができます。古いキャッシュや一時ファイルに起因するエラーであれば、この手順を踏むと劇的に改善されることがあります。
リセットの具体的な方法
Windows Updateのコンポーネントリセット方法には複数ありますが、代表的な手順は以下の通りです。
1. 管理者権限のコマンドプロンプトを開く
2. Windows Updateに関連するサービスを停止 (net stop wuauserv, net stop bits, など)
3. SoftwareDistributionフォルダやCatroot2フォルダの名前を変更または削除
4. 再度サービスを開始 (net start wuauserv, net start bits, など)
5. システムを再起動し、改めてWindows Updateを実行
これらの手順はコマンドライン操作が必要であり、慣れていないとハードルが高く感じるかもしれません。ただ、Microsoft公式が用意している自動修復ツールを利用すると、これらの作業がスクリプト化されているので比較的楽にリセットを行えます。
インプレース アップグレードでシステムを再構築
ここまでの対策を試してもエラー0x80073701が解消しない場合、最終手段としてインプレース アップグレードを検討してください。インプレース アップグレードとは、Windows 11のインストールメディアやISOを用いて、現在の環境を初期化せずに上書きインストールする方法です。これにより、システムの重要ファイルが再構築され、問題が修復される可能性が高まります。
インプレース アップグレードの利点
– 個人用ファイルやアプリケーションが基本的に維持される
– 面倒なバックアップや再インストールの手間をある程度省略できる
– システムファイルがクリーンな状態に修復される
インプレース アップグレードの注意点
もちろん、実行する前に大切なデータのバックアップを取っておくことは必須です。理論上はデータがそのまま残るとはいえ、予期せぬトラブルでデータが失われるリスクも考えられます。また、サードパーティ製ウイルス対策ソフトが動作しているとアップグレードが正常に完了しない場合があるため、一時的に無効化するかアンインストールしておくと安心です。
インプレース アップグレードの手順
1. Microsoft公式サイトまたはメディア作成ツールを使用し、Windows 11の最新イメージを取得
2. 作成したインストールメディアからセットアップを実行
3. アップグレードを選択し、個人用ファイルとアプリを保持するオプションを指定
4. アップグレードが完了するまで待機
5. PCが再起動し、再度設定などを確認
この方法でアップグレードが成功すれば、0x80073701のエラーが解消され、Windows 11 バージョン 23H2の最新機能を満喫できるはずです。



私が対応したケースでは、いくつかのソフトが古いドライバーを使用していてアップグレードを邪魔していました。インプレース アップグレード実施前に不要なソフトの整理やアップデートをしておけば、比較的スムーズに進みました。
ポイントをおさえてアップデートを成功させよう
以上、Windows 11 バージョン 23H2のアップデート時に発生するエラーコード0x80073701について、対処の手順を詳細に紹介してきました。どの方法を試してもすぐに解決しない場合は、複数のトラブルが同時に発生している可能性を考慮し、いくつかのステップを組み合わせて実行するのがベストです。また、アップデート前に不要なファイルを削除してクリーンな環境に整えるなど、事前準備をしっかり行うことでトラブルのリスクを下げられます。
実際の経験をもとにしたまとめ
1. 簡単なトラブルシューティングツールから始める
2. サービスの状態を細かくチェックし、不調なら再起動
3. SFC / DISMコマンドでシステムファイルを修復
4. Windows Updateコンポーネントをリセット
5. それでもダメならインプレース アップグレード
特にSFC / DISMやコンポーネントのリセットは、Windows Updateがらみのエラーには効果的であることが多いので、何度か繰り返してチェックしてみても損はないはずです。最終的には、インプレース アップグレードを行うことでほぼ解決できるケースが大半といわれていますが、万一に備えてバックアップを怠らないようにしてください。



私自身、トラブルに直面するとつい焦ってしまいがちですが、まずは冷静になって問題の切り分けを少しずつ進めるのがポイントです。うまくいかないときも試行錯誤するうちに解決策が見えてくることが多いですよ。
アップデート成功後にやっておきたいこと
無事にアップデートが完了したら、そのままにせず次のような対処を行うと、今後の安定性が向上する可能性があります。
ドライバーの更新と不要アプリケーションの整理
大型アップデート後はドライバーのバージョンが古くなっていたり、互換性の問題が出る場合があります。デバイスマネージャーをチェックしてドライバーを最新版に更新し、もう使わないアプリはアンインストールしておきましょう。
システムのバックアップを取る
トラブルから復旧した直後は、比較的クリーンな状態です。このタイミングでシステム全体のバックアップイメージを取得しておけば、万が一今後またアップデートトラブルが起きても、短時間で復旧できるので安心です。
まとめ
Windows 11 バージョン 23H2におけるエラーコード0x80073701は、一度発生するとかなり手強いトラブルに感じられるかもしれません。しかし、Windows Updateトラブルシューティングツールやサービスの再起動、SFC / DISMなどのシステムファイル修復、そしてWindows Updateコンポーネントのリセットといったステップを丁寧に実行することで、解消できるケースが多数報告されています。万策尽きたと感じる場合でも、インプレース アップグレードという強力な方法が残されていますので、焦らずに対処していくことが重要です。
日頃からこまめにバックアップを取り、不要なファイルの整理やアップデート準備を整えておくことで、アップデート時のトラブルを未然に防ぐこともできます。大きな更新が来た際には、まずは落ち着いてステップを踏むことを心がけましょう。



筆者自身も何度もアップデートに失敗しては手動で原因を探ってきました。解決までには少し時間がかかることもありますが、最終的には機能向上の恩恵を享受できるので、ぜひトライしてみてください。
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