Windows 11の更新で「0x80073712」が出る場合、Windowsのコンポーネント ストアの不整合を調べます。私も2024年1月の更新時にこのエラーに遭遇し、DISMやSFCでは解消せず、最後にインプレース アップグレードを行って更新できるようになった経験があります。ただし、同じコードでも、すべてのPCが同じ手順で直るとは限りません。
公式資料の確認日:2026年10月20日。この記事は、WindowsにサインインできるPCを対象とした対処の整理です。2024年の体験談は当時の記録として残しており、今回の改稿で新たにWindows実機の修復テストを行ったものではありません。
「0x80073712」エラーとは何か
コンポーネント ストアの不整合を示す
Microsoftのエラー一覧では、0x80073712はERROR_SXS_COMPONENT_STORE_CORRUPTに対応します。更新やWindowsの機能を保守するためのコンポーネント ストアに、不整合があることを示すコードです。どのファイルや更新パッケージで問題が起きたかは、このコードだけでは特定できません。Microsoftのエラー定義とDISMによる修復の説明を参照してください。
原因をコードだけで決めつけない
「バックアップと更新を同時に動かした」「ウイルス対策ソフトが入っている」「空き容量が少ない」といった状況だけで、今回の破損原因を断定することはできません。空き容量や通信は修復の前提として確認し、失敗した更新のKB番号、発生した段階、修復結果を手がかりに切り分けます。

当時は、外付けHDDへのバックアップと更新が重なったため、それが原因ではないかと考えました。ただし、同時実行がコンポーネント ストアの破損を引き起こしたと確認できる記録はありません。この点は、当時の推測と実際に確認できた症状を分けて考える必要があります。
修復前に確認すること
更新番号・Windowsのバージョン・失敗箇所を記録する
- [設定]→[Windows Update]→[更新の履歴]で、失敗した更新の名前とKB番号、エラーコードを控えます。ダウンロード中・インストール中・再起動後のどこで失敗したかも記録します。
- [設定]→[システム]→[バージョン情報]などで、Windowsのエディション、バージョン、OSビルド、システムの種類(x64/Arm64)を確認します。バージョンとビルドは[ファイル名を指定して実行]のwinverでも確認できます。
- 再起動待ちの表示があれば、作業を保存して通常の再起動を行います。更新処理の途中で強制終了したり、別の修復ツールを同時実行したりしないでください。
- 同じ更新の既知の問題を、KBの公式ページやWindows 11のリリース情報から確認します。職場・学校の管理PCは、独自の変更を加える前に管理者へ相談します。
対象は、利用中のエディションとバージョンがサポート範囲内のWindows 11です。2026年10月20日時点では、24H2のHome/Pro系は更新提供が終了していますが、Enterprise/Education系などは期限が異なります。また、26H1は特定の新しいデバイス向けで、既存の24H2/25H2からのインプレース更新先ではありません。番号だけでメディアを選ばず、公式のサポート範囲を確認してください。修復しても、古いバージョンのサポート期間が延びるわけではありません。
バックアップと回復キーを先に確認する
重要なファイルは外付けストレージなど、PCに問題が起きても読める場所へバックアップし、実際に開けることを確認します。アプリ固有のデータやライセンス情報も必要に応じて控えてください。「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」を選んでも、バックアップの代わりにはなりません。Microsoftの再インストール前の準備も確認しておきましょう。
BitLockerまたはデバイスの暗号化を利用している場合は、作業前にBitLocker回復キーの保管先と確認方法を確認します。必要になったときに対象PC以外から参照できるようにし、回復キーをコメント欄や公開の相談先へ貼り付けないでください。キーが見つからない、バックアップが取れない場合は、再インストールへ進まず管理者やメーカーに相談します。
空き容量・電源・通信を確認する
必要な空き容量は、更新内容、言語、追加機能などによって変わります。「20GBあれば必ず十分」という共通の保証はありません。[設定]→[システム]→[ストレージ]で確認し、Windows Updateやセットアップが求める容量を確保します。削除するファイルの内容を確認し、WinSxSなどのシステムフォルダーを手動で消さないでください。容量の考え方はWindows更新用の空き領域に関する公式説明が参考になります。
ノートPCはAC電源につなぎ、安定したインターネット接続を用意します。ウイルス対策ソフトやファイアウォールの一律無効化は、この記事の手順には含めません。互換性の問題が具体的に示された場合は、製品名・エラーを確認し、メーカーまたは管理者の案内に従います。
主な対処方法の全体像
各段階の結果を確認し、更新が成功したところで終了します。修復の成功率を一律に比較できる根拠はないため、対象と注意点で選んでください。
| 方法 | 主な役割 | 進める条件・注意点 |
|---|---|---|
| Windows Updateのトラブルシューティング | 更新関連の診断と修正を試みる | まず標準の案内を確認。実行後は結果を記録する |
| DISM → SFC | Windowsイメージと保護されたシステムファイルを順に修復する | 管理者権限が必要。失敗時は結果を控え、無条件に繰り返さない |
| Windows Updateを使用した再インストール | 同じバージョンを再インストールし、アプリ・ファイル・設定を保持する | 対応するWindows 11で項目が表示される場合。更新の管理ポリシーによる制限あり |
| メディアを使うインプレース アップグレード | 起動中のWindowsからセットアップし、Windowsを再インストールする | メディアの適合と「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」の選択を確認する |
| chkdsk | ボリュームのファイルシステムなどのエラーを調べる | 0x80073712だけを理由に追加実行する標準手順ではない |
手順1:標準のトラブルシューティングを試す
MicrosoftはWindows 11では「ヘルプを表示」(Get Help)アプリのWindows Updateトラブルシューティングを案内しています。Windows Updateトラブルシューティングの公式ページから手順を確認し、診断内容を読んで進めます。単に結果を表示するだけでなく、修正が試みられる機能です。管理PCでは管理者の指示を優先してください。
完了後は案内に従って再起動し、対象の更新を再度確認します。解消したなら、追加の修復は不要です。同じエラーが残った場合は、診断結果を控えて次の段階へ進みます。
手順2:DISMの後にSFCを実行する
DISMでWindowsイメージを修復する
[スタート]で「コマンド プロンプト」を検索し、[管理者として実行]で開きます。以下を1行で入力し、終了メッセージが出るまで待ちます。この操作は確認だけではなく、Windowsの修復を試みます。
DISM.exe /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
ここでの/Onlineは「現在起動しているWindowsを対象にする」という意味です。インターネットを使うかどうかの指定ではありません。標準の修復元はWindows Updateですが、管理ポリシーや接続状態によって利用できない場合があります。外部メディアを修復元に指定することと、起動していないWindowsを対象にするオフライン修復も別の話です。詳しくはWindowsイメージの修復と修復元の構成を参照してください。
DISMが成功したら、次のSFCへ進みます。「ソースファイルが見つからない」などのエラーで終了した場合は、全文とコードを控えてください。別のISOを適当に指定したり、/LimitAccessを理由なく追加したりせず、修復元や管理ポリシーを確認します。修復元は更新レベルや言語などの条件も関係するため、ここでは共通の/Sourceコマンドを掲載していません。
SFCで保護されたシステムファイルを確認・修復する
DISMの成功を確認した後、同じ管理者のコマンド プロンプトで次を実行します。検証が100%になり、結果が表示されるまでウィンドウを閉じないでください。
sfc /scannow
DISMはWindowsイメージの修復、SFCは保護されたシステムファイルの検査・修復を担当します。「SFCは軽度、DISMは重度」という単純な重症度の序列ではありません。この実行順序とSFCの結果の意味は、MicrosoftのDISM・SFCの手順に基づいています。
- 整合性違反なし:SFCの検査対象では問題が見つからなかったという結果です。Windows Update全体が正常と保証されたわけではないため、対象の更新が成功するか確認します。
- 破損を修復できた:必要な再起動を行い、対象の更新をもう一度試します。
- 修復できないファイルがある/要求された操作を実行できない:結果を保存し、公式資料の該当する分岐を確認するか、サポートへ相談します。同じコマンドを何度も繰り返すことを解決策にはしません。
調査用のログには、通常%windir%\Logs\DISM\dism.logや%windir%\Logs\CBS\CBS.logがあります。問い合わせでは、実行日時とエラーを伝えると切り分けに役立ちます。DISMのログの説明も参照してください。ログを公開するときは、ユーザー名・パス・組織情報などが含まれないか確認してください。
chkdskを追加すれば直るとは限らない
chkdskの対象はボリュームのファイルシステムやメタデータなどで、コンポーネント ストアの内容を修復するDISMとは役割が異なります。初稿では、私がセーフモードでchkdsk /fを試したものの、この更新エラーの解消にはつながらなかったと記録していました。ただし、その結果だけでストレージの物理故障がないと証明できるわけではありません。
読み書きの失敗、ドライブの異音、頻繁なフリーズなどがある場合は、再インストールを重ねるよりデータ保全とメーカーの診断を優先します。この記事では、全員にchkdsk /fや/rを実行するようには案内しません。
手順3:Windows Updateを使用して再インストールする
Windowsが起動し、必要な項目が表示される場合は、インストールメディアを作る前に、この回復機能を検討できます。同じバージョンのWindowsを再インストールし、アプリ・ファイル・設定を保持する方法です。バックアップなどの準備を済ませてから行ってください。
- [設定]→[システム]→[回復]を開きます。
- [Windows Updateを使用して問題を解決する]の[今すぐ再インストール]を選びます。
- 確認画面と再起動の選択肢を読み、作業を保存してから開始します。
- 電源とインターネットへの接続を保ち、処理後に必要な再起動を行います。
表示には、Windows 11の2022年の年次更新(22H2)以降に加え、2024年2月のオプション更新またはそれ以降の更新が必要です。ただし、これは機能が利用できるための条件であり、古いバージョンを現在も使い続けてよいという意味ではありません。更新が管理されている端末では利用できず、Windows Autopatch、展開サービス、一部のMDM/グループポリシーなどが該当します。項目がない場合に、ポリシーやレジストリを変えて無理に表示させないでください。手順と制限は現在のバージョンを再インストールする公式案内に掲載されています。
この方法自体が失敗する場合もあります。失敗時のコードを記録し、バックアップとメディアの条件が確認できた場合に次の手段を検討します。エラーが出たまま再インストールを繰り返す必要はありません。
手順4:インプレース アップグレードのやり方
Windows Update経由の再インストールが利用できない、または改善しない場合は、メディアを使う方法が候補になります。ここではWindowsにサインインした状態から行い、アプリを引き継ぐ再インストールに限定して説明します。Windowsが起動しない場合の復旧や、すべて消して入れ直すクリーン インストールとは分けてください。
ステップ1:適合する公式メディアを用意する
Microsoft公式のWindows 11ダウンロードページからISOまたは必要なメディアを用意します。個人向けメディアが適さない企業向けエディションや特殊な構成は、管理者に確認してください。次の項目を合わせます。
- 言語:現在のWindowsに対応する言語を選びます。表示言語を後から変更したPCでは、見た目の言語だけで判断しないでください。システム既定のUI言語とメディアの適合に注意します。
- エディション:Home/Proなど、利用中のライセンスに合うものを選びます。修復のつもりで別エディションへ変えないでください。
- アーキテクチャ:x64とArm64を取り違えないようにします。現在のメディア作成ツールはx64向けです。Arm64のISOは公式ページの専用リンクから確認します。
- バージョン・互換性:現在のWindowsから利用できるメディアか確認します。古いメディアへのダウングレードを修復の代わりにしません。新しいバージョンのメディアでは、同一バージョンの修復ではなく機能更新になる場合もあります。
言語についてはWindowsセットアップの公式仕様にも条件があります。メディアが合うか判断できない場合や、互換性の警告が出た場合は、その場で止めて確認してください。警告を無視するオプションや要件回避は使いません。USBメディアを新しく作る場合、選んだUSB内のデータが消去されるため、バックアップ用ドライブとの取り違えにも注意します。
ステップ2:起動中のWindowsからsetup.exeを開く
- 普段のWindowsを起動し、サインインした状態にします。
- ISOの場合はエクスプローラーでISOをマウントし、表示されたドライブのルートにある
setup.exeを開きます。 - 作成済みUSBの場合も、Windowsを起動したまま接続し、エクスプローラーからUSB内の
setup.exeを開きます。
ステップ3:引き継ぐ内容を確認する
画面の案内やライセンス条項を読み、[引き継ぐものを変更]などの項目で、[個人用ファイルとアプリを引き継ぐ](表示によっては「保持」)を選択します。名称はセットアップのバージョンによって異なる場合があります。
[個人用ファイルのみ]ではアプリは残りません。アプリを残したいのに該当する選択肢が出ない、グレーアウトしている、または最終確認が意図と違う場合は、[インストール]を押さずキャンセルします。起動方法、言語、エディション、アーキテクチャ、バージョン、互換性の案内を確認し直してください。

「引き継げるはず」と考えて先に進むのではなく、最後の確認画面に実際に何を残すと表示されているかを確認することが大切です。ファイルとアプリを両方残す選択肢がなければ、そこで止めましょう。
ステップ4:インストールし、完了後に確認する
最終確認で、インストール対象のWindowsと「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」が意図どおりであることを確認してから開始します。処理中は複数回再起動することがあります。電源を確保し、進捗表示だけを理由に強制終了しないでください。
- サインイン後、重要なファイルを開けるか、普段使うアプリが起動するかを確認します。
- Windowsのバージョンとライセンス認証の状態を確認します。
- Windows Updateで必要な更新を確認し、再起動後の更新履歴で結果を確かめます。機能更新でバージョンが変わった場合、以前失敗したKBではなく新しいバージョンに対応する更新が対象になります。
- 同じエラーや別のエラーが残る場合は、コードと失敗箇所を記録します。修復が完了したと決めつけず、次の相談材料にします。
上書きインストールを行う際の注意点
先へ進めない条件を決めておく
- 重要データのバックアップを確認できない、または必要なBitLocker回復キーを用意できない。
- 管理PCで、組織の承認・手順や使うメディアが不明。
- セットアップがアプリ保持を許可しない、別エディションへの変更やデータ削除を示している。
- 容量不足や互換性の警告が解消していない。
- 読み書き障害など、ストレージ故障が疑われる症状がある。
- 同じ条件で修復が失敗し、原因や次に変える条件を説明できない。
これらの場合は、その段階で止め、PCメーカー、組織の管理者、Microsoftサポートへ相談します。進行中のインストールを突然電源断するという意味ではありません。問い合わせには、KB番号、Windowsのエディション・バージョン・ビルド、実施した手順と結果、エラー画面を用意すると伝えやすくなります。
「このPCをリセット」と取り違えない
[このPCをリセット]の[個人用ファイルを保持する]は、個人ファイルを残しても、インストール済みアプリや設定が削除される方法です。「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」インプレース再インストールと同じではありません。リセットを検討する場合は、PCを初期状態に戻す公式案内を別途読み、失う内容と復元方法を確認してください。
更新エラーに備えて普段からできること
エラーを完全に防ぐ方法はありませんが、復旧に必要な準備はできます。サポート対象のWindowsを使い、更新の失敗を放置せず、重要データのバックアップと復元方法、回復キーの保管先を確認しておきましょう。空き容量は定期的に確認し、削除する内容を見て整理します。
「長く使うと必ずシステムの整合性が崩れる」「頻繁なクリーンアップでコンポーネント破損を防げる」とは言えません。レジストリクリーナーや出所不明の修復スクリプトを追加するのではなく、症状と公式の案内に沿って必要な操作だけを行うことが大切です。
まとめと私の体験談
初稿に残した2024年1月の経験では、DISM、SFC、メディアを修復元にする方法、chkdskを試しても更新エラーが解消せず、最終的にインプレース アップグレードで改善しました。また、当時はCドライブの空き容量を確保するため、使わないアプリを整理し、大きなファイルを外付けストレージに移したと記録しています。これらは一台のPCでの経過であり、原因の証明や、全環境での成功率を示すものではありません。

私のPCでは、当時のインプレース アップグレード後にSFCでエラーが検出されなくなり、更新も適用できるようになりました。これはそのときの結果です。現在の別のPCでも同じ結果になるとは限らないため、準備と引き継ぎ条件の確認を省かないでください。
0x80073712への対処は、状況の記録とバックアップ → 標準の診断 → DISM・SFC → 利用できる再インストール方法の検討という流れで整理できます。途中で解消したらそこで終え、失敗したら結果を確認します。「一度で必ず直す」ことより、データとアプリを守りながら次の判断ができることを優先しましょう。

初稿は「備えあれば憂いなし」と締めくくりました。修復方法だけでなく、何が残るのか、どこで止めるべきかも確認しておきましょう。焦って手順を増やさず、自分のPCの状態に合う方法を選んでください。


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