パソコンをスリープさせたいのに、なぜかファンが回り続けたり動作ランプが点灯したままになって困った経験はありませんか。実は、これにはAwayモードという隠れた仕組みが関係しています。この記事では、その原因や具体的な解除方法、注意点をわかりやすく解説します。
WindowsのスリープがAwayモードになる現象とは
Windowsではスリープを選択しても、メディア共有などのバックグラウンドタスクを継続するためにAwayモードへ切り替わるケースがあります。Awayモードになると、パソコンの画面は消灯しているものの、内部では動作が続行されている状態です。特に家庭内のメディアサーバー機能などを利用している場合は便利な反面、通常のスリープを妨げる原因になることがあります。
Awayモードの特徴
Awayモードは、主にメディア配信やファイルの共有を中断したくない場合に便利な設定です。例えば、音楽やビデオをネットワーク越しに配信している場合、スリープにしてしまうと接続先のデバイスから再生できなくなってしまいます。しかしAwayモードなら、ディスプレイはオフになりつつ、ファンやストレージは動作を続けるため、メディア共有を維持できます。
スリープとAwayモードの違い
通常のスリープモードは、メモリには作業内容を保持しながらCPUやストレージの動作を最小限に抑える状態です。一方、Awayモードはディスプレイをオフにしつつ、メモリとデバイスの一部を稼働し続けます。結果として、ファンが回り続けるなどの症状が見られ、パッと見はスリープしているように見えても、実際には消費電力が完全に低下していないのが大きな違いです。
気づきにくいトラブル
Awayモードかどうかは、操作してみるまで意外とわかりにくいものです。離席後に戻ってみたらパソコンが熱を持っていた、ファンが回り続けていた、といった症状で初めて気づくケースが多々あります。こうしたトラブルを未然に防ぐためには、Awayモードを正しく理解し、必要に応じて設定を無効化することが大切です。

私も以前、夜間にバックアップの設定を行っていたら、いつまでもパソコンのファンが止まらず不安になったことがありました。結局、それはAwayモードの仕業だとわかり、設定を見直して対策したところ解消されてホッとしました。
Awayモードが生じる主な原因
Awayモードが有効になってしまう背景には、いくつかの設定や環境要因が考えられます。具体的にどのような原因があるのかを把握すると、対処法も見えてきます。
電源オプション内のAllow Away Mode Policy
Windowsの電源オプションに含まれるAllow Away Mode Policyが有効になっている場合、パソコンがスリープに移行する際にAwayモードへ移行してしまうことがあります。デフォルトの設定では表示されない場合もあり、ユーザーが意図せずこの機能を利用しているケースも少なくありません。
メディア共有やストリーミングサービス
家庭内でメディアサーバーを運用したり、ストリーミングサービスのバックグラウンド動作を許可していると、スリープに切り替えずAwayモードで運用しようとする可能性があります。これはWindows側の設計として「共有を止めない」ための機能ですが、通常のスリープを利用したいユーザーにとっては厄介に感じることもあります。
デバイスやアプリによる作用
メディア共有以外にも、USBデバイスや特定の常駐アプリケーションが「ネットワークアクセスを継続したい」「稼働を止めたくない」と判断すると、Awayモードを呼び出す場合があります。例えば、USBポート経由で常時接続しているTVチューナーや録画ソフトなどもこの現象を引き起こしやすい要因となります。
WindowsでAwayモードを無効化する方法
Awayモードをオフにして、パソコンを通常のスリープへ移行させるための具体的なステップを紹介します。ここでは、コントロールパネルからの設定とコマンドを使った手順、そしてBIOS周りの確認までを段階的に解説します。
1. 電源設定からAllow Away Mode Policyを無効にする
まずは基本的な手順として、電源オプションでAwayモードを許可しない設定に変更してみましょう。
1. コントロールパネルを開く
2. ハードウェアとサウンド → 電源オプション を選択
3. 使用中の電源プランを選び「プラン設定の変更」をクリック
4. 「詳細な電源設定の変更」を開く
5. スリープを展開し「Allow Away Mode Policy」が表示されている場合は無効に設定
これらの手順を踏むことで、Awayモードが許可されなくなり、スリープに移行しやすくなります。しかし環境によっては、Allow Away Mode Policy自体が表示されていないこともあるため、表示されていなければ次のステップを試してください。
2. powercfgコマンドで設定項目を表示させる
Awayモードの設定を強制的に表示させるために、コマンドプロンプト(管理者権限で実行)を使う方法があります。以下のコマンドを実行することで、非表示だった項目を有効にして確認・変更できるようになります。
powercfg -attributes SUB_SLEEP 25DFA149-5DD1-4736-B5AB-E8A37B5B8187 -ATTRIB_HIDE
このコマンドを実行後、再びコントロールパネルの電源オプションを確認すると、Awayモード許可設定が見えるようになるはずです。そこから無効に設定することで、スリープが正常に働く可能性が高まります。
3. BIOS設定の確認とデバイス省電力設定の見直し
もし電源オプションを調整してもAwayモードの挙動が直らない場合は、BIOSの設定やデバイス自体の省電力オプションを確認してみると良いです。マザーボードメーカー独自の省電力機能が干渉しているケースや、デバイスドライバの設定によってはスリープを妨げる要素が残っていることがあります。
BIOS内でチェックすべき主な項目
・Wake on LAN関連の設定
・USBデバイスの給電設定
・S1/S3などのスリープステート関連の設定
BIOS画面はマザーボードによって構成が異なるため、マニュアルやメーカーの公式サイトを参照しながら行うのがおすすめです。誤った設定をするとシステムが起動できなくなるリスクがあるので、慎重に操作しましょう。



私の場合、電源オプションだけではどうしてもAwayモードが直らず、最終的にBIOSでUSBのスリープ設定を調整したら問題なく通常のスリープに移行するようになりました。やはりトラブルが続く場合はBIOSもチェックしてみる価値があります。
実際に設定を変更するときのポイント
手順自体は簡単に見えますが、実際に操作する際にはいくつかの注意点やポイントがあります。設定変更が反映されない場合や、想定外の動作が起こるときの対処方法をまとめました。
電源プランをカスタマイズしているときの注意
Windowsでは複数の電源プランを登録できますが、プランごとにAwayモードの許可設定が存在することがあります。自分がよく使っているプランをきちんと確認せずに別のプランを変更してしまうと、効果が得られない場合もあります。必ず使用中のプランを確認してから編集してください。
管理者権限で操作する必要性
awayモードの設定変更は、システム設定の一部に関わるため基本的に管理者権限が必要です。コマンドプロンプトを開く際も、右クリックで「管理者として実行」を選択するのを忘れないようにしましょう。
セキュリティソフトの干渉
一部のセキュリティソフトや管理ツールが電源設定を監視している場合、コマンドを実行しても元に戻されてしまうケースがあります。そういった場合は、セキュリティソフトの例外設定や一時停止機能を活用し、設定変更後に再度有効化するなどの工夫を行ってください。
Awayモードのメリットとデメリット
Awayモードは状況によっては非常に便利な機能ですが、その一方でデメリットも存在します。ここではメリットとデメリットを整理してみましょう。
Awayモードは本当に必要かを見極める
もしメディアサーバー機能を一切使わない、あるいはネットワーク越しにファイル共有を継続する必要がないのであれば、Awayモードを無効化しておくほうが利便性は高いでしょう。スリープからの復帰が早いメリットを必要とする方もいるかもしれませんが、多くの場合、通常スリープでも十分に高速復帰が可能です。
メディアサーバーを使っている場合
NAS(Network Attached Storage)や専用のメディア配信機器を別に用意しているなら、パソコンを常時稼働させる必要はさほどありません。しかし、パソコン自体をメディア配信元として利用している場合は、Awayモードの利点も大きいです。自分の利用形態をよく考え、最適な設定を選ぶことが大切です。
Awayモード解除手順のまとめ表
以下にAwayモードを解除するための大まかなステップを表にまとめました。初めて設定する方や、手順を振り返りたい方は参考にしてください。
ステップ | 作業内容 | 補足 |
---|---|---|
1 | コントロールパネルから「電源オプション」を開く | ハードウェアとサウンド → 電源オプション |
2 | 使用中の電源プランを選択し「プラン設定の変更」→「詳細な電源設定」をクリック | 別プランを変更すると反映されないので要注意 |
3 | 「スリープ」を展開し「Allow Away Mode Policy」を確認 | 項目が見当たらない場合はコマンド実行 |
4 | 該当項目があれば「無効」に設定 | 有効になっているとAwayモードを許可 |
5 | 項目が非表示の場合、管理者権限でコマンドを実行 | powercfg -attributes SUB_SLEEP … -ATTRIB_HIDE |
6 | 再度電源オプションを確認し、Awayモードを無効化 | 変更後は一度再起動を行うと確実 |
7 | BIOS・デバイス設定を見直す | Wake on LANなどが絡む場合は要チェック |
Awayモードが再度有効になる場合の対処法
設定を無効化しても、しばらくするとまたAwayモードに入ってしまうケースがあります。これは、OSのアップデートやドライバの更新、あるいは新たに導入したソフトウェアによって、Awayモード関連の設定が再度有効化されている可能性があります。
Windows Update後の再確認
大きなアップデートが入った後に設定がリセットされたり、電源オプションが初期化されるときがあります。アップデートのタイミングでAwayモードがオンになっていないか確認し、必要に応じて再度無効化しましょう。
デバイスドライバのアップデート
メーカー公式のドライバ更新ツールやWindows Update経由でデバイスドライバが書き換わると、デバイスがAwayモードを要求する設定に戻ることがあります。特にネットワークアダプタやメディア関連デバイスのドライバ更新時には注意が必要です。
常駐ソフトウェアの設定確認
録画ソフトやメディア配信ソフトなどは、スリープではなくAwayモードを優先する設定が含まれている場合があります。そういったソフトウェアのオプションを見直してみるのも、Awayモードを防ぐ有効な手段です。



一度解決したと思っていても、更新後にまたAwayモードに戻ってしまうこと、意外と多いですよね。私もWindows 10からWindows 11へのアップグレード後に設定がリセットされて困った経験があります。定期的なチェックを心がけることが大切です。
トラブルシューティングのコツ
Awayモードの問題を解消しようとしても、なかなかうまくいかないときは複数の原因が絡んでいる可能性があります。ここでは、具体的なトラブルシューティングのコツを挙げてみます。
イベントビューアで原因を探る
Windowsのイベントビューアを開き、スリープや休止状態に関連するエラーログや警告が出ていないかをチェックしてみましょう。特定のサービスやデバイスがスリープを妨害している痕跡があれば、より深い原因に辿り着けます。
クリーンブートで検証する
スタートアップや常駐アプリが干渉している可能性を探るには、クリーンブートでWindowsを起動してみるのも有効です。クリーンブート状態では不要なサービスやアプリを一時的に停止しているため、その状態でスリープが正常動作するかどうかを確認できます。
システムの復元ポイントを活用
設定を色々と試した結果、かえって動作がおかしくなった場合はシステムの復元ポイントに戻すのも一つの手です。復元ポイントはWindows Updateやソフトウェアインストールの節目に自動作成されていることが多いため、トラブルが増す前に元の状態に戻すことも検討してみてください。
まとめ
Awayモードは、メディア共有やバックグラウンドタスクを継続したいユーザーにとっては頼もしい機能ですが、その存在を知らないと「スリープにしているのにファンが止まらない」「省エネを期待していたのに思ったより電力を消費してしまう」などの問題に直面しがちです。対策としては、電源オプションの詳細設定でAllow Away Mode Policyを無効化し、BIOSやデバイス設定も併せて確認するのが基本となります。もし設定を切り替えても症状が改善されない場合は、イベントビューアやクリーンブートで原因を特定するなど、より掘り下げたアプローチを試してみましょう。
これらの対処法を一度把握しておけば、今後Windowsをアップデートした際やドライバを新しくした際にAwayモードが再度有効になっても、落ち着いて対応できます。面倒に感じるかもしれませんが、根本原因を突き止めれば、快適なスリープ環境を維持できるはずです。



私自身も、Awayモードの存在を知るまでは「なんでスリープしないんだろう?」と不思議に思っていました。一度きちんと設定を見直すだけで大きく改善されるので、ぜひこの機会に試してみてください。
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