最近、Windows 11の24H2バージョンへアップデートを試みるものの、「システム予約パーティションを更新できませんでした」と表示されてしまい、なかなか先へ進めない…とお困りではないでしょうか。私も同じ状態に陥ったことがあり、原因追及に手間取ったことがあります。本記事では、特にHP製PCで起こりがちなEFIパーティション容量不足の問題を中心に、具体的な対処方法から注意点までをわかりやすく解説していきます。
なぜWindows 11 24H2への更新が失敗するのか
Windows 11を最新バージョンの24H2へアップデートしようとすると、エラーコード0xc1900107が出たり、「システム予約パーティションを更新できませんでした」と表示されたりして、作業が中断してしまうケースがあります。ここでは、その主な原因と背景について整理します。
EFIパーティションとは何か
EFIパーティション(UEFI環境でのシステム予約パーティション)は、Windowsや他のOSを起動するためのブート情報が格納された領域です。通常、容量が少なく設定されているため、Windows Updateなどで大きなファイルの書き込みが必要になった場合、空きが不足してエラーに至ることがあります。
HP製PC特有のファイル構成
HPのPCでは、EFIパーティション内にHP独自のファームウェアファイルが格納されていることがあります。さらに、多言語環境をサポートするための言語ファイルが多数存在する場合、容量を大きく圧迫してしまい、更新作業に必要なスペースが残らない状況に陥ります。

私自身もHP Elitebookシリーズを使っていて、24H2へのアップデート時にこの問題に直面しました。システム予約パーティションの見えない領域に、思った以上のファイルが詰め込まれていたんですね。
エラーコード0xc1900107とは?
Windows Updateの失敗でよく見かけるエラーのひとつが「0xc1900107」です。これはアップグレード作業中に古いファイルの削除や置き換えができず、中断したことを示すエラーコードといわれています。容量不足が原因で、必要な作業が最後まで完了できない場合に頻出します。
エラー内容の実際のメッセージ
– システム予約パーティションを更新できませんでした
– 必要なファイルをコピーできません
– 0xc1900107
このような文言が表示され、Windows Updateが途中で強制終了してしまうことがあります。
EFIパーティションの容量を圧迫する要因
EFIパーティションは通常、100MBから300MB程度に設定されていることが多いですが、次のような要因であっという間に空きがなくなります。
HP固有のファームウェアファイル
HP製PCでは、\EFI\HP\DEVFW などに独自ファームウェアファイルが格納されている場合があります。これらはBIOSや独自回復機能に関連する場合もありますが、古いデータが溜まっている可能性もあり、大容量を占めていることがあります。
不要な言語ファイル
Windowsは多言語対応が進んでおり、\EFI\Microsoft\Boot\ などに言語別のフォルダやフォントファイルが配置されています。日本語だけでなく、英語やフランス語、スペイン語など多数の言語フォルダが並び、使わないフォントを含めると相当な容量になることがあります。
古いブートデータの残存
複数回のWindowsアップグレードやテストインストールを行った際に、古いブートファイルが残っている場合があります。これらも削除や整理をしない限り、徐々に蓄積されていくことになるでしょう。
EFIパーティション内ファイルの一例
ファイルまたはフォルダ | 役割・内容 |
---|---|
\EFI\Boot | ブートローダなど起動に必要なファイル |
\EFI\HP\DEVFW | HP独自ファームウェア。容量が大きい場合が多い |
\EFI\Microsoft\Boot\Fonts | ブート画面で使用するフォント類。多言語対応により膨大 |
\EFI\Microsoft\Boot\lang フォルダ | 各言語ごとにブートメッセージなどを保持 |
具体的な対策手順
ここからは、実際にどのようにしてEFIパーティションの空き容量を確保し、Windows 11 24H2のアップデートを完了させるかを解説していきます。手順は大きく2つに分けられます。
1. EFIパーティション内の不要ファイルを削除・整理する
1.1 EFIパーティションのマウント
Windows環境では通常、EFIパーティションが隠し領域として扱われるため、まずはコマンドプロンプトやPowerShellを管理者権限で開き、以下のコマンドでマウントしましょう。
mountvol Y: /s
これにより、EFIパーティションが「Y:」ドライブとして見えるようになります。
1.2 容量使用状況の把握
マウントされたドライブに対し、以下のようなコマンドでファイル容量を確認します。
dir Y:\ /s /a
実際にどのフォルダが何MB(あるいは何KB)を消費しているか把握してから削除を検討することをおすすめします。



私の場合は、\EFI\HP\DEVFWに思った以上に容量を取られていました。中には古い日付のファームウェアファイルもあり、HPサポートを調べたら「不要なデータを除去してよい」と書いてあったので安心して整理できました。
1.3 HP製PCの固有ファイルをバックアップして削除
HP製PCの場合、\EFI\HP\DEVFW などのフォルダを一時的に削除すると空き容量が大幅に増えることがあります。ただし、一部ファイルは今後の回復機能で必要になるかもしれないため、念のためOS側のCドライブなどにバックアップを取ってから削除するようにしてください。
1.4 不要な言語フォルダの削除
使用しない言語フォルダ(例: fr-FR, es-ES など)を整理すると、フォントフォルダや言語別ブートファイルなどでかなり容量が空くケースがあります。OSの言語設定が日本語のみでOKという場合は、思い切って使わない言語フォルダを削除してみましょう。
1.5 論理エラー修復
ファイル整理後には、以下のコマンドで論理エラーがないかチェックしておきましょう。
chkdsk Y: /F /X /sdcleanup /L:5000
このコマンドを実行すると、パーティションのファイルシステムエラーが修復される場合があります。
実行中は中断しないように注意しましょう。
2. EFIパーティションの容量拡張
2.1 パーティション操作ツールの利用
100MBや200MBなど、いくら不要ファイルを削除しても十分な空きが確保できない場合は、AOMEI Partition Assistantなどサードパーティ製のパーティション操作ツールを使用してEFIパーティションそのものを拡張する方法が考えられます。
2.2 GPTディスクの取り扱い
Windows 11がインストールされた最近のPCはGPT形式のディスクを採用していることが多いです。GPTパーティションを操作する際は、データ損失のリスクもあるため必ず重要ファイルをバックアップしてから実行しましょう。
2.3 拡張後の確認
パーティション拡張が完了したら、再度EFIパーティションをマウントして必要なファイルがきちんと存在するか確認しましょう。また、Windows Updateを再実行して、無事に24H2が適用できるかどうかをテストします。
アップデート完了後にHPファイルは戻すべき?
アップデート後、「EFIパーティションから退避したHP独自のファイルをどう扱うか」が気になるところです。HPの純正回復機能やBIOSのロールバック機能を利用する場合、これらのファイルが必要となる可能性は否定できません。しかし多くの場合、EFIパーティションにわざわざ再配置しなくても問題なく動作します。
今後のアップデート時のリスクを考える
EFIパーティションに大きなファームウェアファイルを再配置すると、次回以降のWindows Updateでも同じ容量不足の問題が起こりやすくなります。
そのため、本当に必要と判断できるファイルだけを残し、不要なものはCドライブ等に保管しておくほうが無難です。
HPサポートのアドバイス
HPのサポートページによっては、EFIパーティション内に置いておいたほうがよいファイルや、不要となるファイルが明記されている場合があります。万一、削除してよいか迷ったときは、PCの型番とファイル名を照らし合わせながら公式の情報を参照してみてください。
実践事例:私が試したアップデート手順
ここでは、私が手持ちのHP Elitebook G9で実際に試した対処法を簡単にまとめます。パーティションのバックアップやWindowsの回復ドライブを用意してから作業を進めてください。
手順の概略
1. EFIパーティションのマウント
mountvol Y: /s
Y:ドライブとして内容を確認し、\EFI\HP\DEVFW フォルダ全体をC:\バックアップ フォルダへ移動(コピーした後、元フォルダを削除)しました。
2. 不要な言語フォルダの削除
日本語と英語のみ必要だったので、それ以外の言語コードフォルダを削除。すると数MB~十数MBほど空きが増えました。
3. chkdskコマンドの実行
chkdsk Y: /F /X /sdcleanup /L:5000
特にエラーはありませんでしたが、念のためチェック。
4. Windows Updateの再実行
再度Windows 11 24H2へのアップデートを走らせると、今度はエラーなく作業が完了。再起動後、バージョン情報も24H2に更新されているのを確認しました。



「何度やってもエラーで止まっていたのに、たった数十分の作業で解消できてしまったのは拍子抜けしました。原因がわかれば対処もスムーズですね。
トラブルシューティングQ&A
Q1: EFIパーティションを誤ってフォーマットしてしまったら?
万が一、EFIパーティションを完全に初期化してしまうと、ブート情報が消えてOSが起動しない可能性があります。復元にはWindowsインストールメディアや修復ディスクを用いてブート情報を再構築する作業が必要です。
Q2: マウントしてもフォルダが表示されない
隠し属性のファイルやフォルダが多く含まれているため、dir コマンドに /a オプションを付けて確認してみてください。GUIのエクスプローラーで見えない場合は、フォルダオプションで隠しファイル表示を有効にすると見えるようになる場合があります。
Q3: EFIパーティションを拡張したのにアップデートが止まる
容量は十分あっても、ファイルシステムの論理エラーや古いアップデートのアンインストールがうまくいかないなど、他の要因で止まっている場合があります。トラブルシューティングツールやDISMコマンドでシステムイメージを修復してから再度実行してみましょう。
まとめ:空き容量の確保がカギ
Windows 11 24H2へのアップデートに失敗する原因は、ほとんどの場合EFIパーティションの容量不足に起因します。特にHP製PCでは独自のファームウェアファイルや不要な言語ファイルが多く、しっかり整理しないとアップデートが止まりがちです。
ポイントのおさらい
1. EFIパーティションをマウントして中身を確認
不要ファイルを特定してバックアップし、削除することで空き容量を増やします。
2. HP製フォルダや不要言語フォルダに注目
\EFI\HP\DEVFW や複数言語のBootフォルダが大容量を占めやすいので、優先的に整理しましょう。
3. それでもだめならパーティション拡張
AOMEI Partition AssistantなどでEFIパーティションのサイズ自体を増やすと、将来のアップデートでも安心感が高まります。
4. アップデート後のHPファイルは再配置しなくてもOK
今後のアップデート時に再び容量不足になるリスクを考え、EFIパーティションには戻さずCドライブなどに保管しておくのがおすすめです。



私も最初はやみくもにWindowsのアップデートを再実行して失敗の繰り返しでしたが、原因を知って必要なファイルだけ残すようにしたらスムーズにアップデートできました。
今後のトラブル回避のために
Windows 11は機能アップデートの頻度が比較的高く、今後もシステム予約パーティションへの書き込みが必要になる場面が出てくるかもしれません。パーティションを少し大きめに確保しておくか、普段から不要ファイルを削除して常に空きを作っておくと、アップデートのたびに同じ問題で悩まずに済むでしょう。
定期的なバックアップとクリーンアップ
EFIパーティションを扱う操作はシステムの根幹に触れるため、定期的なバックアップと細心の注意が必要です。クリーンアップをするときは一気に大量のファイルを削除せず、一つひとつ内容を確認してから進めることが安全対策にもつながります。
OS側の管理ツールも活用しよう
Windowsのディスクの管理ツールや、Windows Updateのトラブルシューティング機能を積極的に活用することで、問題点の切り分けがしやすくなります。サードパーティ製ツールだけに頼らず、公式の機能も試してみるとよいでしょう。



Windowsの設定画面で「回復オプション」を開くと、システムの復元や起動に関するトラブルシューティングがまとまっています。万が一のときにも役立つので、手順を把握しておくと安心ですよ。
最後に
Windows 11 24H2のアップデートが思うように進まない場合、まずはEFIパーティションを疑ってみましょう。HP製PCに限らず、さまざまなメーカーのPCでも同様の問題が起こる可能性があります。問題を解決する鍵は、システム起動に不要なファイルの整理やパーティション拡張など、地道な作業です。ちょっと面倒かもしれませんが、一度対策をしておけば、次回以降のアップデートが格段にスムーズになります。
この記事が、あなたの快適なWindows 11ライフの一助になれば幸いです。少しでもトラブルを減らし、常に最新の環境でPCを使っていきましょう。
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