Windows 11のバージョン24H2がリリースされ、新機能やパフォーマンス改善を期待してアップデートを試す方が増えています。ところが実際には思わぬトラブルが続出し、戸惑うユーザーも多いようです。本記事では、代表的な不具合と対処法を分かりやすくご紹介します。
Windows 11 24H2アップデートで発生する主な不具合
Windows 11 24H2へのアップデートでは、環境によっては様々な不調が報告されています。特に日頃からゲームや動画制作、ビジネス利用でPCを酷使している人ほど影響を受けやすい印象があります。ここでは、主に寄せられているトラブルをいくつかご紹介します。
フレームレート低下とカクつき
映像ソフトでの録画やゲーム配信を行う際、急にフレームレートが落ちたり、カクつき(スタッター)が発生したりする現象が報告されています。特に動きの速いゲームをプレイしていると、急に画面が止まったように感じるケースもあるようです。24H2にアップデートするまでは快適だったという声も多く、ユーザーによっては非常にストレスフルな状態になっています。
実際、筆者の知人も最新のグラフィックカードを使っているにもかかわらず、24H2適用直後からフレームレートが安定しなくなったと嘆いていました。あれこれ設定を見直したところ、一時的に症状は緩和されたようですが、完全な改善には至っていないとのことです。
ゲームプレイ時のパフォーマンス低下
フレームレート低下と似た話ではありますが、特定のゲーム内でリフレッシュレートを変更したり、録画設定を切り替えたりすると一瞬ブラックアウトする症状が散見されます。ゲームを録画しながらプレイしている方にとっては、そのタイミングでゲームが落ちてしまうこともあり、非常に困りものです。
とりわけオンライン対戦の最中に画面が真っ暗になると、勝敗にも直結してしまいます。24H2にアップデートするかどうか、ゲーム好きの仲間内で意見が分かれるのも頷ける話です。
M.2 SSDの認識不良
24H2適用後、一部メーカーのM.2 SSDが正しく認識されなかったり、ドライブが一覧に表示されなくなったりする事例も耳にします。作業用ドライブや、OS以外のデータドライブが突然行方不明になると焦ってしまいますよね。特にCrucialなどのSSDで報告数が多いといわれています。
自作PCユーザーの方は、BIOSでストレージモードの設定を確認しつつ、物理的にも挿し直しを行ったり、接点をクリーニングしてみるのが得策です。知人はBIOSの初期化(CMOSクリア)を行ったところ、不思議なほど簡単に症状が治まったそうです。
マイク入力音の歪み
音声チャットや録音を多用する人にとって、マイク入力の音量が勝手に上がったり下がったりするのはかなり厄介です。24H2アップデート後に、マイク音声が歪みやすくなったという声がSNSなどで目立ちます。ドライバーを更新しても改善しなかったり、Windowsのオーディオ設定がリセットされることもあるようです。
筆者も過去のバージョンアップ時に経験がありますが、突然「声がこもって聞こえる」と言われてしまい慌てたことがありました。配信や打ち合わせ中に音量が不自然に変わると相手にも迷惑がかかるので、早めの対処が必須といえます。
アップデート自体の失敗
そもそも24H2がインストールできずに、23H2から先に進めないケースも少なくありません。アップデートを試みてもエラーコードが表示されるばかりで、うまく適用されない場合があります。特定のセキュリティソフトや常駐アプリとの競合も原因になることが多いです。
特に自動アップデートに任せておいたら、いつまで経っても24H2がダウンロードされないままという人もいるようです。無理にアップデートを進めようとするとシステムが不安定になるので、OS側からの通知を待つほうが得策かもしれません。
システム全体の不安定化
24H2適用後にPC全体の挙動がやや重くなった、アプリの起動が遅い、ブルースクリーンが頻繁に発生するといった声も挙がっています。バージョンアップによるドライバーやOS内部コードの変化が影響していると考えられます。
あるユーザーからは、「以前は難なく使えていたCADソフトが、突然応答しなくなった」といった報告も聞きました。業務で使っているソフトウェアが不安定になると、生産性への影響も馬鹿になりません。
代表的な不具合と対策をまとめた表
ここでは、上記の不具合を簡単に一覧にしてみました。症状と推測される原因、そして推奨される対処法をまとめています。ご自身のトラブルに近いものがあれば、ぜひ参考にしてください。
不具合内容 | 原因と考えられる要因 | 対処策 |
---|---|---|
録画や配信時のフレームレート低下 | グラフィックドライバーの不整合 録画ソフトとの相性問題 |
GPUドライバーの更新 配信ソフトや設定の見直し |
ゲーム中のブラックアウト | モニターのリフレッシュレート切替時の不具合 複数モニター環境の設定ミス |
最新のGPUドライバーインストール 全モニターのリフレッシュレートを統一 |
M.2 SSDの認識不良 | BIOSやOSアップデートによる設定変更 物理接点の接触不良 |
BIOSの初期化や更新 ストレージモードの見直し |
マイク音の歪みや自動調整 | オーディオドライバーの不具合 Windowsの音声強化設定による干渉 |
サウンド設定の調整 オーディオドライバー再インストール |
24H2へのアップデート失敗 | 常駐ソフトとの競合 ストレージ空き容量不足 |
不要なソフトの停止・削除 Windows Updateトラブルシューティング |
システム動作の重さや不安定化 | OS内部コード変更による負荷 古いドライバーとの相性問題 |
アップデート後の不要ファイル削除 可能なら23H2へロールバック |

筆者も一度、別のメジャーアップデート時にSSDが突然認識されず焦った経験があります。自作PCだとBIOSの設定を少し触るだけで復旧することも多いですが、初心者の方は驚くと思います。こうした対応は事前知識があると格段に楽になりますね。
トラブルを回避するための基本的な対処法
24H2で不安定になった場合に備えて、あらかじめ意識しておくと役立つ基本的な対処法を押さえておきましょう。特に作業PCやビジネスで使うPCの場合は、リスクヘッジの観点でこれらのステップを実施しておくと安心です。
23H2へのダウングレード
24H2を入れた後に致命的な不具合がある場合は、Windowsの回復機能を使って23H2に戻すことが検討されます。アップデートしてから10日以内であれば、比較的簡単な手順でロールバックが可能です。ただし10日を過ぎた場合はバックアップイメージからの復元やクリーンインストールが必要になる可能性があります。
実際、24H2適用後にゲームがまともに動かなくなり、仕方なくダウングレードして元に戻ったという事例も身近で聞きました。早期の判断が功を奏した形です。新機能を試す魅力はありますが、安定性が確保できないなら、一旦23H2にしておくのも賢明かもしれません。
ドライバーやファームウェアの更新チェック
Windowsのバージョンアップ時には、各種デバイスドライバーやファームウェアを最新にすることが重要です。24H2に対応したドライバーの提供がまだのメーカーもあるため、公式サイトやサポートページをマメに確認しましょう。
特にグラフィックカードやオーディオインターフェイス、SSDなど、パフォーマンスや認識に直結するデバイスに注目してください。また、BIOSが更新されている場合は、マザーボードメーカーの指示に従ってアップデートを検討するのもひとつの手です。
BIOSアップデート時の注意
BIOSアップデートは失敗するとパソコンが起動しなくなるリスクがあるため、説明書や公式ガイドをよく読み、安全策を講じてから行うのが望ましいです。安定した電源環境やUPSなどがあるとより安心ですね。
BIOS設定の見直し
24H2では、OS側のストレージ管理や電源管理に変更が加わっている可能性があります。M.2 SSDの設定やレイテンシ制御が絡んでくるため、BIOSの項目を再確認することも大切です。SATAモードとNVMeモードの切り替えやレガシー/UEFIブートの設定など、細かい部分をチェックしてみましょう。
ひとつの事例として、あるユーザーがM.2 SSDを認識しなくなった後、BIOSのセキュアブート設定をオフにし、ストレージを再度スキャンさせたところ正常に認識されたというケースが報告されています。公式では明記されていない手段ですが、やってみる価値はあるかもしれません。
公式フィードバックの活用
Windowsのアップデート関連の問題は、Microsoftに直接フィードバックを送ることで改善される可能性が高まります。Windowsの「フィードバック ハブ」や「Microsoft コミュニティ フォーラム」で不具合の詳細を報告しておくと、他のユーザーと情報共有できるだけでなく、マイクロソフトの目にも留まりやすいです。
定例のパッチが出ているにもかかわらずトラブルが解消しない場合は、引き続き報告や相談を続けることで状況が改善することも期待できます。特にプレビュー版やInsider Programに参加している方は、積極的にフィードバックを出すことで開発側に不具合を早期発見してもらえるかもしれません。
執筆者の体験談
私自身、Windows 10の頃から大型アップデートのたびにトラブルと隣り合わせの緊張感を味わってきました。あるアップデートでは、メインで使っていたSSDが突然「未フォーマット状態」と認識され、仕事のデータが消えたかとヒヤッとしたこともあります。実際にはトラブルシューティングを行うことで無事に復旧できましたが、あのときは相当焦りました。
このようなトラブル体験を元に、アップデートの前には必ずシステム全体のバックアップを取ること、ドライバーを最新にすること、そして余裕を持った時間帯でアップデートを実施することを心がけています。特に忙しい時期にOSをアップデートして万一トラブルが起きると、復旧作業でさらに時間が取られてしまいますよね。



一度、夜中にアップデートをかけてから寝たら、翌朝になっても更新が終わらず、結局その日はリカバリ作業に追われる羽目になりました。皆さんも「時間に余裕のあるときに行う」という点だけは強くおすすめしたいです。
24H2アップデートを見送るという選択肢
24H2は新機能が盛り込まれている一方で、現時点では報告される不具合が少なくありません。どうしても必要な機能がない場合や、業務で使うPCなどの安定性が何よりも大事な方は、アップデートをしばらく見送るのも賢明な判断です。Microsoftが不具合を把握して修正パッチをリリースするのを待つことで、トラブルを最小限に抑えられます。
23H2で特に問題なく動作しているのであれば、そのまま運用を継続しても大きな支障はないでしょう。Windows 11がメインストリームでサポートされ続ける限り、バージョンの違いでセキュリティが著しく低下するリスクは少ないはずです。
アップデートプランの立て方
Windowsには自動的にアップデートが適用される仕組みがありますが、いざというときにロールバックが簡単にできるよう、普段からシステムのイメージバックアップを作成する習慣をつけておくと安心です。また、企業や学校などで多数のPCを管理している場合は、グループポリシーやWSUSなどを活用して、アップデートのタイミングをコントロールできる体制を作っておくとよいでしょう。
アップデートの通知が来ても、すぐに実行せず評判や状況を確認してから実施する方法を取る人も多いようです。これは「情報を収集してから動きたい」というスタンスに基づくもので、特に大事なデータや作業がある方には有効といえます。
まとめ:安定性重視なら慎重にアップデートを検討しよう
Windows 11のバージョン24H2は新機能やインターフェースの改善など魅力的な側面がありますが、不具合も少なくないのが現状です。パフォーマンス低下やデバイスの認識不良など、環境によっては作業効率がガタ落ちしてしまう可能性があります。
トラブルを回避するには、ドライバー類のアップデートやBIOS設定の見直しなどの対策を行い、万が一の際は23H2へのロールバックを視野に入れておきましょう。また、フィードバックハブを積極的に活用して問題を報告することで、より早い段階で解決する道も開けます。無理に最新バージョンを追いかけるのではなく、安定性を優先した選択肢を持つことが、結果的に快適なPCライフに繋がるはずです。
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