パソコンで作業をしていると、エクスプローラーを開くたびに列表示が気に入らない状態になっていて、思わず「どうにかならないのかな…」とため息をついた経験はありませんか。ここでは、Windows 11のエクスプローラーにおける列表示の初期設定を工夫して、毎回の設定変更をできるだけ減らすヒントをお伝えします。
Windows 11のエクスプローラー列表示がリセットされる理由
Windows 11のエクスプローラーは、見やすさや利便性を重視するために「フォルダーの種類」という仕組みを採用しています。ドキュメントやピクチャなどファイルの用途に応じてテンプレートが変わり、それに合わせて列表示も異なるわけです。例えば写真のフォルダーであれば「撮影日」や「カメラモデル」といった項目が優先される一方、文書のフォルダーなら「更新日時」や「種類」などが目立つ形で表示されます。
ただ、便利なはずの仕組みが、意図しない列表示に悩まされる原因になることがあります。撮影日を表示させたいのに出てこない、不要なタグ列がいつの間にか復活してしまう、OneDriveで同期したフォルダーの「ステータス」欄が勝手に戻るなど、人によってはストレスの原因になります。
フォルダーの種類とは
Windowsには大きく分けて5種類のフォルダータイプ(テンプレート)が存在します。主に「ドキュメント」「ピクチャ」「ミュージック」「ビデオ」「一般(General)」の5つです。それぞれ最適化されている列表示やソート項目が異なり、エクスプローラーはそれを元に列表示を決めています。
なぜ種類別に最適化が行われるのか
画像フォルダーに対して、詳細な撮影情報が必要なユーザーが多い一方、音楽を管理するフォルダーでは「アルバム名」や「アーティスト情報」が重点的に求められます。こうした違いに対応するため、Windowsは同じフォルダーでも扱うファイルのジャンルによって異なるテンプレートを適用できる仕組みを用意しているのです。

私はピクチャフォルダーを頻繁に使うので、「撮影日」や「カメラモデル」などを表示しておきたいのですが、なぜかたまにドキュメント型のフォルダー設定が自動的に適用されて「種類」や「サイズ」が並んでしまうことがありました。初期設定を整えればこの苦労もかなり減りました。
フォルダーの種類別デフォルト列の例を表で確認
同じWindows 11のエクスプローラーでも、用途によって表示される列の初期状態は異なります。ここでは代表的なテンプレート5種類の初期設定例をまとめます。
フォルダーの種類 | 初期表示される列例 | 用途の想定 |
---|---|---|
ドキュメント | 名前 / 更新日時 / 種類 / サイズ | 文書や表計算ファイルなどの管理向け |
ピクチャ | 名前 / 日付 / 種類 / 評価(場合によっては撮影日など) | 写真や画像のプレビュー、撮影情報など |
ミュージック | 名前 / アーティスト / アルバム / 種類 | 音楽のアーティスト名やアルバム管理 |
ビデオ | 名前 / 日付 / 種類 / サイズ | 動画ファイルの保存・整理 |
一般(General) | 名前 / 日付 / 種類 / サイズ | ファイル種別を問わず幅広く利用 |
テンプレートを統一すれば解決するのか
エクスプローラーの「フォルダーに適用」機能を使うと、同じ種類のフォルダーに対して、今開いているフォルダーの表示設定を一気に反映させることができます。しかし、それで万事解決するかというと、そう簡単でもありません。ライブラリや検索結果ウィンドウなど、いわゆる仮想フォルダーではこの機能が使えない場合がありますし、OneDriveの「ステータス」列が何度も復活する現象に悩むケースもあります。
標準機能を使った列表示の統一手順
フォルダー表示の基本的な統一手順は以下の流れになります。ここではリストを使わず見出しで手順を示します。
1. 表示を整える
まず、特定のフォルダーを開いて、自分が望む列表示に整えます。不要な列がある場合は、その列の見出しを右クリックして「この列を削除」を選び、必要な列があれば「列の追加」からチェックを入れます。列の順序は、詳細表示モードで列見出しをドラッグすれば自由に入れ替えできます。
2. フォルダーオプションを開く
エクスプローラーの上部にある「…(3点リーダーアイコン)」をクリックし、「オプション」を選びます。すると「フォルダーオプション」ダイアログが表示されるので、「表示」タブを開きます。
3. 「フォルダーに適用」を実行する
「表示」タブの中ほどに「フォルダーに適用」というボタンがあるのでクリックします。「この種類のフォルダーに適用してよろしいですか?」と聞かれるので、そのままOKを押しましょう。すると、現在調整したフォルダーの表示設定が、同じテンプレート(フォルダーの種類)を持つ他のフォルダーにも適用されるようになります。
各フォルダー種類への適用が必要
ドキュメント系のフォルダーで「フォルダーに適用」をしても、ピクチャ系フォルダーには適用されません。ピクチャ系にも同じ手順を行う必要があります。手間は少しかかりますが、自分の用途に合ったカラム表示を細かく分けたい場合は、この方がかえって便利な場合もあります。



私の場合、旅行先で撮影した画像フォルダーだけは「撮影日」「カメラモデル」を優先、仕事の書類は「更新日時」「ファイルサイズ」を優先という風に使い分けています。用途別に見やすいので、作業効率が上がりました。
よくあるトラブルと対処法
いざ設定してみても、なぜか上手く反映されなかったり、何度も列が勝手に変わってしまうことがあります。その原因にはいくつかのパターンが考えられます。
「フォルダーに適用」がグレーアウトになる
主に、ライブラリや検索結果画面といった仮想フォルダーを開いた状態だと「フォルダーに適用」が使えないことが多いです。こうしたフォルダーでは、そもそも物理フォルダーへの設定が保持されていないため、機能が制限されています。仮想フォルダーではなく、物理的なパスのフォルダーを開いた上で設定を行いましょう。
対処手順
1. ライブラリではなく実際の場所に移動
「ドキュメント」ライブラリなどを開いている場合は、そのフォルダーが実際に存在するドライブやフォルダーパスに移動してみてください。プロパティを開いてパスを確認すると、実フォルダーの場所が分かることがあります。
2. そこで改めて列表示を整える
ライブラリで調整するのではなく、実体のあるフォルダーで列を調整し、フォルダーオプションから「フォルダーに適用」を試してみます。
設定を保存しすぎている
Windowsはフォルダーの表示設定をレジストリ上で管理しており、標準では最大5000フォルダー分まで記憶できるとされています。日常的に大量のフォルダーを使い分けている場合、表示設定の保存枠が圧迫され、新しい設定が上書きされてしまうこともあります。
対処手順
1. 古い表示設定をリセットする
フォルダーオプションの「表示」タブから「フォルダーの表示設定をリセット」することで、保存領域を解放する方法があります。ただ、この操作をすると過去の設定がすべて消えるため、必要なフォルダーの表示設定も再調整が必要になります。
2. レジストリを編集して制限を拡張する
レジストリを直接編集することで、記憶可能なフォルダー設定数を増やす裏技があります。具体的には「BagMRU Size」の値を大きくするといった方法です。ただし、レジストリをいじるのは危険が伴うため、事前にバックアップを取っておくか、下記のような支援ツールの利用を検討してください。
OneDriveで同期しているフォルダー
OneDriveとの同期フォルダーでは、「ステータス」列が再び表示されるという悩みをよく耳にします。これはOneDriveが同期状況を表示するために、Windowsのエクスプローラーに情報を付加しているのが原因です。標準機能だけでは、このステータス列の自動復活を抑止する術があまりありません。
対処法の候補
1. OneDriveの設定を見直す
OneDriveのクライアント側設定で不要な同期フォルダーを減らすことで、対象が少なくなり、ステータス列の復活頻度を低減できます。ただし完全に止めることは難しいです。
2. WinSetViewなどのツールを活用
フリーソフトやオープンソースツールであるWinSetViewを使うと、レジストリを直接編集して列表示を固定化するような設定が可能です。設定手順は多少複雑ですが、OneDriveフォルダーであっても比較的安定して好みの列表示を維持できる場合があります。
WinSetViewを使ったより詳細なカスタマイズ
Windows 11でフォルダーの詳細表示やカラム設定をゴリゴリに固定したい場合、WinSetViewはとても役立ちます。これはレジストリ編集の敷居を下げるためのツールで、複雑なレジストリキーに悩まされずに設定を変更できるのが特徴です。
WinSetView導入の流れ
1. ダウンロード
公式サイト(GitHubなど)からWinSetViewの実行ファイルをダウンロードします。ウイルス対策ソフトの影響でブロックされる場合は、誤検知でないか慎重に確認してください。
2. バックアップを取る
ツールがレジストリを直接いじるため、念のためシステムの復元ポイントを作成したり、Windowsの標準バックアップ機能を使うなどして、万が一に備えましょう。
3. ツールの起動と設定
WinSetViewを起動すると、列表示やフォルダーの種類に関する詳細な項目がずらりと並んでいます。自分が理想とする表示を丁寧に設定し、「Apply」などのボタンを押して反映させます。
設定項目の一例
・Bagサイズの調整
先ほど触れた「BagMRU Size」など、Windowsが記憶できるフォルダー表示設定の上限値を増やすことができます。これにより、たくさんのフォルダーを扱う人でも設定が上書きされにくくなります。
・各フォルダータイプの既定列を指定
「ピクチャ」テンプレートはこの列、「ドキュメント」テンプレートはこの列、など事細かく指定できます。WinSetViewはテンプレートをより踏み込んで編集する支援が整っているため、Windows標準より細やかなカスタマイズが可能です。
・OneDriveフォルダーにも強制適用
OneDriveのステータス列を非表示にする設定をレジストリに書き込むことで、勝手に復活しづらくなることがあります。ただし、OneDriveのアップデートやWindowsアップデートの影響で再度表示される可能性もゼロではありません。



一度WinSetViewの設定を詰めてしまえば、「あれ、いつのまにか列設定がおかしくなってる…」というトラブルがかなり減りました。安心感が増しますね。
列の追加・移動時に気を付けたいポイント
最終的に表示を整えるうえで、列の追加や移動の際に留意しておくと便利なコツがあります。
詳細表示モードで操作する
列の追加や順番の移動は、エクスプローラーの「詳細」表示にしておくとやりやすくなります。アイコン表示やリスト表示のままだと、列の見出しが確認しづらいので操作性も落ちます。
表示したい列名を見失わない
列の追加ダイアログを開くとかなり多くの項目がずらりと並ぶ場合があります。特に写真ファイルのEXIF情報などを扱うときは「撮影日」「カメラメーカー」など細かい項目名があり、混乱しがちです。自分が欲しい項目の正式名称を知っておくと探しやすいです。
横幅と並び順も重要
列を追加しても、最終的に並び順がバラバラでは使いにくいことがあります。ドラッグで並べ替えられるほか、列の境目をダブルクリックすれば自動的に幅を最適化してくれます。一度きちんと整えてから「フォルダーに適用」を行うのがおすすめです。
より快適な列表示のためのポイント
Windows 11のエクスプローラーで列表示を初期設定から快適にするには、いくつか抑えておくと便利なコツがあります。
フォルダータイプの誤認識を修正する
Windowsが「このフォルダーには写真が多いからピクチャテンプレートを適用しよう」と自動判定してしまうケースがあります。それを自分の好みに合うよう修正するには、そのフォルダーを右クリック→「プロパティ」→「カスタマイズ」タブから「このフォルダーを次の種類として最適化」を選び直す方法が有効です。
ライブラリを無理に使わない
ライブラリを使うと、エクスプローラーの階層が分かりやすくなる利点もある一方、仮想フォルダーの制約から「フォルダーに適用」を利用できない不便さがあります。ライブラリにこだわらず、実際のフォルダー階層をブックマーク感覚で使ってみる方法も検討してください。



私は以前ライブラリを多用していましたが、列表示を統一しにくいこともあって、いまはDドライブなどの直下にカテゴリ別のフォルダーを作る運用に切り替えました。その方が自分には合っていました。
まとめ:一度設定してしまえば快適なエクスプローラーライフに
Windows 11のエクスプローラーで毎回列表示を消したり追加したりするのは面倒なものです。ですが、一度しっかりと自分の使い方に合わせた列表示を設定し、「フォルダーに適用」を活用するだけでも驚くほど快適になります。また、仮想フォルダーやOneDriveのように、標準機能だけでは思うようにならないケースでは、WinSetViewのようなサードパーティツールを使ってレジストリを直接コントロールする手段も用意されています。
Windowsは長い歴史の中でフォルダーの種類やテンプレートの仕組みを継承し続けてきたため、少々不親切に感じる場面もあるかもしれません。しかし、その分柔軟性が高く、慣れてしまえば意外と自由にカスタマイズできるのが魅力です。ぜひ自分に合った方法で、エクスプローラーを使いやすい状態に整えてみてください。



作業環境が整うと、日々のちょっとしたストレスがなくなるので気分も上がります。面倒だと思っていたファイル管理が、意外と快適に感じられるかもしれませんね。
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