Windows 11でのPDF閲覧・編集方法を徹底解説

Windows 11への移行を検討している方の中には、PDFファイルをこれまでと同様に閲覧・編集できるのか不安を感じている方もいるのではないでしょうか。実は、Windows 10で活用していたMicrosoft EdgeによるPDF閲覧機能はWindows 11でも引き続き利用可能です。本記事では、Microsoft Edgeを中心に、Windows 11でのPDF閲覧・編集方法や、もう一歩踏み込んだ高度な編集を行うための選択肢について詳しく解説していきます。

Windows 11時代におけるPDF活用のメリット

Windows 11では、Windows 10から大幅にデザインやUIが刷新されつつも、多くの基本機能や使い勝手を継承しています。その中でもPDF関連機能は、特にビジネスシーンや学習用途で頻繁に利用されるため、スムーズに扱える環境が整っていることが大きな利点です。
Windows 10では「Microsoft Edge」が標準ブラウザとしてPDF閲覧機能を担ってきましたが、Windows 11でも同様にMicrosoft Edgeが搭載され、より進化したUIや拡張機能とともに標準PDFビューアとして動作します。これにより、追加ソフトを導入することなく、簡単な注釈付けや手書き書き込みなども可能になります。

Microsoft Edgeに標準搭載のPDFリーダーとは

Windows 11では引き続きMicrosoft Edgeが標準ブラウザですが、実はこのブラウザには強力なPDFリーダー機能が内蔵されています。次のような特徴があります。

  • PDFの閲覧: 起動が軽快で、瞬時にPDFを表示できます。印刷レイアウトに近い形で表示してくれるので、文書の確認や読み込みがスムーズです。
  • 注釈・ハイライト機能: 重要な箇所を強調表示したり、コメントを追加することが可能です。読書や資料チェックの際に役立ちます。
  • 手書き入力(インキング)機能: タッチ対応デバイスやペンタブレットを利用すれば、実際にペンで書き込みをするような操作ができます。
  • 軽快さと安定性: 余計な常駐プロセスが少なく、PDFを開くだけならアプリの起動時間も短いため、多くのユーザーにとっては十分な使い勝手です。

EdgeでのPDF閲覧機能の使い方

Windows 11でPDFファイルを開こうとすると、自動的にMicrosoft Edgeが起動してPDFを表示するケースが多いです。もし既定のアプリが他のソフトになっている場合は、以下の手順で既定のPDFビューアをEdgeに変更できます。

  1. 「スタート」メニューから「設定」を開く
  2. 「アプリ」→「既定のアプリ」を選択
  3. 左上の検索ボックスで「pdf」と入力してファイル拡張子の関連付けを確認
  4. PDFファイルの関連付けにMicrosoft Edgeを指定

こうしておけば、ダブルクリックするだけでEdgeが開き、PDFを素早く閲覧できます。

注釈とハイライト機能

EdgeでPDFを開くと、上部ツールバーに注釈やハイライトのアイコンが表示されます。

  • ハイライト: 文章内の重要部分をドラッグで選択し、マーカーを引いたように強調できます。カラーも複数用意されているため、読み分けが便利です。
  • 注釈(コメント): 気づいた点をメモしたい箇所を選択し、吹き出しアイコンでコメントを書き込めます。後日読み返したときでも、コメントを確認して内容を整理しやすくなります。
  • 削除や編集: 誤って付けた注釈やハイライトも、右クリックなどから簡単に削除・編集が可能です。

手書き機能の活用

タブレットPCやペンタブレット、タッチ操作が可能なデバイスを利用している場合、手書き入力(インキング)を使うと、紙の上にペンを走らせるような感覚でメモや図形を書き込めます。

  • 自然な筆圧表現: ペン入力対応デバイスであれば、筆圧によって線の太さや濃淡を表現することも可能です。
  • 手書きの消しゴム機能: 書き込みを消去したい場合は、消しゴムツールを選択し、不要な部分をなぞるだけで消せます。
  • 共同作業にも便利: PDFを共有したメンバー全員がコメントや手書きを追記することで、オンラインでの共同校正やレビューがスピーディーになります。

実際の手書きコメントの使い道

  • 学習ノートとして: PDFで配布された授業資料や電子書籍に直接ペン書きでメモを取ることで、デジタルながら紙に書き込むような直感的な学習が可能です。
  • 会議資料への追記: ビデオ会議中に資料を共有しながら、その場でペン書きメモを残しておくと、後から会議内容を復習するときに役立ちます。
  • 提案書への赤入れ: 修正指示や指摘事項を赤ペンで入れる感覚で使えるため、クライアントや上司への確認がスムーズになります。

より高度なPDF編集が必要な場合

Microsoft Edgeは閲覧や簡易的な編集機能としては十分優秀ですが、実際の業務や特別な作業では、さらに高度なPDF編集機能が必要になる場面があります。例として、複数のPDFを1つにまとめる、あるいはPDF内のページを切り出して別文書にしたい、といった作業が挙げられます。こうした場合には専用ソフトの導入がおすすめです。

Adobe Acrobatのメリット

PDFの生みの親であるAdobeが提供する「Adobe Acrobat」は、PDF編集の定番ソフトです。バリエーションとしては有料版のAcrobat Pro DC、無料で閲覧中心のAcrobat Readerなどがあります。

  • ページの合体・分割: 複数ファイルを結合したり、不要ページを切り出したりといった操作が簡単に行えます。
  • 署名やパスワード保護: ドキュメントに電子署名を追加したり、機密文書のパスワード設定も可能です。
  • OCR機能: スキャンした紙資料を文字データとして認識し、テキスト検索やコピーを実現できます(有料版のみ)。
  • 共同編集機能: 共有したPDFに対して複数ユーザーが同時にコメントを加えるクラウド連携機能も便利です。

フリーソフトの選択肢

PDF編集ソフトはAdobeだけでなく、フリーソフトやオープンソースソフトも数多く存在します。Windows 11でもインストール可能で、以下のようなものが代表的です。

  • PDFsam Basic: PDFの分割・結合が得意なフリーソフト。ユーザーインターフェイスがシンプルで操作しやすい。
  • LibreOffice Draw: オープンソースのオフィススイート「LibreOffice」に含まれるツール。PDFを取り込んでページ編集もできる。
  • Smallpdf・iLovePDF(オンラインサービス): Webブラウザ上でPDFの圧縮や結合、変換ができるため、インストール不要で手軽に使える。

合体・分割を簡単に行うなら

PDFを合体・分割する作業は、契約書や請求書などを整理する際に役立ちます。特にフリーソフトの「PDFsam Basic」は操作も簡単で、以下のような画面構成になっています。

機能PDFsam BasicAdobe AcrobatMicrosoft Edge
閲覧閲覧可能だが機能は限定的多機能なリーダー軽快に閲覧可能
分割・結合無料で基本操作が可能高度なオプションが豊富不可
注釈・ハイライト編集画面次第では可多彩な注釈機能標準機能として搭載
手書き入力機能によっては制限ペンツール・署名など豊富Windows Inking対応
パスワード設定不可(有料版に頼る場合あり)公式機能として設定可能不可

このように、EdgeではPDFの結合や分割はできないため、必要に応じてフリーソフトやAdobe Acrobatを導入すると効率的です。

Windows 11でPDFを作成する方法

PDFの閲覧や編集だけでなく、「印刷」機能を使ってさまざまなファイルをPDF形式に変換することもできます。印刷ダイアログから「Microsoft Print to PDF」を選ぶだけでPDFとして出力できるのは大きなメリットです。

Microsoft Print to PDF機能の使い方

  1. PDFに変換したいファイルを開く(例: Word、Excel、PowerPointなど)
  2. 「ファイル」→「印刷」を選択
  3. プリンターの選択肢から「Microsoft Print to PDF」を選ぶ
  4. 印刷を実行すると、保存ダイアログが表示されるので任意の場所にPDFとして保存

この手順だけで、特別なPDF作成ソフトをインストールしなくても、ほぼあらゆる文書をPDF化できるのがWindows 11の便利なポイントです。請求書やレポートの提出用にPDF化するときなどに重宝します。

OfficeアプリやオンラインサービスでのPDF化

  • Officeアプリから直接エクスポート: WordやExcelなどは「名前を付けて保存」メニューからPDF形式を選択するだけで直接PDF化できます。
  • オンラインサービスの活用: SmallpdfやGoogle Driveなどのオンラインサービスを使えば、ブラウザ上でファイルをアップロードし、PDFに変換することも可能です。外出先や共有PCでも簡単にPDF化できるメリットがあります。

また、オンラインサービスを利用する場合は機密情報の扱いに注意が必要です。アップロードしたデータがどのように管理されるかを十分確認してから利用すると安心です。

EdgeとAdobeを使い分けるコツ

Windows 11では標準のMicrosoft Edgeを中心にPDF閲覧や軽めの編集を行い、複雑な作業や高度な編集が必要になった段階でAdobe Acrobatやフリーソフトを使う、という使い分けが効率的です。インストールするソフトや使用するオンラインサービスを必要最小限に絞ることで、PCのリソースを節約しながら柔軟に対応できます。

軽快な閲覧はEdge、細かな編集はAdobe

  • Edgeの強み: 起動の速さ、シンプルな操作性、OSへの統合度の高さ。注釈やハイライトが便利。
  • Adobe Acrobatの強み: PDFの分割・結合、パスワード保護、フォーム作成、OCRなどの高度な機能が揃っている。

閲覧がメインならEdgeで完結できますし、納品前の最終仕上げや大量のページ整理などはAdobe Acrobatで作業したほうがスピードと完成度が高まります。

具体的な使い分けの一例

  • インプット時: 受け取った資料をまずEdgeで確認し、重要な箇所にハイライトや手書きメモを付ける。必要に応じて軽い注釈も行う。
  • アウトプット時: 複数の資料をまとめて一つのPDFに統合する、ページの順番を入れ替える、画像データを含むファイルにパスワードを設定するなど、凝った編集が必要な場合はAdobe Acrobatやフリーソフトを使う。

このように用途によってソフトを切り替えるだけで、さまざまな作業をスムーズにこなせるようになります。

Windows 10からのアップグレードでの注意点

Windows 10からWindows 11にアップグレードする際、PDF関連の機能に関して特に難しい操作は必要ありません。ただし以下のポイントには気をつけましょう。

Edgeの設定を引き継ぐ

Windows 11にアップグレード後も基本的にMicrosoft Edgeの設定はそのまま引き継がれますが、場合によっては拡張機能が無効化されたり、サインイン状態がリセットされる可能性があります。PDFに関する設定も念のため以下を確認しておきましょう。

  • 既定のPDFビューアにEdgeが設定されているか
  • 拡張機能(特にPDF注釈補助など)が正しく動作しているか
  • MicrosoftアカウントやOfficeアカウントでのログインが有効か

もし動作に不具合を感じたら、一度Edgeの修復機能や再インストールを試すと改善される場合があります。

トラブルシューティング

Windows 11へアップグレード後、PDFファイルを開くときにトラブルが生じる場合があります。例えば、Edgeで開こうとしても別のソフトが立ち上がる、あるいはファイルが開けないといった症状です。以下の対策を検討してください。

  • 既定のアプリ設定を確認: Windows 11の「設定」→「アプリ」→「既定のアプリ」でPDF拡張子の関連付けを再度Edgeに戻す。
  • Edgeの再起動・修復: 「設定」→「アプリ」→「アプリと機能」でMicrosoft Edgeを選択し、「修復」を実行する。
  • ウイルス対策ソフトの設定: 場合によっては第三者製のウイルス対策ソフトやファイアウォールが原因でPDFファイルの読み込みがブロックされていることもあるので、除外設定を確認。

これらの基本的な対処で改善しない場合は、OS自体のクリーンインストールを検討するか、プロフェッショナルのサポートを受けるのも一つの手です。

既定のアプリ設定がリセットされるケース

Windows 10から11にアップグレードする際、まれに既定のアプリの関連付けがリセットされ、PDFファイルがAdobe Readerなど別のソフトに紐づけられてしまうケースがあります。これはEdgeだけでなく、画像ファイルや動画ファイルなどでも起こりうる事象です。アップグレード直後に確認し、必要な場合は手動で既定アプリを再度設定すると良いでしょう。

まとめ

Windows 10時代にMicrosoft EdgeでPDFの閲覧・簡易編集を行っていた方は、Windows 11でも引き続き同じ手順で快適にPDFを取り扱うことができます。Edgeには注釈やハイライト、手書き入力機能が備わっているため、個人用途からビジネスの軽微な作業まで十分に対応可能です。
高度な編集(ページの結合・分割、パスワード保護、OCRなど)が必要になったときは、有料のAdobe Acrobatやフリーソフトを検討すると効率的です。特に、大量のPDFファイルを整理したり、クライアントへの最終納品データを整えたりといった作業には、専用ソフトが強い味方となってくれます。
また、Windows 11には標準で「Microsoft Print to PDF」が搭載されており、どんなアプリケーションからでも印刷形式で手軽にPDF化できます。Officeアプリの「エクスポートPDF」やオンラインサービスとも組み合わせることで、あらゆる場面でPDFをフル活用できるはずです。
Windows 10からアップグレードする場合も特に難しい操作は不要ですが、既定のPDFビューアが異なるソフトに変わってしまうなどのトラブルには注意しましょう。設定をしっかり見直しておけば、これまでと変わらない操作感でスムーズにPDFを扱えます。ぜひWindows 11とMicrosoft Edgeの組み合わせを活用しながら、快適なPDFライフを送りましょう。

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