Windows 11 OEMライセンスを失わずにWindows 10へクリーンインストールする方法【ASUS TUF F15を例に詳しく解説】

日々パソコンを使っていると、最新のWindows 11から一つ前のWindows 10に戻して使いたくなることがあります。例えば、ゲームや仕事用のソフトの互換性を優先したいケースなどが挙げられます。今回は私自身がASUS TUF F15(2022年モデル)でWindows 10へクリーンインストールを試してみた経験をもとに、ライセンスを失わず安全に切り替える方法や、起こりがちなドライバの問題への対策をわかりやすく解説します。

Windows 11とWindows 10のライセンスの仕組み

Windows 11とWindows 10は、ともにMicrosoftのOSですが、OEMライセンスを通してパソコン本体に紐づいている場合が多いです。特にメーカー製PCの場合、工場出荷時にWindows 11がプリインストールされていれば、そのライセンス情報はマザーボード上に格納されていることが一般的です。

私がASUS TUF F15を購入したときは、最初からWindows 11が導入されていました。しかし、ちょっとした事情でWindows 10環境を使いたくなったので調べてみたところ、どうやらOEMライセンスが使えるのでWindows 10に戻しても問題ないという結論に至りました。

OEMライセンスとは

OEMライセンスとは、パソコンメーカーがWindowsをプリインストールした状態で出荷する際に適用されるライセンス形態です。このライセンスはハードウェア(主にマザーボード)に紐づき、ユーザー自身がプロダクトキーをメモしておかなくても認証が自動的に行われる利点があります。ただし、マザーボードを交換するような修理や自作PC構築時には、ライセンスの引き継ぎができないケースがあるため注意が必要です。

Windows 11からWindows 10への切り替えはライセンスが失われないか

一度Windows 11がOEMライセンスで紐づいているPCであれば、Windows 10をクリーンインストールしてもライセンスそのものが消えることはありません。後で再びWindows 11をインストールしたとしても、インターネット接続することで自動的に認証されます。私の場合も実際にWindows 10をインストールした後、必要に応じてWindows 11を再度セットアップし直しましたが、まったく問題なく認証が行われました。

ASUS TUF F15(2022年モデル)を例にした具体的なクリーンインストールの流れ

ここからは、私がASUS TUF F15で行った手順をもとに、Windows 11からWindows 10へクリーンインストールする具体的な流れをご紹介します。各ステップで気をつけたいポイントや準備物も合わせて解説しますので、同様の機種をお使いの方は参考にしてみてください。

Windows 10インストールメディアの作成

Windows 10をクリーンインストールするには、まずMicrosoft公式サイトからダウンロードできるMedia Creation Toolを使って、ブート可能なUSBインストールメディアを作成します。USBメモリは少なくとも8GB以上の容量があるものを用意する必要があります。

Media Creation Toolのダウンロード

Microsoft公式サイト内に「Windows 10のダウンロード」というセクションがあるので、そこから「ツールを今すぐダウンロード」という項目を選択します。ツールを起動すると、インストールメディアの作成モードを選べるので、USBメモリを指定しましょう。

USBメモリの準備

インストールメディアを作成するUSBメモリは、事前に中身をバックアップしておくと安心です。Media Creation Toolを実行するとUSBメモリ内のデータが消去されるため、必要なデータはほかのストレージに退避しておきましょう。作成が完了すると、そのUSBメモリでWindows 10のインストールを行える状態になります。

BIOS(UEFI)の設定

次に、ASUS TUF F15の電源を入れ、起動ロゴが表示されたらBIOS(UEFI)に入ります。BIOSに入るためのキーは機種によって異なりますが、ASUSではF2やDeleteキーが一般的です。

セキュアブートやブート順の変更

BIOSに入ったら、まずセキュアブートの設定を確認しておくと良いでしょう。Windows 10でもセキュアブートは動作する場合が多いですが、互換性の問題があるときは無効にして試すのも一つの方法です。そして、ブート優先順位(BOOT Priority)でUSBメモリが最優先になるように変更しておきます。これにより再起動するとUSBメモリから起動し、Windows 10のインストーラーが走るようになります。

Windows 10のクリーンインストール

USBメモリから起動できたら、Windows 10のインストーラー画面が表示されます。このとき、プロダクトキーの入力画面が出てもスキップが可能です。OEMライセンス情報はASUS TUF F15のマザーボードに登録されているため、後から自動認証されます。

プロダクトキーの入力とライセンス認証

インストール完了後、インターネットに接続するとライセンス認証が自動で行われます。もし認証が遅れているように感じても、しばらく経ってからWindows Updateやデバイスドライバの更新を行うと認証が完了することがあります。私の環境では、クリーンインストールから数分後に認証が済んでいました。

クリーンインストール後のドライバトラブル対策

Windows 10をクリーンインストールして起動したら、デバイスマネージャーで各デバイスが正しく認識されているかを確認しましょう。ASUS TUF F15の場合、標準のドライバで問題なく動くパーツも多いですが、グラフィックスドライバなどは手動でインストールした方がスムーズに動作するケースがあります。

NVIDIAグラフィックスドライバが認識されない場合

私も最初はRTX 3050がうまく認識されず、解像度が固定されてしまい苦労しました。デバイスマネージャーを開いてみると、ディスプレイアダプターの項目に「Microsoft 基本ディスプレイアダプター」しか表示されていない状態でした。これはNVIDIAのドライバがインストールされていないか、何らかの理由で正常に読み込めていないことを示します。

最新ドライバのインストール

こうした場合は、まずNVIDIA公式サイト、またはASUSのサポートページで配布されている最新のNVIDIAグラフィックスドライバをダウンロードします。インストーラーを実行する前に、デバイスマネージャーで既存のNVIDIA関連ドライバをいったんアンインストールしておくと、競合のトラブルを回避しやすいです。私のケースでは、いったん完全にアンインストールしてから再インストールすることで、問題が解決しました。

GeForce Experienceの活用

また、NVIDIAのGeForce Experienceを導入しておくと、ドライバの更新通知を受け取れたり、ゲームタイトルに合わせた最適化設定を自動で行えたりするメリットがあります。性能をフルに活かすためにも、グラフィックスドライバだけでなくGeForce Experienceも最新バージョンにアップデートしておきましょう。

ドライバ関連の注意点とチップセットドライバ、Windows Update

Windows 10をクリーンインストールしたばかりの状態では、チップセットドライバやその他のデバイスドライバが古いバージョンになっている可能性が高いです。特にASUS製ノートPCの場合、ASUS公式のサポートページにアクセスすると、機種別にドライバやユーティリティがまとめて公開されているので、必要に応じてダウンロードしておきましょう。

BIOS更新の必要性

古いBIOS(UEFI)が動作していると、Windows 10側で不具合が出ることがあります。公式サイトで最新バージョンのBIOSがリリースされているなら、インストール前あるいは後にアップデートしておくことが望ましいです。私の場合は一度BIOSを更新せずに使っていたところ、スリープからの復帰時に画面が真っ暗になるトラブルが多発しました。しかし最新BIOSにアップデートしたところ、こうした問題は解消されました。

デバイスマネージャーの確認方法

クリーンインストール後はデバイスマネージャーをこまめにチェックして、ドライバが不明なデバイスとして残っていないかを確認しましょう。もし「不明なデバイス」が表示される場合は、ASUS公式サイトや部品メーカー(IntelやNVIDIAなど)のサイトから該当するドライバをインストールすると解決することが多いです。

戻すときの手順とデータバックアップ

Windows 10から再びWindows 11へ戻したくなる瞬間もあるかもしれません。例えば、最新の機能やユーザーインターフェースを試したくなったり、特定のアプリケーションがWindows 11に最適化されていたりする場合です。そんなときに慌てないよう、あらかじめリカバリ用のメディアを用意しておくと便利です。

Windows 11に戻したい場合

ASUS TUF F15の場合、出荷時の状態に戻すリカバリパーティションが残っていることがありますが、クリーンインストールを行ったときの手順によってはパーティションごと削除してしまうこともあります。可能であれば、ASUSの純正リカバリメディアを作成しておきましょう。また、Microsoft公式のWindows 11インストールメディア(USB)を作成しておけば、それでも対応可能です。

リカバリ用メディア作成

Windows 11でも、Windows 10と同様に「Media Creation Tool」が用意されていますので、必要に応じて作成しておきましょう。クリーンインストールの場合はデータが初期化されるため、重要なデータはあらかじめ外付けストレージなどへバックアップを取っておくことが大事です。

手順さえ踏めば、ライセンスはそのまま引き継がれるので安心してWindows 10環境を楽しめます。

USBメモリの作成やドライバ再設定といった作業時間がかかる点は意外に手間と感じるかもしれません。

私が最初にWindows 10へ切り替えたときは、ドライバの更新とグラフィックス周りの設定に予想以上に手間取りました。でも、一通りセットアップが終わった後はゲームや仕事のソフトの互換性が安定したので、切り替え作業の大変さも報われました。

インストール時のポイントをまとめた表

下記の表は、Windows 10をクリーンインストールするときに注意しておきたいポイントと、その解説を簡単にまとめたものです。インストール前後のチェックリストとして活用してみてください。

ポイント 解説
バックアップ クリーンインストールするとデータが消えるため、外付けHDDやクラウドに大切なファイルを保存。
USBインストールメディア Media Creation Toolを使い、最低8GBのUSBメモリを用意して作成。作成前にUSBの中身は別途保管。
BIOS設定 USBメモリを最優先ブートに変更し、場合によってはセキュアブートの設定を確認。
プロダクトキー OEMライセンスならスキップ可能。インストール後インターネット接続で自動認証。
ドライバの再インストール NVIDIAなどのグラフィックスドライバは公式サイトから取得。競合回避のため古いドライバは事前にアンインストール。
Windows Update インストール直後は未適用パッチが多い。Windows Updateを実行してシステムを最新に保つ。
戻す方法 純正リカバリメディアやWindows 11のインストールメディアを作成し、必要時にクリーンインストールで戻せるよう備える。

最終的なまとめ

ASUS TUF F15のようにWindows 11がプリインストールされたPCであっても、OEMライセンスはマザーボードにひも付いているため、Windows 10をクリーンインストールしてもライセンスを失う心配はありません。ただし、クリーンインストールに伴うドライバの設定やソフトウェアの再インストールなど、多少時間がかかる作業は避けられません。グラフィックスドライバをはじめ、動作に必須なドライバはメーカーや各パーツ公式サイトから入手し、しっかり更新しておくことが重要です。

Windows 10環境で使いたいソフトウェアがある場合や、ゲームの互換性を優先したい場合など、Windows 10に切り替えるメリットは大きいと感じる場面もあるでしょう。一方で、最新のUIや機能を使いたいときにはWindows 11に戻す選択も容易にできます。自分の用途に合わせて最適なOSを選び、快適なPCライフを送っていただければと思います。

クリーンインストールというと難しく感じるかもしれませんが、手順を知ってしまえば案外スムーズに作業できるものです。とはいえ、OSの切り替えは大きな変更になりますので、必ずバックアップを取り、万一に備えておくこともお忘れなく。トラブルなくセットアップが完了すれば、思った以上にストレスなくWindows 10生活を満喫できるはずです。

以上、ASUS TUF F15(2022年モデル)を例にしたWindows 11からWindows 10へのクリーンインストール手順や、グラフィックスドライバの問題解決策などを総合的にご紹介しました。参考にしていただき、より快適なパソコン環境を構築していただければ幸いです。

なお、PCの環境によっては記載内容と設定項目が微妙に異なる場合があります。必ず公式サイトの情報もあわせて確認し、自己責任で作業を行いましょう。何かトラブルがあれば、メーカーや専門業者に相談するのも一つの手です。

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