Windows 11とSolidWorks PDM 2020で発生するエクスプローラーアドレスバー問題の原因と対処法

Windows 11にアップグレードしたら、使い慣れたSolidWorks PDM 2020のフォルダが正常に表示されなくなった…そんなちょっとした不具合に戸惑う方も多いかもしれません。私自身もWindows 10から移行後、エクスプローラーのアドレスバーが短縮されてしまい、必要なフォルダパスを確認するのに苦労しました。そこで今回は、実際に体験した事例をもとに原因や対処法を詳しくご紹介します。

目次

Windows 11へのアップグレード後に起きるエクスプローラーの不具合とは

Windows 10からWindows 11へ移行するとアドレスバーが短縮表示される

Windows 10の頃には問題なく使えていたSolidWorks PDM 2020のフォルダパス表示が、Windows 11にアップグレードした途端、エクスプローラー上部にあるアドレスバーが短縮形になりフルパスがわからなくなる現象があります。具体的には、通常なら「C:\PDM\プロジェクトA\部品図面」などのフルパスが表示されるところが、「…\部品図面」のように省略形で表示されてしまい、深い階層が多いプロジェクトでは特に混乱が生じやすいのです。

私の体験談:想定外に作業効率がダウン

実際に私も、SolidWorks PDMのフォルダ内で部品モデルを検索する際に「どのディレクトリに置いてあったっけ?」と一瞬迷うことが増えました。Windows 10のときは、アドレスバーを見ればすぐに親フォルダが確認できたのですが、Windows 11の環境では省略表示に。大したことないと思いきや、作業フローによっては地味にストレスが溜まってしまい、想定外に時間を取られることもありました。

エクスプローラー表示に影響を及ぼす原因

Windows 11のUI変更による仕様

Windows 11では、見た目も含めて全体的にUIの設計思想が更新されています。スタートメニューの位置が変わったり、ウィンドウデザインが角丸になったり、タスクバーの機能に変化があったりと、目に見える部分だけでなく背後の挙動にも微細な変更が加えられています。その中でもエクスプローラーのアドレスバー表示の仕組みが一部変わったことで、SolidWorks PDM 2020と組み合わせると短縮表示が解除されないという問題が起きていると推測されます。

SolidWorks PDM 2020自体の互換性

SolidWorks PDMのバージョンも2020と少し古いことから、Windows 11の最新環境に対して十分に検証されていない側面があります。PDM製品側がWindows 11対応を正式にうたっているバージョンであれば解決しやすいものの、2020年版だと対応範囲外とされる場合もあるため、公式サポートを期待するのは難しいケースがあります。

公式フォーラムでの報告

実際、SolidWorksやDassault Systèmesの公式コミュニティフォーラムでは、Windows 11アップグレードに伴う各種問題の報告が散見されます。しかしながら、PDM 2020に関してはフォーラム利用者同士でワークアラウンドを共有する程度で、決定的なパッチや公式アップデートが提供されていない印象です。

私が調べた際も「Windows 11での正式サポートは2021以降のバージョンから」という投稿を見つけました。会社のライセンスの都合でPDMのバージョンをすぐには上げられない場合も多いので悩ましいところです。

Windows 11とSolidWorks PDM 2020のフォルダアドレス問題を解決する方法

1. Windows ToolsアプリからSolidWorks PDMを開く

Windows 11で表示を従来のように戻したいときに最も使いやすかったワークアラウンドが、Windows Toolsアプリを利用する方法です。以前のWindows 10では「管理ツール」という名称だったものが、Windows 11では「Windowsツール」や「Windows Tools」という名前に変わっています。

具体的な手順

1. Windows 11のスタートメニューから「Windows ツール」を探す
2. Windows ツールの一覧に「SolidWorks PDM」あるいはPDM関連フォルダが表示されるはずなので右クリック
3. 「クイックアクセスにピン留め」を選択
4. タスクバーやクイックアクセスからWindows Toolsアプリを経由してPDMフォルダを開く

この方法を使うと、なぜかWindows Toolsアプリ経由のエクスプローラーウィンドウでは、短縮されていたアドレスバーが以前どおりのフルパス表示になります。原因は不明ですが、Windows Tools側のUIが旧来のエクスプローラー機能を呼び出しているようで、PDM 2020との親和性が保たれているのかもしれません。

簡単な操作でWindows 11環境でも従来のパス表示ができるのは嬉しい点です。

エクスプローラーと別扱いになるので、ツールを立ち上げるひと手間がかかり作業工程が増えてしまいます。

2. コントロールパネル経由で上位階層から開く

もう一つの回避策として、コントロールパネルを利用する方法があります。Windows 11でも「コントロールパネル」アプリは残っているため、そこから「上へ移動」ボタンを使ってデスクトップやPCの上位階層を辿り、PDMフォルダにアクセスすると、なぜかフルパスで表示されるケースが報告されています。

具体的な手順

1. Windows 11の検索バーから「コントロールパネル」と入力して起動
2. コントロールパネル画面左上にある「←」または「↑」ボタンを使ってデスクトップなどの上位階層へ移動
3. デスクトップやPCを辿ってPDMフォルダにアクセスする

この手順では一度コントロールパネルを立ち上げてから上の階層に戻る動作が加わるだけのため、そこまで技術的な設定変更は必要ありません。ただし、ワークフロー的には使いづらさを感じることがあるかもしれません。

システム設定をいじらずに回避できるので、いざという時に試しやすい方法です。

毎回コントロールパネルを経由する必要があり、開きたいフォルダが深いほど手数が増えるのが難点です。

3. システムを以前のWindowsにロールバックする

もう一つの根本的な解決策としては、Windows 11をあきらめてWindows 10へ戻す方法も考えられます。実際、私の知人の技術者はWindows 11にアップグレード直後、PDM以外にもCAD環境で若干の不具合があったため、システム復元機能を使ってWindows 10に戻し、もとの環境で安定稼働させる選択をしました。

具体的な手順

1. Windows 11の「設定」→「回復」から「Windows 10に戻す」を選択(ただしアップグレード後10日以内などの制限に要注意)
2. 必要に応じてバックアップをとっておく(不測の事態に備える)
3. システムが再起動後、以前のWindows 10環境に戻る

ただし、この方法はかなり大がかりで、Windows 11の新機能を諦めるほか、アップグレード後にインストールしたアプリや設定が消える可能性もあります。業務で使う端末であれば、IT管理者や部署のルールに則って慎重に進める必要があるでしょう。

以前の安定した環境に戻すことで、PDM以外のソフトウェアとの互換性問題も一括で解消できる可能性があります。

Windows 11での改善点や新機能、今後のアップデートを利用できなくなるのでメリットを手放すことになります。

表で見る各手段の概要

以下の表は、主な解決策の特徴をまとめたものです。作業環境や好み、システム管理ポリシーによって最適解は変わると思いますので、比較検討にお役立てください。

回避策 必要な操作 メリット デメリット
Windows Toolsアプリを利用 アプリからクイックアクセスにピン留めし、そこからPDMを開く フルパス表示ができる/操作が比較的簡単 通常のエクスプローラーと別作業になる
コントロールパネル経由 上位階層へ移動してデスクトップからアクセス システム設定を変更しなくて良い 毎回コントロールパネルを経由する手間がある
システムをロールバック Windows 10等、以前のOSに戻す 安定していた時期の環境を再現できる 新機能が使えなくなる/アップデート分が無効化

SolidWorks PDM自体をアップデートする選択肢

PDM 2021以降にするメリット

SolidWorks PDM 2020のままだと、Windows 11との相性問題がこの先も続くかもしれません。もしライセンスや社内ルールが許すのであれば、PDMのバージョンを上げるというのも一つの手段です。製品によっては、Windows 11サポートが公式にアナウンスされているバージョンがあるため、アップデートによって一挙に問題解決する可能性があります。

実体験:バージョンアップでストレスフリーに

私の友人が勤務する設計部門では、ちょうどWindows 11の正式リリースと同時期にPDMライセンスを更新するタイミングだったそうで、PDM 2021への移行を実施しました。結果、アドレスバーの問題どころか、細かい操作性も洗練されて「むしろ作業効率が上がった」とのことです。もしアップグレードが可能なら、選択肢として積極的に検討しても良いでしょう。

運用のコツと注意点

日常的に行うバックアップ

Windowsのアップデートやシステムのロールバックに挑戦する前には、必ず大切なデータのバックアップをとる習慣をつけましょう。特にPDMのように共同作業やバージョン管理が重要なツールでは、不慮のトラブルでデータが破損すると大きな損失が発生します。

IT管理者との連携

会社や組織で利用している端末の場合、アップデートやダウングレードの決定を独自の判断でするのはリスクが伴います。必ずIT管理部門やシステム管理者の方と相談し、サポート体制やライセンス管理の観点から見ても問題がないか確認しておくのが望ましいです。せっかくロールバックしても、「業務用にセットアップしたソフトが一部動かなくなった」となると二重の手間がかかってしまいます。

Windows UpdateやSolidWorks PDMの更新情報をこまめにチェック

Windows 11はリリース後も頻繁にアップデートが行われ、ユーザーインターフェイスや互換性問題の修正も続けられています。SolidWorksやPDMも、新バージョンや修正プログラムが配信される可能性があるので、定期的に公式サイトやコミュニティフォーラムを確認し、最新の情報をキャッチアップしましょう。運が良ければ、いつの間にかエクスプローラーのアドレスバーが問題なく表示されるようになっているかもしれません。

私も以前、Windows UpdateでOfficeソフトとの互換性問題が解消された経験がありました。突然治ることもあるので定期チェックは地味に重要です。

まとめ:アドレスバー問題をどう乗り越えるか

自身の環境に合わせた対処を選択する

Windows 11でSolidWorks PDM 2020を使う際、エクスプローラーのアドレスバーが短縮表示されるのは、ユーザーにとって悩ましい問題です。ただし、上述したようにワークアラウンドは複数存在し、Windows Toolsアプリ経由やコントロールパネル経由なら比較的手軽に回避できる場合があります。作業効率や手間、企業ポリシーなどを総合的に考えて、最適な方法を選びましょう。

長期的にはバージョンアップを検討

どうしてもWindows 11を使い続けたい場合は、PDM自体のアップグレードを検討するのも一案です。新しいバージョンのPDMであれば、メーカーサイドがWindows 11への最適化やサポートを行っている可能性が高いです。ライセンスや会社の事情が許すなら、積極的に新バージョンへ移行するメリットは大きいでしょう。

さいごに

本記事では、Windows 11へのアップグレード後に起こるSolidWorks PDM 2020のエクスプローラーアドレスバー短縮表示問題について、個人の体験談を交えながら解決策や注意点を掘り下げました。エンジニアや設計者にとって、ちょっとした表示の違いが大きな作業ストレスになることもあります。しかしながら、Windows Toolsアプリやコントロールパネルの活用だけで、意外と簡単に対処できる場合も多いです。必要に応じてロールバックやPDMのバージョンアップなどを含め、最適な解決策を検討してみてください。トラブルが解消されれば、きっと設計・開発作業にも集中できるようになることでしょう。

私も不具合が解消された途端、なんとも言えない爽快感を味わいました。もし同じお悩みを抱えている方がいらっしゃれば、一度試してみる価値は十分にあると思います。

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