Rustのゲームエンジン「Bevy」を使えば、シンプルなコードで美しい3Dや2Dのゲームを作ることができます。本記事では、Bevyを使ってキャラクターにアニメーションを設定し、実際に動かす手順を初心者向けにわかりやすく解説します。特に、スプライトシートやGLTFモデルの読み込み、入力操作によるキャラクター制御、アニメーションのトラブルシューティングに焦点を当てます。Bevyを初めて触る方でも安心して取り組めるように、実際のコード例を交えながら進めていきます。ゲーム開発を通して、RustとBevyの魅力を存分に体験してみましょう!
Bevyとは何か?その特徴と魅力
RustのBevyは、次世代型のゲームエンジンとして注目されています。その特徴は、モジュール性、柔軟性、そしてRustならではの高いパフォーマンスと安全性にあります。
Bevyの基本概要
Bevyは、RustのECS(エンティティ・コンポーネント・システム)アーキテクチャを採用したオープンソースのゲームエンジンです。このアーキテクチャにより、コードがシンプルかつ効率的になり、ゲームの規模が大きくなっても管理しやすい設計が可能です。
他のゲームエンジンとの違い
UnityやUnreal Engineなどのエンジンに比べ、Bevyは以下の点で独自の強みを持っています:
- Rustによる安全性:メモリ管理が自動化されているため、ゲーム開発中のバグが発生しにくい。
- 軽量性:Bevyはシンプルな構造を持ち、不要な依存関係が少ないため、実行速度が速い。
- 自由な拡張性:エンジンの各部分を自由にカスタマイズ可能で、個々のプロジェクトに合わせた最適な設定が可能。
Bevyを選ぶ理由
Bevyは、特にRustの学習を目的とする開発者や、軽量で効率的なゲームエンジンを探している方にとって理想的な選択肢です。また、アニメーション、物理演算、マルチプラットフォーム対応といった機能が継続的に開発されており、将来性にも期待が持てます。
Bevyを利用することで、シンプルかつパワフルなゲーム開発が可能になります。Rustの高速性と安全性を活かしたゲームエンジンの魅力を、ぜひ体験してみてください。
アニメーションの基本概念と重要性
アニメーションは、ゲーム開発において視覚的な魅力と没入感を高める重要な要素です。キャラクターやオブジェクトに生命を吹き込むことで、プレイヤーにインタラクティブで魅力的な体験を提供します。
アニメーションの基本概念
アニメーションは、静止画を連続的に表示することで動きを表現する技術です。ゲーム開発では、以下の方法でアニメーションが実現されます:
- スプライトアニメーション:2Dゲームでよく使用される手法で、スプライトシートと呼ばれる画像ファイルを使用して動きを表現します。
- スケルトンアニメーション:3Dゲームで主流の技術で、キャラクターの骨格(リグ)を動かすことでモデルにアニメーションを付けます。
- シェーダーアニメーション:グラフィックスプログラムを用いて、波動や色の変化などを実現する技術です。
ゲームにおけるアニメーションの重要性
アニメーションはゲームプレイの質を向上させるだけでなく、ストーリーやキャラクターの魅力を引き出す役割を果たします。具体的には:
- リアル感の向上:キャラクターやオブジェクトが自然に動くことで、世界観への没入感が高まります。
- プレイヤーとのインタラクションの強化:キャラクターの動きがプレイヤーの操作に即座に反応することで、スムーズな操作感を提供します。
- ストーリーテリングの強化:表情や動作を通じてキャラクターの感情や物語を伝えます。
Bevyでのアニメーションの特長
Bevyでは、ECSアーキテクチャを活用して効率的にアニメーションを実装できます。特に、Rustの性能を活かしたリアルタイムアニメーションの制御が可能です。また、Bevyは2Dおよび3Dアニメーションの両方に対応しており、柔軟性の高いゲーム開発を実現します。
アニメーションの基本を理解することで、プレイヤーにとって魅力的なゲームを作り上げる第一歩となります。次のステップでは、Bevyを用いた具体的なアニメーションの設定方法を解説します。
Bevyでアニメーションを設定する準備
Bevyを使ってアニメーションを設定するには、まずプロジェクトの環境を整える必要があります。このセクションでは、プロジェクトのセットアップと必要なクレートの導入方法を解説します。
Rust環境のインストール
Bevyを使うには、Rustの開発環境が必要です。以下の手順でRustをインストールします:
- Rustupのインストール
公式サイトhttps://rustup.rsからRustupをダウンロードし、インストールします。 - Rustのバージョン確認
ターミナルで以下のコマンドを実行し、最新バージョンがインストールされていることを確認します:
rustc --version
新しいBevyプロジェクトの作成
次に、Bevyプロジェクトを作成します:
- 新しいプロジェクトを作成
以下のコマンドで新しいRustプロジェクトを作成します:
cargo new bevy_animation_project
cd bevy_animation_project
Cargo.toml
ファイルの編集
プロジェクトでBevyを利用するために、Cargo.toml
に以下の依存関係を追加します:
[dependencies]
bevy = "0.11" # 最新バージョンを確認してください
- 依存関係のダウンロード
以下のコマンドを実行して必要なクレートをダウンロードします:
cargo build
最初のBevyアプリケーションを実行
Bevyが正しくセットアップされているか確認するため、main.rs
に以下のコードを記述して実行します:
use bevy::prelude::*;
fn main() {
App::build()
.add_plugins(DefaultPlugins)
.run();
}
上記のコードを実行することで、ウィンドウが表示されればBevyのセットアップが完了です:
cargo run
アニメーションに必要な追加クレート
キャラクターアニメーションを行うために、場合によっては以下のクレートを追加することを検討します:
bevy_sprite
:2Dスプライトアニメーションに必要bevy_gltf
:3DモデルやGLTFファイルを読み込む際に利用
これで、Bevyを使ったアニメーション設定の準備が整いました。次のステップでは、具体的なアニメーションデータの準備方法について解説します。
キャラクターを動かすためのアニメーションデータの準備
ゲーム内でキャラクターを動かすためには、適切なアニメーションデータを用意する必要があります。このセクションでは、スプライトシートや3Dモデルを使ったアニメーションデータの準備方法を解説します。
2Dゲーム用のスプライトシートの準備
スプライトシートは、キャラクターの各アクション(歩く、ジャンプするなど)のフレームを1つの画像にまとめたものです。
スプライトシートの作成方法
- デザインツールを使用
PhotoshopやGIMPなどの画像編集ツールを使ってスプライトシートを作成します。各フレームが均等なサイズで配置されるようにします。 - オンラインツールの活用
SpriteSheet MakerやTexturePackerなどのツールを利用して、複数の画像からスプライトシートを作成することも可能です。
スプライトシートの形式と保存
- 形式:PNGまたはJPEG形式が一般的です。透過が必要な場合はPNGを選びます。
- 保存サイズ:ゲームのパフォーマンスを考慮して、可能な限り解像度を最適化します(例:512×512ピクセル)。
3Dゲーム用のGLTFモデルの準備
3Dゲームでは、アニメーションが含まれたGLTF形式のモデルを使用することが一般的です。
GLTFモデルの取得
- オンラインマーケットプレイスの利用
TurboSquidやSketchfabなどから無料または有料のモデルをダウンロードします。 - Blenderでの作成
Blenderを使用して、自分で3Dモデルをデザインし、アニメーションを作成することも可能です。GLTF形式でエクスポートする際は、「Include Animations」オプションを有効にします。
GLTFモデルの確認ポイント
- アニメーションが含まれているか
キャラクターが歩く、走るなどの動作を含むアニメーションが正しく設定されているか確認します。 - ファイルの最適化
モデルが軽量でゲームに適した形に最適化されているかを確認します(ポリゴン数やテクスチャサイズ)。
ファイルをプロジェクトに追加
準備したスプライトシートやGLTFファイルを、プロジェクトのassets
ディレクトリに保存します。Bevyはデフォルトでこのディレクトリを参照するため、ファイルのパスをコード内で簡単に指定できます。
これで、キャラクターを動かすためのアニメーションデータが準備できました。次は、Bevyにアニメーションデータを読み込む方法について解説します。
Bevyにアニメーションデータを読み込む方法
Bevyでアニメーションを実現するには、準備したアニメーションデータ(スプライトシートやGLTFモデル)を正しく読み込む必要があります。このセクションでは、具体的な読み込み手順とコード例を解説します。
2Dスプライトシートの読み込み
スプライトシートを読み込んでアニメーションを設定するには、TextureAtlas
を利用します。
スプライトシートの読み込み手順
- アセットのロード
スプライトシートの画像をロードします:
use bevy::prelude::*;
fn setup(mut commands: Commands, asset_server: Res<AssetServer>, mut texture_atlases: ResMut<Assets<TextureAtlas>>) {
// スプライトシートをロード
let texture_handle = asset_server.load("spritesheet.png");
let texture_atlas = TextureAtlas::from_grid(texture_handle, Vec2::new(32.0, 32.0), 4, 4);
let texture_atlas_handle = texture_atlases.add(texture_atlas);
// エンティティにアタッチ
commands.spawn(SpriteSheetBundle {
texture_atlas: texture_atlas_handle,
transform: Transform::from_scale(Vec3::splat(2.0)),
..Default::default()
});
}
- アニメーションの設定
フレームを切り替えるシステムを作成します:
fn animate_sprite(mut query: Query<(&mut TextureAtlasSprite, &mut Timer)>, time: Res<Time>) {
for (mut sprite, mut timer) in query.iter_mut() {
timer.tick(time.delta());
if timer.just_finished() {
sprite.index = (sprite.index + 1) % 16; // 16フレームのループ
}
}
}
3D GLTFモデルの読み込み
GLTFファイルには、モデルやアニメーションが含まれています。Bevyのbevy_gltf
プラグインを活用して読み込みます。
GLTFモデルの読み込み手順
- モデルをロード
GLTFファイルをロードしてシーンに追加します:
fn setup(mut commands: Commands, asset_server: Res<AssetServer>) {
commands.spawn(SceneBundle {
scene: asset_server.load("character.glb#Scene0"),
..Default::default()
});
}
- アニメーションのコントロール
アニメーションを再生するには、AnimationPlayer
を利用します:
fn play_animation(
mut commands: Commands,
asset_server: Res<AssetServer>,
mut player_query: Query<&mut AnimationPlayer>
) {
for mut player in player_query.iter_mut() {
player.play(asset_server.load("character.glb#Animation0")).repeat();
}
}
アセットの管理とパスの確認
- Bevyでは、アセットは
assets
ディレクトリ以下に配置する必要があります。 - ロード時には、相対パスでファイルを指定します(例:
"spritesheet.png"
や"character.glb"
)。
これで、Bevyにアニメーションデータを読み込む準備が整いました。次は、エンティティとシステムを使ったアニメーションの制御方法について解説します。
Bevyのシステムでアニメーションを実装する方法
Bevyの強力なECS(エンティティ・コンポーネント・システム)アーキテクチャを活用して、アニメーションを制御する方法を解説します。このセクションでは、エンティティとコンポーネントを利用してアニメーションを動的に管理する手順を紹介します。
アニメーション用のコンポーネントを作成
まず、アニメーションの状態を保持するためのコンポーネントを定義します。
use bevy::prelude::*;
// アニメーションデータを管理するためのコンポーネント
#[derive(Component)]
struct AnimationTimer(Timer);
このコンポーネントは、現在のアニメーションフレームを更新するためのタイマーを管理します。
エンティティにアニメーションを適用
次に、アニメーションを持つエンティティをスポーンします。
fn setup(
mut commands: Commands,
asset_server: Res<AssetServer>,
mut texture_atlases: ResMut<Assets<TextureAtlas>>,
) {
// スプライトシートのロード
let texture_handle = asset_server.load("spritesheet.png");
let texture_atlas = TextureAtlas::from_grid(texture_handle, Vec2::new(32.0, 32.0), 4, 4);
let texture_atlas_handle = texture_atlases.add(texture_atlas);
// エンティティをスポーンし、アニメーションタイマーを追加
commands.spawn((
SpriteSheetBundle {
texture_atlas: texture_atlas_handle,
transform: Transform::from_scale(Vec3::splat(2.0)),
..Default::default()
},
AnimationTimer(Timer::from_seconds(0.1, TimerMode::Repeating)),
));
}
アニメーションを制御するシステムを実装
エンティティのスプライトフレームを更新するシステムを作成します。
fn animate_sprites(
time: Res<Time>,
mut query: Query<(&mut TextureAtlasSprite, &mut AnimationTimer)>,
) {
for (mut sprite, mut timer) in query.iter_mut() {
// タイマーを更新
timer.0.tick(time.delta());
if timer.0.just_finished() {
// フレームを切り替える
sprite.index = (sprite.index + 1) % 16; // フレーム数に応じて変更
}
}
}
アプリケーションにシステムを追加
最後に、このシステムをアプリケーションのスケジューラーに登録します。
fn main() {
App::build()
.add_plugins(DefaultPlugins)
.add_startup_system(setup.system()) // 初期化システム
.add_system(animate_sprites.system()) // アニメーションシステム
.run();
}
アニメーションの制御と拡張
- 速度調整:
Timer
の設定を変更することで、アニメーション速度を調整できます。 - 複数のアニメーション:複数の
TextureAtlas
やGLTFアニメーションを切り替えることで、キャラクターの動作を増やすことが可能です。 - 条件付き制御:入力やゲーム内イベントに基づいてアニメーションを切り替えることもできます。
これで、Bevyのシステムを使ってアニメーションを動的に管理する方法が理解できたと思います。次は、キャラクターを動かすための入力操作を追加する手順を解説します。
キャラクターを動かすための入力操作の追加
Bevyを使ってキャラクターをアニメーションさせるだけでなく、プレイヤーが入力操作でキャラクターを動かせるようにする方法を解説します。このセクションでは、キーボードやゲームパッドを使った基本的な入力システムを実装します。
入力イベントを処理するためのセットアップ
Bevyには、キーボードやゲームパッドの入力を管理するための組み込み機能が用意されています。以下のコードを使って入力イベントを処理します。
use bevy::prelude::*;
// キャラクターの速度を管理するコンポーネント
#[derive(Component)]
struct Velocity(Vec2);
fn setup(mut commands: Commands, asset_server: Res<AssetServer>, mut texture_atlases: ResMut<Assets<TextureAtlas>>) {
// スプライトシートのロードとエンティティのセットアップ
let texture_handle = asset_server.load("spritesheet.png");
let texture_atlas = TextureAtlas::from_grid(texture_handle, Vec2::new(32.0, 32.0), 4, 4);
let texture_atlas_handle = texture_atlases.add(texture_atlas);
commands.spawn((
SpriteSheetBundle {
texture_atlas: texture_atlas_handle,
transform: Transform::from_scale(Vec3::splat(2.0)),
..Default::default()
},
Velocity(Vec2::ZERO), // 初期速度はゼロ
));
}
入力に応じてキャラクターを動かすシステム
入力イベントを処理してキャラクターの動きを制御します。
fn player_input(
keyboard_input: Res<Input<KeyCode>>,
mut query: Query<(&mut Transform, &mut Velocity)>
) {
for (mut transform, mut velocity) in query.iter_mut() {
// キーボード入力を確認
let mut direction = Vec2::ZERO;
if keyboard_input.pressed(KeyCode::W) {
direction.y += 1.0; // 上
}
if keyboard_input.pressed(KeyCode::S) {
direction.y -= 1.0; // 下
}
if keyboard_input.pressed(KeyCode::A) {
direction.x -= 1.0; // 左
}
if keyboard_input.pressed(KeyCode::D) {
direction.x += 1.0; // 右
}
// 速度を更新
velocity.0 = direction.normalize_or_zero() * 100.0; // 速度を設定
// 位置を更新
transform.translation.x += velocity.0.x * 0.1; // 時間差分を考慮
transform.translation.y += velocity.0.y * 0.1;
}
}
アプリケーションに入力システムを追加
入力処理システムをアプリケーションに組み込みます。
fn main() {
App::build()
.add_plugins(DefaultPlugins)
.add_startup_system(setup.system()) // 初期化システム
.add_system(player_input.system()) // 入力システム
.run();
}
アニメーションとの連動
入力に基づいてアニメーションを切り替えることで、よりリアルな動作を実現します。たとえば、方向に応じて異なるスプライトフレームを設定します:
fn update_animation(
keyboard_input: Res<Input<KeyCode>>,
mut query: Query<&mut TextureAtlasSprite>,
) {
for mut sprite in query.iter_mut() {
if keyboard_input.pressed(KeyCode::W) {
sprite.index = 0; // 上のアニメーションフレーム
} else if keyboard_input.pressed(KeyCode::S) {
sprite.index = 4; // 下のアニメーションフレーム
} else if keyboard_input.pressed(KeyCode::A) {
sprite.index = 8; // 左のアニメーションフレーム
} else if keyboard_input.pressed(KeyCode::D) {
sprite.index = 12; // 右のアニメーションフレーム
}
}
}
拡張の可能性
- ゲームパッド対応:Bevyの
Input<GamepadButton>
を活用して、ゲームパッドの入力を処理できます。 - ジャンプやスキル追加:特定のキーにアクションを割り当てることで、さらに複雑な動きを実現できます。
これで、キャラクターを入力操作で動かせるようになりました。次は、アニメーションのデバッグとトラブルシューティングについて解説します。
アニメーションのデバッグとトラブルシューティング
アニメーションが期待通りに動作しない場合、原因を特定し解決するためのデバッグ手法が重要です。このセクションでは、よくある問題とその対処法について解説します。
よくあるアニメーションの問題
- スプライトが正しく表示されない
- 問題: アニメーションフレームが表示されない、または不正な部分が描画される。
- 対処: スプライトシートの設定(フレームサイズや行列数)が正しいか確認します。
TextureAtlas::from_grid
で指定したフレームサイズとスプライトシートの解像度が一致しているか確認してください。
let texture_atlas = TextureAtlas::from_grid(texture_handle, Vec2::new(32.0, 32.0), 4, 4);
- アニメーションがスムーズに動かない
- 問題: アニメーションが遅い、またはカクつく。
- 対処: タイマーの間隔を調整し、適切なフレームレートを設定します。タイマーの更新間隔が適切か確認してください。
Timer::from_seconds(0.1, TimerMode::Repeating) // 0.1秒間隔で更新
- アニメーションが停止する
- 問題: アニメーションが途中で止まる。
- 対処: タイマーがリセットされない場合があります。タイマーが毎フレーム
tick
されているか確認します。
timer.tick(time.delta());
- GLTFアニメーションが再生されない
- 問題: モデルが読み込まれるが、アニメーションが動かない。
- 対処:
AnimationPlayer
を正しく使用し、再生したいアニメーションを指定しているか確認します。
player.play(asset_server.load("character.glb#Animation0")).repeat();
デバッグのためのヒント
- ログ出力を追加
問題箇所を特定するため、アニメーションフレームの変更やエンティティの状態をログに記録します:
println!("Current frame: {}", sprite.index);
- Inspectorプラグインの活用
Bevyのbevy_inspector_egui
プラグインを使用すると、エンティティやコンポーネントの状態をGUIで確認できます:
[dependencies]
bevy_inspector_egui = "0.13"
use bevy_inspector_egui::WorldInspectorPlugin;
App::build()
.add_plugins(DefaultPlugins)
.add_plugin(WorldInspectorPlugin::new())
.run();
- アセットのロード状態を確認
アセットが正しくロードされているかをチェックします。asset_server.watch_for_changes()
を有効にすると、リアルタイムで変更を反映できます。
トラブルシューティングの実践例
- 問題: 特定のフレームでスプライトが消える
- 原因: スプライトシートのフレームインデックスが範囲外になっている。
- 解決: アニメーションシステム内で
index
の範囲チェックを追加します:sprite.index = (sprite.index + 1) % total_frames;
- 問題: GLTFアニメーションが一度しか再生されない
- 原因: 再生モードが
Repeat
ではなくOnce
になっている。 - 解決:
AnimationPlayer
で再生モードを指定します:rust player.play(animation_handle).repeat();
効率的なデバッグのポイント
- 段階的に実装する
アニメーション、入力、移動システムを一度に実装するのではなく、各ステップごとに検証します。 - サンプルプロジェクトを参考にする
Bevyの公式サンプルプロジェクトやコミュニティリソースを活用して、動作確認を行います。
これで、アニメーションに関する問題の特定と解決ができるようになります。次は、アニメーションを活用した簡単なゲームの作成方法を解説します。
応用例:アニメーションを利用した簡単なゲームの作成
Bevyのアニメーションを活用して、簡単なゲームを作成する方法を解説します。ここでは、キャラクターが障害物を避けながら進む「ランニングゲーム」の基本構造を例にします。
ゲームの基本設計
このゲームでは以下の要素を実装します:
- プレイヤーキャラクター
- キーボード入力で動くキャラクター。
- アニメーションで走る動作を表現。
- 障害物
- 一定間隔で画面右から左へ移動するオブジェクト。
- 障害物を避けることでスコアを増加。
- スコアとゲームオーバー
- プレイヤーが障害物に衝突するとゲームオーバー。
- スコアは時間経過で増加。
キャラクターのアニメーションと移動
プレイヤーキャラクターの動作を定義します。
fn setup(
mut commands: Commands,
asset_server: Res<AssetServer>,
mut texture_atlases: ResMut<Assets<TextureAtlas>>,
) {
let texture_handle = asset_server.load("spritesheet.png");
let texture_atlas = TextureAtlas::from_grid(texture_handle, Vec2::new(32.0, 32.0), 4, 4);
let texture_atlas_handle = texture_atlases.add(texture_atlas);
commands.spawn((
SpriteSheetBundle {
texture_atlas: texture_atlas_handle,
transform: Transform::from_xyz(0.0, -200.0, 0.0).with_scale(Vec3::splat(2.0)),
..Default::default()
},
Velocity(Vec2::ZERO), // 初期速度
AnimationTimer(Timer::from_seconds(0.1, TimerMode::Repeating)), // アニメーションタイマー
));
}
プレイヤーの入力システムとアニメーション更新システムを連動させます:
fn player_input(
keyboard_input: Res<Input<KeyCode>>,
mut query: Query<(&mut Transform, &mut Velocity)>
) {
for (mut transform, mut velocity) in query.iter_mut() {
if keyboard_input.pressed(KeyCode::Space) {
velocity.0.y = 200.0; // ジャンプ
}
transform.translation += Vec3::new(velocity.0.x, velocity.0.y, 0.0) * 0.1;
velocity.0.y -= 10.0; // 重力の適用
}
}
fn animate_sprites(
time: Res<Time>,
mut query: Query<(&mut TextureAtlasSprite, &mut AnimationTimer)>,
) {
for (mut sprite, mut timer) in query.iter_mut() {
timer.0.tick(time.delta());
if timer.0.just_finished() {
sprite.index = (sprite.index + 1) % 4; // アニメーションフレームを切り替え
}
}
}
障害物の生成と移動
障害物を一定間隔で生成し、画面左に向かって移動させます:
fn spawn_obstacles(
mut commands: Commands,
time: Res<Time>,
mut timer: Local<Timer>,
asset_server: Res<AssetServer>,
) {
timer.tick(time.delta());
if timer.just_finished() {
let texture_handle = asset_server.load("obstacle.png");
commands.spawn(SpriteBundle {
texture: texture_handle,
transform: Transform::from_xyz(400.0, -200.0, 0.0),
..Default::default()
});
}
}
fn move_obstacles(
mut commands: Commands,
mut query: Query<(Entity, &mut Transform)>
) {
for (entity, mut transform) in query.iter_mut() {
transform.translation.x -= 5.0;
if transform.translation.x < -400.0 {
commands.entity(entity).despawn(); // 障害物を削除
}
}
}
衝突判定とスコア管理
キャラクターと障害物の衝突を判定し、スコアを管理します:
fn collision_detection(
mut commands: Commands,
player_query: Query<&Transform, With<Player>>,
obstacle_query: Query<(Entity, &Transform), With<Obstacle>>,
mut score: ResMut<Score>
) {
let player_transform = player_query.single();
for (entity, obstacle_transform) in obstacle_query.iter() {
if player_transform.translation.distance(obstacle_transform.translation) < 50.0 {
println!("Game Over! Final Score: {}", score.0);
std::process::exit(0); // ゲーム終了
}
}
score.0 += 1;
}
完成形の統合
すべてのシステムをアプリケーションに統合します:
fn main() {
App::build()
.add_plugins(DefaultPlugins)
.add_startup_system(setup.system())
.add_system(player_input.system())
.add_system(animate_sprites.system())
.add_system(spawn_obstacles.system())
.add_system(move_obstacles.system())
.add_system(collision_detection.system())
.insert_resource(Score(0))
.run();
}
ゲームのカスタマイズ
- 障害物の種類や速度を変更する。
- キャラクターのスキル(ダッシュ、攻撃など)を追加する。
- スコアやゲーム状態を画面に表示するUIを実装する。
これで、Bevyを使ったアニメーション応用例として簡単なゲームが完成しました。次の挑戦として、さらに高度なゲームを開発してみてください!
まとめ
本記事では、Rustのゲームエンジン「Bevy」を使ってキャラクターにアニメーションを設定し、動かす方法を解説しました。Bevyの基本概念から始め、スプライトシートやGLTFモデルを使ったアニメーションの準備、エンティティとシステムを活用したアニメーションの制御、さらに入力操作の追加やゲームへの応用例まで詳しく紹介しました。
アニメーションの実装は、ゲームのビジュアルや操作性を大幅に向上させる重要なスキルです。今回の内容を基に、ぜひ独自のゲームプロジェクトを作成してみてください。RustとBevyの魅力を存分に体験しながら、クリエイティブなゲーム開発を楽しみましょう!
コメント