C#プロパティとフィールドの使い分け完全ガイド

C#におけるプロパティとフィールドの使い方や違いを理解することは、効果的なプログラミングのために非常に重要です。本記事では、プロパティとフィールドの基本的な概念から、その利点や使い分けの基準までを詳細に解説します。具体的なコード例やベストプラクティスも交えて、C#プログラミングのスキル向上をサポートします。

プロパティとは
1. プロパティの基本構文
2. プロパティの種類
フィールドとは
1. フィールドの基本構文
2. フィールドの種類
プロパティとフィールドの違い
プロパティのメリット
フィールドのメリット
プロパティの使用例
フィールドの使用例
プロパティとフィールドの選択基準
プロパティとフィールドのベストプラクティス
応用例と演習問題
まとめ
1. 参考資料

プロパティとは

プロパティとは、C#でクラスのデータをカプセル化するためのメソッドのような構造です。プロパティを使うことで、クラスの内部データに対するアクセスを制御し、外部からの変更を管理することができます。プロパティには、通常、getアクセサとsetアクセサが含まれており、これによりデータの取得と設定が可能になります。

プロパティの基本構文

プロパティは次のように定義されます：

public class Example
{
    private int _value;
    public int Value
    {
        get { return _value; }
        set { _value = value; }
    }
}

プロパティの種類

C#には、自動実装プロパティ、読み取り専用プロパティ、書き込み専用プロパティなど、さまざまな種類のプロパティがあります。

自動実装プロパティ

自動実装プロパティを使用すると、バックフィールドを明示的に定義する必要がありません：

public class Example
{
    public int Value { get; set; }
}

読み取り専用プロパティ

読み取り専用プロパティは、getアクセサのみを持つプロパティです：

public class Example
{
    private int _value;
    public int Value
    {
        get { return _value; }
    }
}

書き込み専用プロパティ

書き込み専用プロパティは、setアクセサのみを持つプロパティです：

public class Example
{
    private int _value;
    public int Value
    {
        set { _value = value; }
    }
}

プロパティを適切に使用することで、クラスの設計がより明確で保守しやすくなります。

フィールドとは

フィールドとは、クラスまたは構造体の内部で定義される変数で、オブジェクトの状態やデータを保持するために使用されます。フィールドは、クラスメンバーの一部であり、通常、プライベートなアクセス修飾子を持ち、直接アクセスされることは避けられます。

フィールドの基本構文

フィールドは次のように定義されます：

public class Example
{
    private int _value;
}

フィールドの種類

C#には、インスタンスフィールド、静的フィールド、読み取り専用フィールド、定数フィールドなど、さまざまな種類のフィールドがあります。

インスタンスフィールド

インスタンスフィールドは、クラスのインスタンスごとに個別に存在するフィールドです：

public class Example
{
    private int _value;
}

静的フィールド

静的フィールドは、クラス全体で共有されるフィールドで、クラスのすべてのインスタンスで同じ値を持ちます：

public class Example
{
    private static int _sharedValue;
}

読み取り専用フィールド

読み取り専用フィールドは、初期化後に変更することができないフィールドです。readonly修飾子を使用して定義します：

public class Example
{
    private readonly int _readOnlyValue;
    public Example(int value)
    {
        _readOnlyValue = value;
    }
}

定数フィールド

定数フィールドは、コンパイル時に決定される定数値を持つフィールドです。const修飾子を使用して定義します：

public class Example
{
    private const int _constantValue = 42;
}

フィールドは、データの直接的な保持や簡単な内部状態の管理に便利ですが、直接アクセスされることが多いとカプセル化の原則が崩れるため、プロパティを使ったアクセス制御が推奨されます。

プロパティとフィールドの違い

プロパティとフィールドはどちらもクラス内でデータを保持するためのメンバーですが、それぞれの使用方法と役割には明確な違いがあります。

アクセス制御

プロパティは、getアクセサとsetアクセサを使用してデータへのアクセスを制御できます。これにより、データの読み取り専用や書き込み専用など、細かい制御が可能です。

public class Example
{
    private int _value;
    public int Value
    {
        get { return _value; }
        set { _value = value; }
    }
}

一方、フィールドは直接アクセスされるため、アクセス制御が限定的です。通常、プライベートアクセス修飾子を使用して外部からの直接アクセスを防ぎます。

public class Example
{
    private int _value;
}

データカプセル化

プロパティは、データカプセル化の原則に従っており、内部データの保護と変更の管理を容易にします。これにより、クラスの外部から内部データを操作する際に、不正な操作や無効なデータが設定されるのを防ぎます。

public class Example
{
    private int _value;
    public int Value
    {
        get { return _value; }
        set
        {
            if (value >= 0)
            {
                _value = value;
            }
        }
    }
}

フィールドは、直接データを保持するため、データのカプセル化が十分に行われない場合があります。データの保護や制御が必要な場合は、プロパティの使用が推奨されます。

柔軟性と拡張性

プロパティは、将来的な拡張や変更に対して柔軟性があります。例えば、プロパティのgetアクセサやsetアクセサにロジックを追加することで、データの取得や設定時に追加処理を行うことが可能です。

public class Example
{
    private int _value;
    public int Value
    {
        get
        {
            // 取得時の追加処理
            return _value;
        }
        set
        {
            // 設定時の追加処理
            _value = value;
        }
    }
}

フィールドは、基本的にデータを保持するだけの役割であり、直接的な操作が行われるため、将来的な拡張や変更に対する柔軟性が低いです。

性能

プロパティはアクセサメソッドを介してアクセスされるため、フィールドに比べて若干のオーバーヘッドがあります。しかし、通常のアプリケーション開発においては、このオーバーヘッドはほとんど無視できる程度です。

フィールドは直接データにアクセスするため、プロパティよりも高い性能を持ちます。特にパフォーマンスが重視される場面では、フィールドを使用することが有利です。

プロパティとフィールドの選択は、設計の目的や使用ケースによりますが、一般的にはデータカプセル化とアクセス制御を重視してプロパティを使用することが推奨されます。

プロパティのメリット

プロパティを使用することで得られる主な利点を以下に解説します。

データのカプセル化

プロパティを使用することで、クラスの内部データを外部から隠蔽し、データの保護と整合性を保つことができます。プロパティのgetおよびsetアクセサを使用することで、データの読み取りと書き込みに対する制御を行うことができます。

public class Example
{
    private int _value;
    public int Value
    {
        get { return _value; }
        set
        {
            if (value >= 0)
            {
                _value = value;
            }
        }
    }
}

バリデーションの実装

プロパティのsetアクセサでバリデーションロジックを実装することで、不正なデータが設定されるのを防ぐことができます。これにより、オブジェクトの状態が常に有効であることを保証します。

public class Example
{
    private int _age;
    public int Age
    {
        get { return _age; }
        set
        {
            if (value >= 0 && value <= 120)
            {
                _age = value;
            }
            else
            {
                throw new ArgumentOutOfRangeException("Age must be between 0 and 120.");
            }
        }
    }
}

柔軟性と拡張性

プロパティは将来的な拡張や変更に対して柔軟です。アクセサメソッドにロジックを追加することで、データの取得や設定時に追加処理を行うことができます。これは特に、既存のコードを変更せずに新しい機能を追加する際に役立ちます。

public class Example
{
    private int _count;
    public int Count
    {
        get
        {
            // データ取得時に追加処理
            return _count;
        }
        set
        {
            // データ設定時に追加処理
            _count = value;
            OnCountChanged();
        }
    }

    private void OnCountChanged()
    {
        // Countが変更されたときの追加処理
    }
}

デバッグとメンテナンスの向上

プロパティを使用することで、デバッグ時にデータの取得や設定のトレースが容易になります。また、アクセサにロジックを追加することで、設定されたデータのログを取るなどのメンテナンスが簡単になります。

public class Example
{
    private string _name;
    public string Name
    {
        get { return _name; }
        set
        {
            Console.WriteLine($"Name set to {value}");
            _name = value;
        }
    }
}

プロパティを活用することで、クラスの設計がより堅牢で保守しやすくなり、長期的なプロジェクトの成功に寄与します。

フィールドのメリット

フィールドを使用することで得られる主な利点を以下に解説します。

シンプルで高速なアクセス

フィールドは直接データを保持するため、プロパティよりもアクセスが高速です。特にパフォーマンスが重要なシナリオでは、フィールドの使用が有利です。

public class Example
{
    public int Value;
}

シンプルなデータ保持

フィールドはシンプルにデータを保持するため、追加のロジックやバリデーションが不要な場合には、実装が簡単です。これにより、コードが簡潔になります。

public class Example
{
    public int Value;
}

メモリ使用量の最適化

フィールドはプロパティに比べてメモリ使用量が少ないため、大量のオブジェクトを扱う場合やメモリ制約が厳しい環境では、フィールドを使用することでメモリ使用量を最適化できます。

コンストラクタでの初期化

フィールドはコンストラクタで直接初期化できるため、クラスのインスタンス生成時に効率よくデータを設定できます。

public class Example
{
    private int _value;
    public Example(int value)
    {
        _value = value;
    }
}

静的フィールドの利用

静的フィールドを使用することで、クラス全体で共有されるデータを保持できます。これにより、インスタンスごとに異なる値を持つ必要がない場合に便利です。

public class Example
{
    public static int SharedValue;
}

読み取り専用フィールドの定義

フィールドにはreadonly修飾子を付けることで、読み取り専用フィールドを定義できます。これにより、初期化後に値が変更されないことを保証できます。

public class Example
{
    public readonly int ReadOnlyValue;
    public Example(int value)
    {
        ReadOnlyValue = value;
    }
}

フィールドはシンプルなデータ保持や高速なアクセスが求められる場面で有効に機能し、適切に使用することでプログラムの性能と効率を向上させることができます。

プロパティの使用例

具体的なコード例を用いて、プロパティの使い方を紹介します。

基本的なプロパティの使用

以下の例では、プロパティを使用してクラス内のプライベートフィールドにアクセスする方法を示します。

public class Person
{
    private string _name;
    private int _age;

    public string Name
    {
        get { return _name; }
        set { _name = value; }
    }

    public int Age
    {
        get { return _age; }
        set
        {
            if (value >= 0)
            {
                _age = value;
            }
            else
            {
                throw new ArgumentOutOfRangeException("Age must be a non-negative value.");
            }
        }
    }
}

自動実装プロパティの使用

自動実装プロパティを使用すると、バックフィールドを明示的に定義せずにプロパティを簡単に作成できます。

public class Car
{
    public string Make { get; set; }
    public string Model { get; set; }
    public int Year { get; set; }
}

読み取り専用プロパティの使用

以下の例では、読み取り専用プロパティを使用して、オブジェクトの作成後に変更されないプロパティを定義します。

public class Circle
{
    private double _radius;

    public Circle(double radius)
    {
        _radius = radius;
    }

    public double Radius
    {
        get { return _radius; }
    }

    public double Area
    {
        get { return Math.PI * _radius * _radius; }
    }
}

カスタムロジックを含むプロパティの使用

以下の例では、プロパティにカスタムロジックを含めることで、データの取得時および設定時に追加の処理を行います。

public class Temperature
{
    private double _celsius;

    public double Celsius
    {
        get { return _celsius; }
        set { _celsius = value; }
    }

    public double Fahrenheit
    {
        get { return _celsius * 9 / 5 + 32; }
        set { _celsius = (value - 32) * 5 / 9; }
    }
}

例外処理を含むプロパティの使用

以下の例では、プロパティのsetアクセサに例外処理を含めることで、無効なデータの設定を防ぎます。

public class BankAccount
{
    private decimal _balance;

    public decimal Balance
    {
        get { return _balance; }
        private set
        {
            if (value < 0)
            {
                throw new ArgumentOutOfRangeException("Balance cannot be negative.");
            }
            _balance = value;
        }
    }

    public void Deposit(decimal amount)
    {
        if (amount <= 0)
        {
            throw new ArgumentOutOfRangeException("Deposit amount must be positive.");
        }
        Balance += amount;
    }
}

プロパティを使用することで、クラス内のデータのアクセスと管理が効率的になり、データの整合性と安全性が向上します。具体的な使用例を参考にして、プロパティの利点を最大限に活用してください。

フィールドの使用例

具体的なコード例を用いて、フィールドの使い方を紹介します。

基本的なフィールドの使用

以下の例では、クラス内でフィールドを定義し、直接アクセスする方法を示します。

public class Person
{
    public string Name;
    public int Age;
}

プライベートフィールドの使用

フィールドは通常、プライベートとして定義され、クラス外部からの直接アクセスを防ぎます。以下の例では、プライベートフィールドを使用しています。

public class Car
{
    private string _make;
    private string _model;
    private int _year;

    public Car(string make, string model, int year)
    {
        _make = make;
        _model = model;
        _year = year;
    }
}

静的フィールドの使用

静的フィールドは、クラス全体で共有されるフィールドで、すべてのインスタンスで同じ値を持ちます。以下の例では、静的フィールドを使用しています。

public class Counter
{
    public static int Count = 0;

    public Counter()
    {
        Count++;
    }
}

読み取り専用フィールドの使用

読み取り専用フィールドは、初期化後に変更されることがなく、readonly修飾子を使用して定義します。

public class Circle
{
    public readonly double Radius;

    public Circle(double radius)
    {
        Radius = radius;
    }

    public double GetArea()
    {
        return Math.PI * Radius * Radius;
    }
}

定数フィールドの使用

定数フィールドは、コンパイル時に決定される定数値を持ち、変更することはできません。以下の例では、const修飾子を使用して定数フィールドを定義しています。

public class MathConstants
{
    public const double Pi = 3.14159;
}

フィールドの初期化

フィールドはクラスのコンストラクタ内で初期化されることが一般的です。以下の例では、コンストラクタを使用してフィールドを初期化しています。

public class Rectangle
{
    public double Width;
    public double Height;

    public Rectangle(double width, double height)
    {
        Width = width;
        Height = height;
    }

    public double GetArea()
    {
        return Width * Height;
    }
}

フィールドを使用することで、クラス内のデータをシンプルに保持し、必要に応じて直接アクセスすることができます。これらの具体例を参考にして、適切なシチュエーションでフィールドを活用してください。

プロパティとフィールドの選択基準

どのような場面でプロパティを選び、どのような場面でフィールドを選ぶべきかの指針を提供します。

データのカプセル化が必要な場合

プロパティを使用する場合:

クラスの内部データを外部から隠蔽し、アクセス制御を行いたい場合
データの読み取りや書き込みに対してバリデーションや追加のロジックを実装したい場合

public class Person
{
    private string _name;
    public string Name
    {
        get { return _name; }
        set
        {
            if (!string.IsNullOrEmpty(value))
            {
                _name = value;
            }
        }
    }
}

単純なデータ保持が必要な場合

フィールドを使用する場合:

データのカプセル化が不要で、単純にデータを保持したい場合
データの読み取りや書き込みに対して特別な処理が不要な場合

public class Person
{
    public string Name;
    public int Age;
}

パフォーマンスが重要な場合

フィールドを使用する場合:

高速なデータアクセスが求められる場合
オーバーヘッドを最小限に抑えたい場合

public class HighPerformanceClass
{
    public int Value;
}

データの保護が必要な場合

プロパティを使用する場合:

データの一貫性と有効性を保証したい場合
データの設定時に追加のチェックや処理が必要な場合

public class BankAccount
{
    private decimal _balance;
    public decimal Balance
    {
        get { return _balance; }
        private set
        {
            if (value >= 0)
            {
                _balance = value;
            }
            else
            {
                throw new ArgumentOutOfRangeException("Balance cannot be negative.");
            }
        }
    }
}

静的データや定数が必要な場合

フィールドを使用する場合:

クラス全体で共有されるデータが必要な場合（静的フィールド）
コンパイル時に決定される定数が必要な場合（定数フィールド）

public class MathConstants
{
    public const double Pi = 3.14159;
    public static int Counter = 0;
}

柔軟性と拡張性が必要な場合

プロパティを使用する場合:

将来的にデータアクセスに追加のロジックを導入する可能性がある場合
外部インターフェースとやり取りするデータのアクセス制御が必要な場合

public class Config
{
    private string _setting;
    public string Setting
    {
        get { return _setting; }
        set
        {
            // 追加処理
            _setting = value;
        }
    }
}

プロパティとフィールドを選択する際には、クラスの設計目的や使用ケースに基づいて適切に判断することが重要です。データのカプセル化、アクセス制御、パフォーマンスの要件などを考慮して、最適な選択を行いましょう。

プロパティとフィールドのベストプラクティス

実際の開発現場でのプロパティとフィールドのベストプラクティスを共有します。

データカプセル化の原則を守る

クラスの内部データはプライベートフィールドで保持し、外部からのアクセスはプロパティを介して行うことが推奨されます。これにより、データの整合性と一貫性を保つことができます。

public class Employee
{
    private string _name;
    private decimal _salary;

    public string Name
    {
        get { return _name; }
        set { _name = value; }
    }

    public decimal Salary
    {
        get { return _salary; }
        set
        {
            if (value >= 0)
            {
                _salary = value;
            }
            else
            {
                throw new ArgumentOutOfRangeException("Salary must be a non-negative value.");
            }
        }
    }
}

プロパティのアクセサには必要なロジックを追加する

プロパティのgetおよびsetアクセサには、必要に応じてバリデーションや追加のロジックを実装します。これにより、不正なデータの設定を防ぎ、オブジェクトの状態を保護できます。

public class Product
{
    private int _stock;

    public int Stock
    {
        get { return _stock; }
        set
        {
            if (value >= 0)
            {
                _stock = value;
            }
            else
            {
                throw new ArgumentOutOfRangeException("Stock cannot be negative.");
            }
        }
    }
}

自動実装プロパティを活用する

単純なデータの保持には自動実装プロパティを使用し、コードを簡潔に保ちます。

public class Order
{
    public int OrderId { get; set; }
    public DateTime OrderDate { get; set; }
}

読み取り専用プロパティを使用する

データが変更されることを防ぐために、必要に応じて読み取り専用プロパティを使用します。

public class Customer
{
    private string _customerId;

    public Customer(string customerId)
    {
        _customerId = customerId;
    }

    public string CustomerId
    {
        get { return _customerId; }
    }
}

静的フィールドと定数フィールドの使い分け

クラス全体で共有されるデータには静的フィールドを使用し、変更されない定数データにはconst修飾子を使用します。

public class ApplicationSettings
{
    public static string Version = "1.0.0";
    public const int MaxUsers = 100;
}

パフォーマンスを考慮する

高パフォーマンスが求められる場面では、プロパティのオーバーヘッドを避けるためにフィールドを使用することを検討します。ただし、データの整合性を保つために必要なロジックがある場合は、プロパティを使用します。

public class PerformanceSensitiveClass
{
    public int HighSpeedField;
}

一貫性を保つ

クラスの設計において、一貫性のある命名規則とアクセシビリティ修飾子を使用します。これにより、コードの可読性と保守性が向上します。

public class ConsistentClass
{
    private int _internalData;

    public int InternalData
    {
        get { return _internalData; }
        private set { _internalData = value; }
    }
}

これらのベストプラクティスを遵守することで、クラス設計がより堅牢で保守しやすくなり、プロジェクト全体の品質を向上させることができます。

応用例と演習問題

理解を深めるために、プロパティとフィールドを実際に使った応用例と演習問題を紹介します。

応用例：ユーザー情報管理システム

以下のコード例では、ユーザー情報を管理するクラスを作成し、プロパティとフィールドを使用してデータのカプセル化とアクセス制御を行っています。

public class User
{
    private string _username;
    private string _passwordHash;
    private DateTime _lastLogin;

    public string Username
    {
        get { return _username; }
        set
        {
            if (!string.IsNullOrWhiteSpace(value))
            {
                _username = value;
            }
            else
            {
                throw new ArgumentException("Username cannot be empty.");
            }
        }
    }

    public string PasswordHash
    {
        get { return _passwordHash; }
        private set { _passwordHash = value; }
    }

    public DateTime LastLogin
    {
        get { return _lastLogin; }
        private set { _lastLogin = value; }
    }

    public User(string username, string password)
    {
        Username = username;
        PasswordHash = ComputeHash(password);
        _lastLogin = DateTime.MinValue;
    }

    public void Login(string password)
    {
        if (VerifyPassword(password))
        {
            LastLogin = DateTime.Now;
        }
        else
        {
            throw new UnauthorizedAccessException("Invalid password.");
        }
    }

    private string ComputeHash(string input)
    {
        // ハッシュ計算のロジック（省略）
        return "hashed_password";
    }

    private bool VerifyPassword(string password)
    {
        return ComputeHash(password) == PasswordHash;
    }
}

演習問題1: 商品クラスの作成

以下の要件に基づいて、商品を表すクラス Product を作成してください。

プライベートフィールド _name と _price を持つ。
Name プロパティは読み取りおよび書き込み可能で、空でない文字列を設定する。
Price プロパティは読み取りおよび書き込み可能で、0以上の値を設定する。
コンストラクタで Name と Price を初期化する。

演習問題2: 社員クラスの作成

以下の要件に基づいて、社員を表すクラス Employee を作成してください。

プライベートフィールド _id と _salary を持つ。
Id プロパティは読み取り専用で、コンストラクタで一度だけ設定する。
Salary プロパティは読み取りおよび書き込み可能で、負の値が設定された場合は例外をスローする。
IncreaseSalary メソッドを持ち、給与を指定されたパーセンテージだけ増加させる。

// 解答例

public class Product
{
    private string _name;
    private decimal _price;

    public string Name
    {
        get { return _name; }
        set
        {
            if (!string.IsNullOrWhiteSpace(value))
            {
                _name = value;
            }
            else
            {
                throw new ArgumentException("Name cannot be empty.");
            }
        }
    }

    public decimal Price
    {
        get { return _price; }
        set
        {
            if (value >= 0)
            {
                _price = value;
            }
            else
            {
                throw new ArgumentOutOfRangeException("Price must be non-negative.");
            }
        }
    }

    public Product(string name, decimal price)
    {
        Name = name;
        Price = price;
    }
}

public class Employee
{
    private int _id;
    private decimal _salary;

    public int Id
    {
        get { return _id; }
    }

    public decimal Salary
    {
        get { return _salary; }
        set
        {
            if (value >= 0)
            {
                _salary = value;
            }
            else
            {
                throw new ArgumentOutOfRangeException("Salary must be non-negative.");
            }
        }
    }

    public Employee(int id, decimal initialSalary)
    {
        _id = id;
        Salary = initialSalary;
    }

    public void IncreaseSalary(double percentage)
    {
        if (percentage > 0)
        {
            Salary += Salary * (decimal)percentage / 100;
        }
        else
        {
            throw new ArgumentOutOfRangeException("Percentage must be positive.");
        }
    }
}

これらの演習問題を通じて、プロパティとフィールドの使い分けや実際の使用方法をさらに理解し、実践的なスキルを向上させてください。

まとめ

本記事では、C#におけるプロパティとフィールドの使い分けについて詳細に解説しました。プロパティはデータのカプセル化やアクセス制御、バリデーションに適しており、フィールドはシンプルなデータ保持やパフォーマンスが重要な場面で有用です。具体的な使用例やベストプラクティスを通じて、適切な選択基準と実装方法を学びました。

参考資料

これらの資料を参考に、さらに理解を深め、実践的なスキルを向上させてください。

C#プロパティとフィールドの使い分け完全ガイド

プロパティとは

プロパティの基本構文

プロパティの種類

自動実装プロパティ

読み取り専用プロパティ

書き込み専用プロパティ

フィールドとは

フィールドの基本構文

フィールドの種類

インスタンスフィールド

静的フィールド

読み取り専用フィールド

定数フィールド

プロパティとフィールドの違い

アクセス制御

データカプセル化

柔軟性と拡張性

性能

プロパティのメリット

データのカプセル化

バリデーションの実装

柔軟性と拡張性

デバッグとメンテナンスの向上

フィールドのメリット

シンプルで高速なアクセス

シンプルなデータ保持

メモリ使用量の最適化

コンストラクタでの初期化

静的フィールドの利用

読み取り専用フィールドの定義

プロパティの使用例

基本的なプロパティの使用

自動実装プロパティの使用

読み取り専用プロパティの使用

カスタムロジックを含むプロパティの使用

例外処理を含むプロパティの使用

フィールドの使用例

基本的なフィールドの使用

プライベートフィールドの使用

静的フィールドの使用

読み取り専用フィールドの使用

定数フィールドの使用

フィールドの初期化

プロパティとフィールドの選択基準

データのカプセル化が必要な場合

単純なデータ保持が必要な場合

パフォーマンスが重要な場合

データの保護が必要な場合

静的データや定数が必要な場合

柔軟性と拡張性が必要な場合

プロパティとフィールドのベストプラクティス

データカプセル化の原則を守る

プロパティのアクセサには必要なロジックを追加する

自動実装プロパティを活用する

読み取り専用プロパティを使用する

静的フィールドと定数フィールドの使い分け

パフォーマンスを考慮する

一貫性を保つ

応用例と演習問題

応用例：ユーザー情報管理システム

演習問題1: 商品クラスの作成

演習問題2: 社員クラスの作成

まとめ

参考資料

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