Configure Journaling in Exchange Online更新ポイント:管理者が確認すべき設定と注意点

Microsoft の「Configure Journaling in Exchange Online」は、Exchange Online のジャーナリングを使ってメールを外部アーカイブへ保管する管理者が、最初に確認すべき公式情報です。2026年6月26日に更新された内容で特に重要なのは、ジャーナリング用メールボックスも代替ジャーナリング用メールボックスも、Exchange Online メールボックスにはできないという点です。すでにジャーナルルールを運用している組織は、配信先、NDRの受け先、ハイブリッド環境での重複・抜け漏れを優先して点検する必要があります。(Microsoft Learn)

今回の更新は、派手な新機能追加というより、Exchange Online ジャーナリングを安全に運用するための要件確認に近い内容です。ジャーナリングは Microsoft 365 内にデータを保持する最新型の保持機能ではなく、メールのコピーを Exchange Online の外へ送る古いコンプライアンス機能です。Microsoft は可能な場合、Microsoft 365 retention など Microsoft Purview の保持機能を使うことも推奨しています。(Microsoft Learn)

目次

2026年6月更新で確認すべきポイント

「Configure Journaling in Exchange Online」の更新で管理者が見るべきポイントは、次の4つです。

確認項目管理者が見るべきポイント放置した場合のリスク
ジャーナリング用メールボックスExchange Online メールボックスを指定していないかジャーナルレポートが想定どおり外部保管されない
代替ジャーナリング用メールボックスNDRの受け先が有効で、監視されているか配信不能のジャーナルレポートに気づけない
ハイブリッド環境オンプレミス Exchange と Exchange Online のルール整合性ジャーナル漏れ、または重複保存
Microsoft Purview との使い分け外部保管が本当に必要か古い方式のまま運用負荷だけが増える

公式ドキュメントでは、Exchange Online はジャーナルレポートの配信先として Exchange Online メールボックスをサポートしないと明記されています。配信先には、オンプレミスのアーカイブシステム、オンプレミス Exchange のメールボックス、またはサードパーティのアーカイブサービスを使う設計が前提です。(Microsoft Learn)

Exchange Online のジャーナリングとは

Exchange Online のジャーナリングは、条件に一致したメールについて「ジャーナルレポート」を生成し、指定したジャーナリング用メールボックスへ送信する機能です。たとえば、金融部門、法務部門、特定の国・地域のユーザーなどを対象に、送受信メールのコピーを外部アーカイブへ保存したい場合に使います。(Microsoft Learn)

ジャーナルレポートには、元メールが変更されない形で添付されます。本文には送信者、件名、Message-ID、受信者などの情報が含まれます。Microsoft 365 / Office 365 でサポートされるジャーナリング方式は、いわゆる envelope journaling です。(Microsoft Learn)

ジャーナリングが向いているケース

Exchange Online ジャーナリングが向いているのは、次のようなケースです。

  • 法令・業界規制・社内規程により、メールを Microsoft 365 の外部システムへ保管する必要がある
  • サードパーティのアーカイブ製品で長期保管、検索、証跡管理を行う
  • Exchange ハイブリッド環境で、オンプレミス側の既存アーカイブ基盤を継続利用する
  • 国・地域別、部門別に保存先を分けたい

一方で、単に「メールを一定期間残したい」「退職者のメールを保持したい」「eDiscovery に備えたい」という目的であれば、Microsoft 365 retention や Microsoft Purview の保持・検索機能を先に検討するほうが自然です。ジャーナリングはメールを Microsoft 365 の外へ出すため、外部保管先のセキュリティ、監視、重複排除、法務確認まで管理者側で責任を持つ必要があります。(Microsoft Learn)

影響範囲:対象になる管理者と組織

今回の「Configure Journaling in Exchange Online」更新で特に影響を受けるのは、すでに Exchange Online でジャーナルルールを使っている組織、またはこれから外部アーカイブ連携を設計する組織です。

対象影響
Exchange Online 単体でジャーナルルールを使っている組織ジャーナリング先と代替ジャーナリング先が Exchange Online メールボックスでないか確認が必要
Exchange ハイブリッド環境オンプレミス側と Exchange Online 側のルールを二重に確認する必要がある
サードパーティアーカイブ利用組織アーカイブサービス側の受信アドレス、容量、障害時対応の確認が必要
多国籍・多地域展開の組織地域ごとの保存先や、代替メールボックスに全社のNDRが集まる設計が妥当か確認が必要
Microsoft Purview へ移行検討中の組織外部保管が必要なメールと、Microsoft 365 内で保持すべきデータを切り分ける必要がある

Exchange Online のジャーナリングでは、部門や地域ごとに異なるジャーナルルールを作り、それぞれ別のジャーナリング用メールボックスへ送ることができます。たとえば欧州ユーザー向けのルールは欧州のアーカイブ先へ、北米ユーザー向けのルールは北米のアーカイブ先へ送る、といった設計が可能です。(Microsoft Learn)

ただし、代替ジャーナリング用メールボックスは組織全体の配信不能ジャーナルレポートを受け取るため、国・地域別や部門別に保存場所を厳密に分ける必要がある組織では、法務・コンプライアンス担当者と設計を確認する必要があります。(Microsoft Learn)

ジャーナリング用メールボックスの要件

「Configure Journaling in Exchange Online」で最も重要なのは、ジャーナリング用メールボックスの指定先です。

Exchange Online では、ジャーナルレポートの配信先として Exchange Online メールボックスを指定できません。指定すべきなのは、オンプレミスのアーカイブシステム、サードパーティのアーカイブサービス、またはハイブリッド環境のオンプレミス Exchange メールボックスです。(Microsoft Learn)

サポートされる設計と避けるべき設計

設計判断
サードパーティアーカイブサービスの受信用アドレスを指定一般的な設計
オンプレミス Exchange の専用メールボックスを指定ハイブリッド環境では選択肢になる
部門別・地域別に別々のジャーナリング先を指定コンプライアンス要件に応じて有効
Exchange Online の通常ユーザーメールボックスを指定非サポート
Exchange Online の共有メールボックスを指定非サポートと考えるべき
退職者用や監査用の Microsoft 365 メールボックスを指定非サポート

「Exchange Online メールボックスではないこと」は、通常メールボックスだけでなく、共有メールボックスや監査用に作った Microsoft 365 内のメールボックスにも当てはまります。ジャーナリング先は、あくまで Exchange Online の外部にある保存先として設計します。

無効な配信先を指定した場合

ジャーナルルールで存在しない配信先や無効な配信先を指定すると、ジャーナルレポートは Microsoft データセンター側のトランスポートキューに残り、配信が再試行されます。Microsoft から連絡を受けた後も問題が解消されない場合、問題のあるジャーナルルールが無効化される可能性があります。(Microsoft Learn)

実務では、ジャーナリング先のメールアドレスを設定して終わりにせず、次の確認まで行う必要があります。

  • 外部アーカイブ側で受信可能なアドレスか
  • DNS、MX、接続制御、TLS要件がアーカイブサービス側の仕様と合っているか
  • 受信容量やスロットリングに問題がないか
  • 障害時の連絡先と復旧手順が決まっているか
  • 定期的にテストメールやメッセージ追跡で到達確認をしているか

代替ジャーナリング用メールボックスの役割

代替ジャーナリング用メールボックスは、ジャーナリング先へ配信できなかったジャーナルレポートのNDRを受け取るためのメールボックスです。元のジャーナルレポートはNDRに添付されるため、ジャーナリング先が復旧した後、Outlook の「Send Again」機能を使って再送できます。(Microsoft Learn)

ここでも重要なのは、代替ジャーナリング用メールボックスも Exchange Online メールボックスにはできないという点です。Exchange Online 内のメールボックスをNDR受け先にする設計は避ける必要があります。(Microsoft Learn)

代替ジャーナリング用メールボックスで失敗しやすいポイント

失敗例何が問題か対策
代替メールボックスを設定していない配信不能時の追跡が難しくなる専用の外部アドレスを設定する
代替メールボックスを Exchange Online にしているサポートされない構成外部アーカイブまたはオンプレミス側に用意する
代替メールボックスを監視していないNDRが溜まっても気づけない監視通知と定期確認を運用に入れる
容量不足のまま放置するNDRを受信できず証跡欠落につながる容量・受信制限を定期確認する
部門別ジャーナリングなのに代替先を全社共通にする法務・規制上の分離要件に抵触する可能性法務部門と設計を確認する

特に注意したいのは、代替ジャーナリング用メールボックスも同時に利用できない状態になるケースです。Microsoft のドキュメントでは、代替ジャーナリング用メールボックスも利用できない、またはジャーナルレポートを拒否した場合、拒否されたジャーナルレポートは失われ、取得できないと説明されています。(Microsoft Learn)

管理画面と設定変更の確認ポイント

Exchange Online のジャーナルルールは、Microsoft Purview compliance portal または Classic Exchange admin center から管理できます。Microsoft Learn では、Microsoft Purview compliance portal の「Solutions > Data lifecycle management > Exchange (legacy) > Journal rules」からジャーナルルールを作成・変更できると説明されています。(Microsoft Learn)

新しい Exchange admin center だけを見ていると、ジャーナリング関連の設定を見落とす可能性があります。Microsoft は Exchange のセキュリティおよびコンプライアンス機能について、Microsoft 365 security center と Microsoft Purview compliance portal を参照するよう案内しています。(Microsoft Learn)

まず確認したい PowerShell コマンド

既存環境では、管理画面だけでなく Exchange Online PowerShell で棚卸しするのが確実です。

Get-JournalRule | Format-Table Name,Enabled,Recipient,JournalEmailAddress,Scope

このコマンドで、ジャーナルルール名、有効状態、対象受信者、ジャーナリング先、スコープを一覧できます。Microsoft Learn でも、ジャーナルルールの確認に Get-JournalRule を使う手順が案内されています。(Microsoft Learn)

代替ジャーナリング用メールボックスの設定は、組織全体のトランスポート構成として確認します。

Get-TransportConfig | Format-List JournalingReportNdrTo,PreventDuplicateJournalingEnabled

代替ジャーナリング用メールボックスを設定する場合は、次のように Set-TransportConfig を使います。Microsoft Learn の例でも、配信できないジャーナルレポートを指定メールアカウントへリダイレクトするために -JournalingReportNdrTo を使う方法が示されています。(Microsoft Learn)

Set-TransportConfig -JournalingReportNdrTo [email protected]

ここで指定するアドレスも、Exchange Online メールボックスではなく外部アドレスにする必要があります。

ジャーナルルール作成・変更時の実務手順

新しくジャーナルルールを作成する場合、Microsoft Purview compliance portal では、ジャーナルレポートの送信先、ルール名、対象受信者、ジャーナリングするメッセージの種類を指定します。対象は「すべてのメッセージ」にすることも、特定の受信者に絞ることもできます。スコープは、内部メッセージのみ、外部メッセージのみ、すべてのメッセージから選択します。(Microsoft Learn)

実務では、次の順番で進めると失敗を減らせます。

手順作業確認ポイント
1要件を整理する全社対象か、部門・地域・特定ユーザー対象か
2保存先を決めるExchange Online ではなく、外部アーカイブまたはオンプレミス側を指定する
3代替ジャーナリング先を決めるNDR受け先を監視できる体制にする
4ジャーナルルールを作成するRecipient、JournalEmailAddress、Scope を明確にする
5テスト送受信する内部・外部・対象外ユーザーで期待どおり動くか確認する
6障害時の復旧手順を文書化するNDR確認、再送、アーカイブ側障害連絡先を記録する
7定期レビューする退職者、組織変更、ドメイン追加、ルール上限を確認する

PowerShell でルールを作成する場合は、次のような形式です。

New-JournalRule `
  -Name "Finance Department Journaling" `
  -Recipient [email protected] `
  -JournalEmailAddress "[email protected]" `
  -Scope Global `
  -Enabled $true

既存ルールを変更する場合は、変更前後で必ず設定を記録しておきます。

Get-JournalRule -Identity "Finance Department Journaling" |
  Format-List Name,Enabled,Recipient,JournalEmailAddress,Scope

ジャーナルルールを無効化すると、そのルールで本来ジャーナリングされるはずだったメッセージはジャーナリングされません。Microsoft Learn でも、ルール無効化によって規制・コンプライアンス要件を損なわないよう注意喚起されています。(Microsoft Learn)

ハイブリッド環境での注意点

Exchange ハイブリッド環境では、オンプレミス Exchange と Exchange Online の両方にメールフローが存在するため、ジャーナリング設計が複雑になります。Microsoft Learn では、ハイブリッド環境の場合、オンプレミス Exchange Server と Exchange Online の両方に同一のジャーナリングルールを構成する必要があり、そうしないと一部メッセージがジャーナリングされない可能性があると説明されています。(Microsoft Learn)

一方で、ハイブリッド環境では重複ジャーナルレポートにも注意が必要です。クラウド側とオンプレミス側の両方でジャーナリングが動作すると、同じメールに対するジャーナルレポートが重複する場合があります。Microsoft Learn では、オンプレミスからクラウドへのシナリオで重複を防ぐため、Exchange Online テナントで PreventDuplicateJournalingEnabled を有効にする方法が示されています。(Microsoft Learn)

Set-TransportConfig -PreventDuplicateJournalingEnabled $true

ハイブリッド環境では、「漏れを防ぐために両方で設定する」ことと「重複を抑える」ことを同時に考える必要があります。メールフロー図を作成し、どの経路でどのルールが動くのかを可視化しておくと、監査対応や障害調査の時間を短縮できます。

ルール数とスコープ設計の注意点

Exchange Online には、ジャーナルルール数の上限があります。Microsoft 365 Business や Microsoft 365 Enterprise 系の主要プランでは最大300ルール、Exchange Online 単体プランでは最大50ルールとされています。(Microsoft Learn)

部門別、国別、グループ別に細かくルールを作りすぎると、ルール数の上限だけでなく、運用の見通しも悪くなります。実務では、次のように整理すると管理しやすくなります。

設計方針向いているケース注意点
全社一律ルールすべてのメールを外部アーカイブする要件保存量とコストが増えやすい
部門別ルール金融、法務、役員など対象が限定される場合組織変更時のメンテナンスが必要
地域別ルールデータ所在地や規制要件が地域で異なる場合代替ジャーナリング先の設計も慎重に行う
特定ユーザー・グループ対象訴訟対応、調査対象、規制対象者が明確な場合対象漏れを防ぐため人事情報との連携が必要

また、外部メッセージのみを対象にするルールでは、SMTP MAIL FROM が組織の承認済みドメインに属する場合、外部からのなりすましメールでも外部メッセージとして扱われず、外部スコープのジャーナルルールがトリガーされない場合があります。外部のみのルールを使う場合は、スパム・なりすまし対策や監査要件と合わせて確認してください。(Microsoft Learn)

移行期限はあるのか

2026年6月26日更新の「Configure Journaling in Exchange Online」には、特定の日付を伴う移行期限や廃止期限は示されていません。したがって、今回の更新だけを理由に、すぐにジャーナリングを停止したり、全テナントで設定移行を急いだりする必要があるとは読み取れません。(Microsoft Learn)

ただし、ジャーナリングは古いコンプライアンス機能であり、Microsoft 365 内にデータを保持する Microsoft Purview の保持機能とは性質が異なります。メール以外に Teams や各種 Microsoft 365 アプリのデータも含めて保持・管理したい場合は、Microsoft Purview 側の保持設計を検討する価値があります。(Microsoft Learn)

つまり、今回の管理判断は次のようになります。

判断軸継続利用が妥当なケース見直しが必要なケース
外部保管の必要性法令・契約・監査要件で外部アーカイブが必須単にメールを残したいだけ
対象データメールのジャーナルコピーが必要Teams、SharePoint、OneDrive なども統合的に保持したい
運用体制NDR監視、外部アーカイブ監視、障害時再送ができる設定後ほとんど監視していない
コンプライアンス設計法務部門が外部保管要件を明確にしている以前の設定理由が不明なまま残っている

管理者が今すぐ確認すべきチェックリスト

Exchange Online ジャーナリングを運用している管理者は、まず次の項目を確認してください。

チェック項目確認内容
ジャーナルルール一覧有効なルール、無効なルール、対象受信者、スコープを棚卸しする
ジャーナリング先Exchange Online メールボックスを指定していないか確認する
代替ジャーナリング先JournalingReportNdrTo が外部アドレスで、監視されているか確認する
配信テスト対象ユーザーの内部送信、外部送信、外部受信でジャーナルレポートを確認する
NDR確認代替メールボックスにNDRが届いた場合の担当者と手順を決める
ハイブリッド整合性オンプレミス Exchange と Exchange Online のルール差分を確認する
重複対策必要に応じて PreventDuplicateJournalingEnabled を確認する
法務確認代替ジャーナリング先に全社の配信不能レポートが集まってよいか確認する
ルール数上限に近づいていないか確認する
Purview移行検討外部保管が不要な領域は Microsoft 365 retention へ寄せられないか検討する

最初の作業としては、Get-JournalRule と Get-TransportConfig で現状を出力し、ジャーナリング先と代替ジャーナリング先がサポートされる構成になっているかを確認するのが現実的です。そのうえで、外部アーカイブの受信状況、NDR監視、ハイブリッド環境の重複・漏れを順に見ていくと、監査対応に耐えられる運用へ近づけられます。

まとめ:今回の更新は「外部保管先とNDR設計」の再点検が中心

「Configure Journaling in Exchange Online」の2026年6月更新で最も重要なのは、Exchange Online ジャーナリングの保存先と代替保存先を正しく設計することです。ジャーナリング用メールボックスと代替ジャーナリング用メールボックスは、いずれも Exchange Online メールボックスにはできません。外部アーカイブ、オンプレミス環境、またはサードパーティサービスを前提に、配信不能時のNDRまで含めて設計する必要があります。

移行期限が明示された更新ではありませんが、ジャーナリングは古いコンプライアンス機能です。継続利用する場合は、ジャーナルルール、代替ジャーナリング先、ハイブリッド構成、監視手順を文書化し、定期的に棚卸ししてください。外部保管が必須でない領域については、Microsoft Purview の保持機能へ寄せることで、運用負荷とリスクを下げられます。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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