Linux環境で愛用しているMicrosoft Edgeを最新版にアップデートしたら、突然Microsoft TeamsやGoogle Meetなどで画面共有がうまくいかなくなってしまった…。本記事では、この不具合の原因と具体的な対処策を徹底解説します。問題が起きた際の現象や暫定的な回避方法、そして安定したバージョンへのアップデート手順など、初心者から上級者まで役立つ情報をまとめました。Edge独自の魅力を損なわずに快適なオンラインミーティングを取り戻すヒントにしてください。
Microsoft Edgeの画面共有トラブルとは
Linux版のMicrosoft Edge(特にバージョン131系)で確認されたトラブルとして、Web会議システムでの画面共有がうまく動作しない問題が複数のユーザーから報告されています。Microsoft Teams(PWA版)をはじめ、Google MeetやZoomなどでも類似の不具合が起きるケースがあるようです。具体的には「画面全体を共有」や「ウィンドウ単位で共有」を試みても、共有候補としてEdge自身のウィンドウしか表示されなかったり、共有操作を行った瞬間にカメラが無効化され「カメラにアクセスできない」といったエラーが出たりする現象が多く見られます。
さらに、今回の不具合はEdgeのバージョン130系まででは問題なく動作していたのに、131系にアップデートした途端に発生することから、バージョンアップによる変更点や依存ライブラリとの整合性に原因があるのではないかと推測されています。ChromiumをベースにしたEdgeですが、Chromium本体のバージョンアップのタイミングで新たな不具合が紛れ込み、Linux向けビルドで特有の影響が顕在化した可能性も考えられています。
原因の詳細とバージョン131系の特徴
想定される原因
画面共有やカメラに関するAPIは、もともとブラウザとOSの間で高度に連携して動作します。Linuxではディストリビューションごとにライブラリのバージョンや構成が異なるため、Edgeが意図するAPI呼び出しと実際のシステム側での処理に齟齬が生じると、画面共有が失敗することがあります。バージョン131系での変更が、特定のライブラリや権限周りの設定に影響を与えている可能性が取り沙汰されています。
1. Chromiumベースの変更点
Microsoft EdgeはChromiumプロジェクトをベースに開発されているため、Chromium自体のアップデート内容によってLinux版の挙動が左右されることが多々あります。今回の不具合も、Chromium側に追加されたセキュリティ対策やマイク・カメラの権限まわりの仕様変更が影響しているかもしれません。
2. ライブラリ依存関係の問題
特にUbuntuやDebian、Arch、Fedoraなど、各ディストリビューションで使われるライブラリのバージョン差により、Edgeが想定したライブラリ(例えばlibpipewireやlibva関連)が最新の状態に追随していないと、不具合が顕在化することがあります。
また、SnapやFlatpakなどで提供されるソフトウェアパッケージでは、サンドボックス化による特有の制限がかかり、画面共有用の特権がうまく働かないケースも否定できません。
3. ブラウザ権限や設定の不一致
Linuxでは、各ブラウザがマイクやカメラ、画面キャプチャを行う際に、システムレベルでのパーミッションやウェブブラウザのサイトごとの許可設定が噛み合わないことがあります。バージョン131系のEdgeが内部的にアクセス要求方法を変更した結果、これまで正常だった設定が合わなくなったというケースも考えられます。
不具合による主な症状
1. Teams PWAでの画面共有不良
Microsoft TeamsのPWA版を利用したWeb会議において、「画面全体を共有」や「特定アプリケーションを共有」のオプションが機能しなくなる事例が多く見受けられます。共有開始ボタンを押しても何も起きない、もしくはEdgeウィンドウだけが選択できる状態になるなど、操作性に大きな支障をきたします。
2. 画面共有の選択肢が制限
本来であれば、ウィンドウ単位やタブ単位など複数の共有方式が用意されていますが、Edge 131系で不具合が起きている環境では、これらの選択肢が極端に制限されるケースが報告されています。ユーザー側には特に設定変更を行ったつもりがなくても、アップデート直後に症状が発生するため戸惑う方が多いようです。
3. カメラの無効化やエラー
画面共有を試みた際に、なぜかカメラまで無効化されるという不可解な症状が確認されています。TeamsやZoomなどでは「カメラにアクセスできない」「カメラが検出されません」などのエラーメッセージが表示され、映像付きのミーティングが不可能になってしまうため、ビジネスシーンでは致命的な問題となります。
実行可能な回避策
1. Edgeのバージョンをダウングレードする
最も即効性がある回避策として、問題がなかった130系へ戻すという方法があります。Debian/Ubuntu系のパッケージ管理を例にすると、以下のコマンドでバージョンを指定してインストールし、アップデートを一時停止(ホールド)することが可能です。
sudo apt install microsoft-edge-stable=130.0.2849.80-1
sudo apt-mark hold microsoft-edge-stable
上記により、再度アップデートされることを防ぐことができます。ただし、古いバージョンを使うことによるセキュリティリスクがある点や、最新機能・修正が取り込まれないデメリットを理解しておく必要があります。
デメリットとリスク
- セキュリティの脆弱性: ブラウザを旧バージョンのまま放置すると、新たに発見された脆弱性に対して無防備になります。特にWebブラウザは常にネットワークに晒されるため、重大な脆弱性が放置されるリスクは高いといえます。
- 最新機能が使えない: 130系から131系で追加された新機能や改善点が利用できなくなるため、他の最新サービスとの互換性問題などが発生する可能性があります。
- 長期的解決にならない: 一時的には画面共有が回復しても、将来的にまた新しいバージョンへのアップデートが必要になるため、根本的解決にはなりません。
2. 別ブラウザへの切り替え
Edge特有の問題である可能性が高いため、画面共有が必要な状況では他のブラウザ(Google Chrome、Firefox、Braveなど)を使うことで、トラブルを回避できます。特にChromiumベースのChromeやBraveでは、Microsoft TeamsやGoogle Meet、Zoomなど主要なWeb会議ツールの動作実績も多く、比較的安定して画面共有を利用できます。
以下のように、暫定的な対処として“環境を切り替える”メリット・デメリットをまとめてみました。
対処法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
Edgeをダウングレード | – すぐに画面共有が復活 – 慣れたEdgeの環境を維持できる | – セキュリティリスク – 長期運用に不向き |
他ブラウザへ切り替え | – 最新ブラウザの使用で安全 – 不具合が少ない | – Edge独自機能が利用不可 – 企業の管理ポリシーなどによっては運用上の手間が増大 |
最新バージョンへ更新 | – 常に最新状態でセキュア – 根本的な修正を期待できる | – 不具合が直るまでタイムラグがあった (現在は修正版がリリース済み) |
3. 最新バージョンへのアップデート
実は2024年12月上旬にリリースされたEdgeの「131.0.2903.86-1」以降のバージョンでは、この画面共有不具合が修正されているとの報告が多数寄せられています。一時的に130系にダウングレードしていた場合も、以下の手順でパッケージのホールドを解除し、再び最新バージョンを導入すれば問題が解決する可能性が高いです。
sudo apt-mark unhold microsoft-edge-stable
sudo apt update && sudo apt upgrade
既に不具合が修正されているバージョンが提供されているのであれば、Edgeのアップデートを再開して最新版へ移行するのが最善策といえるでしょう。
Linuxディストリビューションごとの注意点
同じLinux版Edgeといえど、ディストリビューションによってインストール方法やパッケージ管理の仕組みが異なります。以下にいくつかの代表的なディストリビューションと注意点を示します。
- Ubuntu/Debian系
- APTパッケージを介してEdgeを管理するのが一般的。ダウングレードやバージョン指定が容易で、
apt-mark hold
やunhold
でバージョン固定ができる。 - リポジトリの鍵(GPGキー)が古いままの場合、Edgeがアップデートできないことがあるため、定期的にMicrosoft公式のキー更新をチェックすると良い。
- Arch Linux系
- Microsoft EdgeはAUR(Arch User Repository)経由でインストールされることが多い。自動ビルドの仕組みを使っているため、バージョンアップの反映が速い一方で、不具合が出やすいリスクもある。
- バージョンを固定したい場合、AURヘルパーで特定バージョンのPKGBUILDを利用するか、自身でビルドスクリプトを編集する必要がある。
- Fedora系
- RPMパッケージとして提供されている。
dnf
(あるいはyum
)でのバージョン固定・ダウングレードが可能だが、パッケージのバージョン管理はUbuntu/Debian系に比べるとやや複雑な印象を受ける。 - Gnome ShellやWayland環境で画面共有する際は、
pipewire
やxdg-desktop-portal
などのバージョン相性にも注意が必要。 - その他Snap/Flatpak
- EdgeをSnapやFlatpakで導入している場合、サンドボックスの仕組みが通常のネイティブパッケージとは異なるため、画面共有機能が制限される可能性がある。
- Edge自体が公式にSnap/Flatpakでリリースされているわけではなく、コミュニティによる提供の場合もあるため、不具合報告やバージョン管理は自己責任で行う必要がある。
実際のアップデート事例
ケース1: Ubuntu 22.04 LTSでの修正事例
あるユーザーの報告によると、Ubuntu 22.04 LTS環境でEdge 131.0.2903.48-1を利用していたところ、Teams PWAでの画面共有ができなくなりました。急ぎのミーティング対応のため、暫定的に以下の手順で130系へダウングレードしてしのいだとのことです。
sudo apt install microsoft-edge-stable=130.0.2849.80-1
sudo apt-mark hold microsoft-edge-stable
その後、12月上旬に131.0.2903.86-1がリリースされたことを確認し、次のようにアップデートを実行。
sudo apt-mark unhold microsoft-edge-stable
sudo apt update && sudo apt upgrade
すると問題なく画面共有が復活し、カメラも正常に動作することが確認されたとのことです。
ケース2: Arch Linuxでの一時的なAURビルド
Arch Linuxユーザーの場合、AURのパッケージmicrosoft-edge-stable-bin
をダウングレードした際にビルドスクリプトを手動で修正し、特定バージョンを固定してインストールを行う必要がありました。
AURヘルパーとして有名なyay
を利用し、PKGBUILD
内のソースURLを130系に対応したものに書き換える方法で対処したそうです。
後に131.0.2903.86-1がAURで公開され、ビルドスクリプトも更新されたため、通常通りyay -Syu
でアップデートしたところ不具合が解決したという報告もあります。
まとめ
Microsoft Edge(Linux版)のバージョン131系において画面共有ができない問題は、Microsoft TeamsやGoogle Meet、Zoomなど複数のWeb会議ツールで共通して報告されました。原因としては、Chromiumベースの変更点や権限管理、ライブラリとの互換性が疑われます。
すぐに不具合を回避したい場合は、130系へのダウングレードや他ブラウザへの切り替えが有効ですが、これらはあくまで暫定策です。2024年12月上旬にリリースされた「131.0.2903.86-1」以降のバージョンにアップデートすれば画面共有が再び正常に動作し、カメラの無効化エラーなども解決された事例が多数報告されています。
長期的な観点からは、セキュリティ面・機能面を考慮して、最新版Edgeを継続的に使用するほうがメリットは大きいでしょう。もし、Linuxディストリビューション固有の問題や依存関係が引き金となっている場合は、ライブラリのバージョン確認や設定を見直すことも検討してください。
より快適なオンラインミーティングを実現するためにも、自身の環境に合った方法でEdgeをアップデート・管理しながら、不測の事態に対応していきましょう。
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