Microsoft Edge同期エラー「Your organization has turned off sync for this device」の解消方法

Microsoft Edgeで突然「Your organization has turned off sync for this device」が表示され、同期がうまくいかなくなることは意外に多いトラブルです。個人利用のパソコンでも組織管理の設定が適用される場合があり、原因を突き止めるのは簡単ではありません。そこで本記事では、同期エラーを解消するための具体的な方法や背景知識、トラブルシューティングのポイントを詳しく解説します。

「Your organization has turned off sync for this device」とは?

突然Edgeを開いたときに表示される「Your organization has turned off sync for this device(組織がこのデバイスの同期を無効にしています)」というメッセージは、組織向けポリシーがPC上に何らかの形で適用され、Edgeの同期機能が制限されている可能性を示唆しています。
本来、個人用のPCであれば、ユーザーの意思でMicrosoftアカウントにサインインし、パスワードやお気に入り、拡張機能などを同期できるはずです。しかし、このメッセージが表示されると、同期が完全に無効化された状態になり、Edgeの同期設定にアクセスできなくなるケースが多く見られます。

なぜ「組織管理下」扱いになるのか

個人で購入したWindows 10 / 11のPCにもかかわらず、Edgeが「組織管理下」にあると判定されるのは、Windowsの設定アプリやレジストリに「職場または学校アカウント」(Azure ADアカウントやMicrosoft 365ビジネス/教育機関用アカウントなど)が登録されている場合が考えられます。
特に、仕事用のメールアドレスでMicrosoftのサービスに一度サインインすると、Windowsが組織のアカウントを保持したままになり、後から個人用アカウントでログインし直しても、組織のポリシーが残ってしまうという状況が起こり得ます。

同期エラーの代表的な症状と確認ポイント

Edgeの同期エラーが起きている場合、以下のような症状が現れることが多いです。

  1. Edgeの設定画面で同期オプションがグレーアウトしている
  2. パスワードやお気に入り、拡張機能が同期されない
  3. サインインしても「同期は無効になっています」と表示され、再びサインアウト状態になる
  4. Windowsの「アカウント > 職場または学校にアクセスする」に組織アカウントが表示されている

もし上記のような状態であれば、まずはデバイスが誤って組織管理下として認識されていないかを確認し、不要な職場または学校アカウントを削除するのが最初の一歩です。

確認手順のポイント

Windows設定アプリを開き、「アカウント > 職場または学校にアクセスする」をチェックしてください。ここに見覚えのない企業名や学校名のアカウントが表示されていれば、個人用PCにもかかわらず組織アカウントが残っているか、あるいは誤って接続されていることが原因となっている可能性が高いです。

対処法1:職場または学校アカウントを解除する

もっともシンプルかつ有効な方法は、Windowsで保持している「職場または学校アカウント」を削除することです。これにより、WindowsやEdge上の組織ポリシーがクリアされ、同期の再設定が行える可能性があります。

職場または学校アカウント解除の手順

  1. Windowsの設定アプリを開く(スタートボタン > 設定アイコン)
  2. 「アカウント」をクリックし、「職場または学校にアクセスする」を選択
  3. ここに表示されている組織用アカウントを選択し、「切断」あるいは「削除」を実行
  4. 削除(切断)後、PCを一度再起動して設定が反映されるのを待つ

再起動後は、Edgeで同期を試してみてください。個人用Microsoftアカウントでサインインし直すことで、従来通りパスワードやお気に入り、拡張機能などが同期されるようになるケースが多いです。

対処法2:レジストリエディターでポリシーを削除する

上述の方法でアカウントを削除してもなお「Your organization has turned off sync for this device」というエラーが続く場合、Windowsのレジストリに残っているポリシー情報が原因である可能性があります。これは、組織で配布されたPCに限らず、個人所有のPCであっても誤って組織アカウントが登録された際に適用されることがあるためです。

以下では、必要に応じてレジストリエディターを使い、Edgeに関連するポリシーを削除する手順を解説します。ただし、レジストリの編集は慎重に行い、バックアップを取るなど安全策を講じてから作業することをおすすめします。

レジストリエディターでの削除手順

  1. スタートメニューの検索バーに「regedit」と入力し、レジストリエディターを起動します。
  2. レジストリエディターのメニューから「表示」>「アドレス バー」がオンになっていることを確認してください。
  3. アドレスバーに以下のパスを入力しEnterを押します。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft


左ペインに「Edge」という名前のフォルダ(キー)があれば右クリックし、「削除」を選択します。

  1. 続いて、以下のパスも同様に開きます。
HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Policies\Microsoft


左ペインに「Edge」という名前のフォルダがあれば右クリックし、「削除」を選択します。

  1. レジストリエディターを閉じ、Edgeを再起動します。

この作業でEdgeに関連する組織ポリシーがクリアされるため、再度同期が有効になることが期待できます。

レジストリ編集時の注意点

  • レジストリを誤って編集するとWindowsの動作に支障をきたすことがあります。
  • 削除の前に、対象キーのエクスポートを行ってバックアップを取得しておくと安全です。
  • ポリシーキーが存在しない場合は、問題の原因がレジストリではない可能性があります。

対処法3:個人用Microsoftアカウントでのサインイン

仕事や学校アカウントを解除・削除したら、Edgeには必ず個人用のMicrosoftアカウントでサインインし直しましょう。ほとんどの場合、職場や学校のアカウントは組織の管理ポリシーが含まれているため、同期機能そのものがブロックされているか、利用範囲が限定されています。

個人用Microsoftアカウントでの設定ステップ

  1. Edgeを起動し、右上のプロフィールアイコンをクリック
  2. 「Microsoftアカウントでサインインする」を選択
  3. 個人用のOutlook.comやHotmail.comなどのメールアドレスを入力
  4. パスワードを入力し、同期のオン/オフを確認

もし既に一度個人用アカウントでサインインしているはずなのに、同期が有効化されない場合は、サインアウトして再度サインインし直してみてください。キャッシュや設定の不整合により、一時的に同期が反映されない場合があります。

対処法4:ローカルグループポリシーエディターの確認(必要に応じて)

通常のWindows Homeエディションではローカルグループポリシーエディターが使用できませんが、Windows Pro以上をお使いの場合は、グループポリシーの設定によって同期が無効化されていないかを確認するとよいでしょう。

ローカルグループポリシーの確認方法

  1. Windowsの検索バーに「gpedit.msc」と入力して起動
  2. 「コンピューターの構成」>「管理用テンプレート」>「Microsoft Edge」などの関連項目を探す
  3. 「同期を許可しない」「クラウドプロファイルを無効にする」などの設定が有効になっていないかチェック
  4. 不要な設定があれば「未構成」または「無効」に変更し、PCを再起動

ただし、個人の環境であればグループポリシーが設定されていることは珍しいため、まずはアカウント関連やレジストリに問題がないかを確認してから取り組むとよいでしょう。

アカウントの種類と管理ポリシー

Microsoftアカウントには大きく分けて「個人用アカウント(Outlook.comなど)」と「職場または学校アカウント(Azure Active Directoryに紐付く)」があります。一般的には前者は個人所有のメールアドレス、後者は企業や教育機関から付与されたアドレスで、管理ポリシーの有無が大きな違いです。

アカウント種類用途ポリシー管理
個人用MicrosoftアカウントOutlook.com / Hotmail.com 等の個人用メール原則ユーザー自身で管理
職場または学校アカウント企業/教育機関から支給されたメールアドレス組織側が管理・制限可能

仕事や学校のアカウントを使う場合、組織のセキュリティポリシーにより、パスワードの同期やブラウザ拡張機能の利用を制限されることが少なくありません。これはセキュリティの観点から正当な措置である場合も多く、もしも職場のアカウントで同期を有効にしたい場合は、組織のIT管理者やシステム担当者に問い合わせる必要があります。

トラブルシューティングのQ&A

ここでは、よくある疑問や追加のトラブルに対する対処法をまとめました。

Q1. Edgeのプロファイルを複数作成すれば回避できる?

A. Edgeは複数のプロファイルを作成でき、プライベート用と仕事用を切り替える使い方ができます。しかし、「Your organization has turned off sync for this device」自体はデバイス(またはWindowsのユーザーアカウント)に適用されているポリシーが問題です。異なるプロファイルを用意しても、同じPC上であれば組織ポリシーが作用し、同期は無効のままになる可能性が高いです。

Q2. どうしても仕事アカウントを消したくないが、同期だけ有効にしたい

A. 組織ポリシーが厳格に設定されている場合、個人用PCであっても同期がブロックされる可能性があります。組織アカウントを残しつつ同期を有効にしたいなら、企業のIT部門や管理者に依頼してポリシーを見直してもらう必要があります。もしくは、Windowsにログオンするアカウントとは別に、Edge上だけ個人用アカウントでサインインして同期を有効にするといった方法もあります。

Q3. Edgeをアンインストールして再インストールすれば直る?

A. Edgeのアンインストール・再インストールはWindowsのバージョンによって手間が異なり、標準ブラウザとして統合されている場合は完全な削除は難しいです。仮にアンインストールを行っても、Windowsやアカウントに設定されたポリシーが残る可能性が高いため、根本的な解決にはなりにくいです。

Q4. 職場または学校にアクセスするアカウントを削除しても大丈夫?

A. 仕事でMicrosoft 365アプリを使うために必要な場合など、アカウントを完全に削除できないケースもあるでしょう。ただし、個人利用のPCであれば、不要な場合は削除して問題ありません。再度仕事が必要になったときは、Officeアプリなどを起動する際に改めてアカウントを追加することで利用が可能です。

対策後の確認ポイント

ここでは、実際に問題を解消した後にチェックしたい項目を整理しておきます。

  1. Windowsの設定画面
  • 「アカウント > 職場または学校にアクセスする」で不要なアカウントが再度登録されていないかチェック
  • 個人用アカウントでWindowsにログインしていることを確認
  1. Edgeの設定
  • 右上のプロフィールアイコンからアカウントの種類を確認
  • 「同期」タブで同期がオンになっていることを確認
  • お気に入りやパスワードが適切に同期されているかテスト
  1. レジストリ
  • 先述のキー(HKEY_LOCAL_MACHINE / HKEY_CURRENT_USER配下の「Policies > Microsoft > Edge」)が作成されていないことを再確認
  • 必要ならばバックアップを取り、不要キーが復活していないか都度チェック
  1. グループポリシー(Proエディションのみ)
  • gpedit.mscでポリシーが適用されていないか再度確認
  • 特に「同期を禁止する」「Microsoftアカウントのサインインを制限する」といった設定に注意

より快適にEdgeを使うためのコツ

「Your organization has turned off sync for this device」問題を解決したら、Edgeをさらに快適に活用するためのTipsも押さえておきましょう。

複数デバイスでの同期をフル活用

  • Windows PCだけでなく、スマートフォン(iOS/Android)版のEdgeアプリでも同じMicrosoftアカウントでサインインすれば、パスワードやお気に入り、履歴をシームレスに同期できます。
  • 仕事用とプライベート用を区別するために、Edgeのプロフィール機能を使い分けるのもおすすめです。

拡張機能の活用

  • Chromeウェブストアから拡張機能をインストール可能なため、作業効率アップに欠かせないさまざまなツールを導入できます。
  • 拡張機能もサインインして同期をオンにしておけば、異なる端末でも同じ環境をすぐに再現できます。

アカウントのセキュリティを高める

  • 重要なパスワードをEdgeに保存する場合は、多要素認証(MFA)を有効にしておきましょう。
  • Microsoft Authenticatorなどを導入しておくと、万が一ログイン情報が漏れてもセキュリティリスクを低減できます。

まとめ

「Your organization has turned off sync for this device」エラーは、個人所有のPCでも職場や学校のアカウントが残っていることで組織ポリシーが適用され、Edgeの同期がブロックされることが主な原因です。まずは「アカウント > 職場または学校にアクセスする」で不要なアカウントを削除し、レジストリのポリシーをクリアすることで解決に導けるケースが大半を占めます。

万が一、それでも解決しない場合はローカルグループポリシーエディターを確認し、さらに職場や学校のIT管理者に相談することも視野に入れてください。個人用のMicrosoftアカウントに切り替えてサインインすれば、パスワードやお気に入り、拡張機能などを再び自由に同期できるようになるはずです。Edgeの同期機能はデバイス間でスムーズにブラウジング体験を共有できる便利な機能なので、問題を早めに解消し、快適なインターネットライフを楽しんでください。

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