Rustのwhile letで効率的なパターンマッチングループを実現

Rustはその洗練された構文と安全性の高さで多くのプログラマーに支持されています。その中でもwhile letは、パターンマッチングとループを組み合わせた非常に便利な構文です。この機能を活用することで、特定の条件を満たすデータを効率的に処理できるようになります。本記事では、while letの基本的な使い方から応用例までを網羅し、Rustでの効率的なプログラミング方法を詳しく解説します。特に、while letを使ったイテレータ処理やエラーハンドリングの最適化について、具体的なコード例を通じて学んでいきます。

目次
  1. `while let`とは何か
    1. 基本構文
    2. 簡単な例
    3. 動作のポイント
  2. `while let`の実用例
    1. 例1: スタック構造の操作
    2. 例2: イテレータの使用
    3. 例3: ネストされたパターンマッチング
    4. 実用例のポイント
  3. `while let`の利点
    1. 1. コードの簡潔化
    2. 2. エラーを未然に防止
    3. 3. イテレータ処理の効率化
    4. 4. 読みやすさの向上
    5. 5. パターンマッチングの柔軟性
    6. まとめ
  4. エラーを防ぐ設計
    1. 1. パターンマッチングの抜け漏れを防ぐ
    2. 2. 可変参照の競合に注意
    3. 3. 終了条件の確認
    4. 4. データ型の確認
    5. まとめ
  5. 応用例:イテレータとの連携
    1. 1. 基本的なイテレータとの組み合わせ
    2. 2. 条件付きフィルタリング
    3. 3. 無限イテレータの処理
    4. 4. 複雑なデータ構造の処理
    5. 5. ストリーム処理の応用例
    6. まとめ
  6. `while let`を使うべきケース
    1. 1. 不定長のデータ処理
    2. 2. イテレータから条件に一致する要素の抽出
    3. 3. エラー処理とデータの抽出
    4. 4. ネストされたデータ構造の取り出し
    5. 5. 条件付きリアルタイムデータの処理
    6. 6. パターンマッチングを伴うループ処理
    7. まとめ
  7. 効率的なプログラミングのためのヒント
    1. 1. 適切なデータ構造を選択する
    2. 2. パターンマッチングの活用
    3. 3. 条件付きイテレータを活用する
    4. 4. 終了条件を明確にする
    5. 5. `Option`や`Result`型を活用する
    6. 6. 再利用性の高いコードを書く
    7. まとめ
  8. 演習問題
    1. 問題1: スタックから特定の条件に合う値を取り出す
    2. 問題2: イテレータでフィルタリング
    3. 問題3: ネストされた構造の処理
    4. 問題4: エラーを無視して成功データを処理
    5. 問題5: リアルタイムデータのストリーム処理
    6. まとめ
  9. まとめ

`while let`とは何か


Rustのwhile letは、ループの条件にパターンマッチングを組み合わせた構文です。通常のwhileループが真偽値を条件とするのに対し、while letでは特定のパターンがマッチする間のみループを実行します。この特性により、データ構造やイテレータの中身を効率的に処理することができます。

基本構文


while letの構文は以下の通りです:

while let パターン = 式 {
    // 繰り返し実行するコード
}


ここで、パターンにはマッチング対象の構造を、には評価されるデータを指定します。パターンに一致する場合、ブロック内のコードが実行されます。

簡単な例


次の例では、オプション型の値を処理する様子を示します:

fn main() {
    let mut numbers = vec![Some(1), Some(2), None, Some(3)];
    while let Some(value) = numbers.pop() {
        println!("Got: {}", value);
    }
}


このコードでは、numbersベクタから要素を取り出し、Someに包まれている値が存在する間、処理を繰り返します。

動作のポイント

  1. が評価されるたびに、その結果がパターンにマッチするか確認されます。
  2. マッチする場合のみ、ループが継続します。
  3. マッチしない場合、ループを終了します。

while letは、通常のwhilematch文を組み合わせたような柔軟性を持つため、特定の条件で繰り返し処理を行いたい場合に非常に便利です。

`while let`の実用例


Rustのwhile letは、さまざまな場面で効率的に使える構文です。以下に具体的な実用例を示しながら、その活用方法を解説します。

例1: スタック構造の操作


while letは、スタックのようなデータ構造を処理するのに適しています。以下のコードは、スタックから値を取り出し、処理を行う例です。

fn main() {
    let mut stack = vec![1, 2, 3, 4, 5];
    while let Some(top) = stack.pop() {
        println!("Processing: {}", top);
    }
}


このコードでは、スタックのトップ要素を取り出して処理します。popメソッドが返すOption型に対し、Someパターンがマッチしている間ループを継続します。

例2: イテレータの使用


イテレータを処理する際にもwhile letは有用です。以下の例では、イテレータから偶数の値を取り出して表示します。

fn main() {
    let numbers = vec![1, 2, 3, 4, 5].into_iter();
    let mut iter = numbers.filter(|&x| x % 2 == 0);

    while let Some(even) = iter.next() {
        println!("Even number: {}", even);
    }
}


このコードは、filterで偶数のみを対象としたイテレータを作成し、while letで値を取り出して処理します。

例3: ネストされたパターンマッチング


ネストされたデータ構造を処理する際にもwhile letを使うとコードが簡潔になります。以下は、タプル内の値を処理する例です:

fn main() {
    let mut data = vec![(Some(1), Some(2)), (None, Some(3)), (Some(4), None)];
    while let Some((Some(x), Some(y))) = data.pop() {
        println!("Pair: ({}, {})", x, y);
    }
}


このコードは、タプルの要素が両方ともSomeである場合にのみ処理を行います。

実用例のポイント

  • 柔軟なパターンマッチング:複雑な条件を簡潔に記述可能。
  • 安全性OptionResult型を扱う際に役立つ。
  • 効率性:条件が満たされない場合、即座にループを終了するため無駄な処理を回避できる。

while letを活用することで、コードの簡潔さと効率性を両立したプログラムを構築することができます。

`while let`の利点


Rustのwhile letは、他のループ構文やパターンマッチングとの比較で多くの利点を提供します。その特徴的な利点を以下に説明します。

1. コードの簡潔化


while letを使うことで、条件判定と値の取り出しを一つの構文に統合できます。以下の例を比較してください:

通常のwhilematchの組み合わせ

fn main() {
    let mut numbers = vec![Some(1), None, Some(2)];
    while numbers.len() > 0 {
        match numbers.pop() {
            Some(Some(value)) => println!("Value: {}", value),
            _ => break,
        }
    }
}

while letの使用

fn main() {
    let mut numbers = vec![Some(1), None, Some(2)];
    while let Some(Some(value)) = numbers.pop() {
        println!("Value: {}", value);
    }
}


while letを使用すると、条件判定と値の操作が一体化し、コードが大幅に簡潔になります。

2. エラーを未然に防止


Rustの型システムとwhile letの組み合わせにより、値が特定のパターンにマッチしない場合の動作が明確になります。これにより、NoneErrなどの意図しない値を安全に無視できます。

例:

fn main() {
    let mut results = vec![Ok(1), Err("error"), Ok(2)];
    while let Some(Ok(value)) = results.pop() {
        println!("Got value: {}", value);
    }
    // エラーは自動的に無視される
}

3. イテレータ処理の効率化


while letは、イテレータや動的なデータ構造を操作する際に特に効率的です。余計なメモリアクセスや条件判定を削減し、パフォーマンスの向上に寄与します。

4. 読みやすさの向上


従来のwhilematchの組み合わせでは、条件の意図を理解するのに複数のステップが必要ですが、while letを使用することで、開発者はコードの意図を一目で理解できます。

例:

fn main() {
    let mut tasks = vec!["task1", "task2", "task3"];
    while let Some(task) = tasks.pop() {
        println!("Processing: {}", task);
    }
}

5. パターンマッチングの柔軟性


複雑なデータ構造を扱う際、ネストされたパターンや特定の条件付きマッチングを簡潔に記述できます。

例:

fn main() {
    let mut data = vec![(1, Some("a")), (2, None), (3, Some("b"))];
    while let Some((id, Some(name))) = data.pop() {
        println!("ID: {}, Name: {}", id, name);
    }
}

まとめ


while letの利点は、コードの簡潔性、型安全性、効率性、読みやすさを提供する点にあります。Rustのプログラムをより直感的かつエレガントに記述するための重要なツールと言えます。

エラーを防ぐ設計


Rustのwhile letは安全性の高い構文ですが、適切に設計しないと予期しない挙動を引き起こす可能性があります。このセクションでは、while letを使う際に発生しがちなエラーと、それを未然に防ぐ設計方法を解説します。

1. パターンマッチングの抜け漏れを防ぐ


while letでは、指定したパターンにマッチしない場合にループが終了します。しかし、特定のケースを想定していないと意図しないデータが処理されずに残ることがあります。以下のようにすべてのケースを明確に扱うことが重要です。

間違った設計例

fn main() {
    let mut data = vec![Some(1), None, Some(2)];
    while let Some(value) = data.pop() {
        println!("Value: {}", value); // Noneのケースを処理しない
    }
}

修正例

fn main() {
    let mut data = vec![Some(1), None, Some(2)];
    while let Some(value) = data.pop() {
        match value {
            Some(num) => println!("Number: {}", num),
            None => println!("No value"),
        }
    }
}

2. 可変参照の競合に注意


可変参照をwhile let内で使う場合、データ構造の変更に伴うバグを防ぐため、適切にスコープを管理する必要があります。

問題が発生する例

fn main() {
    let mut numbers = vec![1, 2, 3];
    let mut iter = numbers.iter_mut();
    while let Some(num) = iter.next() {
        numbers.push(*num); // 同時に書き込み操作を行うためエラーになる
    }
}

修正例

fn main() {
    let mut numbers = vec![1, 2, 3];
    while let Some(num) = numbers.pop() {
        println!("Processing: {}", num); // 読み取りと変更を分離
    }
}

3. 終了条件の確認


while letは指定された条件に一致しない場合に終了しますが、終了条件を誤ると無限ループや早期終了を引き起こす可能性があります。終了条件を明確に定義し、テストを十分に行う必要があります。

誤った終了条件

fn main() {
    let mut numbers = vec![1, 2, 3];
    while let Some(value) = Some(numbers.len()) {
        println!("Length: {}", value);
    }
}

修正例

fn main() {
    let mut numbers = vec![1, 2, 3];
    while let Some(value) = numbers.pop() {
        println!("Value: {}", value);
    }
}

4. データ型の確認


while letはRustの型システムに依存しています。操作対象のデータ型が明確でないと、コンパイルエラーや意図しない動作が発生します。

型ミスマッチの例

fn main() {
    let mut data = vec![Some(1), Some("string")]; // 混合型のベクタ
    while let Some(value) = data.pop() {
        println!("Value: {:?}", value); // 一貫性がない
    }
}

修正例

fn main() {
    let mut data = vec![Some(1), Some(2)];
    while let Some(value) = data.pop() {
        println!("Value: {}", value.unwrap());
    }
}

まとめ

  • パターンマッチングを過信せず、すべてのケースを明確に扱う。
  • 可変参照のスコープを適切に管理する。
  • 終了条件を慎重に設計し、無限ループを防ぐ。
  • 一貫したデータ型を利用して型エラーを回避する。

これらのポイントを押さえることで、while letを用いた安全で効率的なコード設計が可能になります。

応用例:イテレータとの連携


Rustのwhile letは、イテレータと組み合わせることでさらにその力を発揮します。特に、イテレータから値を動的に取得しつつ、特定の条件に基づいて処理を行うケースで有用です。このセクションでは、while letとイテレータを連携させた応用例を解説します。

1. 基本的なイテレータとの組み合わせ


イテレータのnextメソッドはOption型を返すため、while letと自然に組み合わせることができます。

fn main() {
    let numbers = vec![1, 2, 3, 4, 5];
    let mut iter = numbers.iter(); // イテレータを作成

    while let Some(&num) = iter.next() {
        println!("Number: {}", num);
    }
}


この例では、iter.next()Some(&num)にマッチする限り、ループが実行されます。

2. 条件付きフィルタリング


イテレータを使うことで、特定の条件を満たす要素だけを処理することができます。

fn main() {
    let numbers = vec![1, 2, 3, 4, 5, 6];
    let mut even_numbers = numbers.iter().filter(|&&x| x % 2 == 0);

    while let Some(&num) = even_numbers.next() {
        println!("Even number: {}", num);
    }
}


このコードでは、filterで偶数のみを抽出し、その結果をwhile letでループ処理しています。

3. 無限イテレータの処理


無限イテレータと組み合わせる場合、明確な終了条件を設ける必要があります。以下は乱数を生成し、特定の条件でループを終了する例です:

use rand::Rng;

fn main() {
    let mut rng = rand::thread_rng();

    while let Some(num) = Some(rng.gen_range(1..=10)) {
        println!("Generated: {}", num);
        if num == 5 {
            println!("Stopping at 5!");
            break;
        }
    }
}


このコードでは、乱数が5になった時点でループを終了します。

4. 複雑なデータ構造の処理


while letを使うことで、ネストされたデータ構造から必要な要素を抽出して処理することが可能です。

fn main() {
    let data = vec![
        Some(vec![1, 2, 3]),
        None,
        Some(vec![4, 5]),
        Some(vec![]),
    ];

    let mut iter = data.into_iter();

    while let Some(Some(inner)) = iter.next() {
        for item in inner {
            println!("Item: {}", item);
        }
    }
}


このコードは、ネストされたベクタの中身をすべて取り出して処理します。

5. ストリーム処理の応用例


以下は、ストリームからデータをリアルタイムで処理するシナリオです。

fn main() {
    let data_stream = vec![Ok(1), Err("Error"), Ok(2), Ok(3)];
    let mut stream_iter = data_stream.into_iter();

    while let Some(Ok(value)) = stream_iter.next() {
        println!("Processed value: {}", value);
    }
}


このコードは、ストリームに含まれる成功したデータ(Ok)のみを処理し、エラー(Err)をスキップします。

まとめ


while letとイテレータを組み合わせることで、以下のような柔軟で効率的なデータ処理が可能になります:

  • 条件に応じた動的なフィルタリング
  • ネスト構造の処理
  • リアルタイムデータのストリーム処理

この応用例を活用すれば、Rustプログラムのパフォーマンスとコードの可読性をさらに向上させることができます。

`while let`を使うべきケース


Rustのwhile letは、特定の条件下での繰り返し処理を簡潔に記述できる構文ですが、すべてのシナリオで最適というわけではありません。このセクションでは、while letが特に効果を発揮するケースを紹介します。

1. 不定長のデータ処理


データの長さや状態が動的に変化する場合、while letは非常に便利です。以下の例では、動的に変更されるベクタから値を取り出して処理します。

fn main() {
    let mut stack = vec![1, 2, 3, 4, 5];
    while let Some(value) = stack.pop() {
        println!("Popped value: {}", value);
    }
}


このように、スタックやキューのようなデータ構造に対して処理を繰り返す際に適しています。

2. イテレータから条件に一致する要素の抽出


イテレータのnextメソッドが返すOption型と組み合わせることで、条件に合った要素を簡潔に抽出できます。

fn main() {
    let numbers = vec![1, 2, 3, 4, 5];
    let mut iter = numbers.iter().filter(|&&x| x % 2 == 0);

    while let Some(&even) = iter.next() {
        println!("Even number: {}", even);
    }
}


このケースでは、イテレータが終了するまで偶数のみを処理します。

3. エラー処理とデータの抽出


Result型やOption型を含むデータを安全に処理する場面でwhile letが役立ちます。

fn main() {
    let results = vec![Ok(1), Err("error"), Ok(2)];
    let mut iter = results.into_iter();

    while let Some(Ok(value)) = iter.next() {
        println!("Processed value: {}", value);
    }
}


この例では、成功したデータ(Ok)のみを処理し、エラー(Err)はスキップします。

4. ネストされたデータ構造の取り出し


複雑なデータ構造から特定の条件に一致する要素を抽出する場合、while letを使うとコードが簡潔になります。

fn main() {
    let data = vec![Some(vec![1, 2]), None, Some(vec![3, 4])];
    let mut iter = data.into_iter();

    while let Some(Some(inner)) = iter.next() {
        for value in inner {
            println!("Value: {}", value);
        }
    }
}


このコードは、ネストされたベクタの中から値を効率的に取り出して処理します。

5. 条件付きリアルタイムデータの処理


データストリームや非同期処理で、特定の条件に応じてデータを処理する場合に有用です。

fn main() {
    let data_stream = vec![Some(1), None, Some(2), Some(3)];
    let mut stream = data_stream.into_iter();

    while let Some(Some(value)) = stream.next() {
        println!("Received value: {}", value);
    }
}


このように、リアルタイム性が求められるシナリオでも活用できます。

6. パターンマッチングを伴うループ処理


特定のパターンが一致する間のみループを実行する場合に、while letは最適です。

fn main() {
    let mut items = vec![(1, Some("a")), (2, None), (3, Some("b"))];
    while let Some((id, Some(name))) = items.pop() {
        println!("ID: {}, Name: {}", id, name);
    }
}


このコードでは、特定の条件に合致するペアだけを処理します。

まとめ


while letが特に有効なケースは以下の通りです:

  • 動的データの長さや状態を処理する場合
  • 条件付きの要素抽出やエラー処理
  • ネストされたデータ構造の取り扱い
  • リアルタイムデータやストリーム処理

これらのシナリオでwhile letを活用することで、コードの簡潔性と可読性を高めることができます。

効率的なプログラミングのためのヒント


Rustでwhile letを活用する際、効率的かつ可読性の高いコードを書くためには、いくつかのベストプラクティスを押さえておくことが重要です。このセクションでは、while letを最大限に活用するためのヒントを紹介します。

1. 適切なデータ構造を選択する


while letは、動的にデータを処理する場合に特に便利です。使用するデータ構造によって効率が大きく異なるため、用途に応じて適切なデータ構造を選びましょう。

効率的な選択例

  • スタック操作VecLinkedListを使用する。
  • キュー操作VecDequeを使用する。

例:

fn main() {
    let mut stack = vec![1, 2, 3, 4, 5];
    while let Some(top) = stack.pop() {
        println!("Processing: {}", top);
    }
}

2. パターンマッチングの活用


複雑な条件を簡潔に記述できるのがwhile letの強みです。特定の値や構造に基づくパターンマッチングを活用しましょう。

例:ネストされた構造の処理

fn main() {
    let mut data = vec![(1, Some("a")), (2, None), (3, Some("b"))];
    while let Some((id, Some(name))) = data.pop() {
        println!("ID: {}, Name: {}", id, name);
    }
}

3. 条件付きイテレータを活用する


イテレータと組み合わせることで、データを効率的に処理できます。条件に応じたデータ抽出を行う際は、イテレータのfiltermapを利用するとさらに効率的です。

例:偶数のみを処理

fn main() {
    let numbers = vec![1, 2, 3, 4, 5];
    let mut iter = numbers.iter().filter(|&&x| x % 2 == 0);

    while let Some(&num) = iter.next() {
        println!("Even number: {}", num);
    }
}

4. 終了条件を明確にする


while letの終了条件が曖昧だと、無限ループや意図しない動作を引き起こす可能性があります。終了条件を明確にするために、コードのコメントや意図を明示する工夫をしましょう。

例:終了条件をコメントで明示

fn main() {
    let mut counter = 5;
    while let Some(value) = Some(counter) {
        println!("Counter: {}", value);
        counter -= 1;
        if counter == 0 {
            break; // カウンタが0になったらループ終了
        }
    }
}

5. `Option`や`Result`型を活用する


while letOptionResult型を安全に処理するのに適しています。エラーやNoneをスキップし、必要な値だけを処理する設計が可能です。

例:エラーをスキップ

fn main() {
    let data = vec![Ok(1), Err("error"), Ok(2)];
    let mut iter = data.into_iter();

    while let Some(Ok(value)) = iter.next() {
        println!("Value: {}", value);
    }
}

6. 再利用性の高いコードを書く


while letを使用したコードは、関数やモジュール化することで再利用性を高められます。特にデータ処理ロジックは、関数化しておくとメンテナンスが容易になります。

例:データ処理の関数化

fn process_data(mut data: Vec<Option<i32>>) {
    while let Some(Some(value)) = data.pop() {
        println!("Processing value: {}", value);
    }
}

fn main() {
    let data = vec![Some(1), None, Some(2), Some(3)];
    process_data(data);
}

まとめ

  • データ構造やイテレータを正しく選択することで効率を向上。
  • パターンマッチングを駆使してコードを簡潔に。
  • 終了条件を明示して意図しない動作を防ぐ。
  • 再利用性の高い設計を心がける。

これらのヒントを活用することで、Rustのwhile letを使った効率的で可読性の高いコードを構築できます。

演習問題


Rustのwhile letを使ったプログラミングに慣れるために、いくつかの演習問題を用意しました。それぞれの問題に挑戦し、コードを書いて実行してみましょう。

問題1: スタックから特定の条件に合う値を取り出す


以下のスタックから、奇数のみを取り出して表示するプログラムを作成してください。

let mut stack = vec![1, 2, 3, 4, 5];


条件:

  • 偶数は無視し、奇数だけを処理する。
  • while letを使用すること。

期待される出力:

Processing: 5  
Processing: 3  
Processing: 1  

問題2: イテレータでフィルタリング


次のベクタをイテレータに変換し、偶数だけを取り出して表示するプログラムを作成してください。

let numbers = vec![10, 15, 20, 25, 30];


条件:

  • イテレータのfilterを活用すること。
  • while letを使用して値を取り出し、表示すること。

期待される出力:

Even number: 10  
Even number: 20  
Even number: 30  

問題3: ネストされた構造の処理


以下のベクタから、Someでラップされたペアの値をすべて表示するプログラムを作成してください。

let data = vec![
    Some((1, "a")),
    None,
    Some((2, "b")),
    Some((3, "c")),
    None,
];


条件:

  • ネストされたSomeを処理するためのパターンマッチングを記述すること。
  • while letを使用すること。

期待される出力:

ID: 1, Name: a  
ID: 2, Name: b  
ID: 3, Name: c  

問題4: エラーを無視して成功データを処理


次のリストから、Okの値だけを取り出して表示するプログラムを作成してください。

let results = vec![Ok(10), Err("error"), Ok(20), Ok(30), Err("another error")];


条件:

  • while letを使用して成功したデータのみを表示すること。
  • エラーの内容は無視すること。

期待される出力:

Value: 10  
Value: 20  
Value: 30  

問題5: リアルタイムデータのストリーム処理


以下のようなデータストリームから、Someでラップされた値だけを取り出して表示するプログラムを作成してください。

let data_stream = vec![Some(5), None, Some(10), None, Some(15)];


条件:

  • while letを使用すること。
  • Noneは無視し、Someの値のみを表示すること。

期待される出力:

Processing: 5  
Processing: 10  
Processing: 15  

まとめ


これらの演習問題を通じて、while letの基本から応用までを実践できます。問題を解きながら、while letのパターンマッチングやイテレータとの組み合わせに慣れていきましょう。

まとめ


本記事では、Rustのwhile letを活用した効率的なパターンマッチングループについて解説しました。while letは、パターンマッチングとループの特性を組み合わせることで、複雑なデータ処理を簡潔に記述できる強力な構文です。

基本構文から始まり、イテレータやエラー処理、ネストされたデータ構造への応用例を示しました。また、効率的なプログラミングのためのヒントや実践的な演習問題を通じて、実用的なスキルの習得をサポートしました。

while letを使いこなすことで、Rustプログラムの可読性と保守性を向上させるだけでなく、安全性や効率性の面でも大きな利点を得られます。この構文を活用し、より洗練されたRustプログラムを構築していきましょう。

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目次
  1. `while let`とは何か
    1. 基本構文
    2. 簡単な例
    3. 動作のポイント
  2. `while let`の実用例
    1. 例1: スタック構造の操作
    2. 例2: イテレータの使用
    3. 例3: ネストされたパターンマッチング
    4. 実用例のポイント
  3. `while let`の利点
    1. 1. コードの簡潔化
    2. 2. エラーを未然に防止
    3. 3. イテレータ処理の効率化
    4. 4. 読みやすさの向上
    5. 5. パターンマッチングの柔軟性
    6. まとめ
  4. エラーを防ぐ設計
    1. 1. パターンマッチングの抜け漏れを防ぐ
    2. 2. 可変参照の競合に注意
    3. 3. 終了条件の確認
    4. 4. データ型の確認
    5. まとめ
  5. 応用例:イテレータとの連携
    1. 1. 基本的なイテレータとの組み合わせ
    2. 2. 条件付きフィルタリング
    3. 3. 無限イテレータの処理
    4. 4. 複雑なデータ構造の処理
    5. 5. ストリーム処理の応用例
    6. まとめ
  6. `while let`を使うべきケース
    1. 1. 不定長のデータ処理
    2. 2. イテレータから条件に一致する要素の抽出
    3. 3. エラー処理とデータの抽出
    4. 4. ネストされたデータ構造の取り出し
    5. 5. 条件付きリアルタイムデータの処理
    6. 6. パターンマッチングを伴うループ処理
    7. まとめ
  7. 効率的なプログラミングのためのヒント
    1. 1. 適切なデータ構造を選択する
    2. 2. パターンマッチングの活用
    3. 3. 条件付きイテレータを活用する
    4. 4. 終了条件を明確にする
    5. 5. `Option`や`Result`型を活用する
    6. 6. 再利用性の高いコードを書く
    7. まとめ
  8. 演習問題
    1. 問題1: スタックから特定の条件に合う値を取り出す
    2. 問題2: イテレータでフィルタリング
    3. 問題3: ネストされた構造の処理
    4. 問題4: エラーを無視して成功データを処理
    5. 問題5: リアルタイムデータのストリーム処理
    6. まとめ
  9. まとめ