OneDriveのPay-as-you-go storageとは?2026年6月変更点と設定・料金

OneDriveの容量不足に対して、ライセンスや固定容量の追加購入ではなく、ライセンス上限を超えて実際に使用した分だけ支払う従量課金型ストレージが追加されます。

2026年6月11日に更新されたMicrosoft 365ロードマップでは、「Microsoft 365: Pay-as-you-go storage for OneDrive」は2026年7月にパブリックプレビュー、2026年10月に一般提供される予定です。管理者がAzureの課金ポリシーを接続し、対象ユーザーのOneDrive上限を引き上げた場合に限って利用される仕組みであり、すべてのユーザーが自動的に従量課金へ移行するわけではありません。(Microsoft)

この記事では、OneDriveで何が変わるのか、誰に影響するのか、設定方法、料金確認、移行時の注意点を実務目線で整理します。

目次

OneDriveの新機能「Pay-as-you-go storage」の変更点

「Pay-as-you-go storage for OneDrive」は、Microsoft 365ライセンスに含まれるOneDrive容量を超えて、必要なユーザーに追加容量を割り当てられる機能です。

ロードマップIDは「562352」で、2026年6月11日更新時点の予定は次のとおりです。

確認項目内容
機能名Microsoft 365: Pay-as-you-go storage for OneDrive
ロードマップID562352
状態開発中
パブリックプレビュー2026年7月予定
一般提供2026年10月予定
対象サービスOneDrive
主な管理場所Microsoft 365管理センター、Azure
課金方式ライセンス容量を超えて使用した分の従量課金

重要なのは、2026年7月はパブリックプレビュー、一般提供は2026年10月予定という点です。ロードマップ上の日付は予定であり、開発状況によって変更される可能性があります。(Microsoft)

Pay-as-you-go storageで何が変わるのか

従来、ユーザーがOneDriveのライセンス容量に達した場合は、不要なファイルを削除する、上位ライセンスを検討する、固定容量の追加ストレージを購入するといった対応が必要でした。

新機能では、管理者が対象ユーザーの最大容量を引き上げ、ライセンス容量を超えた実使用量だけをAzure経由で支払えるようになります。

仕組みは次のとおりです。

  1. Microsoft 365テナントとAzureサブスクリプションを接続する
  2. OneDriveの従量課金サービスを有効にする
  3. 容量を追加したいユーザーのOneDrive上限を変更する
  4. ライセンス容量を超えた実使用量がAzureに請求される

たとえば、ユーザーのライセンス容量が1TBで、管理者が最大容量を3TBに設定したとします。

実際の使用量従量課金の対象
900GBなし
1TBなし
1.5TB500GB相当
2.8TB1.8TB相当

最大容量を3TBに設定しただけでは、3TB分が課金されるわけではありません。ライセンスに含まれる1TBを差し引き、実際に超過して使用した容量が課金対象になります。Microsoftの例でも、1TBのライセンス容量に対して1.5TBを使用した場合、請求対象は0.5TBとされています。(Microsoft Learn)

ユーザー単位の最大ストレージ容量は、従来のOneDrive設定と同様に最大25,600GBまで設定できます。ただし、設定できる最大値と、実務上割り当てるべき容量は別です。必要量を確認せず一律に25TBへ引き上げると、想定外の課金につながります。(Microsoft Learn)

誰に影響するのか

Pay-as-you-go storageの導入によって影響を受けるのは、容量超過ユーザーだけではありません。Microsoft 365管理者、Azure管理者、経理部門を含めた運用設計が必要です。

対象者主な影響
一般ユーザー管理者が上限を引き上げた場合、ライセンス容量を超えて保存できる
SharePoint管理者・グローバル管理者従量課金サービスの接続、ユーザー容量の設定、停止対応を行う
Azure管理者Azureサブスクリプション、リソースグループ、アクセス権を準備する
経理・購買担当者Azure経由の利用料金、予算、アラート、部門負担を確認する
情報システム部門対象ユーザーの選定、申請フロー、上限変更、利用状況の監視を行う

一般ユーザーが自分で従量課金を申し込むサービスではありません。組織の管理者が設定し、料金は接続したAzureサブスクリプションへ請求されます。

また、従量課金サービスを有効にしただけで、全ユーザーのOneDrive容量が自動的に増えるわけではありません。対象ユーザーごとに最大ストレージ容量を引き上げる必要があります。

Pay-as-you-go storageの設定前に確認すること

設定には、Microsoft 365側とAzure側の両方で準備が必要です。

必要な管理権限

OneDrive向けの公式案内では、Microsoft 365管理センターを操作するために、次のいずれかの役割が必要です。

  • SharePoint管理者
  • グローバル管理者

Azure側では、使用するサブスクリプションまたはリソースグループに対する所有者、もしくは共同作成者相当の権限が必要です。Azureサブスクリプションを新規作成する場合は、課金アカウント側の権限も確認してください。(Microsoft Learn)

Azure側で準備するもの

事前に次の項目を決めておきます。

  • Microsoft 365と同じテナントに属するAzureサブスクリプション
  • 課金先として使用するリソースグループ
  • コストを管理する担当部門
  • 予算額とアラート通知先
  • 利用料金を部門別に負担させる場合の集計方法

課金ポリシーに関連付けたAzureサブスクリプションとリソースグループは、後から簡単に差し替える前提ではありません。一時的な検証用リソースグループをそのまま本番用に使わず、会計管理やアクセス権まで含めて設計しておくことが重要です。(Microsoft Learn)

Pay-as-you-go storageを有効にする手順

正式提供時に画面名称が変わる可能性はありますが、Microsoftが案内している従量課金サービスの基本的な設定方法は次のとおりです。

Microsoft 365管理センターで課金ポリシーを作成する

  1. Microsoft 365管理センターへサインインする
  2. 「課金」を開く
  3. 「従量課金制」または「Pay-as-you-go」を開く
  4. 課金ポリシーの追加を選択する
  5. Azureサブスクリプションを指定する
  6. リソースグループとリージョンを選択する
  7. 必要に応じて予算と通知先を設定する
  8. 課金ポリシーを保存する

続いて、作成した課金ポリシーに「Microsoft 365 OneDrive Storage」を接続します。(Microsoft Learn)

対象ユーザーのOneDrive上限を引き上げる

従量課金サービスの接続後、容量を追加したいユーザーの設定を変更します。

  1. Microsoft 365管理センターで「ユーザー」を開く
  2. 「アクティブなユーザー」を選択する
  3. 対象ユーザーを開く
  4. 「OneDrive」タブを選択する
  5. ストレージ使用量の「編集」を選択する
  6. 「このユーザーの最大ストレージ」を指定する
  7. 設定を保存する

ユーザー数が多い場合は、SharePoint Online Management Shellを利用したPowerShellでの変更も検討できます。ただし、一括変更前に現在の上限値と使用量をエクスポートし、元に戻せる状態を作っておくべきです。(Microsoft Learn)

対象ユーザーの指定方法に注意する

従量課金の課金ポリシーでは、Copilot関連サービスを除き、ユーザーやグループを課金ポリシー上で細かく限定する方式ではありません。

OneDriveで実質的に対象者を限定する方法は、追加容量が必要なユーザーだけ最大ストレージ容量を引き上げることです。課金ポリシーの接続だけで対象者を制御できると考えないようにしてください。(Microsoft Learn)

OneDriveアプリの更新やデータ移行は必要か

2026年6月11日時点の公開情報では、OneDrive同期アプリの更新や、新しい保存領域へのデータ移行手順は案内されていません。

公開されている仕組みは、既存のOneDriveアカウントに対して、管理者が最大容量と課金方法を変更するものです。そのため、現時点では次のように整理できます。

  • 新しいOneDriveアカウントへの切り替えは案内されていない
  • ファイルを別サービスへ移動する手順は案内されていない
  • PCやスマートフォンでの再同期手順は案内されていない
  • 主な作業は管理センターとAzureでの課金設定
  • ユーザー側の変更は保存可能なクラウド容量の増加

ただし、プレビュー開始後に追加の要件や制限が公開される可能性があります。本番導入前に、Microsoft 365管理センターのメッセージセンターと最新のMicrosoft Learnを確認してください。(Microsoft)

既存のOneDrive Extra Storageとの違い

Microsoftは、従量課金方式とは別に「OneDrive Extra Storage」も案内しています。こちらは追加容量を固定単位で購入する方式です。

比較項目Pay-as-you-go storageOneDrive Extra Storage
課金方式実際に超過使用した容量に応じた従量課金固定容量のサブスクリプション
課金先AzureサブスクリプションMicrosoft 365の購入契約
容量の考え方ライセンス上限を超えた使用量100GB、500GB、1TB単位などの容量パック
ユーザーへの割り当て対象ユーザーの最大容量を変更1つの容量パックを1人のユーザーへ割り当て
複数ユーザーへの分割実使用量に応じて運用可能1つの容量パックを複数ユーザーに分割できない
向いているケース必要量や利用期間が変動する必要な追加容量が長期間ほぼ一定

OneDrive Extra Storageでは、100GB、500GB、1TBから6TBまでの容量パックが用意され、1つのパックを複数ユーザーへ分割することはできません。(Microsoft Learn)

一時的に大容量ファイルを扱うユーザーや、必要容量を予測しにくい部署には従量課金が適しています。一方、毎月ほぼ同じ容量を長期間使用する場合は、固定容量の追加契約と従量課金の総額を比較する必要があります。

既存契約から切り替える場合の進め方

公式情報では、OneDrive Extra Storageから従量課金方式への自動移行手順は示されていません。切り替える場合は、次の順番で進めると安全です。

  1. 現在のライセンス容量、追加容量、実使用量を記録する
  2. Pay-as-you-go storageを接続する
  3. 対象ユーザーの最大容量を設定する
  4. ファイルのアップロードと同期が正常に行えることを確認する
  5. Azure側で利用量と料金データを確認する
  6. 固定容量契約の更新日や解約条件を確認する
  7. 問題がなければ既存の追加容量契約を見直す

先に固定容量を外すと、ユーザーの使用量が上限を超え、アップロードや更新に影響する可能性があります。新しい上限が反映されたことを確認してから、既存契約を変更してください。

料金について確認すべきポイント

2026年6月11日更新のロードマップとMicrosoft Learnの案内では、OneDrive向け従量課金ストレージの具体的な単価は掲載されていません。

そのため、導入判断では「従量課金だから安い」と決めつけず、プレビュー開始後に次の情報を確認する必要があります。

  • 課金単位がGB単位か、別の単位で集計されるか
  • 月額換算した場合の固定容量プランとの差
  • 通貨換算やAzure契約による価格差
  • 税金や請求書への表示方法
  • Azure Cost Managementで使用できるメーター名
  • 料金データが反映されるまでの時間
  • 解約やサービス切断後の最終請求

現在公開されているMicrosoft 365の従量課金価格案内には複数のサービスが掲載されていますが、OneDrive用ストレージの単価は確認できません。正式な単価は、提供開始後のMicrosoft 365管理センター、Azureの価格情報、契約先からの案内を基準にしてください。(Microsoft Learn)

予算設定だけでは課金を止められない

Azureの予算機能では、指定した金額に達したときの通知を設定できます。ただし、予算額に到達してもサービスや課金が自動停止するわけではありません。

また、Microsoft 365管理センターの予算は課金ポリシー単位であり、OneDriveユーザー単位の予算上限としては設定できません。利用データの表示には最大4時間程度、通知メールには最大24時間程度の遅れが生じる場合があります。(Microsoft Learn)

OneDriveの従量課金で実質的な上限として機能するのは、各ユーザーに設定する「最大ストレージ容量」です。

たとえば、1TBのライセンスを持つユーザーに追加で500GBまで許可する場合、最大容量を1.5TBに設定します。最初から3TBや25TBを設定するのではなく、申請された容量に一定の余裕を加えた値を設定する方が、料金を管理しやすくなります。

利用を停止するときの注意点

OneDriveの従量課金サービスを課金ポリシーから切断すると、ライセンスに基づく容量制限が再び適用されます。

ユーザーがライセンス容量を超えている状態で切断すると、容量超過状態になります。Microsoftの案内でも、切断後はライセンス容量に基づくクォータ制御が再開すると説明されています。(Microsoft Learn)

停止前には、次の対応が必要です。

  • 対象ユーザーの現在使用量を確認する
  • ライセンス容量以下までファイルを整理する
  • 必要に応じて別の追加容量契約を準備する
  • 共有中の大容量フォルダーへの影響を確認する
  • 課金ポリシー切断後もAzureに追加料金が発生していないか確認する

「料金を止めるために、まずサービスを切断する」という進め方は避けてください。先に容量超過を解消し、その後に切断するのが安全です。

提供対象とテナントの違いに注意する

ロードマップ上では、Worldwideの標準マルチテナントに加え、GCC、GCC High、DoDも対象タグに含まれています。(Microsoft)

一方、2026年6月1日更新のMicrosoft Learnでは、2026年7月のパブリックプレビューについて、商用環境と中国の21Vianet運用環境が対象とされ、EducationおよびGCCでは現時点で利用できないと案内されています。(Microsoft Learn)

政府機関向けクラウドや教育機関向けテナントでは、ロードマップの対象タグだけで導入時期を判断しないでください。Microsoft 365管理センターにサービスが表示されるか、対象テナント向けの最新ドキュメントが公開されているかを確認する必要があります。

導入時に失敗しやすいポイント

サービスを有効にすれば全員の容量が増えると思い込む

課金ポリシーを接続しただけでは、ユーザーの最大容量は増えません。追加容量を許可するユーザーごとにOneDriveの上限設定を変更します。

予算をハードリミットとして扱う

Azureの予算は通知機能であり、利用停止機能ではありません。料金を制御するには、ユーザーごとの最大容量を必要最小限に設定します。

全ユーザーの上限を一括で大幅に増やす

現在の使用量を確認せずに上限を増やすと、バックアップファイルや動画などが大量に保存され、料金が急増する可能性があります。対象者を限定し、500GBや1TBなど必要な単位で段階的に増やす方が安全です。

SharePointの追加ストレージと混同する

OneDriveの従量課金ストレージは、ユーザー単位のOneDrive容量を増やすための仕組みです。SharePoint Onlineのテナント共有ストレージを増やすサービスとは、対象となる容量や設定場所が異なります。

容量不足の原因を確認せず追加する

古い動画、端末バックアップ、重複ファイル、退職予定者のデータなどが容量を消費している場合、追加課金よりも先にデータ整理や保存ルールの見直しが必要です。

長期間参照されないデータまでOneDriveへ残し続ける運用では、従量課金を有効にしても根本的な容量問題は解決しません。

管理者が提供開始前に準備するチェックリスト

2026年7月のパブリックプレビューに備え、次の項目を整理しておくと導入判断がスムーズです。

  • OneDrive使用率が80%を超えているユーザーを抽出する
  • 各ユーザーのライセンス容量と最大容量を記録する
  • 既存のOneDrive Extra Storage契約を確認する
  • 追加容量が必要な理由と利用期間を確認する
  • Azureサブスクリプションとリソースグループを決める
  • 管理者、経理担当者、承認者の役割を決める
  • ユーザーごとの容量申請フローを作る
  • Azureの予算と通知先を設定する
  • サービス停止時の手順を作る
  • 正式な単価を確認して固定容量方式と比較する

プレビューでは、最初から全社展開せず、容量不足が明確な少人数のユーザーで検証するのが安全です。実使用量、Azureへの料金反映、管理画面での確認方法、サービス切断時の挙動を確認してから対象を広げてください。

OneDriveの従量課金ストレージに関するよくある疑問

一般ユーザーにも自動的に料金が請求されますか

個人のクレジットカードへ自動請求される仕組みではありません。管理者が設定したAzureサブスクリプションへ、組織の利用料金として請求されます。

容量を増やしただけで料金が発生しますか

設定した最大容量ではなく、ライセンス容量を超えて実際に使用した分が課金対象です。

ユーザー自身で容量を購入できますか

公開されている案内は、Microsoft 365管理者がAzureの課金ポリシーとOneDriveの容量上限を管理する法人向けの仕組みです。

従量課金を停止すれば、超過しているファイルは削除されますか

公開情報では、切断直後にファイルが自動削除されるとは案内されていません。ただし、ライセンス容量に基づく制限が再適用されるため、アップロードやファイル更新に支障が出る可能性があります。停止前に容量超過を解消してください。

いつから利用できますか

2026年6月11日のロードマップ更新時点では、パブリックプレビューが2026年7月、一般提供が2026年10月の予定です。実際の提供時期はテナントやクラウド環境によって異なる可能性があります。(Microsoft)

まとめ

Pay-as-you-go storage for OneDriveは、容量が不足したユーザーに対して、ライセンス上限を超えた実使用量だけをAzure経由で支払える新しい選択肢です。

2026年6月11日更新時点では、2026年7月にパブリックプレビュー、2026年10月に一般提供が予定されています。自動的に全ユーザーが従量課金へ移行するのではなく、管理者による課金ポリシーの接続と、対象ユーザーの容量上限変更が必要です。

導入前には、まずOneDriveの使用率が高いユーザーを抽出してください。そのうえで、Azureの課金先、ユーザーごとの上限、予算通知、承認フロー、停止手順を決めます。

特に重要なのは、予算アラートでは課金を止められないため、ユーザーごとの最大容量をコスト上限として設計することです。正式な単価が公開されたら、既存の固定容量オプションと総額を比較し、少人数での検証から始めるのが現実的です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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