Windows 10でPaint 3Dをオフラインインストールする方法と注意点

近年、3Dモデリングや画像編集の需要が増えているなかで、Windows 10標準のPaint 3Dは手軽に3D機能を試せるツールとして注目を浴びています。ところが、インターネットに接続できない環境や、Microsoft Storeが使いにくいケースではどうすればよいのか、疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。

Paint 3Dとは

Paint 3DはWindows 10向けにMicrosoftが提供するアプリケーションで、名前のとおり従来の2Dペイントに加えて3Dモデルの作成や編集が行えます。立体感のある描画やステッカーの貼り付け、3Dテキストの挿入など、初心者でも比較的簡単に3Dコンテンツを扱えるのが特徴です。

主な機能

Paint 3Dの主な機能としては、以下のようなものが挙げられます。

3Dモデルの作成・編集

複数の基本図形やステッカー機能を活用して3Dモデルを作り上げられます。3Dビューワーと連携し、回転させながら細かな箇所を編集することが可能です。

2D画像の編集

ペイントツールとしての機能も充実しており、従来のPaintに近い操作感で線や図形を書き込むことができます。簡単な画像加工ならこれ一つで済むこともあります。

コミュニティ連携

オンライン環境が整っていれば、Remix 3D（現在は終了していますが）などのコミュニティで作成した3Dモデルを共有できる仕組みがありました。オフライン環境ではこの機能は使えませんが、かつては新しい素材をダウンロードして活用する楽しみ方がありました。

オフラインインストールが求められる背景

Windows 10向けのPaint 3Dは基本的にMicrosoft Store経由でダウンロードします。しかし、以下のようなケースではStore経由での導入が難しくなり、オフラインインストーラーが求められるのです。

企業や学校などネットワークが制限されている場合

セキュリティ上の理由などで、すべてのPCを外部ネットワークへ接続できない環境では、Storeにアクセスすること自体が困難です。代理でアプリを配布しようとしても、自己完結型のインストーラーがないと手間がかかります。

個人でインターネット環境が整わない場合

何らかの事情でオフライン利用が必須の場合、Paint 3Dを手に入れる方法を模索する必要があります。とくに3Dモデリングの学習用にPaint 3Dを試したいけれども、インターネットに接続できないという状況は少数ながら存在します。

Microsoft公式オフラインインストーラーの有無

Paint 3DはMicrosoft Store専用アプリとして提供されているため、Microsoftが公に配布している自己完結型のオフラインインストーラーはありません。一般的なソフトウェアのように公式サイトから「exe」や「msi」形式のインストーラーをダウンロードして導入できるわけではないのです。

Storeアプリという性質上、Microsoft公式のオフラインインストーラーは残念ながら存在しません。アプリの更新や配布があくまでStoreを通じて行われるため、公式から提供されるオフライン手段は期待しないほうが無難です。

非公式サイトやサードパーティの利用

Paint 3Dをオフラインでインストールする方法としてよく話題になるのが、サードパーティサイトの利用や、.appxbundleファイルを直接入手する手法です。具体的には以下のような流れで行われることが多いようです。

Microsoft Store配布パッケージへの直接リンクを生成

インターネット上には、Microsoft StoreのURLを入力すると対応する.appxbundleファイルの直接ダウンロードリンクを生成してくれるWebサービスがあります。これを使えば、Paint 3Dのアプリバイナリを抽出できる可能性があります。

注意点

この方法は正式サポート外であり、安全性が完全には保証されません。また、ダウンロードした.appxbundleファイルが更新版ではない場合や、正規のものではないリスクがあることに留意が必要です。

その他のソフトウェア配布サイトの利用

一部のソフトウェア配布サイトやアーカイブサイトで、ユーザーがバックアップとしてアップロードしたPaint 3Dの.appxbundleやAppxファイルが見つかることもあります。しかし、それが改ざんされていないかを確認する手段が限られるため、ウイルス対策ソフトでのチェックなど入念な安全確認が必須です。

非公式リンクやファイル共有サイトからダウンロードしたPaint 3Dは、セキュリティリスクを伴います。改ざんやマルウェア混入の危険があるので自己責任となる点を忘れてはいけません。

事前インストールによるオフライン環境の維持

Microsoft Storeを利用できるPC環境が一度でも整うのであれば、以下のようなステップでPaint 3Dをオフラインでも使えるようにする方法があります。

手順概要

1. オンライン環境でPaint 3Dをインストール

Windows 10をインターネットに接続できるタイミングで、通常どおりMicrosoft StoreからPaint 3Dをインストールします。

2. インストール済みのイメージをオフライン移行

インストール済みのWindows 10をイメージ化して、ネットワークに接続できないPCへクローンする方法や、同じデバイスをそのままオフライン環境へ持ち込む方法があります。

3. 以後はネットワーク切断でもPaint 3Dを利用

一度Paint 3Dが正常にインストールされていれば、アップデートを諦めればオフライン環境でも起動自体は可能です。

ファイルのコピー移行に関する疑問

通常のソフトウェアであれば、「Cドライブにある関連ファイルをそっくりコピーすれば使えるのでは？」というアイデアもあります。しかしMicrosoft Storeアプリはフォルダ構成やレジストリ、ライセンス情報など、複雑に関連付けされているため、単純なコピーだけでは正常動作しない可能性が高いです。

再インストールが必須

Storeアプリでは依存するコンポーネントやシステムフォルダへの書き込みも行われるため、オフラインインストールを実現するには、やはり.appxbundleを正しくインストールする手段が必要になります。フォルダのコピーではアップデート情報が反映されず、ライセンス認証の整合性が取れないケースがあることも無視できません。

コピー移行だけでPaint 3Dが問題なく動作する保証はありません。トラブルが起きてもサポート外となるため、推奨される方法ではありません。

Windows 11のPaintとの違いと今後の展望

Windows 11には新たなPaintアプリが搭載され、従来のPaintを意識しつつもモダンなUIに刷新されています。しかし、こちらはあくまで2Dペイント機能を中心としたもので、Paint 3Dと同等の3D機能は含まれていません。

Paint 3Dの将来的なサポート

Microsoftが明確にPaint 3Dの配布停止をアナウンスしているわけではありませんが、Windows 11では標準インストールされなくなりました。また、Windows 10向けのサポート期間が近づくにつれて、Paint 3Dのアップデートやダウンロード提供が終了する可能性も取り沙汰されています。

事前確保の重要性

いつ公式から入手できなくなるか読めないため、Paint 3Dをどうしても使い続けたいのであれば、早めにインストールしておくことが得策です。今後のアップデートで非対応になったり、Storeから削除されたりするリスクがゼロではありません。

Paint 3Dのオフラインインストール方法まとめ表

以下に、Paint 3Dをオフラインで利用するにあたって考えられる方法を簡単な表にまとめました。

方法	概要	注意点
公式オフラインインストーラー	Microsoft公式が提供する自己完結型インストーラー	現状は存在しないため利用不可
サードパーティ経由で.appxbundle入手	Webサービスやファイル共有サイトからPaint 3Dの.appxbundleをダウンロード	安全性は自己責任、ウイルスチェック必須
事前インストール済みイメージのコピー	オンライン環境でアプリを導入し、PC全体をクローンやイメージ化してオフラインで利用	ネットワーク隔離前に導入が必要、環境によってはイメージコピーの手間が大きい
フォルダの直接コピー	WindowsAppフォルダ等からPaint 3D関連ファイルをコピー	通常は正しく動作しない可能性が高く非推奨

Paint 3Dを使うメリット

従来のペイントに慣れたユーザーでも、3D機能を少しずつ触ることで空間認識力を向上させたり、新しい発想を得やすい点が魅力です。学習用途にも適しており、子どもが3Dオブジェクトに興味を持つきっかけにもなります。

手軽に3Dを体験できる

専門的な3Dソフトウェアは学習コストが高いものが多いですが、Paint 3Dなら最初からWindows 10に含まれているか、Storeから簡単にダウンロードできるため、導入ハードルが低いです。

軽快な動作

Blenderなどの高機能3Dツールに比べれば必要スペックは低めです。簡単な3D要素の作成やお絵かきを試したいときにサクッと起動できる点は大きな利点といえるでしょう。

Paint 3Dのデメリット

高度な3D編集には不向き

複雑な3Dモデリングやアニメーション機能などはないため、本格的に3Dデザインを学びたい方には物足りないかもしれません。

オフラインインストールが難しいだけでなく、オンライン機能やアップデートもStoreに依存しているため、最新バージョンを使い続けたい場合は常にネット接続環境を要する点もデメリットの一つです。

Paint 3D以外の代替ソフト検討

オフラインで利用できるペイント・3D編集ソフトを探すなら、以下のような選択肢も検討してみると良いかもしれません。

3D Builder

Windows 10に標準搭載されていた3D Viewerや3D Builderは、Storeアプリに近い立ち位置でありながら、簡単な3Dモデルの読み込みや印刷を想定していました。ただし、こちらもStore依存度が高く、開発が活発に続いているわけではありません。

Blender

本格派の3Dソフトですが、公式サイトからオフラインでもダウンロードファイルを取得できます。初心者には若干ハードルが高いものの、広範な機能とオープンソース特有の強みを兼ね備えています。

GIMP・Kritaなどの2Dエディタ

3D機能は持たないものの、2Dペイントや画像編集に特化したフリーソフトとしてGIMPやKritaなどが挙げられます。完全にオフライン環境でインストール用ファイルを配布・取得できるため、Storeに依存しません。

今後の対策とまとめ

オフライン環境でPaint 3Dを利用し続けるためには、まずMicrosoft Storeから事前インストールしておくことが基本的な解決策となります。どうしても事後的に導入する必要がある場合は、非公式の.appxbundleを入手したり、あらかじめアプリを導入したWindows 10のイメージを作成するなどの手法が考えられます。しかしながらセキュリティ上のリスクとサポート外である点を十分に理解しておくことが大切です。

キーポイント

1. 公式のオフラインインストーラーは存在しない

Paint 3DはStoreアプリのため、自己完結型のインストーラーはMicrosoftから正式には提供されていません。

2. サードパーティ入手の場合はセキュリティ対策が必須

非公式サイトでのダウンロードにはリスクがあるため、ウイルススキャンやファイルの整合性確認を徹底しましょう。

3. 事前インストールで利用可能

一度オンラインでPaint 3Dを導入してしまえば、アップデートはできませんがオフライン環境での利用が可能になります。

4. コピー移行は推奨されない

レジストリやシステム依存があるため、フォルダの丸ごとコピーでは正常に動作しない場合が多いです。

5. Windows 11のPaintには3D機能がない

3D編集を望む場合は、Windows 10上でPaint 3Dを確保しておくのがベストです。

結論

Paint 3Dをオフライン環境で使うには、事前のオンラインインストールが最も現実的な方法です。公式のオフラインインストーラーが存在しないため、どうしても後から導入したい場合は非公式の.appxbundleを探す手段がありますが、セキュリティリスクを伴う点を理解して慎重に行動する必要があります。また、Windows 11では標準のPaintに3D機能がないため、もし3Dが必要ならWindows 10でPaint 3Dを確保しておくか、別のソフトウェアを検討することも一案です。