DellノートPCの指紋認証は、Windows Helloを使ってパスワード不要で素早くログインできる点が魅力的です。ところが、一度登録した指紋を削除した後に再登録しようとすると「すでに登録された指紋に類似しています。別の指を試してください」というエラーに悩まされることがあります。ここでは、長年PCを使ってきた私自身の体験談も交えつつ、エラー発生の原因や具体的な対処法をご紹介していきます。
Windows Hello指紋認証のエラー原因:なぜ指紋再登録ができなくなるのか
ソフトウェア上に古い指紋データが残っている
指紋認証を行う際に、Windows Helloとデバイスの指紋センサーが連携して指紋データを読み込みます。このとき、一度登録したデータが削除されていないか、または完全に初期化されていないことが原因で同じ指を再登録できない場合があるのです。実は指紋データはWindows内部のデータベースや、指紋センサー自体にも保存されている可能性があります。このダブル管理のせいで、片方だけを削除してももう片方に古い情報が残ってしまうケースが考えられます。
ハードウェアが持つ指紋情報との不整合
指紋センサーが物理的に指紋パターンを保持しており、Windows側のデータとの間に不整合が生じる場合もあります。DellサポートやMicrosoftサポートへ問い合わせても「データがどこかに残っているかも」という曖昧な回答になることがあり、実際にセンサー交換が必要になる事例も報告されています。
ドライバーやファームウェアの不具合
意外と多いのが、ドライバーやファームウェアの不具合です。特にDellノートPCでは、独自の指紋センサードライバーがインストールされていますが、これがうまく更新されていなかったり、Windowsの大型アップデートとの相性が悪かったりすると、指紋データの削除や再登録に問題を引き起こす可能性があります。

私の場合、古いVostroでWindowsをクリーンインストールしても同じエラーが消えず、本当にお手上げ状態になりました。そこで実践したのが後述の「Windows Biometric Serviceの停止と指紋データファイルの上書き保存」という方法です。
主な対処法:Windows Biometric Serviceから指紋データの上書き削除まで
対処法1:Windows Biometric Serviceを停止してデータファイルを上書き保存
手順の概要
1. Windowsの「サービス」(services.msc)画面を開く
2. Windows Biometric Service (WbioSrvc) を停止する
3. C:\Windows\System32\WinBioDatabase\ 内の .dat ファイルを削除するのではなく、中身を空にして上書き保存
4. Windows Biometric Service を再起動してからPCを再起動
5. 再度、指紋の再登録を試みる
なぜ上書き保存が有効なのか
削除や移動をしただけでは、ファイルの痕跡が別の場所に残ったままになり、Windows側が完全に指紋データをクリアできない可能性があります。そこで、テキストエディタなどでファイルを開いて中身を空にして上書きし、その上で再起動することで、指紋データが初期化されやすくなるという報告が相次いでいます。
対処法2:指紋センサー自体を交換または修理
センサー内部に記憶されたデータが消去できない場合
センサーそのものに問題がある場合、Windows上のファイルをいくらいじっても状況が変わらないことがあります。このケースでは、Dellサポートが判断して実際に指紋センサーのハードウェア交換を行うと改善するという事例があります。特に以下のような症状がみられるときはセンサー不良の可能性が高いです。
1. 異なる指を登録してもエラーが出る
2. クリーンインストール直後でもエラーが持続する
3. センサーが熱を持っている、または正常動作していない形跡がある
対処法3:ドライバーやチップセットの再インストールとアップデート
手順のポイント
1. Dell公式サイトから最新の指紋センサードライバーをダウンロード
2. 同時にチップセットドライバーやBIOSも最新版にアップデート
3. Windows Updateを実施し、OSを最新の状態に保つ
4. それでも解決しない場合は一度Microsoftアカウントからサインアウトして再登録を試す
アップデートによる改善理由
Windows Helloを含むOSアップデートやドライバー更新では、指紋認証機能のアルゴリズムが変更・強化されることがあります。古いドライバーや未更新のチップセットでは、その新しいアルゴリズムに対応できず、指紋データの消去や再登録が不安定になることが考えられます。
ケース別の具体的な対処法一覧
以下の表は、指紋再登録に失敗したときに行うべき手順の優先度やタイミングをまとめたものです。自身の状況と照らし合わせながら進めることで、問題解決の確率が上がります。
ケース | 症状 | 最初に試すべき対処 | 次に試すべき対処 |
---|---|---|---|
ソフトウェア的な問題が疑われる | Windowsで指紋削除後も同じ指を再登録できない | Windows Biometric Service停止&.datファイル上書き保存 | ドライバー更新、OSアップデート |
指紋センサー不調 | 異なる指でもエラーが発生 | ドライバー再インストール | センサー交換 |
ハードウェア故障 | OS再インストール後も改善なし | Dellサポートに問い合わせ | 保証期間内ならセンサー交換 |
実践で気をつけたいポイント
指紋センサー周辺の掃除
物理的な汚れがセンサー表面につくと、登録や認識精度が下がります。とくにノートPCの場合、持ち運びで指紋センサー部分にホコリが入り込む可能性が高いため、エアダスターなどで軽くホコリを除去するだけでも効果があることがあります。
アカウント設定のリセット
Microsoftアカウントに紐づいた指紋データがクラウド側で認識されていると、何度もエラーが出ることがあります。できる範囲でMicrosoftアカウントを一旦ローカルアカウントに切り替えるなど、アカウント情報をリセットするとあっさり改善することもあります。
複数指の登録とテスト
実際のところ、右手の人差し指以外にも親指や中指など、複数の指を登録可能です。エラー時には、別の指でも問題が再現するか試してみることは非常に大事です。複数指で問題なく認証できる場合は、ソフトウェアか特定指の指紋データだけが壊れている可能性が高くなります。



私自身、まったく同じ指がダメでも、薬指は一発で通ったことがあります。やはりデータが絡む複雑な問題のようです。
ハードウェア交換を検討する際のポイント
保証期間内かどうか
DellノートPCの場合、新規購入から1年間のハードウェア保証が標準で付帯することが多いです。指紋センサーの不具合が疑われる場合は、保証期間内に対応を依頼することで無償交換が可能になる可能性があります。
保証外修理の費用
センサー交換にはパーツ代や作業工賃がかかるため、保証期間外だと思いのほか出費がかさむことがあります。あくまでも最後の手段として考え、先にソフトウェア関連の対処を一通り試すほうが賢明です。
まとめ:再登録エラー解消のステップを着実に踏もう
指紋再登録エラーの多くは、Windows Biometric Serviceを停止して指紋データファイルを上書き保存し、再度認証設定をやり直すことで解消されることが報告されています。もしそれでも改善しない場合は、ドライバー更新やクラウドアカウントの影響を排除してから再度トライし、最終的に指紋センサーを交換するという流れがおすすめです。
最後に
長期間PCを使っていると、センサーの耐久性や内部データの蓄積により、一度登録した指が再登録できなくなることがあります。今回の手順を踏んでも解決しない場合は、プロのサポートを仰ぐことも選択肢の一つです。ただ、まずはソフトウェア周りを自力でクリアにしてから問い合わせると、よりスムーズに話が進むでしょう。



トラブルに遭遇するとイライラしがちですが、たまに別の認証方法を使ってみると意外と快適だったりもします。指紋認証の復旧が終わるまで、臨機応変に使ってみてくださいね。
総括:一度登録した指紋はどこかに残っている可能性が高い
登録済みの指紋データが完全に削除されていないため、再登録時に「すでに登録された指紋に類似しています」というメッセージが出ると考えられます。主な原因と対処法を以下に改めてまとめます。
主な原因
Windows Biometric Service関連
Windows内部の指紋データベースに古いデータが残存
指紋センサー側の記憶領域
センサー自体に記録が残っている
ドライバーやOSの不整合
アップデート不足や不具合による認証エラー
主な対処法
Windows Biometric Service停止&ファイルの上書き削除
最優先で試してほしい方法
ハードウェア交換(センサーの故障時)
保証期間内なら迅速な交換対応を受けられる
ドライバー更新とOSアップデート
バグ修正や新機能の反映で改善を期待できる
問題が起きたときは焦らず、ソフトウェア面を一通り見直してから修理や交換などのハードウェア対応を考えましょう。指紋認証は便利ですが、トラブルに陥ったときには意外と奥が深いものです。DellノートPCを長く快適に使い続けるためにも、本記事で紹介した対処法をぜひ一度試してみてください。
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