Windows Server 2022でのRDSライセンス有効化徹底ガイド

Windows Server 2022上でリモートデスクトップサービス(RDS)を利用しようとしたとき、RDS用のライセンスの有効化やインストールで戸惑う方は多いのではないでしょうか。本記事では、基本的なライセンスサーバーの有効化手順はもちろん、ベンダーとのやり取りがうまく進まない場合の対応策まで、実践的な情報をまとめてご紹介します。

Windows Server 2022のライセンスとRDSの関係

Windows Server 2022を導入しただけでは、リモートデスクトップサービス(RDS)用のライセンスは自動的に有効化されません。RDSを利用するためには、以下の2つのライセンス手順をしっかり押さえる必要があります。

• Windows Server 2022本体のライセンス有効化
• リモートデスクトップサービスのクライアントアクセスライセンス(RDS CAL)の有効化・インストール

これら2種類のライセンスは混同されがちですが、性質が異なります。Windows ServerのライセンスはサーバーOS自体を使用する権利を得るもので、一方のRDS CALはRDSを介してクライアント(ユーザーまたはデバイス)がサーバーに接続する権利を得るものです。RDS CALを正しくインストールし、有効化されてはじめてクライアントのリモートデスクトップ接続がライセンス違反なく行えるようになります。

RDライセンスサーバーの有効化手順

RDS CALを導入する前に、まずはサーバー上で「RDライセンスサーバー自体を有効化」することが大切です。有効化の方法は複数ありますが、代表的な手順は次のとおりです。

1. RDライセンスマネージャーの起動

Windows Server 2022で「リモートデスクトップサービス」の役割をインストールすると、「RDライセンスマネージャー」という管理ツールが利用できるようになります。以下の手順で起動できます。

1. [サーバーマネージャー] を開き、左ペインの [リモートデスクトップサービス] をクリック
2. 上部メニューまたはツールから [リモートデスクトップサービスの概要] を選択し、ライセンスに関わるオプションに進む
3. または [ツール] → [リモートデスクトップサービス] → [RDライセンスマネージャー] を直接選択

2. ライセンスサーバーの有効化ウィザードを開始

RDライセンスマネージャーが開いたら、ライセンスサーバーを右クリックし、「サーバーの有効化」を選びます。有効化ウィザードが起動したら、以下の順に進めてください。

1. 接続方法の選択
   オンラインでインターネット接続が可能なら「自動接続」、オフラインや通信環境の制限がある場合は「電話」または「Web ブラウザー」を選択します。電話やWebブラウザーを使うと、認証に必要な情報を手入力で行う方式になります。
2. 会社名や場所などの登録情報の入力
   画面の案内に沿って、会社名・所在地・連絡先などを入力します。正確に登録しないと後々のサポート時に不都合が生じるため、丁寧に入力しましょう。
3. 有効化の完了確認
   正常にライセンスサーバーが有効化されれば、ウィザードの最後に完了メッセージが表示されます。

3. 有効化完了後の確認

RDライセンスマネージャーに戻ると、ライセンスサーバー名の右側に「有効化済み」といった表示が加わるか、ステータスが緑色になるなどの視覚的な変化があります。この段階で、ライセンスサーバーは有効化されています。しかし、この状態だけではまだRDS CALは登録されていないため、次の「RDS CALインストール」を行う必要があります。

RDS CALのインストール

RDライセンスサーバーを有効化したら、次にRDS CAL(クライアントアクセスライセンス)のインストールを行います。手元に購入したCALの情報(ライセンスキー、アクティベーションIDなど)を準備しておきましょう。

RDS CALインストールの手順

1. RDライセンスマネージャーでライセンスサーバーを右クリックし、「ライセンスのインストール」を選択
2. ウィザードに沿って接続方法(自動接続/電話/Web)を再度選択
3. 入力フォームに購入したCALのライセンス番号やキーを入力
4. インストール完了後、RDライセンスマネージャーのライセンスサーバー配下に、追加されたCALの数や種類(ユーザーCAL/デバイスCAL)が表示されることを確認

ライセンス種別の確認

RDS CALには主に「ユーザーCAL」と「デバイスCAL」の2種類があります。どちらを選ぶべきかは環境によって異なりますが、企業の大半のケースでは「ユーザーCAL」が好まれる傾向にあります。以下のように用途によって適切な種類を選択しましょう。

種類	特徴	適したシーン
ユーザーCAL	ユーザー単位でライセンスを付与。ユーザーが複数の端末を使う場合に有効	リモートワークなどで、1人が複数PC・デバイスからアクセスする環境
デバイスCAL	端末単位でライセンスを付与。どんなユーザーが使っても同じ端末ならOK	共用PCからのアクセスがメインで、ユーザー数が端末数を上回る場合

ライセンスマネージャーでの確認項目

インストールが完了したら、RDライセンスマネージャー上で以下の項目をチェックしておきましょう。

• ライセンスサーバー名の下に、正しいCALの種類(ユーザーまたはデバイス)が表示されているか
• 購入したCALの数(例:10ユーザーCALなど)が正しく表示されているか
• エラーや警告アイコンが出ていないか

表示に問題がなければ、RDS CALのインストールは正常に完了しています。

トラブルシューティングとよくあるエラー

RDライセンスサーバーおよびRDS CALの設定がうまくいかない場合、以下のようなエラーメッセージや現象が起きることがあります。トラブルに直面した場合は、メッセージの内容を正確に把握し、原因を切り分けましょう。

ライセンス反映がされない場合

ライセンスインストール自体は成功したと表示されるのに、クライアントからのリモートデスクトップ接続時に「ライセンスが利用できない」といった警告が出るケースです。主な原因と対処法は次のとおりです。

• **RDライセンスサーバーとRDセッションホストの設定不整合** → [サーバーマネージャー] の「リモートデスクトップサービス」で、RDセッションホストがどのライセンスサーバーを参照しているかを確認し、一致しているかチェックします。
• **ライセンスモードの設定ミス** → [グループポリシー] や [ローカルポリシー] で、ユーザーCALまたはデバイスCALのモードにあわせて設定する必要があります。誤って違うモードで設定すると、ライセンスが無効扱いになります。
• **CALの種類や数が不足している** → 予想以上にユーザーが増えた、あるいは誤った種類(ユーザーCALとデバイスCALの混在)を使っているケースです。ライセンス追加も検討してください。

エラーメッセージの例

• 「クライアント アクセス ライセンスが利用できないため、リモート セッションは切断されました」
• 「ライセンスサーバーが見つかりません」
• 「購入したCALの数が不足しています」

これらはいずれも、ライセンスサーバーの参照設定やCALモードの誤り、あるいはライセンスの数が足りないケースが原因で起こりやすいエラーです。ライセンスマネージャーやグループポリシーの設定を再度見直しましょう。

ライセンスサーバーが認識されない場合

ライセンスサーバーを有効化しているはずなのに、RDセッションホスト側から「ライセンスサーバーが見つからない」と表示されることがあります。これは多くの場合、ネットワーク設定やDNS登録の問題が関係しています。

• 名前解決(ホスト名とFQDN)がうまくいっていない
  → 一時的にホスト名の代わりにIPアドレスを指定して接続をテストしてみると原因切り分けが可能です。
• ファイアウォールやセキュリティ設定による通信ブロック
  → RDS関連のポート(デフォルトではTCP:3389)がブロックされていないか確認しましょう。
• Active Directory環境内でのDNS設定エラー
  → ライセンスサーバーがDomain Controllerとは別マシンの場合、DNSレコードが正しく登録されているか確かめてください。

ベンダーのサポートが得られない場合の対処法

ライセンスの購入元ベンダーに問い合わせているのに対応が得られない、あるいはサポートチケットが開かれないというケースも残念ながら存在します。そういった場合には、次の方法を検討してみてください。

1. Microsoft公式サポートへの直接連絡

RDSに関するトラブルは、Microsoft公式サポートが直接対応してくれる場合があります。特にライセンスの認証問題は一般的な問い合わせ窓口で対応してもらえますので、公式のサポートページやサポートLINE、チャットサポートなどを利用しましょう。

2. 他のMicrosoftパートナーを探す

現在のベンダーに固執する必要はありません。Microsoft認定パートナーは数多く存在し、専門的なライセンス業務を得意としている企業も多いです。「Microsoft Partner Center」や「Microsoft AppSource」などのサービスを活用し、ライセンスサポートに強いパートナーを探すのも有効です。

3. ライセンスの購入形態を再確認する

ボリュームライセンス契約(VLK)など、購入形態によっては別のサポート窓口が用意されている可能性があります。購入時の契約情報を再度確認し、該当のライセンス窓口に連絡するとスムーズに対応してもらえるかもしれません。

追加のヒントや注意点

導入後の運用段階で注意しておくべきポイントや、トラブル回避のためのヒントをいくつか紹介します。

オフライン環境でのライセンス有効化

インターネット接続が制限されているサーバー環境では、電話やWebブラウザーで手動認証する方法を活用することになります。ライセンスウィザード上で入力が必要なキーや認証番号は紛失しやすいため、必ず安全な場所に記録しておきましょう。

グループポリシーでのライセンスモードの指定

RDSホストサーバー側でライセンスモードを「ユーザー」か「デバイス」か正しく設定する必要があります。以下のようにグループポリシーを編集することで正しいモードを指定できます。

コンピューターの構成
 └ 管理用テンプレート
    └ Windows コンポーネント
       └ リモート デスクトップ サービス
          └ リモート デスクトップ セッション ホスト
             └ ライセンス
                ├ リモート デスクトップ ライセンス モードをセット
                └ ライセンス サーバーの指定

ライセンスモードを「RDS Per User CAL」または「RDS Per Device CAL」に設定し、ライセンスサーバーもFQDNやホスト名で指定しておくと安心です。

ライセンスの追加やアップグレード

ユーザー数や端末数が増えた場合、新たにCALを追加購入してライセンスサーバーにインストールする必要があります。既に登録されているCALと同じ種類(ユーザーCAL同士など)を追加するのが一般的です。もしデバイスCALとユーザーCALを混在させる場合、運用や管理が複雑になりがちなので、よく検討してから導入しましょう。

実際の運用でのログ監視

ライセンス関連の問題は、イベントログにも重要な情報が記録されています。ライセンスサーバーやセッションホストのイベントビューアを定期的にチェックし、ライセンス切れや異常を早期発見できるようにしておくと大きなトラブルを未然に防げます。

PowerShellでのライセンス管理の一例

Windows ServerのGUI操作だけでなく、PowerShellを使ってライセンスサーバー設定の情報を取得する方法もあります。例えば、以下のコマンドで「RDライセンスサーバーに関するレジストリ情報」を参照可能です。

Get-ItemProperty -Path "HKLM:\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\TermService\Parameters\LicenseServers"

ここでライセンスサーバーのホスト名や設定されているポートが確認できます。トラブルシューティング時にGUIよりも迅速に情報を取得したい場合に役立ちます。

まとめ

Windows Server 2022とRDS CALの組み合わせでリモートデスクトップサービスを利用する際は、

1. まずはWindows Server自体のライセンスを有効化する
2. RDライセンスサーバーを有効化する
3. RDS CAL(ユーザー/デバイス)をインストールする
4. ライセンスモードや接続先をグループポリシーで正しく設定する

といったステップを踏む必要があります。
もしベンダーのサポートが滞ったとしても、Microsoft公式サポートや認定パートナーに相談すれば解決の糸口が見つかる可能性が高いです。必要な情報を整理し、手順を着実に進めることで、スムーズにRDS環境を運用していけるでしょう。