OutlookやWordなどのOfficeアプリを使っていると、しょっちゅう「モバイル アプリを入手していつでも対応しよう」「外出先で編集しよう」といったメッセージが表示されると、作業の流れが途切れて少し煩わしく感じてしまいますよね。これらはMicrosoft 365(旧Office 365)の製品連携を促すための通知ですが、既にスマホアプリを導入している方にとっては意味のないリマインドでもあります。本記事では、OutlookやWordなどで表示される「モバイル アプリを入手」などの通知を消す具体的な方法を詳しく解説します。設定の中には少しわかりにくい場所にあるものもあるので、一つずつ確認していきましょう。
Office製品で頻繁に表示される「モバイル アプリを入手」通知の概要
Officeを使っていると、画面右上や文書を閉じるタイミングなど、さまざまなシーンで「モバイル アプリを入手」「外出先で〇〇を編集しよう」といったポップアップが表示されることがあります。Microsoftとしては、スマートフォンやタブレットで生産性を高めるために推奨しているのですが、既にアプリをインストール済みのユーザーにとっては重複した案内でしかありません。
この通知が発生する主な理由
- Microsoftアカウントとの同期強化
Microsoft 365は、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットでもスムーズにドキュメントを閲覧・編集できるよう設計されています。そのため、デスクトップ版のOfficeアプリを利用していると、自動的にスマートフォン版を利用するように促す仕組みが備わっています。 - ライセンス契約に基づく機能アナウンス
Microsoft 365ライセンスには、マルチデバイスでの使用権が含まれています。このため、「もっと活用してみませんか?」という形で積極的に通知を出している背景があります。 - 初期設定のまま使っている
OutlookやWordなどのオプション設定で、「ヒントやアドバイスを表示する」「接続されたエクスペリエンスを活用する」などがオンになっていると、関連するチュートリアルやアプリ案内を表示しやすくなります。
実際によくある表示タイミング
- 新規メール作成を終了してOutlookを閉じようとした時
- Wordで文書を開いてすぐ編集を始めようとした時
- OneDriveと連携しようとした時
- ファイルメニューを開いた際の右側ペインに広告・案内として表示される
これらのタイミングで、頻繁に同じ内容が繰り返されるので、ちょっとした作業の合間でもストレスに感じる方は多いでしょう。
Outlookで「モバイル アプリを入手」などのポップアップをオフにする方法
Outlookで通知を止めるには、まずオプション設定を調整します。バージョンによっては少しメニュー名が異なるケースがありますが、基本的には以下の手順で対処可能です。
Outlookオプションを確認
- Outlookを起動し、「ファイル」→「オプション」を選択
メインウィンドウ左上の「ファイル」タブをクリックすると、メニュー一覧が表示されるので、一番下あたりにある「オプション」を選びます。 - 「Outlookのオプション」ダイアログで「全般」を開く
左ペインにあるメニューの中から「全般」をクリックし、表示される内容を確認します。 - 起動時オプションの設定を変更
バージョンによっては「Outlookのスタートアップ時にWelcome画面を表示する」や「Microsoft 365に関する新機能の通知を表示する」などのチェックボックスが存在します。これらをオフにすると、余計な案内が減ることがあります。 - 「OK」をクリックして設定を確定
変更を行ったら、必ず「OK」ボタンを押して設定を保存し、Outlookを再起動してみましょう。
バージョンによるメニュー項目の違い
- 「ファイル」→「オプション」→「クライアントの動作オプション」という名前の項目にまとめられている場合もあります。
- 「ヒントやアドバイスを表示する」など、雑多なガイドを含む項目がオンになっていることもあるので、合わせてチェックを外しておくとさらに煩わしい通知が減少します。
Wordで「外出先で編集しよう」などのメッセージをオフにする方法
Wordで表示される「モバイル アプリを入手して…」といった通知は、プライバシー設定や接続されたエクスペリエンスのオプションを切ることで抑制できる場合があります。下記のステップを試してみてください。
Wordのアカウント設定から「プライバシー設定」を確認
- Wordを起動し、「ファイル」→「アカウント」を選択
Wordの画面左上にある「ファイル」をクリックし、メニューの中から「アカウント」を探します。 - 「製品情報」→「プライバシー設定」を開く
「製品情報」の画面右側や下部に「アカウントのプライバシー」というボタンが表示されている場合があります。これをクリックすると、プライバシーに関する各種項目を設定できるダイアログが開きます。 - 「接続されたエクスペリエンスを促進する」のチェックを外す
この項目がオンになっていると、クラウド連携や様々な情報提示が行われる仕組みになっています。例えば「オンラインでのドキュメント共有を促進する」「スマートフォンアプリを利用して編集を続行する」などのガイダンスが含まれるため、チェックを外すことで不要な案内を減らせます。 - 「OK」で設定を確定し、Wordを再起動
設定変更後はWordを再起動し、しばらく操作してみて通知が減ったかどうか確認しましょう。
その他の通知関連設定
- 「ファイル」→「オプション」→「表示」「校閲」「詳細設定」タブの中にも、ユーザーにアドバイスを表示するオプションが含まれる場合があります。必要に応じて見直してみると良いでしょう。
- 企業や学校のMicrosoft 365アカウントを使っている場合、システム管理者のポリシーにより一部の設定が変更できないこともあるため、その場合は管理者に確認が必要です。
レジストリ編集でさらに細かい制御を行う
どうしてもOutlookで「モバイル アプリを入手」通知を完全に止めたい場合は、レジストリを直接編集する方法がMicrosoft公式ドキュメントに案内されています。ただし、レジストリ操作は慎重に行わないとシステムに不具合を起こす恐れがあるため、作業前にバックアップをとることを強くおすすめします。
レジストリエディタでの主な操作例
以下は、Outlookのモバイルアプリを勧誘するオプションを無効化するためのレジストリキーの例です。実際に編集する際は、ご利用のOfficeバージョンやOSのエディションに合ったキーを確認してください。
Windows Registry Editor Version 5.00
[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Office\16.0\Outlook\Setup]
"DisableOutlookMobileHyperlink"=dword:00000001
- DisableOutlookMobileHyperlink
この値が1
になっていると、Outlookモバイルのハイパーリンクや「モバイルでOutlookを使ってみませんか?」といった通知が表示されにくくなります。 - 対象バージョン
“Office\16.0\Outlook”というパスは、Office 2016以降(Microsoft 365も含む)のOutlookに対応しています。バージョンによっては「15.0」「14.0」などの違いがあるので、実際の環境に合わせて修正してください。
レジストリ編集時の注意点
- 管理者権限でレジストリエディタを開く
Windowsキー+R →「regedit」と入力してEnterを押すと開けます。 - 該当キーを見つける
デフォルトでは設定が存在しない場合もあるので、新規にDWORD値を作成する形になります。 - 操作ミスを防ぐためにバックアップを推奨
レジストリエディタの「ファイル」→「エクスポート」で必要な部分をエクスポートし、万が一のトラブルに備えておきましょう。
グループポリシー(GPO)を使った集中管理
組織内で多数のクライアントPCを一括管理している場合、グループポリシーを使うことで「モバイルアプリの案内をブロックする」設定をまとめて配信できます。これは主にIT部門やシステム管理者向けですが、以下のような手順で行います。
Office用グループポリシー管理テンプレートを用意
Microsoft公式サイトからOfficeのADMX/ADMLファイルをダウンロードし、Active DirectoryドメインのCentral Storeに格納する必要があります。これにより、グループポリシーエディタでOffice特有の設定を管理できるようになります。
Outlookのポリシー編集
- グループポリシー管理エディタを開く
「グループポリシーの管理」MMCを立ち上げ、対象のOUやドメインに対して新しいGPOを作成します。 - ユーザーの構成 / ポリシー / 管理用テンプレート / Microsoft Outlook
という階層を辿って、モバイルアプリ関連の設定を探します。 - “Remove ‘Get and set up Outlook Mobile app on my phone’”
などの名前がついたポリシーが見つかれば、それを「有効」にすることで案内をブロックできます。
GPO適用時のチェックポイント
- GPOの適用範囲(リンク先OUやユーザーグループ)が正しいかどうか
- レプリケーションのタイミングや、クライアントPCのグループポリシー更新が行われているか
- ポリシーを有効にしても効果が出るまでに時間がかかる場合もあるので、適用状況を確認しながら進める
設定比較表:状況別におすすめの対応策
以下の表は、個人PCでの対策と組織管理での対策を比較したものです。自分の環境に合った方法を選択しましょう。
対策手段 | 個人ユーザー向け | 組織(管理者)向け | 難易度 | 即効性 |
---|---|---|---|---|
Outlookオプション | ○ | △ | 低 | 高 |
Wordプライバシー設定 | ○ | △ | 低 | 高 |
レジストリ編集 | ○(上級者向け) | ○ | 中~高 | 中~高 |
グループポリシー(GPO) | × | ○ | 中~高 | 中~高 |
- 難易度: 設定の内容を理解しやすいか、誤操作のリスクがどの程度あるかを示したものです。
- 即効性: 設定が適用されてから実際に通知が止まるまでの早さを示しています。
通知を消す際の注意点とまとめ
- Officeの最新バージョンにアップデートしておく
古いバージョンのOfficeを使っていると、設定画面が異なるだけでなく、セキュリティ面でもリスクが高まります。アップデートを行っておくことで、最新のUIや設定項目に統一され、手順通りに操作しやすくなります。 - 「Promote connected experiences(接続されたエクスペリエンスの促進)」を一部オフにすると便利
ただし、接続されたエクスペリエンスには「文法校正」や「共同編集」などの便利な機能も含まれます。全部オフにするとクラウド連携機能が制限されることもあるため、慎重に取捨選択してください。 - 設定変更後は必ずアプリを再起動して確認
特にOutlookは、オプションの変更が起動時に読み込まれるケースが多いため、再起動しないと効果がわからない場合があります。Wordも同様に、文書を開き直してメッセージが消えたかどうかを確認しましょう。 - 組織全体で一括管理したい場合はGPOやIntune
クラウド管理が進んでいる場合、Microsoft Intuneを利用してポリシーを配信するケースもあります。端末が大量にある場合は、一台ずつ設定するよりも管理ツールを活用した方が効率的です。 - 通知がどうしても消えない場合はサポートを確認
Microsoft公式ドキュメントやコミュニティフォーラムを参照すると、バージョンごとの具体的なレジストリキーやGPO項目名を見つけられることがあります。環境依存の問題もあるので、最終的には公式サポートへ問い合わせるのも一つの手段です。
総じて、これらの通知はMicrosoft 365のメリットである「デバイス間連携を活用してほしい」という意図で設けられています。しかし、既にスマートフォンでOutlookやWordを使っている方にとっては不要なだけではなく、作業の集中力をそがれる原因にもなりがちです。今回ご紹介したオプション設定やレジストリの変更、あるいはグループポリシーの適用によって、余計な通知をストップさせてより快適な作業環境を整えてください。
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