Surface Pro 9を使っていて、ある日突然Windows Helloの顔認証が動かない、さらにはPINによるサインインもできなくなってしまった――。大切なデータにアクセスできないと、とても不安になりますよね。ここでは、そうした状況をスムーズに解決するための具体的な方法と対処手順を、やさしく詳しく解説します。
Surface Pro 9の顔認証とPINが突然機能しなくなる原因
顔認証やPINサインインが突然使えなくなると、まず疑いたくなるのが「ソフトウェアやドライバーの不具合」「セキュリティ関連の設定ミス」「アカウントまわりの問題」などです。これらは日常的にWindowsを使っていても起こり得るため、早めに原因を把握して解決に導くことが大切です。以下では、主な原因をいくつかピックアップして考察してみましょう。
Windows Updateの遅れやドライバー不具合
Windowsは定期的にアップデートが配信され、OS本体だけでなく各種ドライバーやセキュリティ関連のプログラムも更新されます。もし最新のアップデートを適用していないと、Windows Helloまわりの機能が正しく動作しなくなるケースがあります。また、ドライバーが古いバージョンのままだと、カメラがうまく認識されなかったり、PINの管理を行う内部モジュールがエラーを起こすことも考えられます。
Surface Pro 9に特有の要因
Surface Pro 9は、インテル版とARM版のモデルがあり、さらにWi-Fiモデルや5Gモデルなど種類が多岐にわたります。インテル版の場合は、Intel Iris Xe Graphicsなどの専用ドライバーが関わってくるため、同じSurfaceシリーズでもPro 8やPro 7とは異なるドライバーセットが必要です。そうした固有のドライバーがうまく動作していないと、カメラを用いたWindows Helloが機能しない可能性があります。
セキュリティ設定やアカウントの問題
Windows HelloとPINサインインは、どちらもセキュリティに深く関わる仕組みです。もしサインイン方法に関するポリシーやグループポリシーが変更されていた場合、あるいはMicrosoftアカウントのパスワードがロックされているなどの問題が起きていると、認証機能が停止してしまうことがあります。特に企業で管理されているデバイスの場合、管理者の意図しない設定変更やセキュリティソフトの影響が原因になり得るでしょう。
具体的な対処法
それでは、Surface Pro 9の顔認証とPINサインインが使えなくなったときに試したい、具体的な手順を紹介します。特定の原因を pinpoint するのは難しいですが、以下のステップを順番に試すことで多くの場合は解決できます。
1. Windows Updateを実行する
最初に確認すべきは、Windows本体のアップデートです。Windowsは定期的に新しいアップデートがリリースされているため、見落としていると不具合がそのまま残ってしまう可能性があります。
- スタートボタンを押して 「設定」 を選択
- 「Windows Update」 をクリック
- 「更新プログラムのチェック」 ボタンを押し、見つかったアップデートをすべてインストール
- アップデート完了後、デバイスを再起動
この手順を行うことで、Windows Helloまわりの最新のパッチも適用され、問題が解消されるケースがあります。特に、セキュリティ更新プログラムや機能更新プログラムを適用していなかった人は、まずはここからスタートしましょう。
Windows Updateが失敗する場合
まれにWindows Update自体がエラーとなり、更新に失敗するケースもあります。その場合は以下のコマンドを試すことで、システムファイルの修復とコンポーネントのクリーンアップを行うと改善する可能性があります。
sfc /scannow
dism /online /cleanup-image /restorehealth
これらのコマンドを管理者権限で実行し、修復が完了したら再度Windows Updateを試してみてください。
2. Surface Pro 9用ドライバーとファームウェアのインストール・更新
Windows本体のアップデートだけでなく、Surface特有のドライバーやファームウェアも最新の状態に保つことが重要です。Microsoft公式サイトでは「Surface Pro 9 (Intel) Drivers and Firmware」が公開されており、これをダウンロードして手動で適用することができます。
以下はドライバー更新の流れを簡単にまとめたものです。
- Microsoft公式サイトのSurfaceダウンロードページにアクセス
- 該当するSurface Pro 9(Intelモデル)用の最新ドライバーパッケージをダウンロード
- ダウンロードした.exeファイルを実行し、手順に従ってインストール
- インストールが完了したら再起動
インストール後は、下記のように 「デバイス マネージャー」 を開き、主要デバイスのドライバーが正しく更新されているか確認してみましょう。
デバイスの種類 | ドライバー例 | バージョン確認場所 |
---|---|---|
カメラ | Surface Camera Windows Hello | デバイス マネージャー → カメラ欄 |
システム アグリゲーターファームウェア | Surface System Aggregator Firmware | デバイス マネージャー → ファームウェア欄 |
グラフィックス | Intel Iris Xe Graphics | デバイス マネージャー → ディスプレイアダプター欄 |
その他 | Surface Integrationなど | デバイス マネージャー → システム デバイス欄 |
ここで、ドライバーの日付やバージョンが最新かどうかをチェックしましょう。公式サイトで公開されている日付やバージョンと一致していなければ、再インストールや最新版の再確認を行ってください。
ファームウェア更新の重要性
ドライバーと同様に、Surface固有のファームウェアにも不具合修正が入ることがあります。ファームウェアはハードウェアを制御する最も基本的なソフトウェアで、ここに問題があるとWindows Helloのカメラ制御に悪影響を及ぼす可能性があります。更新を怠ると不具合が長引く原因にもなるため、ドライバーだけでなくファームウェアの適用も必ずセットで行いましょう。
3. Windows Hello顔認証とPINを再設定する
一度設定されたWindows Hello顔認証やPINが機能しなくなったときは、再設定が有効な場合があります。設定情報がなんらかの要因で壊れている可能性をリセットするイメージです。
- スタートボタンを押して 「設定」 を選択
- 「アカウント」 → 「サインイン オプション」 を選択
- Windows Hello顔認証・PINをそれぞれ削除(「削除」ボタン)
- 削除後、再度「セットアップ」や「追加」から顔認証・PINを設定し直す
特に顔認証の場合は、登録時の環境(明るさや姿勢など)も影響します。再設定時には照明がある程度明るい場所で行い、カメラが十分に顔を捉えられるようにするのがコツです。また、メガネをかけたり外したりといった状態の違いも認識精度に影響を与えます。複数の状況で認識を学習させるために、設定時や「顔の追加」で異なる状態を登録しておくと便利です。
ローカルアカウントからMicrosoftアカウントへの切り替え
まれに、ローカルアカウントでサインインしている状況でWindows Helloがうまくいかない場合があります。そうしたときには、Microsoftアカウントへ切り替えることで解決できることがあります。
切り替え手順は以下のとおりです。
- 「設定」 → 「アカウント」 を開く
- ローカルアカウントの状態から「Microsoftアカウントに切り替える」オプションを選択
- Microsoftアカウントの情報を入力して、アカウントを移行
移行後は、改めてWindows HelloやPINの設定を試してみましょう。
4. Surface Diagnostic Toolkitを実行する
Microsoft公式のツールとして提供されている「Surface Diagnostic Toolkit」は、Surface専用の診断とトラブルシューティング機能を備えています。ソフトウェアだけでなくハードウェアチェックも行い、不具合の原因を診断して修正できることがあります。
- Microsoft公式サイトから「Surface Diagnostic Toolkit」をダウンロード
- インストール後にツールを起動し、表示される指示に従ってテストを実行
- 見つかった問題があれば、そのままツールによる修正を適用
実際、カメラ周辺の検査やシステムファイルの状態確認など、ユーザーが個別に行うには複雑な工程を自動化してくれるため、初心者でも安心して使えます。診断ツールの結果として「Windows Helloのモジュールが古い」といった具体的な原因が表示されることもあり、そのまま対処方法を案内してくれます。
診断完了後の再起動
Surface Diagnostic Toolkitで修正が行われた場合、再起動を求められるケースが多いです。ツール適用後に必ずデバイスを再起動して、修正が確実に反映されるようにしてください。再起動後にWindows HelloとPINの動作を再度テストし、不具合が解消されているか確認しましょう。
5. 最終手段としてSurfaceのリセット
上記の手順をすべて試しても解決しない場合、最後に試す方法としてSurface Pro 9のリセットがあります。これは、いわゆる「初期化」を行う手段で、OSを再インストールするため、根本的にシステムをクリーンな状態に戻すことができます。
- 「設定」 → 「システム」 → 「回復」 を開く
- 「このPCをリセットする」 を選択
- ファイルを保持するか完全に削除するかの選択肢が表示されるので、必要に応じて選択
- リセット処理が完了するまで待つ
ただし、初期化する前に必ずバックアップをとりましょう。大切なデータやアプリケーション、設定はリセット時に失われる場合があります。リセット後はWindowsの初期設定画面が表示されるので、そこから再びWindows HelloやPINの設定をして、問題が解消されているか確認してください。
リセット前のチェックポイント
リセットを実行する前に、もう一度以下の項目をチェックすると、時間と手間の節約になる場合があります。
- 最新のドライバーが正しく導入されているか
- Windows Updateに失敗した履歴はないか
- セキュリティソフトやVPNソフトが影響していないか
- アカウントの状態(ローカルかMicrosoftアカウントか)に問題はないか
特に企業管理下のデバイスの場合、自分でリセットを試す前にIT管理者やサポート部署に相談することも選択肢の一つです。
対処法を試す上でのちょっとしたコツ
ここまで紹介してきた手順は、すべて同じ比重で大切ですが、実施にあたってスムーズに進めるためのコツをいくつか紹介します。
こまめに再起動とバックアップを取る
Windowsのアップデートやドライバー更新、ツールの適用などを行うときは、作業の合間に再起動を行うことで問題の切り分けがしやすくなります。再起動することで更新内容が確実に反映され、同時に他のソフトウェアやシステムキャッシュの影響もクリアされます。また、操作ミスやアップデートの不具合で思わぬトラブルを引き起こさないように、必ず重要データのバックアップをとっておきましょう。
デバイス マネージャーやイベント ビューアーの活用
原因不明のエラーが出ている場合、「デバイス マネージャー」や「イベント ビューアー」にエラー情報が記録されていることがあります。
- デバイス マネージャーでは、問題のあるデバイスに「!」マークが表示されることが多く、そこから詳細を確認できます。
- イベント ビューアーでは、「システム」や「アプリケーション」のログにエラーメッセージが残っている可能性があります。
ここに表示されたメッセージやエラーコードをもとに検索すると、トラブルシューティングのヒントが得られるでしょう。
周辺機器を外してテストする
USBハブや外付けモニター、外付けキーボードといった周辺機器との相性で、Windows Helloが正しく動作しなくなる事例はまれに報告されています。原因としては、USBポートやドライバーが競合を起こしているケースや、電源まわりに負荷がかかってカメラが一時的に認識されないケースなどが挙げられます。一度、周辺機器をすべて外してSurface Pro 9だけの状態にしてから、顔認証やPINが動作するかどうか試してみると、原因の切り分けがしやすくなります。
まとめ:ドライバーとファームウェアの更新が鍵
今回ご紹介した一連の対処法の中でも、特に重要なのが「Surface Pro 9用の最新ドライバーとファームウェアを導入すること」です。これによって、Windows Helloを含むハードウェアの基本制御部分が正常に機能するようになります。実際にドライバー更新を行った結果、すぐに顔認証やPINが復活したとの事例も多く聞かれます。
もちろん、Windows UpdateやSurface Diagnostic Toolkitなど、あらゆる可能性を網羅的に試すことで、トラブルの早期解決につながります。もし複数の方法を試しても改善しない場合は、最終的にSurface Pro 9のリセットを検討するのも一つの手です。その際には、必ず事前にデータのバックアップを取ってから作業するようにしましょう。
トラブルが解決すると、再び快適に仕事や学習、エンターテインメントを楽しめるようになります。ぜひこの記事の手順を参考に、Windows HelloとPINを復活させてください。
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