日々の業務やオンライン授業でMicrosoft Teamsを活用していると、通知のタイミングや種類はとても大切ですよね。特にWindows 10の「通知とアクション」と連動したネイティブ通知が使えると、集中モードとの連携などがスムーズになり、生産性をぐっと高めてくれます。
Windows 10ネイティブ通知とは?
Windows 10ネイティブ通知とは、OS標準の機能として実装されている通知の仕組みを指します。たとえば右下にバナーが表示されたり、アクションセンターから過去の通知を振り返ったりといった操作が可能です。Teamsでこれを利用できるようになると、以下のようなメリットがあります。
- 集中モード(フォーカスアシスト)との連携
Windows 10の「フォーカスアシスト」の設定と連動するため、重要な通知だけを受け取ったり、特定の時間帯に通知を抑制したりすることが容易になります。 - 一元管理の利便性
OS側の「通知とアクション」画面で、Teamsの通知をまとめて管理できるようになります。バナー表示やサウンドのON/OFFなどもWindowsの設定で統一的に扱えるのが魅力です。 - 洗練された通知デザイン
Teams独自の通知デザインではなく、WindowsネイティブのUIとして表示されるため、見た目が統一され、見逃しが少なくなる可能性があります。
Teamsが独自通知のみを採用する背景
最近のTeamsバージョンでは、従来から続いている独自通知の仕組みがデフォルトで利用されるケースが増えました。独自通知には拡張性などのメリットがある一方、Windows 10のネイティブ通知を好むユーザーには不便という声も少なくありません。
- レガシーを含む複数の環境への対応
Microsoftは、社内外にさまざまなOSバージョン・言語環境が混在する大規模ユーザーを抱えています。そのため、Teams側で統一したUIを保つ必要があるという見方もあります。 - Teams特有の機能拡張のしやすさ
アプリ内での通知機能により、今後のアップデートや新機能追加時の柔軟な開発が行いやすいという一面もあるでしょう。
しかし、職場や学校の利用形態によっては、Windows 10の標準通知のほうが便利だというケースも多く存在します。以下では、その切り替えの手順や注意点を詳しく解説していきます。
TeamsをWindows 10ネイティブ通知に切り替える主な手順
ここからは、Teamsの設定を変更してWindows 10のネイティブ通知を有効にするための具体的な方法を紹介します。なお、環境やバージョンによって若干手順が異なる場合がありますので、あくまで一例として参考にしてください。
1. Teamsの通知設定を開く
最初に、Teamsのアプリケーション内にある通知設定を確認・変更します。やり方は以下のとおりです。
- Teamsを起動
Windows上でTeamsを立ち上げてください。タスクバーにピン留めしてある場合はそちらからでも構いませんし、スタートメニューから起動してもかまいません。 - 右上のプロフィール画像をクリック
Teamsウィンドウ右上のプロフィールアイコンをクリックすると、ドロップダウンメニューが表示されます。 - 「設定(Settings)」→「通知(Notifications)」を選択
ドロップダウンメニュー内から「設定」をクリックし、その後「通知」を選ぶと、Teams内の通知に関する詳細設定画面が開きます。
この画面では、チャットやチャンネルごとの通知方法やサウンドのON/OFFなどを確認できるはずです。ただし、現行の安定版(一般リリース版)では「デスクトップ通知の種類」を直接選べる項目がないことも多いので、次のステップで開発者向け機能をチェックしてみましょう。
2. Public Developer Preview(開発者向けプレビュー)の有効化
Teamsには開発者向けプレビュー機能が存在しており、通常版にはまだ実装されていない新機能が試せるようになっています。ネイティブ通知の切り替えも、このプレビュー機能の中に隠されている場合があります。
- Teamsのアプリバージョンを確認
まずは「ヘルプ」→「Teamsについて」などから、ご自身のTeamsバージョンをチェックしましょう。管理者の制限によって開発者向けプレビュー機能が使えない場合もあるので注意が必要です。 - プレビューへの切り替え手順を実行
一部の環境では、プロフィールメニューから「開発者向けプレビューを使用する」または「パブリックプレビューを使用する」といったオプションが選べる場合があります。これを有効にすると、プレビュー機能の一部が解放されます。 - 「アプリのアイコンを7回クリック」などの隠しコマンド
環境によっては、「設定」画面でアプリアイコンを7回連続でクリック(or タップ)すると開発者向けメニューが出現するなどの報告があります。これは内部的にデバッグメニューを呼び出す手法で、正式ドキュメントには載っていない場合も多いです。試行錯誤が必要な場合もありますので、自己責任で実行してください。
3. 開発者向け設定でネイティブ通知をONにする
開発者向けプレビューが有効化されると、Teams内に追加の設定項目が現れる可能性があります。下記はあくまで参考例ですが、「enableNativeNotification」や「enableMacNativeNotification」などの設定キーが登場することがあります。
- Windows 10環境の場合の例
{
"enableNativeNotification": true,
"desktopNotificationStyle": "native",
"debugFeatures": true
}
- Mac環境の場合の例
{
"enableMacNativeNotification": true,
"desktopNotificationStyle": "native"
}
これらの設定を“true”にすることで、ネイティブ通知機能のテストが可能になる場合があります。設定の仕方はGUI操作でチェックボックスをオンにする形だったり、JSONなどの設定ファイルを直接書き換える形だったりと環境によって異なります。
4. Teamsを再起動する
設定の変更後は、Teamsを一度終了させて再起動する必要があります。反映されない場合は、パソコン自体を再起動すると確実です。再起動を行う際は、保存されていない作業がないことを確認し、終了してください。
- タスクトレイから完全に終了する方法
タスクバー右下の「↑」をクリックしてTeamsのアイコンを探し、右クリックで「終了」を選びます。単純にウィンドウを閉じただけではバックグラウンドで動いている可能性があるため、確実に終了するにはこの手順が大切です。
5. Windows 10の「通知とアクション」設定を確認する
最後に、Windows 10側の通知設定が正しく行われているか確認しましょう。OSのバージョンや管理ポリシーにもよりますが、通常は以下の手順です。
- 「設定」→「システム」→「通知とアクション」を開く
スタートメニューの歯車アイコンから「設定」アプリを起動し、「システム」→「通知とアクション」の順に選びます。 - アプリごとの通知設定をチェック
「通知を受け取るアプリを選択する」の一覧の中にTeamsが表示されているはずです。ここでTeamsの通知が有効になっているか、バナーとサウンドのON/OFFがどうなっているかを確認しましょう。 - フォーカスアシスト(集中モード)との連携
「集中モード」(または「フォーカスアシスト」)の設定で、どの通知が許可されるかを細かく制御できます。Teamsを重要な通知として扱いたい場合は「優先通知」に設定しておくと便利です。
表で見る:通知関連の主な設定項目
以下はWindows 10とTeamsそれぞれの通知管理の概要を対比させた表です。設定漏れがないよう、参考にしてみてください。
項目 | Windows 10(ネイティブ通知) | Teams 独自通知 |
---|---|---|
通知の表示場所 | 画面右下のバナー、アクションセンター | Teams専用のポップアップ |
音の設定 | OS全体で一括設定可能 | Teams内の設定から制御 |
フォーカスアシストとの連携 | 可能 | 原則不可(独自通知は連携が薄い) |
過去の通知履歴 | アクションセンターで確認可能 | 通知ポップアップ消滅後は履歴なし |
カスタマイズ可能性 | OSアップデートに依存 | Teamsのアップデートに依存 |
グループポリシー適用 | 可能 | 原則は難しいケースが多い |
この表を見てもわかるとおり、Windows 10のネイティブ通知には一元管理や集中モードとの連携といった大きな利点があります。一方、Teams独自通知はTeamsアプリのアップデートと同期して新機能が使いやすい点がありますので、運用要件や好みで使い分けるのが望ましいでしょう。
注意点・トラブルシューティング
実際に設定を変更してみても、すぐにネイティブ通知が有効にならないこともあります。考えられる原因と対処法をいくつか紹介します。
管理者によるポリシー制限
職場や学校などの組織アカウントでTeamsを使用している場合、IT管理者がポリシーを設定していてプレビュー機能が使えない可能性があります。プレビュー機能自体が制限されていると、ネイティブ通知を有効にするオプションが表示されないことがあります。その場合は管理者に相談し、必要に応じて権限を付与してもらいましょう。
アプリのバージョンが古い
Teamsのアップデートが止まっている、あるいはWindows 10自体が古いバージョンの場合、ネイティブ通知機能が正しく動作しない可能性があります。まずはWindows Updateを最新にしてからTeamsもアップデートし、再度試してみてください。
再起動が不完全
Teamsのウィンドウを閉じただけではバックグラウンドプロセスが残っているケースがあります。前述したように、タスクトレイから「終了」オプションを選んだり、WindowsのタスクマネージャーでTeamsのプロセスを終了させる方法を確実に行いましょう。設定変更後は一度PC自体を再起動すると安心です。
通知がオフになっている
Windows 10側の「通知とアクション」でTeamsの通知をオフにしていると、いくらTeamsの設定を変えてもネイティブ通知は届きません。また、フォーカスアシストが“アラームのみ”などの厳格なモードになっていると、Teamsの通知が表示されない場合もあります。集中モードの設定を確認してみましょう。
応用:グループポリシーやスクリプトでの制御
企業環境や大規模な教育現場では、グループポリシーやPowerShellスクリプトで複数のPCに対して一括設定を適用したいという要望があるかもしれません。以下に一例を示します。
PowerShellを使ったアプリ通知の制御例
# ※あくまで一例であり、環境によって挙動は異なります
# Windows 10の通知設定を制御するレジストリキーにアクセスする例
# レジストリパス(例)
# HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\PushNotifications
# 具体的にTeamsアプリの通知が入っているかを確認し、キーがあれば値を変更する流れ
# なお、公式に推奨されたやり方ではないため、テスト環境で確認のこと
$teamsRegKeyPath = "HKCU:\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\PushNotifications\Teams"
if (Test-Path $teamsRegKeyPath) {
# 値の確認や更新を行う
# 具体的な値名は環境によって異なるため要調査
$currentValue = Get-ItemProperty -Path $teamsRegKeyPath -Name "EnableNotifications"
Write-Host "Current Teams Notification Setting:" $currentValue.EnableNotifications
# 1:有効, 0:無効 と仮定
Set-ItemProperty -Path $teamsRegKeyPath -Name "EnableNotifications" -Value 1
} else {
Write-Host "Teams notification setting not found in registry."
}
あくまで参考レベルの例ですが、レジストリを変更することでOS側の通知設定を制御できる可能性があります。しかし、Teams独自の通知設定をレジストリで変更できるかどうかはバージョンや構成によって異なりますし、サポート外の可能性も高い点に留意してください。
ネイティブ通知に切り替えると得られるメリットのまとめ
最後に、TeamsをWindows 10ネイティブ通知に切り替えることで期待できるメリットを改めて整理します。
- 作業効率の向上
重要な通知のみを受け取りたい、一定時間は通知を抑制したい、といった運用がWindows 10のフォーカスアシスト機能と連携しやすくなります。チャンネルやチャットの急なメッセージにもすぐ気づきながら、不要な通知は極力排除できるのは大きいメリットです。 - 通知履歴の活用
アクションセンターから過去の通知を簡単に確認できるため、「忙しくてポップアップを見逃した」という事態にも対応しやすくなります。複数のプロジェクトやクラスを同時進行している場合、どのタイミングで誰からどんな連絡があったのか後から振り返ることが可能です。 - 見た目や操作感の統一
OS全体で統一されたデザインや操作性が得られるため、Teams以外のツールと併用していても違和感が少なくなります。大人数が同じWindows 10環境を使っている職場や教室では、ユーザーサポート面でも楽になるでしょう。 - 安定した挙動
Windows標準の通知機能は、OSのアップデートで常にメンテナンスされています。Teamsの独自通知が不調になっても、ネイティブ通知が使えるようにしておけば比較的安定した動作が期待できます。
まとめ
Microsoft Teamsの最新バージョンでは、デフォルトでWindows 10のネイティブ通知が使えないケースがあるものの、開発者向けプレビューの有効化や設定ファイルの編集などの手段を試すことでネイティブ通知を有効にできる可能性があります。職場や学校のポリシーによっては制限がかかっている場合もありますので、もし設定項目が見当たらない場合には管理者に相談することをおすすめします。
ネイティブ通知を取り入れることで、Windows 10の通知とアクション、集中モード(フォーカスアシスト)、アクションセンターの履歴管理など、さまざまなOSレベルの便利機能が活用できるようになります。業務効率や学習効率の向上に直結する面も多いため、興味のある方はぜひ試してみてください。
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