TeraTermでLinuxのファイルをローカルへダウンロードする方法

Tera Termで接続中のLinuxサーバーからWindows PCへファイルを持ち帰るなら、SSH接続を確立したうえで[File]→[SSH SCP…]を使います。画面に表示中の文字を保存する[Receive file…]とは別機能です。SCPではリモート側のファイルパスとローカル側の保存先を指定し、転送後にサイズまたはハッシュを照合します。この記事ではTera Term 5系の公式マニュアルを基準に、権限確認、単一ファイルの受信、文字化けとの区別、失敗時の切り分けまでを安全な順序で説明します。

目次

最初に押さえる結論

teraTerm

ダウンロード操作は、SSHでログインしたTera Termの[File]メニューにある[SSH SCP…]から行います。SCPはSSHの認証済み接続を使うため、別途FTPサーバーを立てる必要はありません。ただし、ログインユーザーがLinux側の対象ファイルを読み取れること、Windows側の保存先へ書き込めることが前提です。管理者権限で回避するのではなく、必要なファイルに必要な読み取り権限が付いているかをサーバー管理者へ確認してください。

Tera Term公式マニュアルは、[File]→[SSH SCP]をPCとホスト間でSecure Protocolによりファイル転送する機能として案内しています。同じメニューの[Receive file…]は受信した端末データをファイルへ出力する機能で、Linux上の既存ファイルをSCPでコピーする操作ではありません。この二つを取り違えると、空のファイルや端末ログだけが保存されるため、メニュー名を確認します。

TeraTermRecieve

転送前の確認

  • 接続先ホスト名またはIPアドレスが目的のLinuxサーバーか
  • SSHで認証したユーザー名が正しいか
  • Linux側の対象が通常ファイルで、読み取り権限があるか
  • 転送中に更新され続けるログやデータベースファイルではないか
  • Windows側の保存先と空き容量が十分か
  • 機密データを持ち出す承認と保存先の暗号化方針を満たすか

サーバー上で現在地だけを見て相対パスを推測せず、対象ファイルの絶対パスを確認します。Tera TermのFAQは、端末エミュレーターがシェルの現在ディレクトリを把握しているとは限らないと説明しています。プロンプトに表示された場所とSCPが解釈する場所が一致するとは限らないため、たとえば /var/log/app/service.log のようにルートから始まるパスを使うと誤転送を減らせます。

対象が稼働中に更新されるログの場合、転送中に内容が変化してハッシュが一致しないことがあります。業務システムを停止してよいとは限りません。管理者が用意したスナップショットやローテーション済みログなど、読み取り中に変わらないコピーを対象にします。データベース本体は単純なファイルコピーで整合性を保てないため、製品所定のバックアップまたはエクスポートを使います。

Tera TermでLinuxファイルを受信する手順

  1. Tera Term 5を起動し、SSHで目的のLinuxサーバーへ接続する。接続後にホスト名とユーザーを表示して取り違えがないか確認する。
  2. Linux側で対象ファイルの絶対パス、サイズ、更新日時、読み取り権限を確認する。必要なら管理者に転送専用の読み取り可能なコピーを作成してもらう。
  3. Tera Termのメニューバーから[File]→[SSH SCP…]を選ぶ。SSH接続でない場合やTTSSHが利用できない場合は選択できない。
  4. 受信側の欄で、リモートのFromにLinux側の絶対パスを入力し、ローカルのToにWindows側の保存先フォルダーまたはファイル名を指定する。送信側の欄へ逆に入力しない。
  5. [Receive]を選び、進行表示が完了するまで接続と保存先を維持する。Enterキーだけで実行する場合は、Tera Term 5の版によってフォーカス中の入力欄に対応するSendまたはReceiveが選ばれるため、ボタン表示を目視する。
  6. Windows側で保存されたファイルを開く前に、名前、サイズ、更新時刻を確認する。必要な場合はLinux側とWindows側でSHA-256を計算して一致を確認する。

ハッシュで内容を照合する例

次は同じファイルのSHA-256をLinuxとWindowsで読み取り確認する例です。実在する確認済みパスへ置き換え、対象ファイルを変更しない状態で実行します。ハッシュ値が一致すれば、転送中に内容が変わっていないことを確認できます。

# Linux
sha256sum /var/log/app/service.log

# Windows PowerShell
Get-FileHash 'C:\Users\Public\Downloads\service.log' -Algorithm SHA256

文字化け・改行変換を心配する場合

SCPはファイルのバイト列を転送するため、通常は端末表示用の文字コード設定や改行コード変換を行いません。Windowsで開いたときに日本語が崩れて見えても、転送失敗とは限りません。まずサイズやハッシュを比較し、一致しているなら閲覧アプリ側でUTF-8、Shift_JISなど正しい文字コードを指定します。ハッシュが異なる場合は、転送中に元ファイルが更新されていないか、別の同名ファイルを指定していないかを確認します。

[File]→[Send file…]は、選択したローカルファイルの内容を端末へ送る動作として使われる場合があり、SCP受信とは目的が違います。ドラッグ&ドロップにもSCP、内容送信、ファイル名貼り付けの選択肢があるため、機密ファイルを誤ってシェルへ貼り付けないよう確認ダイアログを読みます。ダウンロード目的なら[SSH SCP…]の受信欄を使うのが判断しやすい方法です。

受信できないときの切り分け

No such file、または対象が見つからない

Linux側の絶対パスを再確認します。大文字と小文字は区別され、ホームを表す記号やシェル固有の展開がSCP画面で同じように働くとは限りません。シェルで対象を一覧表示したときの完全なパスを使い、コピー&ペースト後に余分な空白や引用符が入っていないかも確認します。

Permission deniedになる

接続中ユーザーに読み取り権限がありません。権限を広範囲に緩めたり、サーバー全体を管理者権限で操作したりせず、所有者とアクセス方針を管理者へ伝えます。安全な対応は、管理者が承認済みの作業フォルダーへ必要なファイルのコピーを用意し、そのコピーだけを読み取れるようにすることです。

途中で止まる、サイズが一致しない

空き容量、SSHセッションの切断、VPNの再接続、スリープ、元ファイルの更新を確認します。2026年2月公開のTTSSH 3.6.0ではSCP受信速度の改善が記録されているため、古いTera Termを使い続けている場合は公式配布元の現行版と変更履歴を確認します。更新は設定ファイルをバックアップし、業務で使うマクロや暗号方式との互換性を検証してから行います。

Tera TermのSCPとSFTP、コマンドでのダウンロードの違い

Tera Termの公式Fileメニューにあるファイル転送は[SSH SCP]です。SFTPでファイル一覧を表示してダウンロードしたい場合は、別のSFTPクライアントやOpenSSHのコマンドを使う方法を選びます。SSHのポートが同じでも、操作方法やサーバーが許可している転送方式は同じとは限りません。

目的使う操作実行場所
Tera Termの画面から1ファイルを受信File → SSH SCP → ReceiveWindowsのTera Term
コマンドでLinuxからWindowsへコピーOpenSSHのscpコマンド受け取り側のWindows PowerShellなど
SFTPで一覧から選ぶ・フォルダー階層を確認SFTPクライアント受け取り側PC

Windows側でscpコマンドを使う場合の例

Tera TermでLinuxへログインしたシェルではなく、受け取り側のWindowsで実行します。OpenSSH Clientを使用できることが前提です。未導入の場合はMicrosoft公式のOpenSSH案内を確認し、受信するだけならWindows側にSSHサーバーを有効化する必要はありません。次は例示用のホスト名とパスなので、実際の確認済み値へ置き換えてください。

# Windows PowerShell:作業中のローカルフォルダーへ1ファイルをコピー
scp [email protected]:/var/log/app/service.log ./service.log

最初に接続するときはホスト鍵のフィンガープリントを管理者から確認し、接続先が正しいことを確認して進めます。同名の保存先ファイルがある場合は上書きされる可能性があるため、空の作業フォルダーを用意してください。転送後のサイズやSHA-256の確認は、Tera Termでの受信と同様に行います。

OpenSSH公式のscpマニュアルでは、OpenSSH 9.0以降のscpは既定でSFTPを使用すると説明されています。名前がscpでもTera Termの[SSH SCP]と全く同じ方式だと思わず、古いサーバーで片方だけ失敗する場合はクライアントの版とサーバーの許可方式を管理者へ確認します。認証やホスト鍵のチェックを無効にして回避する手順には進みません。

複数ファイル・フォルダーを扱う判断

単一ファイルならTera TermのSCP画面で十分ですが、多数のファイル、フォルダー階層、再開、同期、差分比較が必要な作業は、GUIで一覧を確認できるSFTPクライアントや管理者が定めた転送方式のほうが安全です。サーバー上で一つのアーカイブへまとめる場合も、対象範囲、空き容量、機密データ、アーカイブ作成中の整合性を確認します。便利さだけで方式を変えず、組織の持ち出し規定を優先してください。

検証と戻し方

受信操作は通常Linux側の原本を変更しません。検証は、Windows側のファイル名、サイズ、ハッシュ、対応アプリでの内容、必要な行やレコードが含まれるかの順で行います。誤ったファイルを受信した場合は、正しいファイルと混ざらない隔離フォルダーへ移し、転送記録とともに管理者へ確認します。機密ファイルを誤った保存先へ置いた場合は、自己判断で痕跡を消すのではなく、組織のインシデント手順に従います。

Tera Term側の設定を変更した場合は、変更前のTERATERM.INIを保管し、転送確認後に元の設定へ戻せるようにします。接続先、ユーザー、リモートパス、ローカル保存先、開始・終了時刻、サイズ、照合結果を残せば、同名ファイルの取り違えを防ぎ、失敗時もどの段階まで成功したかを説明できます。

公式情報・参考資料

以下は2026年7月17日に確認したTeraTerm Projectの公式マニュアルです。画面やSCP動作は版によって変わるため、利用中のTera Term 5とTTSSHのバージョンを確認してください。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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