Windows が黒画面で 0x7B(INACCESSIBLE_BOOT_DEVICE) を表示して起動できない──原因が rcbottom.sys の削除であっても、クリーンインストール不要でデータを保持しながら復旧できます。本記事は、最短での起動復旧から、確実性を高めるドライバー注入、万一に備えたデータ救出まで、現場で使える具体的なコマンドと判断基準を一つにまとめた実践ガイドです。
想定する症状と前提
C:\Windows\System32\drivers\rcbottom.sysを誤って削除後、再起動すると 0x7B で停止。- SSD 上の個人データ(
Users配下)を保持したい。HDD に古いバックアップはあるが一部破損。 - マザーボードの SATA モードが RAID(または RAID/On、RAID Xpert 等)になっている可能性が高い。もしくは AMD チップセット上で AHCI だが AMD のストレージフィルターが使われている環境。
なぜ 0x7B になるのか(原因の要点)
rcbottom.sys は AMD RAID/AHCI 系ストレージスタックのボトムフィルタドライバーです。これが欠損すると、起動初期段階でシステムディスクの I/O スタックが構成できず、ブートデバイスを「認識不能」と判断して 0x7B が発生します。RAID 利用時は rcraid.sys、構成管理の rccfg.sys などと同一バージョン群で動くため、1 ファイルだけ戻すより同バージョン一式を復元・再登録したほうが成功率は上がります。
最短復旧のロードマップ(データ保持優先)
| 手段 | 狙い | 向いている状況 | データ保持 | 難易度 | 成功率の目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| ① rcbottom.sys を直接復元 | 欠損ファイルを即補填して起動 | 同バージョンのバックアップがある/同型機から取得可能 | ◎ | 低 | 中(バージョン一致なら高) |
| ② AMD RAID/AHCI ドライバー一式をオフライン注入 | WinRE から .inf ごと導入 | バックアップが不完全/複数ファイル欠損の疑い | ◎ | 中 | 高 |
| ③ スタートアップ修復+ブート構成再生成 | 自動・半自動でブート周りを再構築 | ファイルは戻したがブートに失敗する | ◎ | 低 | 中 |
| ④ インプレースアップグレード(修復インストール) | システムファイルを再展開しドライバー再登録 | いったん起動できるようになった後の仕上げ | ◎(アプリも保持) | 低 | 高 |
| ⑤ (非 RAID 環境向け)一時的に AHCI 化 | 汎用 AHCI(storahci)で起動を確保 | RAID を使っていない/単発 SSD 構成 | ◎ | 中 | 中(条件付き) |
| ⑥ 最終策:データ救出 → クリーンインストール | ユーザーデータを退避し OS を新規導入 | ドライバー復旧が困難 | ◯(手動で復元) | 中 | 確実 |
作業前の重要チェック
- BitLocker の有無:有効なら回復キーが必要。WinRE のコマンドで確認できます。
manage-bde -status manage-bde -unlock C: -RecoveryPassword 123456-XXXXXX-XXXXXX-XXXXXX-XXXXXX-XXXXXX-XXXXXX-XXXXXX - BIOS/UEFI の SATA/RAID 設定:現状のモード(RAID / AHCI)をメモ。RAID ボリュームを組んでいるなら AHCI へ切替えないでください。
- ドライブ文字のズレ:WinRE では Windows のあるドライブが
D:等に変わることがあるため、後続コマンドは<WinDir>の 実際の文字に読み替えて実行してください。
WinRE で Windows パーティションを特定する(安全)
diskpart
list vol
rem ↳ ボリュームの「ラベル」「サイズ」「種類(BOOT/EFI/NTFS)」を確認
sel vol 3
assign letter=W
exit
dir W:\Windows
手順①:Windows 回復環境(WinRE)を起動する
以下のいずれかで WinRE を起動します。環境に応じて選択してください。
- 電源投入直後に強制終了を 2〜3 回繰り返し、「自動修復」→「詳細オプション」。
- Windows インストール USB/DVD から起動し、「コンピューターを修復する」。
続いて「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「コマンド プロンプト」を開きます。
手順②:rcbottom.sys を直接復元(最短)
バックアップ HDD または同型機から rcbottom.sys をコピーします。バージョンは可能な限り元のものに合わせてください。
copy D:\Backup\Windows\System32\drivers\rcbottom.sys W:\Windows\System32\drivers\
コピー後、念のためファイルのハッシュを取得して転送エラーを排除します。
certutil -hashfile W:\Windows\System32\drivers\rcbottom.sys SHA256
この段階で再起動 → 起動できれば 手順⑥:起動後の仕上げ へ進んでください。起動しない場合は、手順③ へ。
手順③:ドライバー一式をオフラインで注入(確実性重視)
AMD の RAID/Chipset ドライバー一式(rcbottom.inf / rcraid.inf / rccfg.inf を含むフォルダ)を USB に用意し、WinRE から DISM でオフライン追加します。署名付き公式パッケージから展開したフォルダを丸ごと指定するのがポイントです。
dism /Image:W:\ /Add-Driver /Driver:E:\AMD_RAID\ /Recurse /LogPath:E:\add-driver.log
dism /Image:W:\ /Get-Drivers /Format:Table | more
/Recurse:サブフォルダ内の.infを一括検出。- 結果に oem*.inf として AMD 関連が列挙されれば登録成功です。
さらに、破損が疑われる場合はシステムファイルもオフラインで補修します。
sfc /scannow /offbootdir=W:\ /offwindir=W:\Windows
dism /Image:W:\ /Cleanup-Image /RestoreHealth
/RestoreHealth でソースが必要になった場合は、インストールメディアの install.wim(または install.esd)を指定します。
dism /Image:W:\ /Cleanup-Image /RestoreHealth /Source:wim:X:\sources\install.wim:1 /LimitAccess
手順④:スタートアップ修復とブート構成の再生成
ドライバーを戻しても起動しない場合は、WinRE の「スタートアップ修復」を一度実行します。改善しない場合、ブート構成を手作業で再生成します(UEFI 例)。
bootrec /scanos
bootrec /rebuildbcd
bcdboot W:\Windows /l ja-JP /f UEFI /s S:
S: は EFI システムパーティション(FAT32, 100〜300MB 程度)です。見当たらない場合は一時的にドライブ文字を付与します。
diskpart
list disk
sel disk 0
list vol
sel vol 1
assign letter=S
exit
古い環境やレガシー BIOS/MBR 構成では次のコマンドも有効です。
bootrec /fixmbr
bootrec /fixboot
bootsect /nt60 sys
手順⑤:(RAID 不使用の方向け)一時的に AHCI で起動を確保
RAID ボリュームを組んでいない単発 SSD/HDD 構成なら、汎用 AHCI ドライバー(storahci)で一時的に起動させる方法があります。RAID 構成でこれを行うと起動できない/ボリュームを壊す恐れがあるため厳禁です。
- WinRE のコマンドで オフラインレジストリをロードし、
storahciをブート開始に設定。reg load HKLM\OFFSYS W:\Windows\System32\config\SYSTEM reg add HKLM\OFFSYS\ControlSet001\Services\storahci /v Start /t REG_DWORD /d 0 /f reg add HKLM\OFFSYS\ControlSet001\Services\storahci\StartOverride /v 0 /t REG_DWORD /d 0 /f reg unload HKLM\OFFSYS - BIOS/UEFI 設定で SATA モードを RAID → AHCI に変更して再起動。
起動できたらデータ保全後、元に戻すか(RAID を使うなら)AMD ドライバーを正しく入れたうえで RAID に戻してください。
起動後の仕上げ(恒久対策)
- システム整合性チェック
sfc /scannow DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth - AMD チップセット/RAID ドライバーを再インストール(セットアッププログラムで上書き)。
- イベントログとセットアップログの確認:
C:\Windows\inf\setupapi.dev.logにドライバー導入の成否が詳細に記録されます。 - バックアップの再設計:後述の「予防策」を実施。
うまくいかない時のチェックリスト
- EFI パーティションのファイル構成が破損していないか(
\EFI\Microsoft\Boot\bootmgfw.efi等)。必要ならbcdbootで再展開。 - ファイルのバージョン不整合:
rcbottom.sysだけ古い/新しいと 0x7B が継続することがあります。同一配布パッケージ一式で揃えるのが安全です。 - 署名問題:テスト署名や未署名ドライバーは起動時に拒否されます。一時的に回避する設定(
bcdedit /set nointegritychecks on)は最小限・短時間に留め、復旧後はoffに戻してください。 - BitLocker が有効なのにドライブがロック解除されていない(WinRE で
manage-bde -unlock)。
どうしても起動しない場合:データ救出 → クリーンインストール
データを救出してから OS を入れ直す手順です。救出には robocopy を推奨します。ジャンクションを避け、属性やタイムスタンプも保持できます。
robocopy W:\Users X:\Rescue\Users /MIR /COPY:DAT /DCOPY:T /R:1 /W:1 /XJ /LOG:X:\Rescue\copy.log
/XJ:ジャンクション(例:AppData\Local\Application Data)を辿らない。/MIR:ミラーコピー。バックアップ先を空にしてから使うと安全です。
救出後、Windows を新規インストールし、ユーザーデータを戻します。アプリは再インストールが必要です。
ケース別の具体策と Tips
RAID 構成かどうかの見分け方
- BIOS/UEFI に「RAID」「RAIDXpert」「SATA Mode: RAID」などの表記がある。
- 複数ドライブで 1 つの大きなボリュームとして認識されていた(RAID0/5/10 など)。
- Windows のデバイスマネージャー(起動後の確認)で「ストレージコントローラー」に AMD RAID 関連が並ぶ。
オフラインで導入されたドライバーの一覧確認
dism /Image:W:\ /Get-Drivers /Format:Table > E:\drivers.txt
type E:\drivers.txt
ブートログを有効化して原因を追う
bcdedit /set {default} bootlog Yes
起動後、C:\Windows\ntbtlog.txt を確認すると、読み込みに失敗したドライバー名がわかります。
ファイルが 1 つも見つからない場合の代替案
- 別 PC で AMD のドライバーパッケージを展開し、.inf と .sys が入ったフォルダーごと USB にコピーして DISM で注入する。
- 同型機や同じチップセットの PC から
pnputil /export-driver *でドライバーを一括抽出し、対象機へ持ち込む(オンライン Windows での作業)。
インプレースアップグレード(修復インストール)のすすめ
起動後、セットアップメディアの setup.exe を実行し、「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」を選択すると、システムファイルが再展開され、ドライバーもクリーンに再登録されます。累積的な破損やレジストリの歪みを一掃できるため、安定性向上に有効です。
よくある質問(FAQ)
Q. rcbottom.sys だけ戻せば必ず直りますか?
A. 多くのケースで起動しますが、同じ配布版の rcraid.sys や rccfg.sys など一式で揃えるほうが安全です。混在は 0x7B の再発要因になります。
Q. ファイルは戻したのに 0x7B が続きます。
A. ブート構成の破損、署名ポリシーの問題、別ファイルの欠損(フィルター順序)、レジストリのサービス開始種別の不整合などが考えられます。手順③〜④の DISM 注入と bcdboot 再生成を順に実施してください。
Q. RAID を使っていないようです。AHCI へ切り替えても良い?
A. RAID ボリュームを組んでいないことが確実なら、オフラインで storahci を有効化して AHCI に切り替える方法は有効です。ただし元に戻す際は、必ずドライバーを整えてから RAID へ戻してください。
Q. データの整合性は大丈夫?
A. ドライバーの欠損で 0x7B になっているだけなら、ボリューム自体は無傷です。念のため起動後に chkdsk /scan を実行し、SMART 異常がないかベンダーツール等で確認してください。
復旧後の予防策(再発防止のチェックリスト)
| 施策 | コマンド・操作 | ポイント |
|---|---|---|
| 復元ポイントの有効化 | システムの保護を「有効」+最大使用量を適切に確保 | ドライバー更新やレジストリ変更前に手動作成を習慣化 |
| ドライバーの一括バックアップ | pnputil /export-driver * D:\DriverBackup | 同型機がなくても自己完結で復元可能に |
| システムイメージ/回復ドライブ | 回復ドライブの USB 作成+定期イメージ | ブート不能時に確実な戻し先を用意 |
| 署名付き公式ドライバーを使用 | 配布元の正規インストーラーを利用 | ばら撒きファイルや非公式版は混在・未署名のリスク |
実行コマンドの早見表(まとめ)
rem --- WinRE でドライブ特定 ---
diskpart & list vol & assign letter=W
rem --- 欠損ファイルの復元 ---
copy D:\Backup\Windows\System32\drivers\rcbottom.sys W:\Windows\System32\drivers\
rem --- ドライバー一式の注入 ---
dism /Image:W:\ /Add-Driver /Driver:E:\AMD_RAID\ /Recurse
rem --- オフライン整合性 ---
sfc /scannow /offbootdir=W:\ /offwindir=W:\Windows
dism /Image:W:\ /Cleanup-Image /RestoreHealth
rem --- ブート再生成(UEFI) ---
diskpart & list vol & assign letter=S
bcdboot W:\Windows /l ja-JP /f UEFI /s S:
rem --- AHCI での一時起動(非RAID環境) ---
reg load HKLM\OFFSYS W:\Windows\System32\config\SYSTEM
reg add HKLM\OFFSYS\ControlSet001\Services\storahci /v Start /t REG_DWORD /d 0 /f
reg add HKLM\OFFSYS\ControlSet001\Services\storahci\StartOverride /v 0 /t REG_DWORD /d 0 /f
reg unload HKLM\OFFSYS
rem --- データ救出 ---
robocopy W:\Users X:\Rescue\Users /MIR /COPY:DAT /DCOPY:T /R:1 /W:1 /XJ
トラブル発生時の判断フローチャート(文章版)
- WinRE 起動 → BitLocker を解除 → Windows パーティションを
W:に割当。 - バックアップに
rcbottom.sysがある → 直接コピー → 起動テスト。 - 起動不可 → ドライバー一式を
dism /Add-Driverで注入 →sfc/dismで整合性修復。 - まだ不可 → 「スタートアップ修復」→
bcdboot再生成。 - RAID 非利用なら AHCI への一時切替で起動確保 → 起動後に正式ドライバー導入。
- それでも不可 →
robocopyで救出 → クリーンインストール。
まとめ
rcbottom.sys の欠損由来 0x7B は、ファイル復元 → ドライバー注入 → ブート再構築の三段構えで多くが解消します。特に DISM による一式注入は同バージョン整合を自動で担保でき、安心・確実です。起動後は sfc/DISM の整合性回復と 公式ドライバーの再インストールで仕上げ、再発防止として ドライバー一括バックアップと 復元ポイントを常に準備しておくことを強く推奨します。

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